転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
いや、昨日はえらい目に遭った。
まさかクスハ汁を実際に飲むことになるとは…………
味で気絶するなんて漫画やアニメの世界だけだと思っていたんだが、ほんとにあるんだな……………
気が付いたら夕方だったのには驚いた。
とはいえ、何か身体の調子はいいんだが………
そして、ハガネとヒリュウ改にはインスペクターへの反攻作戦であるオペレーション・プランタジネットの参加を要請され、同時に俺達も参加することになる。
しかし、そのブリーフィングの最中、DC残党が奇襲を仕掛けてきた。
スクランブルがかけられ、ヴァイスリッターやエクスバイン、アンジュルグ等、空戦機体を優先して出撃させる。
俺達も、ガオファイガー、デスティニー、YF-29、そしてジェイダーが発進した。
ハガネやヒリュウ改から発進した集団に次いで戦場へと向かう。
敵はDC残党という事だが、機体はこの世界ではまだ知られていないが、シャドウミラーの量産型PTのエルアインスと、指揮官型アシュセイヴァー。
そして、連邦側から奪取されたビルトファルケンであった。
尚、ビルトファルケンには捕獲を優先する命令が出されている。
射程距離に入ったところでエルアインスとビルトファルケンから射撃武器による攻撃が始まる。
散開してそれを避けると、
「ファルケンの足を止めなきゃね!」
ヴァイスリッターのエクセレンがそう言いながらビルトファルケンと高機動射撃戦闘を始める。
「エクセレン少尉………凄い………あれで本当にナチュラルだって言うのか………!?」
シンがその戦闘を見ながら思わずそう零した。
MSより機体性能が上だとしても、その性能を引き出し切るエクセレンの操縦技術は目を見張るものがある。
そのヴァイスリッターと互角の戦いを繰り広げるビルトファルケンの操縦者………ゼオラの腕前も相当な物だが。
「高機動戦闘なら、俺だって………!」
その戦いに触発されたのか、アルトがYF-29を加速させ、ビルトファルケンに仕掛ける。
『戦闘機!?』
ゼオラが驚いた声を漏らしながらアルトの攻撃を躱す。
『このっ!』
ビルトファルケンが手に持ったオクスタン・ライフルからビームを放つ。
「その程度っ!」
アルトはバレルロールをしながらビームを躱すとマイクロミサイルを発射。
10数発のミサイルがビルトファルケンを襲うが、
『ッ!?』
ビルトファルケンは高機動とビームによる迎撃で躱し切って見せた。
すると、ビルトファルケンがYF-29の後ろにつく。
「しまった! 後ろを!」
バルキリー乗りにとって、後ろを取られることは致命的だ。
アルトはビルトファルケンを振り切ろうとYF-29を加速させたが、ビルトファルケンはその後ろを正確に追随してくる。
「人型でファイターに追いつくだと!?」
アルトは驚愕の声を漏らす。
バトロイド形態ならともかく、最も機動力のあるファイター形態で人型のビルトファルケンに追いつかれるという事は、それだけの性能差があるという事だろう。
アルトのコクピットにロックオンされた事を知らせる警報が鳴る。
「拙いっ!」
『貰った!』
ゼオラが引き金を引こうとした。
その時、
「ゼオラーーーーーーーーっ!!」
ゼオラの名を叫びながら、1機のPTが飛んできた。
『ッ!?』
ゼオラは思わず射撃を中断し、そちらを振り向いた。
そのPTは紫を基調とした機体色のビルトビルガー。
ビルトファルケンと僚機を組むコンセプトで開発された近接戦用のPT。
そして、そのパイロットは、
「ゼオラ! 俺だ! アラドだ!」
アラド・バランガ。
