転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
ハガネとヒリュウ改と共に行動することになった翌日。
ハガネとヒリュウ改の当初の目的であったリクセント公国を奪還するため、ブリーフィングルームに主要メンバーが集まっていた。
「インスペクターへの反攻に先立ち、DC残党に制圧されたリクセント公国を開放する」
カイ少佐が作戦内容を説明し始める。
「敵は、ライノセラス級を中心とした部隊を市街地外周部に展開している。その為、我々は戦力を二分することにした。先行上陸部隊が敵兵力を引きずり出し、別動隊が敵母艦であるライノセラス級を叩く!」
ライノセラス級とは、この世界の陸上戦艦の一種であり、ライノセラスの意味である『サイ』の名が示す通り、艦首にある大型の衝角が特徴である。
「極力市民の犠牲を出すことなく作戦を成功させたい。意識してくれ!」
「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」
カイ少佐の言葉に参加メンバーが返事をする。
すると、
「あの………!」
ルネが手を上げつつ遠慮がちに発言した。
「何か質問でも?」
カイが聞き返すと、
「市民の犠牲を少なくするための丁度いいツールが、ガオファイガーにはあります」
「何………?」
そうして、ルネは概要を説明し始めた。
【Side 三人称】
そして程なく作戦が開始される。
先行するハガネからカイ少佐の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱとイルムガルト・カザハラの操る特機であるグルンガスト、リョウトのエクスバイン及びオクトパス小隊の各機が出撃。
陽動の為に正面の海側から攻め入る。
ノイエDC側も即座に迎撃に入り、沿岸部に配置された長距離砲撃専門のAM(アーマードモジュール)『バレリオン』による砲撃と、手足が生えた戦闘機のような風貌、いわゆるバルキリーのガウォークのような形のAM『リオン』による航空戦力が出撃してきた。
苛烈な攻撃にも関わらず、各機は次々と防衛線力を撃破。
ノイエDCもそれに対抗するため、戦力を集め始めた。
その直後、別方面よりヒリュウ改が奇襲を仕掛ける。
ATXチーム、SRXチーム、サイバスターとヴァルシオーネ。
そして、デスティニー、ガイア、YF-29がヒリュウ改より出撃。
ライノセラス級に向かって進撃を開始する。
迎撃部隊と同じくバレリオンとリオンに加え、陸戦用のリオンシリーズである『ランドリオン』も出撃して来た。
キョウスケのアルトアイゼンは、ビームによる攻撃を受けながらも、その厚い装甲とビームコーティングによる防御力で、物ともせずに突っ込んでいき、右腕のリボルビング・ステークを振り被る。
「貫くっ!!」
その機体の重さとは裏腹に、そのブースターの大出力により生み出されるスピードと突進力により、突き立てられたステークがランドリオンの装甲を貫通。
その直後に撃鉄が打ち落とされ、炸裂した衝撃がステークに伝わり、ランドリオンを内部から破壊する。
「あ~ら!? 熱烈大歓迎ってとこね!」
エクセレンのヴァイスリッターが空中からの高機動により、バレリオンの攻撃を回避しながらその手に持つオクスタンランチャーのEモードによりビームを放ち、バレリオン数機を正確無比に撃ち抜いていく。
「キョウスケ中尉とエクセレン少尉………凄い………あんなピーキーな機体を使いこなすなんて…………」
シンは2人の戦闘を見て思わずそう漏らした。
行動を共にするにあたり、ある程度の機体スペックのデータを閲覧していたシンだが、アルトアイゼンとヴァイスリッターの機体性能には驚かされた。
そんな2機をまるで手足の様に扱う2人を見て、その技量に舌を巻く。
「だけど、俺だって!」
シンはデスティニーのビームライフルをリオンに向けて放つ。
リオンは回避行動を取ってビームを躱すが、
