転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第7話 クーデター

 

 

 

A-01部隊との交流をしながら時が流れ、12月5日。

この日、早朝から横浜基地に防衛基準態勢2が発令された。

それは、帝都でクーデターが起こり、帝国軍の衛士である沙霧 尚哉大尉を始めとした多くの兵士達が『戦略研究会』を名乗り、帝国議事堂に押し入り、多数の官僚を殺害した。

更に沙霧大尉は声明を発表。

内容は、今の政府と帝国軍の批判。

先日の天元山救助活動の実体。

そして自分達の行動の正当化。

最後に、自分達の行動は、殿下や国民に仇為すものでは無いということだった。

余所者の俺からすれば、馬鹿なことやってるなぁ、としか思えなかったが。

それでも、本人たちは大真面目なんだろうな。

 

 

俺はしばらく待機していたが、ある時、香月博士から呼び出しを受けた。

俺が香月博士の執務室に入ると、

 

「来たわね、ジェイ」

 

香月博士が声をかけてくる。

まあ、このタイミングで俺が呼ばれたという事は、

 

「俺も出撃ですか?」

 

そう尋ねる。

 

「ええ。簡単に言えば、帝都で戦闘が始まるのも時間の問題だから、将軍が戦闘を止めるために帝都を脱出する可能性が高いの。その脱出先として、最も可能性が高い2か所にA-01部隊と、まりもの教え子である207訓練小隊を要所の警備と称して配置するわ」

 

「つまり、将軍様を無事に横浜基地に送り届けることが最重要任務という事ですね?」

 

「その通りよ。出来ればA-01部隊やまりも達の部隊に被害が出ない様に守って頂戴」

 

「了解しました。とはいえ、俺はあまり表に出ない方がいいですね?」

 

「そうね。前と同じで『謎の戦術機』として動いて頂戴。伊隅とまりもには伝えておくけど、余計なことは言わない様に言っておくわ」

 

「了解です」

 

俺はノリで敬礼の真似事をして部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

【Side 柏木 晴子】

 

 

 

 

帝都でクーデターが起こって少し後に、A-01部隊に出撃命令が下った。

任務の内容は、脱出してくるであろう将軍の保護。

ただ、A-01部隊が受け持つ場所の他に、2番目に可能性が高い所に207訓練小隊B分隊が配置されている。

私はA分隊で、B分隊の皆より先に総戦技演習に合格し、訓練を修了して正規兵になった。

というか、A-01部隊の新任少尉は全員A分隊のメンバーだけど。

すると、そうこうしている内に香月副指令から連絡が来て、将軍様が207小隊の方に保護されたそうだ。

 

「……あらら、あっちに持っていかれちゃったか。偶には主演に回れるかと思ったんだけどな~」

 

私がそう軽口を言うと、

 

『柏木ィ~、向こうに行きたきゃ別に止めないわよ? 殿下の為に1人陽動を買って出る……泣かせるシチュエーションだと思うけど?』

 

速瀬中尉がそう返してきた。

いや、それって遠回しに死ねって言ってるようなもんですよね?

 

「あはは~。私、偉い人の前だと緊張しちゃうんで! 遠慮しま~す!」

 

私はそう返した。

 

『さて貴様ら、別荘での楽しいバカンスはここまでだ。我々は箱根へ向けて移動する! ヒヨコ共が無事花道を通れるよう赤絨毯を敷いておいてやれ!!』

 

伊隅大尉の命令に、

 

『『『『『『『『『「了解!!」』』』』』』』』』

 

A-01部隊のメンバー全員が唱和した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達の役目は追撃部隊の増援の阻止。

第一陣は何とか損害なく全滅させることが出来た。

 

『上出来だ。新任共、全員生きているな?』

 

伊隅大尉がそう言う。

 

『新型OSの性能に助けられました………でも、実戦テストが人間相手になるなんて………』

 

私と同じ新任少尉の涼宮 茜がやや苦しそうにそう言う。

 

『駄目よ少尉。今は任務に集中なさい。ここを突破できない限り、クーデター部隊は目的を達成できない……次は本腰を入れてくるはずよ』

 

先任少尉の風間少尉がそう言う。

 

『ですが、せめて行動不能に……』

 

茜が更に進言すると、

 