元々DCの兵士だったが、機体が撃墜されたときにハガネに捕虜として捕えられたものの、ハガネに居たラトゥーニと同じく『スクール』と呼ばれる特別教育機関の出身であることからラトゥーニの顔なじみであり、割と良好な関係を築いていた。
そんなアラドがビルトビルガーに乗って出撃してきたのだ。
アラドはゼオラとコンビを組んでおり、相棒のゼオラの事をとても大事に思っている。
無理を言って出撃して来たのも、ゼオラを助けるためだ。
だが、
『アラド・バランガ………! ラトを連れ去った倒すべき私の敵!!』
そんなアラドに向けられたゼオラの言葉は、敵意の込められたものだった。
その言葉と共に、オクスタン・ライフルから実弾が発射される。
「ッ!?」
咄嗟に躱すアラド。
「……やっぱり姉さんと同じか……! アギラにリマコンされて………!」
『気安く姉様と母様の名前を……!』
以前のゼオラでは出なかったであろう言葉に、アラドはゼオラの記憶が操作されていることを悟る。
「お前、本当に忘れちまったのか……!? 俺の事を………コンビを組んでた時の事を……!」
『コンビですって……!? そんな事絶対にありえない! 私は最初からシングルよ!』
「くっ………お前の記憶は間違ってる! 俺もスクールに居たんだぞ!」
『そんなの嘘よ!』
アラドの言葉を否定するゼオラだったが、
「ゼオラ! アラドの言う事は正しい!」
2機のフェアリオンが接近しながらラトゥーニが呼び掛ける。
『ラト!?』
「聞いて! 私もアラドもあなたを助けたい! 私達の所へ来て!」
「そうだ! ゼオラ!」
「言う事を聞いてくださいませ!」
ラトゥーニに続いてアラドやシャイン王女も呼び掛ける。
しかし、
『あなた達……! ラトをそんな風に歪めて………許さない!』
ゼオラはそれをラトゥーニが洗脳されていると判断した。
『ラト! ついてきなさい! 真実を教えてあげる!』
ゼオラはそう言うと、ビルトファルケンが背を向けて離脱を始める。
「ゼオラ!」
「ゼオラ―!」
ビルトビルガーとフェアリオンがそれを追いかけた。
俺も後を追おうと思っていたが、そこで思いがけないことが起こった。
アシュセイヴァーと戦っていたアンジュルグが突如として離反。
ハガネのブリッジにミラージュソードを突き付け、武装解除を要求してきたのだ。
「ッ!? しまった! 今日だったのか……!」
俺は小声で吐き捨てながら、ハガネの方へ向かう。
ラミアがシャドウミラーのスパイであり、離反しようとすることは知っていた。
結果的にラミアはシャドウミラーを裏切り、敵の指揮官機諸共自爆する道を選び、後に修理されて再び合流する事になるのだが、この世界は俺達というイレギュラーが存在する。
自爆して無事でいられる保証はない。
その為、自爆は防ごうと思っていたのだが、このタイミングであることとは思っておらず、何も準備が出来ていない。
すると、基地の敷地内に空間転移反応があり、10機ほどの機動兵器が転移して来た。
特機が1機、アシュセイヴァーが1機、他がエルアインスだ。
『ご苦労だった。W17』
「はっ!」
特機から通信が入り、ラミアが返事を返す。
「W17………? それってラミアさんのことなんですか?」
グルンガスト参式のクスハがそう口にすると、
「そう………それが私の本当の名称………」
ラミアが答えた。
「本当のって………」
ブリットが動揺しながらそう零す。
「お前達は何者だ? ラミアが言ったシャドウミラー………それが組織名か?」
キョウスケが問いかける。
『そう。私はシャドウミラーの指揮官、ヴィンデル・マウザー』
特機に乗った男がそう名乗る。
『会えて光栄だ。連邦軍特殊鎮圧部隊『ベーオウルブズ』隊長、キョウスケ・ナンブ大尉』
「大尉?」
キョウスケはその言葉に疑問を零す。
何故なら、現在のキョウスケの階級は中尉だからだ。