「そこっ!」
その回避先を読んだシンがその場所にビームを撃ち込み、見事に撃墜する。
「あ~ら? シンちゃんもやるじゃない!」
リオンを撃墜したシンを見てエクセレンが褒める。
「攻撃が効くなら、この程度!」
リオンシリーズはインスペクターの兵器程の防御力は持っていなかったため、MSの火力でも十分に有効だった。
しかし、機体性能は総じてC.E兵器よりも高く、機動性や運動性も高い為、油断は出来なかった。
更にリュウセイのR-1、ライディ―スのR-2にステラのガイアがMA形態で追随する。
「ステラのガイアはそんな形にも変形するのか」
地上に降りたらいきなり変形したガイアにリュウセイがそう漏らす。
「4脚タイプの機体は無くは無いが………、獣の形をしたものは初めて見るな。だが、踏破能力は高そうだ」
ライディ―スはそう評する。
すると、バレリオンやランドリオンが立ち塞がる。
すると、
「ライ、今日は俺がバックスをやる! お前はフォワードに回れ!」
リュウセイがライに向かってそう叫ぶ。
「ッ!? お前……ギリアム少佐から何か聞いたのか?」
リュウセイの言葉に思い当たる節があったライディ―スは聞き返す。
「敵の指揮官のアーチボルドって奴………あのエルピス事件の………お前の義理の姉さんの仇なんだろ?」
『エルピス事件』。
それは、この世界のスペースコロニー『エルピス』で起こったテロ事件で、テロリストが毒ガスでコロニー内の住民を虐殺した事件だ。
尚、この事件はライディ―スの兄であるエルザム・V・ブランシュタインが毒ガスが仕掛けられた区域を破壊することで犠牲は最小限となったが、その際にテロの首謀者であるアーチボルドの策により、人質となったエルザムの妻、カトライアが破壊区域に取り残されており、エルザムはカトライア本人の叱咤もあり、苦渋の決断としてコロニーの住人を救う為に自分の妻を自分の手で撃つことになってしまった。
「…………気遣ってるつもりか? 俺も随分………」
「俺たちゃチームだ! 互いにフォローし合う為に組んでんだ!」
余計なおせっかいだと言わんばかりのライディースだったが、リュウセイの言葉がそれを止める。
「………フッ。お前がそんな事を言うとはな」
その言葉に笑みを零すライディース。
「いいから行けよ!」
リュウセイが叫びながらブーステッド・ライフル放つ。
目の前のランドリオンを撃ち抜き、破壊した。
「でぇえええええい!」
ステラもビームキャノンとビームライフルを放ってランドリオンを撃破した。
「行って! ライ!」
ステラもライディースに呼び掛ける。
「了解! 先行する!」
ライディースもその思いを受け、R-2を加速させた。
空中では、サイバスターとヴァルシオーネがリオンを相手に戦闘を繰り広げていた。
「おりゃぁっ!!」
サイバスターの操縦者であるマサキ・アンドーが、高速機動でリオンに近付き、実体剣であるディスカッターで真っ二つにする。
「そこっ!」
リューネ・ゾルダークの操る生身の女性と遜色ない見た目のヴァルシオーネが、ハイパー・ビームキャノンでリオンを撃ち落す。
「高速戦闘なら、負けはしないっ!」
2人の戦いに触発されたアルトがYF-29を加速させ、ファイター、ガウォーク、バトロイドと変形を繰り返しながらリオンのパイロットを翻弄し、ビームガンポッドやビーム砲でリオンを撃墜していく。
「アルトって言ってたっけ? 可愛い顔してやるじゃない」
リューネがアルトを褒める。
「可愛いは余計だ! 俺は男だぞ!」
前の世界でも同じような評価を受けているアルトは文句を言う。
「話は後だ。次が来るぞ!」
マサキの言葉にアルトとリューネは気を引き締めた。
戦闘はヒリュウ改側の有利に進み、ライノセラス………延いてはリクセント公国の市街地に近付いていく。
「市街地に近付いたら、無駄弾を撃つなよ」
キョウスケがエクセレンに呼び掛ける。
「分かってますって…………! あの綺麗な街を、焼きたくないもんね………」
