転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
シンジやミサト達をオービットベースに招待し、序に衛星軌道上の使徒を殲滅した後、リツコは南極から戻ってきたゲンドウとコウゾウに呼び出されていた。
司令室の机に肘を付けながら顔の前で手を組むゲンドウと、その隣に立つコウゾウ。
彼らの正面にリツコが立っている。
「…………例のジェイと言う人物の本拠地に行ったそうだね?」
コウゾウが口を開いた。
「はい」
リツコは冷静に頷く。
「何故部隊を用意して制圧しなかった?」
ゲンドウが責めるような口調で問いかける。
「………部隊は待機させていました。しかし、彼らにとってもそれは想定内の出来事だったらしく、あっさりと無力化されてしまったのです。1人の死者を出すことも無く………」
リツコは平然とそう返した。
「何………? では、君は置いて行かれたのかね?」
コウゾウが問いかけると、
「いいえ。私も本拠地に案内されました」
「君が首謀者とは気付かれなかったと?」
「いいえ。もちろんバレていました」
リツコの言葉にコウゾウは目を見開く。
「自分達を制圧しようとした者を本拠地に案内するだと……!? ありえん……一体何を考えている………?」
ジェイの行動が理解できないコウゾウは怪訝な声を漏らす。
「それは単純に、彼らにとって我々は何ら脅威にはなり得ない、という事でしょう」
リツコは自分の考えを述べる。
「ッ………!?」
コウゾウは言葉を失う。
「……………奴らの本拠地の場所は分かっているのか?」
ゲンドウがそう問いかけると、
「はい」
リツコは頷く。
「ならば問題は無い。こちらから乗り込んで本拠地を制圧すればいいだけの話だ」
ゲンドウはそう言ったが、
「不可能です」
リツコは断言した。
「何故だ?」
ゲンドウが聞き返すと、
「我々の技術力では、そこまで辿り着けません」
「何………?」
リツコの言葉に怪訝な声を漏らすゲンドウ。
「月の裏側へ、どうやって攻め込むというのですか?」
リツコはそう問いかける。
「リツコ君……君までそのような世迷いごとを………」
コウゾウが一笑に付すようにそう言ったが、
「嘘ではありません。彼らの本拠地は、月の裏側にある宇宙ステーションでした。嘘だと思われるなら、一緒に行った葛城三佐や加持君、レイやシンジ君の友達からも確認を取れば宜しいのでは?」
「「…………………」」
ハッキリ言い切ったリツコの言葉に黙り込む2人。
「例え本拠地に辿り着けたとしても、彼らの戦力は未知数です。エヴァ3機でどうにかできるとは到底思えません」
キッパリとそう言うリツコ。
「A.T.フィールドを中和せずに貫いたポジトロンスナイパーライフルを撃つのに日本中の電力を使いました。それを遥かに超える威力を、一隻の戦艦で撃てるのですよ? 技術力の差は歴然です」
リツコはそう続ける。
「そもそも彼らの本拠地を攻めるのに、エヴァのパイロットの3人が協力するとは思えませんが…………」
序とばかりにそう言うリツコ。
リツコは既にシンジやアスカどころか、レイも協力しないと判断していた。
「彼らには不干渉を提案します。彼らの行動には関与せず、下手に敵対しなければこちらが被害を被ることはありません」
「…………奴らの目的は何だ?」
ゲンドウが問いかけると、
「彼らの主な目的は、ゾンダーと呼ばれる存在や、その親玉である原種と呼ばれる存在を倒す事のようです。その他の事柄には、あまり関与しない方針だったそうなのですが………」
「だが、現に奴らは我々の前に幾度も姿を現しているではないか!?」
コウゾウが叫ぶと、
「それは、彼らが『人類補完計画』を知ったからです」
「「ッ!?」」
リツコの言葉に2人は目を見開く。
「彼らの技術力であれば、この世界の機密など在って無い様なものです。既にゼーレや、このNERVのMAGIについても遊び半分で攻略済みだそうです」
「ありえん。そのような痕跡は無かった」
ゲンドウがそう言うが、
「痕跡が残らないほど完璧なハッキングだったという事でしょう。少なくとも、彼らは『人類補完計画』の概要を知っているようでした。そしてそれは、彼らの『正義』に反する事であり、巻き添えは御免だという事で、計画を阻止するつもりの様です」
「…………対策は?」
「ありません」
リツコはキッパリとそう言う。
「彼らの技術力は、この世界の100年以上先を行っています。この世界の技術力では、彼らに対抗する事など不可能です。故に、先程も言った様に不干渉が最善の手なのです」
「それはならん。『人類補完計画』は遂行されなければならない」
「………………計画を進めるのであれば、私はそれに従うだけです。ですが、その成功率は限りなくゼロに近くなったことだけはお忘れなく」