『もっとも、『こちら側』では然したる力を持たない……と聞いているがな………』
ヴィンデルは意味深げに呟いた。
すると、
「ちょっとあなた達! ウチのラミアちゃんに何をしたの!?」
エクセレンが我慢できずに問いかけた。
すると、
『何もしてなくてよ?』
ヴィンデルが乗る特機の隣に居たアシュセイヴァーから女性の声がした。
『彼女は初めからその為にあなた達に接触した、スパイということ』
「ええっ!?」
その言葉にエクセレンは驚愕する。
『エクセレン………こんな形で出会う事になるとはねぇ………』
その女性の意味深げな言葉に、
「ええ!? どういう事!?」
思わず問い返したが、
『こちらは極東方面軍司令、ケネス・ギャレット少将である。全軍即時戦闘停止! シャドウミラーの指示に従え!』
基地から入ってきた通信に全員が驚いた。
「何っ!?」
「ケネスが司令だと!?」
『そうだ』
驚愕したダイテツの言葉に、通信で坊主頭の男、ケネスが堂々と答えた。
「そんな!? 話が突然過ぎませんか!? ケネス少将!」
ヒリュウ改艦長であるレフィーナも困惑が隠せない。
『ならば統合参謀本部に確認を取るがいい』
自信を持ってそう言うケネス。
『ケネス少将。司令部の制圧は成功したようだな?』
ヴィンデルがそう呼びかける。
「せ、制圧………!?」
『貴様……! 余計な事を言いおって……!』
「チッ! サマ師共………仕込みは全て出来ていたという事か………!」
「くっ! レイカー達が人質と言う訳か………! スティール2より各機へ! その場で一時待機せよ!」
状況を悟ったダイテツが悔しそうにしながら待機命令を出す。
武装解除ではなく待機なので、いつでも動き出せる状態ではある。
「ヴィンデルと言ったな? お前達の目的は何だ!?」
キョウスケが問いかける。
『我らの目的は一つ理想の世界を作る事だ』
ヴィンデルはそう答えた。
「随分と大仰な話だな………要は世界征服という事か」
グルンガストに乗るイルムが簡潔に述べる。
『言い方を変えればそうかもしれんが、だが何をもって理想の世界とするかは、世界を作る者のみが決定する権利を持つ。その為世界征服は、その権利を行使すための過程に過ぎない………』
「理屈はいい! 理想の世界とは何だ!?」
R-2のライが問いかけると、
『…………永遠の闘争………絶えず争いが行われている………それが、我々の理想の世界だ』
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
その言葉に全員が息を呑んだ。
「ふざけるな! そんな世界の何処が理想だ!?」
サイバスターのマサキが反論する。
『理想よ? 戦争があるから破壊があり、同時に新たな創造が始まる………』
『そう。戦争無くして人類の発展はあり得ない。それは歴史が証明している。武装解除せよ! さもなくば死だ!』
ヴィンデルがそう言い放った。
その言葉に、
「……………くだらない」
俺は思わず呟いた。
『何………?』
ヴィンデルの乗る特機、ツヴァイザーゲインが俺、ジェイダーを見上げた。
「戦争…………戦いは、理由はどうあれ生命が生き残るために藻掻き足掻くための『手段』に過ぎない……………その手段を『目的』と入れ違えた時点で、お前達の行いは唯の『矛盾』だ」
俺はそう言う。
『何だと…………?』
「それに、そんな事をしようと思ったことも、大方自分達が戦う事しか知らない………戦う事以外の道を見出そうともしなかっただけの話だろう? この世界の人間で、戦う者などほんの一握り…………その中のごく一部の我儘で世界を混沌に陥れようなどとは、片腹痛い!」
『我々の理想を我儘と抜かすか………!』