エクセレンはそう返す。
同じくブリットとクスハのグルンガスト参式、ラミアのアンジュルグも敵機を撃破していく。
すると、
「そろそろ予定時間の筈だが…………」
キョウスケはそう漏らした。
ノイエDCの母艦であるライノセラス級のブリッジでは、指揮官であるアーチボルドが戦闘の推移を眺めていた。
すると、艦に近付いてくる1機の機体に気付く。
それはライディースのR-2であった。
「おや? あれは確かライディース君の………」
この艦………
いや、自分に向かって一直線に向かってくるR-2を見て、ライディースの心情を悟るアーチボルド。
「フフフ………いいでしょう。君も義姉上の下へ送って差し上げますよ」
アーチボルドは薄く笑うと直掩部隊に迎撃の指示をだそうとして、
「戦闘区域上空に艦影!!」
突如としてオペレーターから報告が来る。
モニターの一部が切り替わると、空に白い戦艦が飛んでいることが確認できた。
しかも、ライノセラス級にかなり近い位置だ。
「何故今まで気付かなかったのです!?」
アーチボルドにも意外だったのか珍しく怒鳴り声を上げる。
「レーダーには何の反応もありません! 他探査システムも同様です!」
オペレーターからそう報告が来る。
「あんな巨大なものがレーダーに映らない!? そんなバカなことが………!?」
アーチボルドが驚いていると、その白い戦艦、ジェイアークから1つの影が飛び出した。
それは左手に巨大なマイナスドライバー型のツール、ディバイディングドライバーを装備したガオファイガー。
ガオファイガーはそのまま一直線に急降下し、
「ディバイディングドライバァァァァァァァァァァァッ!!」
ディバイディングドライバーの先端を地面へと突き立てた。
そこから衝撃のようなものが地面を伝わり、ライノセラス級の真下を通過。
そこから地面が真っ二つに分かれ、広がり始めた。
「全機! 空中に退避しろ!!」
ジェイが全員に呼び掛ける。
その言葉に飛び上がる各機。
そして、
「地面が…………割れる…………!?」
キョウスケが目を見開きながら驚愕の声を漏らした。
「何ですかこれはぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
その亀裂に飲み込まれ、落下しかけるライノセラス級。
しかし、陸上戦艦とはいえ多少の空中制動は出来るのか、墜落はせずに穴の底へと軟着陸する。
そのまま穴は広がり続け、直径数十㎞の巨大な円形のフィールドを形成した。
「……………これが話に聞いたディバイディングフィールド…………驚きですな」
ヒリュウ改のブリッジからその様子を見ていた副長である初老の男性、ショーン・ウェブリーがそう零す。
「ええ………空間を湾曲させ、新たな戦闘フィールドを作り出す技術………異世界から来たという話も信憑性が増しましたね」
レフィーナもそう言うが、直ぐに気を取り直し、
「ですが今がチャンスです! ここなら街への被害を考えずに戦うことが出来ます!」
ライノセラス級への攻撃指示をだした。
ガオファイガーがディバイディングフィールド内に降り立ち、左腕のディバイディングドライバーを解除。
地面に転がすとファイティングポーズを取った。
その時、
「フュゥゥゥゥジョンッ!」
ジェイが指揮壇から跳躍し、ジェイバードと融合する。
「ジェイバード、プラグアウト!」
ジェイアークの艦橋と砲台部分が分離、人型へ変形する。
「ジェイダー!!」
ジェイダーへと変形が完了すると、
「プラズマウイング!」
背中から10枚の光の翼を発生させガオファイガーの隣に降り立つ。
「おおっ! ジェイアークの艦橋と砲台が人型になった!? あれもカッコいい!」
リュウセイが興奮した声を上げた。
すると、
「……………何故戦艦の艦橋と砲台が変形する必要があるのだ………? 直掩機を付ければ良いだけなのでは…………? そもそも変形前とサイズが違いすぎる…………理解不能だ…………」