『いい加減にしろ!! どれだけ新型OSが優れていようとそんな甘い相手じゃないわよ! 圧倒的な差を見せつけることが犠牲を最小限にする唯一の方法なんだ!』

 

速瀬中尉からお叱りが飛ぶ。

 

『………全員聞け』

 

伊隅大尉から通信が入った。

 

ヴァルキリーズ(われわれ)は人類を守護する剣の切っ先………いかなる任務であれそれを完遂する。その妨げとなるならBETAであれ人であれ排除するのみだ』

 

伊隅大尉の言葉が重く感じる。

その時、

 

『…………来るぞ』

 

その言葉と共に、レーダーに反応があった。

 

『相手は帝都守備連隊の精鋭………この日本を守護する最強の集団だ。一筋縄ではいかんぞ』

 

その言葉と共に戦闘が開始された。

 

 

 

戦闘は私達に優位に進んでいるように思える。

新型OSのお陰で機動性にアドバンテージを持つこちらが、動き回ってかく乱する。

その動きに惑わされている相手に向かって私は引き金を引いた。

 

「……やった!?」

 

直撃したようには見えたけど………

だけど、実際は盾に防がれていた。

このタイミングで防がれるなんて………

連携を読まれてる。

流石にそう簡単に崩れてはくれないよね。

私は気を引き締める。

相手は陣形を組み直して突撃してくる。

すると、

 

『そのまま陣形を維持! 機動性を生かしてかく乱するんだ! 動き回って囲い込め!』

 

伊隅大尉から指示が飛ぶ。

それぞれが機動性を存分に発揮して相手をかく乱する。

新型OSは硬直時間が無い。

小刻みに飛び跳ねることだって可能だ。

相手の懐に飛び込み、至近距離から即座に発砲。

この動きも新型OSだからできること。

旧OSだと飛び込んで着地した瞬間、操作を受け付けなくなる。

そうなれば相手の格好の的になるけど、新型OSならその硬直時間をキャンセルできる。

スムーズな動きによる連続攻撃だって可能だ。

 

『何だ!? あの機動は!?』

 

『こんな動きが不知火に………いや! 戦術機に出来たのか!?』

 

相手をしていた衛士は、その動きに驚愕している。

 

『――いける……! この新型OSがあれば、帝国の精鋭とも渡り合える……!』

 

そう言ったのは同じ新任少尉の1人である高原。

新任だけあり、先任達ほどの操縦技術は無いけど、その言葉通り精鋭部隊とも互角以上の戦いを繰り広げていた。

だけど、戦場では一瞬の油断が命取りになることを改めて知ることになる。

いつの間にか、高原少尉の背後にクーデター部隊の戦術機がいた。

 

『た、高はっ………!』

 

私は警告しようと叫ぶけど、既に長刀は振り上げられている。

高原少尉も気付いたようだけど、もう間に合わない。

長刀が振り下ろされるまでの時間が妙に長く感じる。

引き延ばされた意識の時間の中、長刀がゆっくりと振り下ろされる。

その長刀が高原少尉の不知火を切り裂く。

そう思ったとき、視界の隅に何かが映った。

それは、赤い………光?

次の瞬間、閃光が走った。

気付けば、高原少尉の不知火を切り裂こうとしたクーデター部隊の戦術機が吹き飛ばされている。

そして、

 

『あ、あれは………!?』

 

そこに立っていたのは、

 

『な、なんだあの派手な戦術機は!?』

 

『デカい! 本当に戦術機なのか!?』

 

BETA侵攻の時に麻倉を助けてくれた、あの大型戦術機だった。

その時、

 

『………はっ!? はぁっ! はぁっ! い、生きて……る……?』

 

高原少尉が激しく息を吐き、生きていることを確かめるように呟く。

本人からすれば、ほぼ死が確定している状況からの好転だ。

そのような反応になるのも仕方ないと思う。

すると、その大型戦術機は、クーデター部隊に向き直る。

 

『な、何者かは知らんが、我らの行く手を阻むならば切り捨てるのみ!』

 

クーデター部隊の戦術機が謎の大型戦術機に向かっていく。

 

『おぉおおおおおおおおっ!!』

 

クーデター部隊の衛士が叫び声を上げながら大型戦術機に斬りかかる。

でも次の瞬間、クーデター部隊の戦術機は四肢と頭部を切り落とされ、胴体部分だけになって地面を転がった。

いつの間にか大型戦術機は、破壊された戦術機の後ろに居て、あの赤い光の剣を手から発生させていた。

大型戦術機はその赤い光の剣をクーデター部隊に向けて構えると、新型OSを装備したヴァルキリーズの不知火よりもスムーズな動きで、まるで人間が走るかのように駆け出した。

その走る速さもとんでもなく速い。

戦術機の匍匐飛行速度に匹敵かそれ以上じゃ?