「先ほど言ったな? 戦争があるから破壊があり、新たな創造が始まると………」
『その通りだ! 戦争無くして人類の発展は無い!』
「その理屈については否定はしない。戦争が人類の発展を促してきたことは確かだ」
『だからこそ我々は………!』
「……………破壊は新たなゼロへの希望………無限なる可能性への挑戦………か」
俺はその言葉を呟く。
『何…………?』
「破壊の先に創造があるのは、希望があるからだ。本来『破壊』とは『勇気』を持って行わなければならない。今まであったモノを『破壊』する。それはとても『勇気』がいる事だ。今まであったことを打ち崩し、その先にある『希望』へ向かって新しいモノを創っていく…………それを繰り返して人類は発展して来た。だが、貴様たちは戦争を………『破壊』を当たり前にしようとしている。『破壊』の先に待つものが同じ『破壊』だというのなら、そこに『希望』は無い。そこにあるのは『絶望』だけだ。そこに人類の発展などあり得ない!」
俺はそう言い放った。
その時、
「そう………それが正しいのだろう」
そう言ったのはラミアだった。
アンジュルグが剣を引くと振り返り、ツヴァイザーゲインに向かって飛翔した。
「ラミア!?」
俺は思わず叫ぶ。
アンジュルグはそのままツヴァイザーゲインに組み付くと、空高く上昇する。
「ラミア! 待て!」
俺は咄嗟に呼び掛けるが、
『きっさまぁ~!?』
「ヴィンデル様、レモン様………我々はこの世界………こちら側へ来るべきでは無かったのだ」
『あなた………何を………!?』
「戦争によって成り立っていく世界も確かにあった………しかし、戦争を否定することによって作られていく世界もある………私の様に、戦争の為に作られたものが介入するべきでは無かったのだ」
『あなた………その考えを自分で……!?』
レモンは驚きの声を漏らす。
『ええい! 所詮は人形! 壊れたようだな!』
「向こう側の尺度ではそうだろうが………『学んだ』と言ってもらおう!!」
アンジュルグが輝き出す。
「止めろ! ラミア!!」
俺はようやく動き出し、飛翔を始め、
『やらせると思うか!? 人形が!!』
先に仕掛けてきていたアシュセイヴァーが攻撃を始めた。
だが、
「もう遅い、アクセル隊長………コードATA!!」
『この人形風情が!!』
ヴィンデルもアンジュルグを振り解こうとしたが、
「ASH TO ASH(灰は灰に)! 発動!!」
ラミアの言葉と共に、空に太陽が出来たと思わせるほどの大爆発が起きた。
「くっ……! ラミアァァァァァァァァッ!!」
爆風に耐えながら俺はラミアの名を叫ぶ。
「あああっ!?」
「ラミアちゃん!?」
「そんな………!?」
「自爆……したのか……!?」
「俺達を………護る為に………」
それぞれがラミアの行動に悲痛な声を漏らす。
やがて爆発が収まって行き、煙も薄れていくと、そこにはツヴァイザーゲインの姿があった。
驚くことに、あれほどの爆発でもツヴァイザーゲインは原型を殆ど留めており、損傷は見られるものの、まだまだ行動可能に見えた。
『システムXNを損傷したか………人形め………! よくも………!』
ヴィンデルは忌々しそうに呟く。
『撤退しろヴィンデル! 後詰は俺がやる!』
『仕方あるまい……アスレスで離脱! ギャンランドへ帰還する!』
ツヴァイザーゲインが離脱を始め、アシュセイヴァーがエルアインスと共に殿を務める。
だが、
「簡単に降りられると思うなよ?」
キョウスケがアルトアイゼンを加速させながら呟く。
「敵討ちとは言わん……だが、落とし前はつけさせてもらう!!」
『おもしろい……!』
アルトアイゼンとアシュセイヴァーが激突する。
「……………………」
俺はそれを見ながら無意識に拳を握りしめた。
「ラミア………」