アンジュルグからその様子を見ていたラミアが冷静にツッコミを入れた。
すると、ライノセラス級と共にディバイディングフィールド内に落ちてきた直掩機のランドリオンとバレリオンがガオファイガーとジェイダーに攻撃を仕掛ける。
両者は弾かれるように飛び出しながらその攻撃を躱し、ガオファイガーが近くにいるランドリオンに接近する。
「はぁあああああああっ!」
ガオファイガーはショルダータックルの如く体当たりでランドリオンを吹き飛ばし、体勢を崩すと、止めを刺すために右腕を振り被った。
しかし、
「ッ…………!」
そこでルネは一瞬躊躇してしまった。
分かってはいた事。
しかし、それでも『人を殺す』という事を目の前にして、やはり躊躇してしまったのだ。
その時、そのランドリオンが体勢を立て直して腕のレールガンを向ける。
「しまっ………!?」
ガオファイガーが自分の失態に気付いたときにはも遅く、砲口が電磁加速による発光で輝き………………
次の瞬間、その腹部が赤い光の剣によって貫かれた。
それは、
「ジェイダー!?」
ランドリオンの背後から、ジェイダーがプラズマソードによって腹部を貫いていた。
そのまま爆発するランドリオン。
「……………………」
ジェイダーは何も言わない。
ただ、その手をじっと見つめていた。
しかし、直ぐに顔を上げると踵を返し、次のランドリオンへと向かう。
あるランドリオンは横一文字に、とあるバレリオンは縦一文字に両断されていく。
その一太刀一太刀は、パイロットの命を容赦なく奪っていく。
「…………ジェイ……………」
その様子を見て、ガオファイガーは……ルネは思わずジェイの名を呟く。
ジェイは今、『覚悟』をもって戦っている。
人の命を奪う重責。
そして、自分も殺される事も『覚悟』して……………
「…………………ッ!」
そんなジェイダーの姿を見て、ルネも『覚悟』を決めた。
「はぁあああああっ!!」
スラスターによる加速でランドリオンに接近。
それに気付いたランドリオンはレールガンを向けようとしたが、ガオファイガーは左腕を振るってレールガンの砲口を逸らしつつランドリオンの体勢を崩す。
そして、右腕を握りしめ、
「はぁあああっ!!」
その拳がランドリオンの腹部に叩きこまれた。
ガオファイガーの拳がランドリオンの腹部にめり込む。
そこから流れ出す液体は、オイルか………それとも人の血か…………
ハッキリと言えることは、間違いなく人の命を奪ったという事だ。
一瞬遅れて爆発するランドリオン。
「……………ッ!」
ルネは歯を食いしばり、戦闘を続けた。
一方、別方向からはアルトアイゼンとヴァイスリッター、R-1、デスティニー、ガイアの援護を受けて先行していたR-2がライノセラス級を射程内に捉えていた。
「アーチボルド………! 貴様だけは俺の手で……!」
義姉の敵討ちという理由が、いつも冷静なライディースを熱くさせていた。
照準をライノセラス級に合わせ、引き金を引く。
「ハイゾルランチャー………! シューーーーート!!」
両肩に装備された重金属粒子砲が発射される。
放たれた閃光が一直線にライノセラス級に向かい、側面に直撃。
爆発と共に損害を与える。
しかし、ダメージを与えはしたものの、致命的な損傷は無かったようで、ライノセラス級はまだ動いていた。
だが、それに危機感を覚えたアーチボルドは、
「これはいけませんねぇ………」
速足でブリッジを後にした。
「くっ! まだ動くか!?」
一撃で仕留められなかったライディースは舌打ちをしたが、
「ライディース少尉! 同じポイントを再度狙えるか!?」
空中にいたアンジュルグからラミアが呼びかけてきた。
「無論だ!」
迷わずに答えるライディース。
すると、R-2は再びハイゾルランチャーを向け、アンジュルグがエネルギーの弓矢であるイリュージョン・アローを構える。
「ならば一点集中で!」
「貫くっ!!」
同時に放たれた攻撃が先ほどの着弾点に同時に着弾。
厚い装甲を今度こそ貫き、行動不能になるダメージを与えた。