向かってくる大型戦術機にクーデター部隊は動揺しつつも迎え撃つために陣形を取った。

振るわれる光の剣を受け止めようと1機が長刀を構えながら突出する。

だけど、大型戦術機の光の剣は長刀を、小枝を真剣で切るかの如くあっさりと切断し、そのまま相手戦術機の右腕を肩から切り落とす。

更に返す刃で両足を切断した。

行動不能になる戦術機。

 

「や、やっぱりとんでもなく凄い………」

 

私は思わずつぶやく。

正体不明の大型戦術機。

だけど私は、不思議と恐怖は感じなかった。

寧ろ安心するみたいな?

以前護ってくれたからかもしれないけど、信じられる相手だと思っていた。

その大型戦術機は1分もしないうちにクーデター部隊を全滅させる。

だけど、コクピットブロックに直撃は無く、衛士は全員無事だという事が分かった。

大型戦術機は全機無力化したことを確認するように見渡すと、あの孔雀の尾羽のような10枚の赤い光の翼を発生させると、宙に浮く。

 

「あ、ま、待って……!」

 

私は思わず声をかけるけど、大型戦術機は背を向けて猛スピードで飛び去った。

また行っちゃった。

その時、

 

『………また、助けられたな』

 

伊隅大尉の呟きが妙に意味深げだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

A-01部隊の手助けをした俺は、207小隊の援護をするために冷川方面に向かっていた。

 

「トモロ、207小隊の状況は?」

 

俺は通信でトモロに確認を取る。

 

『要所デアル冷川ヲトッパシタガ、ショウグンガ加速度病デタオレ、ゲンザイハ休息ノタメニイドウヲテイシシテイル』

 

「まだ包囲はされていないな?」

 

『アア。ダガ、厚木基地ヨリフクスウノ航空機ノ発進ヲカクニン。スウフンゴニハモクヒョウヘトウタツスル』

 

「了解した」

 

さて、どうするか。

包囲するところに乱入して、クーデター部隊を全滅させるのもアリかもしれないが………

俺はどうするかを考えながら移動を続けた。

 

 

 

現場近くまで来ると、俺は地上に降りてプラズマウイングを消し、地上を走って移動。

小高い小山の上から207小隊の様子を伺った。

ちなみに、ジェイダーのステルス能力はこの世界のレーダー技術では探知できないため、目視されなければ、バレる心配はない。

やがて、上空に大型輸送飛行機が現れ、合計30機の戦術機を投下。

207小隊らは、完全に包囲された。

その直後にクーデター部隊から60分の休戦を申し出てきて、207小隊らもそれを受けた。

そのしばらく後に、207小隊側から将軍からの『謁見』の申し出があり、狭霧大尉はそれを受諾。

急遽『謁見』が始まった。

 

「……………この謁見の途中で米軍側から発砲があるんだよな」

 

俺はいつでも飛び出せるように身構える。

その時だった。

 

『じぇい、キンキュウノホウコクガアル』

 

通信でトモロが呼びかけてきた。

 

「どうした? トモロ」

 

『ゲンザイ、米軍ノ衛士ノ1人ニ、催眠誘導措置ガホドコサレテイル』

 

「催眠誘導だと!? その衛士のコールナンバーは!?」

 

『はんたー2、いるま・てすれふ少尉ダ』

 

「そういうことか!!」

 

俺は瞬時にプラズマウイングを展開すると、全速で飛び出した。

 

 

 

 

 

【Side 白銀 武】

 

 

 

 