ある意味、これは正しい流れなのかもしれない。
だがそれでも、やるせない気持ちはあった。
「……………ごちゃごちゃ考えるのは止めだ! やりたいようにやらせてもらう!」
俺は気を取り直すと、再びアラドたちの下へ向かって飛翔しつつ、マクロス・ブレイバーに通信を繋いだ。
【Side 三人称】
離脱しようとしていたビルトファルケンを追っていたアラド、ラトゥーニ、シャイン、アルトだったが、海中に潜んでいたオウカ・ナギサの操るラピエサージュの奇襲により、ラトゥーニのフェアリオンが捕まってしまい、連れ去られようとしていた。
アラドはゼオラに足止めを受けているため、シャインとアルトでラピエサージュに攻撃を仕掛ける。
最初はシャインの弾道予知、アルトの高機動で互角に戦えていたのだが、
『目障りですね………こうなったら………ゲイム・システム起動………シンクロ!』
ラピエサージュが怪しい紫の輝きを放ち始める。
「何だ!?」
アルトは声を漏らし、
「ッ!? ゲイム・システム!?」
「まさか……あの時の………ヴァルシオン改と同じ………!」
ゲイム・システム。
それは機体からパイロットに働きかけて同調させ、パイロットの情報把握能力を拡張して戦闘能力を向上させるシステムで、人間の脳を借りた無人機の制御装置ともいえるものだ。
しかし同時に、戦闘の生む高揚を無制限に増幅していき最終的には暴走状態にしてしまう副作用があり、搭乗者がシステムに取り込まれて廃人になる危険性を持つ。
『さあ! 覚悟なさい!!』
ラピエサージュがシャインのフェアリオンとアルトのYF-29に向かってくる。
その攻撃は今までより苛烈であり、シャインの弾道予知やアルトの高機動でも完全には躱し切れない。
「きゃぁああああっ!?」
「うわぁあああああああっ!?」
機体に衝撃が走り、シャインやアルトは悲鳴を上げる。
「あなた、分かってますの!? それを使えば、身体や精神が!」
「止めて! 姉様!」
シャインとラトゥーニが叫ぶ。
「心配はいらないわ。必ず敵を倒し、あなたを救ってあげる」
オウカはラトゥーニにそう語りかけるが、その言葉にオウカ本来の優しさは見えなかった。
一方、アラドはゼオラのビルトファルケンの攻撃を必死に避けていた。
「ゼオラ……お前が忘れても、俺はお前との約束を守らなきゃいけないんだ!」
『訳の分からない事を………!』
「くそっ! 懐に飛び込まねえと………!」
アラドはビルトビルガーを加速させるが、機動力や運動性はビルトファルケンの方が上。
そう簡単には行かなかった。
どちらも手をこまねいていると、
「旅の始まりはもう思い出せない 気付いたら ここにいた♪」
「ッ………!? これは………」
「歌………?」
聞こえた声にラトゥーニとシャインが声を漏らす。
「季節が破けて 未発見赤外線 感じる眼が迷子になる♪」
「ッ! シェリル!?」
アルトがその声に反応した。
「たぶん失うのだ 命がけの想い 戦うように恋した ひたすらに夢を掘った その星に降りたかった 君の空飛びたかった♪」
そちらを見れば、マクロス・ブレイバーが向かってきており、甲板のフォールド・サウンド・ステージでシェリルが歌っていた。
「誰か空虚の輪郭を そっと撫でてくれないか 胸の鼓動に蹴っ飛ばされて 転がり出た愛の言葉 だけど困ったナ 応えがない♪」
『何なのこれは!?』
『一体どういうつもりなのです!?』
ゼオラとオウカが叫ぶ。
特に、オウカは何処か忌々しそうだった。
「宿命に張り付けられた 北極星が燃えてる♪」
『その歌を止めなさい!』
ラピサエージュがマクロス・ブレイバーに向かってミサイルを放った。
「させるかぁ!!」
その前にアルトのYF-29が割り込み、バトロイドに変形しながらガンポッドでミサイルを撃ち落していく。