「ワオ! ナイス連携!」
エクセレンが称賛する。
「仕留めたか!?」
ライディースが動かなくなったライノセラス級を注視するが、動く様子はない。
しかし、
「ッ! 各機、警戒しろ!」
キョウスケが異変に気付き、呼び掛けた。
ライノセラスの上部が展開し、その内部から巨大なものがせり上がってくる。
それは、巨大な機動兵器。
全長80m程もあるAMだった。
『いやぁ、危ない所でした………惜しかったですね、ライディース君?』
その巨大AMから男の声が聞こえた。
「アーチボルド!!」
ライディースが叫びながらライフルを巨大AMに向けたが、
『おっとそこまで。君達は気になりませんでしたか? サミット出席者が何処へ行ったのか?』
「何っ!?」
「まさか……あの戦艦の中に?」
アーチボルドの言葉にライディースとクスハが声を漏らす。
『ああ、その手も考えましたが、今彼らは安全なシェルターの中に居ます。公国の住民や、爆薬と一緒にね』
「な、何だって!?」
思いがけない言葉にブリットが声を上げる。
『フッハッハッハッハッハ! そう言う訳で連邦軍の皆さん? 即時戦闘停止の上、武装解除してください。従わない場合は、ドカン! ですよ?』
「ッ………!」
「て、てめぇ………!」
住民たちを盾にされたキョウスケやリュウセイは悔しそうに歯を食いしばる。
だが、
「面白い。出来るものならやってみるがいい!」
とんでもない発言をする者が居た。
それは、巨大AMの前の空中に腕を組みながら佇む、10枚の光の翼を広げたジェイダー。
「なっ!? 何言ってやがる!?」
マサキがジェイダーの発言に驚愕する。
『おや? 何とも強気な発言をするお方が居ますね? サミットの出席者や公国の住民達がどうなっても良いと?』
「ああ。出来るものならな?」
アーチボルドの言葉に余裕の態度を崩さずに言うジェイダー。
「よせ! それ以上奴を挑発するな! 奴は人質の命などなんとも思っていないんだぞ!!」
ライディースがジェイダーに向かって叫ぶ。
『なるほど、僕の言葉がブラフだと思っているようですね? ならばその言葉が嘘ではない事を証明して差し上げます』
「なっ!? まさか!?」
アーチボルドの言葉にライディースが焦る。
『シェルターは1カ所じゃありませんからね』
アーチボルドがそう言いながらタッチパネルを操作する。
『では、景気付けにまず一発……』
「待てッ!!」
リュウセイが悲痛な声で叫ぶ。
『待ちませんよ~。そもそも僕を挑発したのはそちらですからね。フッハッハッハッハッハ!』
アーチボルドは笑いながらパネルを操作し、
『ドカーンと!!』
盛大に声を上げた。
しかし、公国周辺に異常は見られない。
アーチボルドは操作パネルを何度も操作するが、
『…………あれ?』
やはり何も起きなかった。
「爆発………しない?」
ブリットが声を漏らす。
すると、
「よくやってくれた、ルリ」
ジェイダーがそう言うと、マクロス・ブレイバーに通信が繋がり、
『皆さんご安心ください。相手の通信機器は麻痺させておきました。リモートによる爆破は不可能です』
ルリがそう言った。
『んなっ!?』
アーチボルドが声を上げた。
『それに、あちらさんでも爆弾の解除に動いていた人が居たようです』
ルリが映した映像には、爆弾を処理する数名の人物がいた。
『DCの全てがあの男の様に卑劣漢と言う訳ではない』
グルンガスト参式と戦っていたリオンシリーズの指揮官機、ガーリオンから通信が入る。
「奴の手は封じた! 一気に片を付けるぞ!!」
キョウスケの言葉に、
「ああ!」
「アーチボルド! その首今こそ! 贖え!!」
リュウセイ、ライディースが応え、射撃武器で巨大AMに攻撃を仕掛ける。
しかし、その巨大さに見合う装甲を持っているようで、効果は薄い。
『そろそろ引き際ですかね………ですが、僕の楽しみを邪魔してくれたお礼はしておかないと………この対特機用AM,『グラビリオン』でね!』