『前』の世界ではなかった唐突に起きたクーデター。

俺達207小隊にも出撃命令が下り、任務内容は将軍家の離城である塔ヶ島城の警備。

輸送車両で現地まで移動している最中、帝都でクーデター部隊と斯衛部隊との戦闘が始まったと知らされた。

現地に到着すると、交代で仮眠をとりつつ戦術機で警備を行っていた。

その時、俺が偶々外に出ているときに遭遇したのが美琴の親父さんである鎧衣課長と、冥夜にそっくりな容姿を持った帝国の将軍、煌武院 悠陽殿下だった。

鎧衣課長の頼みで殿下を俺の戦術機に乗せて横浜基地へ送ることになり、移動を開始する。

移動の最中に殿下と話をして、殿下と冥夜が双子の姉妹だという事にはとても驚いた。

危ない場面もいくつかあったが、米軍の協力もあり、何とか要所である冷川を突破することに成功した。

でも、その時点で殿下が限界を迎え、重度の加速度病で倒れてしまった。

急遽、休憩をとることになるが、その時に米軍の指揮官であるウォーケン少佐が、殿下に精神安定剤であるトリアゾラムを投与するように指示が来た。

重加速度病に対する通常の措置ではあるが、睡眠導入効果があり、筋弛緩によって睡眠中の嘔吐による窒息の危険性もある。

俺は、人を殺す可能性がある行動をとることが出来なかった。

まりもちゃんや月詠中尉がウォーケン少佐にやめるよう進言しつつ時間だけが過ぎる。

けど、殿下が意識を取り戻し、自らにトリアゾラムを投与するように俺に言い出した時、クーデター部隊は驚くことに空挺作戦を決行してきた。

この世界の制空権は光線級BETAによって著しく制限されている。

この場所は日本の太平洋側で、佐渡島ハイヴに存在する光線級の車線軸は山脈によってある程度の高さまでは遮られているが、それを超えてしまえば航空機などあっという間に撃ち落される。

その為、航空機等は、低い高度で障害物の無い海上を通るのがセオリーだ。

しかし、現在は海上の制空権は米軍によって抑えられている。

となれば、クーデター部隊は激突の危険の高い山間部を縫って飛んできたという事だ。

しかも、その部隊を率いていたのは、クーデターの首謀者である沙霧大尉だった。

更に沙霧大尉は60分の休戦を申し出てきた。

ウォーケン少佐は罠の可能性があると判断したが、月詠中尉やまりもちゃんの『将軍の名において発した言葉を帝国軍人は違えない』という言葉により、休戦に応じる事になった。

殿下を戦術機から降ろして休息させ、俺達207小隊は念の為に周囲の警戒に当たる。

何も出来なかった自分に腹を立てながら、俺は見回りを続ける。

その際、たまが米軍の女性少尉さんと仲良くなっている所を見た。

たまは、たまの親父さんがこの一連の事情に関わっているかもしれないと苦悩していた。

何とか励ますも、自分自身にそんな偉そうな事を言える筋合いは無いと自嘲した。

その時、殿下から呼び出しを受けた。

殿下の話を聞くうち、俺自身がとても自分勝手なんだと分かった。

殿下にトリアゾラムを投与できなかったのは、殿下を殺したくないだけじゃない。

その責任を負いたくなかったのだと。

その後、自分の心の内を愚痴のように殿下に聞いてもらったけど、B分隊の皆の話になった時、殿下の顔色が変わった。

殿下はどうやらB分隊の皆の事は知らなかったようで、国連事務次官の娘や彩峰中将の娘、鎧課長の娘。

そして、今朝殺害された、榊首相の娘がいることを。

すると、殿下は全員を集めてほしいと言ってきた。

まず殿下が行ったのはこの場にいる者たちへの謝意。

それから、B分隊の皆とそれぞれ話をした。

そして、自らが沙霧大尉達を説得しに行くと言い出したのだ。

説得というのは方便で、自らの手で沙霧大尉達を断罪するつもりなのだろう。

しかし、そこで冥夜が替え玉作戦を提案。

ウォーケン少佐は渋っていたが、月詠中尉の説得。

そして俺も、替え玉作戦に志願した。

紆余曲折あったが、替え玉作戦が承諾され、決行に移される。

殿下に扮した冥夜を俺の吹雪に乗せ、月詠中尉の武御雷と共に『謁見』を行う。

沙霧大尉もそれに応じ、僚機と共に、俺達と向かい合った。

冥夜の扮した将軍っぷりは見事なもので、殿下を間近で見ていた俺にも判断がつかない位だ。

冥夜の口から出る言葉も、きっと殿下と同じなのだろう。

そして…………

 

「…………殿下。我が同士の処遇………くれぐれも宜しくお願いいたします」

 

沙霧大尉はそう言うと、頭を垂れた。

 

『これは………終わった………のか?』

 

ウォーケン少佐が信じられないと言いたげな声色で呟く。

振り向いた冥夜が、微笑みを浮かべていた。

俺も笑って見せる。

その時だった。

 

―――ドゴォッ!