「うぉおおおおおおおおおっ!!」
全てのミサイルの迎撃に成功するアルト。
「す、凄い………!」
それを見たラトゥーニが思わず呟いた。
「君を掻きむしって濁らせた なのに 可憐に笑うとこ 好きだったよ♪」
シェリルはアルトを信じているのか構わずに歌い続ける。
「い、一体どういう事だ!?」
アラドは困惑していたが、
「アラド! お前はゼオラに呼び掛けろ!」
「えっ!?」
突然呼ばれた事にアラドは困惑した。
上を見上げると、そこにはジェイダーがビルトビルガーを見下ろしている。
「あ、アンタは!?」
「話は後だ! お前は彼女を助けたいんだろ!?」
ジェイダーの言葉にアラドはハッとなると、
「そうだ! 今はゼオラを!」
アラドはビルトファルケンに向き直る。
ゼオラは突然の歌に動揺しており隙だらけだった。
「ゼオラーー!!」
アラドはゼオラの名を叫びながらビルトファルケンに組み付く。
『くっ!? しまった!』
我に返ったゼオラだったが、しっかりと組みつかれており、中々突き放すことが出来ない。
『このっ! 放しなさい!』
「放すもんかよ!」
アラドも必死につかみ続ける。
「君が居ないなら意味なんてなくなるから人は全部 消えればいい♪」
歌が2コーラス目に入り、再びシェリルの歌が響き出す。
「愛が無くなれば心だって要らないから この世界も消えてしまえ♪」
『ッ!?』
その時、ゼオラの脳裏にある人物の顔が過った。
彼は、昔からずっと隣にいた。
忘れたくない記憶だった。
それなのに……………
「ずっと苦しかった 命がけの出会い もがくように夢見た やみくもに手を伸ばした その胸に聞きたかった 君と虹 架けたかった♪」
あの人は………
セトメ博士は自分の記憶を操作して…………
「誰か夜明けの感傷でぎゅっとだいてくれないか 夢の軌道に弾かれて飛び散るだけの愛の涙 それが むき出しの痛みでもいい♪」
そう………彼は…………
『ア…………ラ…………ド……………』
「ゼオラ! そうだ! 俺だ! アラドだ!」
ゼオラが呆けたようにアラドの名を口にし、その言葉にアラドは更に呼びかける。
『アラド………アラド………!』
ゼオラは涙を流しながらアラドの名を呼ぶ。
「ゼオラ! 俺が分かるんだな!?」
『ええ………! ええ! 思い出したわ、アラド! あなたの事………一緒に居た時の事……!!』
「宿命に呼び戻された北極星が泣いてる どうせ 迷路生き抜くなら 君を 愛して死にたいよ♪」
「ゼオラ!!」
アラドは喜びで笑みを浮かべる。
『ゼオラ!?』
反対にオウカは困惑している。
「オウカ姉様! 私達の記憶は、操作されています!」
『なっ!? お母さまが嘘を言っていたというの!?』
「姉様! ゼオラの取り戻した記憶が証拠です!」
ラトゥーニがそう呼びかけるが、
『…………そうですか…………さっきからおかしいと思っていましたが、この歌が………!』
ラピエサージュがマクロス・ブレイバーを………
シェリルを見据える。
『この歌がゼオラやラトゥーニを狂わせたのですね!』
そのままライフルを構え、
「やらせるかぁ!」
アルトがガンポッドで牽制し、攻撃を中断させる。
『邪魔です!』
ラピエサージュが無数のミサイルをYF-29に向けて発射した。
「そして始まるのだ 命がけの終わり 戦うように愛した ぐしゃぐしゃに夢を蹴った その星に果てたかった 君の空 咲きたかった…………♪」
「シェリル………お前の歌は俺が届ける………!」
アルトは呟くとヘルメットを脱いでフォールドクォーツのイヤリングを付ける。
「誰か空虚の輪郭をそっと撫でてくれないか 時の波動にかき消されて 救えなかった愛のことば だから モウイチド 応えがほしい♪」