アーチボルドがグラビリオンと呼んだ巨大AMが両腕を胸部の前で向けあうと、そこに重力エネルギーが集中し、黒紫の球状の輝きが生まれる。
グラビリオンの必殺兵器、『メガ・グラビトンウェーブ』だ。
それが空中から眼下のライディース達に向かって放たれた。
真面に喰らえば、装甲の厚いR-2でも無事ではすまない。
機動力の高い機体は即座にその場を離脱するが、R-2やR-1、アルトアイゼンはその場で防御姿勢を取る。
だがその時、彼らの前にガオファイガーが立ち塞がった。
「ウォールリング!!」
ガオファイガーの腹部からエネルギーの円環が展開され、
「プロテクトウォール!!」
左腕を突き出すと共に、防御フィールドが展開された。
全てを圧し潰す重力エネルギーも、空間を湾曲するプロテクトウォールによってガオファイガーより後方には届かなかった。
「流石に反射は無理っぽい………」
レーザーやビームなどの光学兵器はともかく、重力エネルギーの反射は無理だったようだ。
「すまないルネ。助かった」
「サンキュールネ!」
ガオファイガーによって救われたライディースとリュウセイらが礼を言う。
「んっ………」
ガオファイガーは頷くとグラビリオンに向き直った。
『しぶといですねぇ………では、もう一撃………』
アーチボルトが再びメガ・グラビトンウェーブの発射ボタンを押そうとした時、
『お待ちなさい!!』
突如として凛とした声が響き渡った。
『それ以上はやらせませんわ!』
先行部隊と共に、ハガネが進み出てくる。
そして、その甲板に2機の機動兵器が姿を現した。
その2機は、まるで妖精のような風貌をしたリオンタイプのAM『フェアリオン』。
片方は金と赤に彩られ、もう片方は銀色と青のカラーリングだ。
「リクセントの皆………わたくし、戻ってまいりましたわ!」
それを操るのはリクセント公国王女、シャイン・ハウゼンと、その友人ラトゥーニ・スゥボータ。
シャイン王女の乗る赤いフェアリオンがグラビリオンを指差し、
「わたくしの国を返していただきます!」
そう宣言した。
「行きますわよ! ラトゥーニ!」
「わかりました。シャイン王女」
2機のフェアリオンが飛び立つ。
『ほう? 王女自らご出陣とは』
アーチボルトが呆れたような声を漏らす。
「民と国を守る………それがわたくしの戦いです!」
シャイン王女はそう言い放った。
『それが何を意味するかお分かりですか?』
アーチボルドがそう言いながら胸部からビームを放つ。
フェアリオンは舞うようにその攻撃を躱すと、
「己と他人の血を流すという事なのでしょう? その『覚悟』はできています。この赤いフェアリオンは、その証!」
アーチボルドの言葉に、シャイン王女は迷わずに言い返した。
『高貴なるものの務めと言う訳ですか………結構!』
グラビリオンの体中から無数のミサイルが発射される。
その数は、一流のパイロットでも避けるのは難しい。
だが、
「システムリンク! 弾道予知!」
「W-I3NK(ウィンク)システム、Wモード!」
「「シンクロ!!」」
次の瞬間、フェアリオンはミサイルを次々と回避、迎撃していく。
元々パイロットのラトゥーニはともかく、シャイン王女にこれだけの技量はない。
だが、シャイン王女には予知能力があり、その能力でミサイルの弾道を見切り、ラトゥーニが2機のフェアリオンを同時操作して攻撃を掻い潜ったのだ。
ミサイルを掻い潜ったフェアリオンは、同時攻撃でグラビリオンの頭部にアサルトブレードの連撃を加える。
その衝撃にアーチボルドは怯んだ。
「ここ! ラミアちゃん! シンちゃん! 援護射撃!!」
「了解でありんす!」
「了解!」
ヴァイスリッターがオクスタンランチャーを。
アンジュルグが左腕のシャドウランサーを。
デスティニーが高エネルギー長射程ビーム砲を撃ち放つ。
攻撃が頭部に集中し、更にアーチボルドは怯む。
(倒れてはならない指導者が戦場に立つなどと…………だがそれだけ、負けられぬということか!)