リツコはそう言うと踵を返した。
それから数日後。
シンジ達はオートパイロットの実験の為に、17回も垢を落とされた上で、全裸でエントリープラグに入ることになった。
実験の予定時間は3時間。
因みにMAGIの補助が無い初実験の時は1週間かかったらしい。
同じ頃、指令部ではシグマユニットに僅かな異常が確認されていた。
「確認しているんだな」
「ええ、一応。3日前に搬入されたパーツです………此処ですね変質しているのは」
「第87タンパク壁か……」
「拡大すると、染みのようなものがあります。なんでしょうね、これ?」
「侵食だろう? 温度と伝導率が若干変化しています。無菌室の劣化はよくあるんです最近……」
オペレーターのマコトやシゲルが副司令のコウゾウと言葉を交わす。
「工期が60日近く圧縮されてますから、また気泡が混じっていたんでしょう。杜撰ですよ……B棟の工事は」
「そこは、使徒が現れてからの工事だからな」
「無理ないですよ、みんな疲れていますからね」
「明日までに処理して置けよ。碇が五月蠅いからな……」
「了解」
3人は、その時は特に大きな問題とは認識せず、相応の対応を取ることにした。
リツコにもその報告が入ったが、実験に影響が無いと判断すると、実験の続行を決める。
しかし、その直後警報が鳴り響き、浸食が爆発的に増加。
レイの模擬体にまで浸食を始め、エントリープラグを強制射出。
レーザー照射で侵食部の排除を試みたが、それはA.T.フィールドによって弾かれ、浸食の正体が使徒であることが判明する。
直ぐに侵食されたブロックを閉鎖するが、壁伝いに浸食してくるため、隔壁では完全に侵食を止めることは出来ない。
司令部が対策を模索する中、無菌状態を維持するためにオゾンを噴出させている所だけは汚染されていない事が分かり、オゾンを吹き付けると、浸食が止まる。
オゾンを増やしていくと、浸食が引いて行ったため、更にオゾンを増やした。
だが、ある時を境に今度はオゾンを吸収して一気に増殖が加速。
リツコは弱点を克服するために使徒が『進化』したと判断した。
使徒の浸食は更に進行し、今度はサブコンピューターがハッキングを受け始めた。
それは、使徒によるハッキングだった。
オペレーター達が必死に防ごうとするものの、その侵攻を止めることは出来ない。
瞬く間にサブコンピューターが乗っ取られた。
「メインコードを読んでいます………! このコードは…………ヤバい! MAGIに侵入するつもりです!!」
シゲルが使徒の目標を知った瞬間叫んだ。
指令室に緊迫が走る。
「IOシステムをダウンしろ」
ゲンドウが電源を切る指示を出す。
マコトとシゲルがシャットダウン用のキーを差し込み、タイミングを合わせてキーを回す。
しかし、
「ッ!? 電源が切れません!!」
使徒の方から直接電力が送られているのか、電源を切ることが出来なかった。
「使徒、更に侵入! MELCHORに接触しました!」
MAGIは、MELCHOR、BALTHASAR、CASPERの3つの人工知能によって成り立っている。
その内の1つ、MELCHORに使徒はハッキングを開始したのだ。
次々と乗っ取られていくMELCHOR。
「駄目です! 使徒に乗っ取られます!」
モニターに映るMELCHORの浸食を示す赤い部分が完全に埋まった。
「MELCHOR、使徒にリプログラムされました!」
マヤが報告した直後、
『人工知能MELCHOR。自立自爆が提訴されました。否決………否決………否決………』
MELCHORが自立自爆を提訴するが、他2つの人工知能の回答によって否決される。
すると、
「こ、今度はMELCHORがBALTHASARをハッキングしています!!」
モニターに映る赤く染まったMELCHORがBALTHASARにハッキング。
BALTHASARの正常を示す青い部分が赤く染まっていく。
「くそっ! 早い!」
「なんて計算速度だ……!」
マコトやシゲルが対処しようとするが、使徒のハッキング速度に対応が間に合わない。
すでにBALTHASARの半分近くが乗っ取られている。
このままでは全て乗っ取られるのも時間の問題だった。
オペレーター達が必死に対処するが、焼け石に水であった。
最早これまでかとオペレーター達が覚悟を決めた時、突然モニターが切り替わり、銀髪ツインテールで金色の眼をした少女が映った。
『NERVのみなさん、こんにちは。ホシノ・ルリです』
いきなりメインモニターに映った少女はそう挨拶する。
その光景に、一瞬ポカンとなるオペレーター達。
「あなたは!」
その少女、ルリに見覚えのあったミサトが叫ぶ。
『突然ですが、お手伝いします』
ルリがそう言うと、ルリの顔にナノマシンの紋様が浮かび上がった。
その直後、