 

突如として爆発音が響く。

 

「な、何だ!?」

 

俺は慌てて周囲を確認する。

すると、爆発音がした方向には、破壊された米軍の戦術機(ラプター)の残骸が転がっており、その近くには見たことも無い形状の大型の戦術機が立っていた。

その戦術機は既存の戦術機とは見た目がかけ離れており、『元』の世界のアニメに出てくるロボットの様だと俺は思った。

すると、

 

『イルマ少尉―――――――――――――っ!!』

 

たまの悲鳴のような声が響く。

その叫びで、破壊されたのはあの少尉さんの戦術機なのだと察した。

 

『何者だ!?』

 

ウォーケン少佐と米軍の戦術機が、一斉にその大型戦術機に突撃砲を向ける。

しかし、その大型戦術機は特に動じず、

 

「……………突然この場に乱入してしまったことは詫びよう」

 

その戦術機から声がした。

 

「こちらも緊急だったのでな。警告をしている暇がなかった」

 

その戦術機はそう言って破壊したラプターの残骸に目をやると、

 

「つい先ほど、この戦術機の衛士に、催眠誘導措置が行われていることを確認した」

 

『何っ!?』

 

その戦術機の言葉にウォーケン少佐が驚愕の声を上げる。

 

「証拠のデータも送る。内容までは分からないが、この状況での催眠誘導………碌な目的ではないだろう」

 

その言葉と共に、俺達全員にデータが送られてくる。

そのデータには、確かに催眠誘導が仕掛けられたことが示されていた。

 

「それと、この戦術機の衛士については心配するな。コクピットブロックは外してある。命に別状は無いだろう」

 

その言葉で破壊されたラプターをよく見ると、四肢と頭部が切り落とされているが、コクピットブロックのある胴体は無傷だ。

たまがホッと息を吐いたのが分かった。

 

「そして………その催眠誘導の出どころだが…………」

 

その大型戦術機は顔を上げてその視線を移動させ、

 

「……………そいつだ」

 

米軍のとある1機のラプターを指差した。

 

『なっ………!?』

 

そのラプターの衛士は驚愕するように声を漏らす。

 

「こちらの感知能力を甘く見ないで貰おう」

 

そう言いながら、その大型戦術機は歩き出した。

その歩き方もとてつもなくスムーズで、まるで人間が歩いているようだ。

 

『くっ………!』

 

その衛士は悔しそうな声を漏らすと、

 

『ハチの巣にしてやる!』

 

そう叫んで突撃砲を構えた。

でも、その先にはもうその大型戦術機は居なかった。

既にラプターの側面に回り込んでいる。

 

『なっ!? は、速いっ!?』

 

その衛士は思わずそう叫ぶが、

 

「違うな。お前が遅いだけだ」

 

いや、絶対にお前がはえーだろ?

俺は思わず内心ツッコミを入れる。

だが次の瞬間、その大型戦術機のまっすぐ伸ばした手の先から赤い光の剣が出現。

 

「はっ!」

 

次の瞬間には、ラプターがバラバラに切り裂かれていた。

いや、全く見えなかったんだが…………

でも、やはり胴体は無傷の様だ。

すると、

 

「そいつの処遇については任せよう」

 

その大型戦術機はそう言うと、背中から10枚の赤い光の羽を出現させて宙に浮くと、

 

「さらばだ!」

 

絶対に戦術機が出せないようなスピードで飛び去った。

 

「「「「「「「「「「…………………………………」」」」」」」」」」

 

あまりの衝撃にこの場の全員がしばらく固まっており、我を取り戻して沙霧大尉達が投降するまでにいくらかの時間を要したのだった。

 

 

 

 

 






第七話です。
クーデター編すら1話で終了してしまった。
余りにも早すぎるかもしれませんが、関わってない所はほとんど原作基準ですからね。
因みに漫画版をもとにしております。
はてさて次はどうなることやら?
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