ラミアはアンジュルグの最強武器の使用を決める。
弓にエネルギーの矢を番え、狙いを定める。
同時に、2機のフェアリオンも手をつなぎ合わせ、
「ラトゥーニ! 止めですわ!」
「はい!」
シャイン王女の言葉にラトゥーニが答え、
「託しますわ……あなたに!」
「受け取りました………あなたから!」
フェアリオンがエネルギーに包まれ、回転しながら突撃していく。
そして、
「ファントムフェニックス!!」
アンジュルグが放った矢が炎を纏い、火の鳥を形作る。
更にフェアリオンがそれを纏ってグラビリオンに向かった。
「ファイナル……!」
「ブレイクですわーーー!!」
その言葉と共に、グラビリオンの胴体を貫通。
グラビリオンは一瞬後に爆発した。
しかし、爆煙の中からガーリオンが飛び出してくる。
これはグラビリオンのコアブロック兼脱出装置としての役割を持っていた。
それに乗っていたのは勿論アーチボルドであり、戦域を脱出しようと機体を加速させる。
「逃がすか!」
ジェイダーは自分のスピードなら追いつけると判断し、プラズマウイングを広げたが、
「待って! ジェイ!」
突如としてハルが叫んだ。
「ッ!? どうした!?」
ジェイダーが確認を取ると、
「ゾンダーだ!」
ハルが叫んだ。
その瞬間、行動不能になっていたライノセラス級が紫の光に包まれた。
「チィッ! こんな時に………!」
ジェイダーは舌打ちしながら振り返った。
「何だ!?」
ライノセラス級の変化に気付いたキョウスケが声を漏らす。
「気を付けろ! ゾンダーだ!」
ジェイダーが叫んだ。
その瞬間、
『ゾンダァァァァァァァァァァァァッ!!』
ライノセラス級の形が変わって行き、艦首衝角はそのままに、四足歩行となり巨大なサイのような形に変貌した。
「な、何だこりゃ!? ライノセラス級が動物みてーになっちまった!?」
リュウセイが驚愕の声を上げる。
「チィ!」
キョウスケが舌打ちしつつ、左腕の3連マシンキャノンで攻撃するが、ゾンダーバリアによってその攻撃は防がれる。
「バリアか!?」
そう叫ぶキョウスケ。
その時、
「ファントムリング!」
ガオファイガーが腹部からファントムリングを展開。
右腕を振り被ると、その腕が回転を始める。
「ブロウクン………ファントムッ!!」
回転する右腕がファントムリングを纏いながら射出され、ゾンダーライノセラスへと向かって行く。
その一撃はゾンダーバリアを打ち破って右前足を貫通。
足を破壊されてバランスを崩したゾンダーライノセラスはその場に倒れこんだ。
するとグルンガスト参式が前に出てきて、
「よし! それならこちらも………! ブーストナックル!!」
グルンガスト参式の右腕が射出され、ロケットパンチとなって飛んでいく。
その攻撃も、一瞬ゾンダーバリアに止められるが、その直後にゾンダーバリアを打ち破って胴体に直撃。
装甲を砕きながら内部にめり込んだ。
「どうだ………!? 何っ!?」
手応えありと声を上げるブリットだったが、その直後に声を漏らした。
何故なら、胴体に突き刺さっていたブーストナックルが、ズブズブとゾンダーの内部に飲み込まれてしまったからだ。
「ブーストナックルが吸収された!?」
更にゾンダーライノセラスは破壊された足を即座に再生させ、立ち上がる。
「なっ!? 一瞬で元通りになりやがった!?」
リュウセイも声を上げる。
すると、
「下がれ! お前達!」
上空を飛ぶYF-29からアルトが呼びかける。
「ゾンダーにはGストーンとJジュエルを使った機体以外の直接攻撃は吸収されるだけだ! 後方からの援護射撃に集中してくれ!」
アルトはそう言いながらミサイルやレーザーでゾンダーライノセラスに攻撃を仕掛ける。
その攻撃はゾンダーバリアによって防がれてしまうが、気は引ける。
ゾンダーライノセラスはYF-29に向かってミサイル攻撃を放つ。
「ッ!」
アルトは高機動と変形、ガンポッドによる迎撃でそのミサイルを躱し切った。
その時、
「ダブルプラズマソード!!」
ジェイダーが超スピードでゾンダーライノセラスの下方を通過。
その際に足を全て切り裂いた。
支える脚が無くなり、横倒しに倒れるゾンダーライノセラス。
その腹部には、ゾンダーメタルの紋様があった。
「ガオファイガー!!」
ジェイダーがガオファイガーに呼び掛ける。