「別方面からMAGIへのハッキングを確認! ッ!? 使徒からの浸食が止まった………!? いえ! 押し返しています!!」
シゲルが驚愕しながら叫ぶ。
BALTHASARの赤く染まっていた部分が、正常を示す青に変わっていく。
BALTHASARは完全に取り戻された。
「…………ルリさん……だったわね?」
リツコが話しかける。
『はい、赤木博士』
「………一応感謝しておくわ。助けてくれてありがとう」
『いえ、この位はお安い御用です』
「お安い御用………ね………」
NERVのオペレーター達が総力を挙げても足止めすら出来なかった存在を相手に、『お安い御用』と言い切ってしまうルリの言葉にリツコは半ば呆れてしまう。
それが強がりでも何でもなく、純然たる事実であるという事も、リツコは理解していた。
『ですが、根本的な原因が解決されたわけではありません。今現在も使徒はハッキングを試みています。しばらくは大丈夫ですが………』
「どの位持ちそうですか?」
リツコが問いかけると、
『私1人では1日………』
「1日………十分………」
『オモイカネの補助があれば1週間』
「………………………」
『更にトモロが加われば1ヶ月』
「………………………」
『ジェイさんとルネさんの協力があれば、2人の気力が続けばいくらでも。と言ったところでしょうか?』
「……………あっ、そう」
リツコは考えるのを放棄した。
「とりあえず使徒そのものへの対処はこちらで受け持つわ」
『よろしくお願いします』
リツコは話を終えようとしたが、
「待て」
ゲンドウが口を開いた。
『何でしょう?』
ルリが聞き返すと、
「貴様らが行っているのは重大な規則違反だ」
『…………それが何か?』
ゲンドウの言葉にルリは平然とそう返す。
「これ以降エヴァのパイロット達への接触を含め、こちらへの干渉を一切やめて貰う」
『お断りします』
ルリは拒否するが、
「これは要請ではない…………命令だ……!」
ゲンドウはサングラス越しにルリを睨みつけ、強い口調でそう言い放つ。
しかし、
『こちらには、そちらの命令を聞く理由はありません』
「我々は、世界の為に戦っている。貴様らの自分勝手な行いが、どれほどこちらにとって不安要素かを理解しろ」
『……………自分勝手なのはどちらでしょうね………?』
ルリは呆れたように声を漏らすと、
『少なくとも、使徒の殲滅や今回の出来事など、こちらとしては、そちらに協力しているつもりなのですが?』
ルリはそう言うと、
「余計なお世話だ。こちらには赤木博士が居る。貴様らの手助けが無くとも十分に対応できた」
ゲンドウはそう答える。
『………………強がりもそこまで行くと、いっそ清々しいですね』
無表情なはずのルリの顔が、どことなく呆れた表情を浮かべた。
それからゲンドウを見据えると、
『あなたは1つ勘違いをしています』
「何………?」
ルリの言葉に怪訝な声を漏らすゲンドウ。
『自分の方が上だと思わない事です』
ルリがそう言った瞬間、
「ッ!? MAGIへのハッキングが再開! なっ!? 先ほどよりも遥かに早い!?」
シゲルが切羽詰まった声で叫んだ。
「BALTHASAR乗っ取られました! 続いてCASPERへの浸食開始! なっ!? 侵食率60……70……80%突破! 間に合いません!」
マコトが叫ぶ。
侵食率が90%を突破し、もはや成す術が無いと思われた。
しかし、
「と、止まった………?」
侵食率は99%で停止していた。
すると、再び侵食された赤い部分が青く染まっていく。
『私達にとって、あなた方を排除することは簡単な事です。そうしないのはそうする必要が無いだけの話です。ですが、こちらを怒らせればどうなるかは保証できません』
「…………………」
ルリの言葉に口を閉ざすゲンドウ。
『では赤木博士。使徒への対処はお願いします』
「え、ええ………」
リツコは冷や汗を流しながら返事をするのだった。
リツコは進化する使徒に対し、『進化の終着点は滅び』であることを利用し、進化促進プログラムを打ち込み、使徒を自滅させる案を出した。
リツコは余裕をもって作業に当たり、3時間ほどで作業を完了。
使徒を自滅させることに成功したのだった。
はい、エヴァ編第12話でした。
今回はルリさん無双な回でした。
ルリさんは怒らせると怖いと思います。
それではまた次回。
P.S 今週の返信もお休みです。
A.T.フィールドは心の壁。つまりシェリルとランカの歌で使徒の心を開かせればA.T.フィールド消滅or弱体化はアリ?ナシ?
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アリ
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ナシ