更にYF-29に搭載されているフォールドクォーツがシェリルの歌と共鳴し、光の粒子を放ち始める。
それに伴いYF-29の出力が上昇し、機体が更に加速。
先程は避けきれなかったミサイルの嵐を被弾無しで掻い潜った。
『なっ!?』
アルトはそのままラピエサージュの周りを舞うように飛び始める。
「宿命に張り付けられた北極星が燃えてる♪」
YF-29から溢れる光の粒子がまるで光のカーテンの様にラピエサージュを覆い始めた。
「………綺麗ですわ」
思わずそう零すシャイン。
『あ………あ………あああっ!?』
オウカが頭を抱えて苦しむような仕草を見せる。
その時フェアリオンの拘束が緩み、ラトゥーニが脱出する。
「姉様!」
「オウカ姉様!」
「オウカ姉さん!」
ラトゥーニ、ゼオラ、アラドが呼びかける。
「君を掻きむしって濁らせた なのに 可憐に笑うとこ 好きだったよ♪」
「君を掻きむしって濁らせた♪」「なのに 可憐に笑うとこ 好きだったよ♪」
「目を覚ましてくれ! 姉さん!」
アラドがオウカに呼び掛ける。
しかしその時、別方向から攻撃が来た。
ビルトビルガーが弾き飛ばされる。
「うわっ!?」
「アラド!?」
ゼオラは反射的にビルトビルガーを支えようと機体を動かしたが、更に別方向から攻撃がビルトファルケンに迫っていた。
「ッ!?」
だが、
「はっ!!」
その前にジェイダーが立ちはだかってその攻撃をプラズマソードで切り裂く。
「無粋な輩だな」
ジェイダーはそう零す。
その隙にアラドは何とか機体を立て直すが、
『とんだ出来損ないの人形達だな』
バカにするような声が響いた。
「何っ!?」
アラドが振り返ると、スマートな体形の茶色を基調とした機体が存在していた。
背中にある円環に、勾玉のような形の遠隔操作武器が装着される。
先程はその勾玉のようなものに弾き飛ばされたのだ。
更に同型の青と白の機体もあり、白い方がラピエサージュを確保していた。
「お前達、何者だ!?」
『知る必要は無い。お前はここで死ね』
そう言ってライフルを向けたが、
『そこまでにしておけスリサズ』
青い機体からそんな声が聞こえた。
『ウルズ?』
『パパの命令を忘れたのか? 僕達の任務はアウルム1とブロンゾ27の回収だ。とはいえ、ブロンゾ27の方は記憶を取り戻してしまったようだから、もう使い物にはならないだろう』
「私………?」
『嫌だ! 僕はブロンゾ28を殺す! 出来損ないのデータが僕達の身体に使われているなんて我慢できないんだ!』
『………僕の言う事が聞けないのか?』
『うっ………!』
青い機体のパイロットの言葉に、茶色の機体のパイロットは狼狽える。
『そうだスリサズ。ウルズに逆らうと後が怖いよ?』
『くっ! お前達、命拾いしたな!!』
そう言って牽制射撃を放つ茶色の機体。
「待て!」
アラドはそう言うが3機はラピエサージュを確保したまま離脱していく。
「オウカ姉さん!」
「「姉様!」」
3人の悲しい声が響いた。
「……………ラミア」
そしてジェイダーは、悔いるようにラミアの名を呟いた。
はい、スパロボOG編第5話です。
何か変化が欲しかったので、このタイミングでゼオラ加入という暴挙を犯してしまった。
まあ、マクロス勢にとって歌で洗脳が解けるのはもはやデフォルトですから。
シェリル達の歌の前に洗脳など解いてくださいと言ってるような物よ!
と言う訳で副題の裏切りにはラミアの裏切りの裏切りやゼオラの加入という意味も込められていたりします。
次回はラミアの復活編ですね。
お楽しみに。
P.S:今日はやらなければならない事があるので返信はお休みします。
ラミアはジェイのハーレムに……………
-
入れて連れて行ってしまえ!
-
いや、流石にちょっと………