「うん!」
ガオファイガーが頷くと両腕を広げ、
「ヘル! アンドヘブン!!」
右手に攻撃のブロウクンエネルギーを。
左手に防御のプロテクトエネルギーを集中する。
「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ………!」
その2つを言霊と共に一つに合わせる。
「はぁああああっ!!」
その時に生じた電磁竜巻がゾンダーライノセラスを拘束。
動きを止める。
「でやぁああああああああああああっ!!」
ガオファイガーは背部スラスターによって突進。
合わせた両手をゾンダー核に突き出した。
両腕がゾンダーライノセラスの内部にめり込み、ゾンダー核を確保すると、エネルギーを開放。
プロテクトシェードで保護したゾンダー核以外を内側から粉砕した。
「ふんっ……!」
それと同時に核を抜き出す。
遅れて爆発するゾンダー。
「あれは………?」
リューネがガオファイガーの手に持ったゾンダー核を見て声を漏らす。
「あれはゾンダーの核」
ステラがそう言った。
「核? なら、とっととぶっ壊しちまおうぜ!」
リュウセイはそう言ったが、
「待って」
ガオファイガーがそう言うと、ガオファイガーの前にジェイダーが降り立つ。
すると、ジェイダーの胸部から赤い光が飛び出す。
「あれは………」
クスハが声を漏らす。
それは浄解モードになって髪が赤くなり、背中から孔雀の尾羽のような光の羽を生やしたハルだった。
「もしかして………ハルちゃん!?」
エクセレンが驚いた声を漏らす。
「おいおい……何でハルの髪が赤くなって羽が生えて空飛んでんだ?」
マサキが疑問を零す。
そんな彼らの視線の先で、
「テンペルム………!」
ハルは言霊を紡ぎ出す。
「ムンドゥース………インフィニ………トゥーム………レディーレ!!」
光の波動がハルから広がり、ゾンダー核が形を変え、人間の姿へと戻っていく。
そこには、DCの兵士だろう男性が涙を流していた。
「ど、どうなってんだこりゃ…………?」
リュウセイは、次から次へと起こる疑問に、思わず声を漏らしたのだった。
戦闘終了後、ゾンダーについての説明を終えたジェイ達は、マクロス・ブレイバーに帰投していた。
それぞれがパートナーと共に労い合う中、
「…………………」
ルネは1人思い詰めるような表情で、格納庫で佇んでいた。
すると、
「ルネ………」
そんなルネに、ジェイが歩み寄る。
「……………ジェイ」
ルネが振り返ってジェイを見つめる。
そのルネの表情は泣きそうな表情をしていた。
「…………………」
ルネは無言でジェイに歩み寄ると、その頭をジェイの胸に押し当てる。
そして、
「…………私………人を殺しちゃった…………」
「…………ああ」
「…………何人も…………殺しちゃった…………」
「………ああ」
ルネの懺悔のような言葉に、ジェイはただ頷く。
「ジェイは………こんな血まみれになった私でも………受け入れてくれる………?」
ルネは不安そうに問いかけた。
すると、
「………………俺も同じだ……………俺も、人を殺した」
ジェイもそう言う。
「…………そうだね」
「この手で何人も…………その命を奪った………」
「うん…………」
「お前こそ………こんな俺でも受け入れられるのか………?」
その言葉に、ルネは無言でジェイに身を預ける。
そして、
「ジェイ………お願い……………今日は、一緒に居て…………」
「………………わかった」
ルネの言葉に、ジェイは迷うことなく頷いた。
そして、2人は寄り添いながらジェイの部屋へと姿を消した。
はい、スパロボOG編第3話です。
とりあえずリクセント公国奪還編でした。
流れ的にはそう変わらずゾンダーを追加してみた。
まあ、ディバイディングドライバーのお披露目回と言ったところでしょう。
後は人殺しは避けられないと思ったので、そこを入れてみました。
こんな感じで如何でしょう。
ラミアはジェイのハーレムに……………
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入れて連れて行ってしまえ!
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いや、流石にちょっと………