魔法少女リリカルなのはHelheims   作:ミッチ~☆

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ご無沙汰しております。
ついに始まりましたね、ドライブ。
とても面白く見させていただきました。
個人的には、想像以上に表情豊かなベルトさんに和みました。
さすがダブルを書いた三条さんだけありますね。

それでは、第二話の投稿です。
楽しんで頂ければ嬉しい限りです。


プロローグ2

 バチバチ!

 黒煙が薄く立ち込め、辺りの機材がスパークし火花が飛び散る研究所内。

 そこで向かい合う斬月・真とシグルド。

 両者は、全く同じ赤い弓の様な物、創世弓ソニックアローをベルトを出した要領で取り出し、相手に向けて弓を引き絞った。

 

    ――ピコ、ピコ、ピコ

 

 そんな電子音と共に引き絞られたソニックアロー。それに取り付けられた矢の先にはエネルギーが集まって行く。シグルドは赤、斬月・真は橙。それぞれの色のエネルギーがすべてソニックアローに収束されていく。

 狙いを定めるレーザーポインターはお互いの急所を示していた。そして…

 

    ――パーン!……ザシュ!!

 

 収束されたエネルギーを両者は同じタイミングで放つ。放つと同時に相手から飛んできた光の矢を己のソニックアローで弾いた。

 

「タァ!」

「ハァァ!!」

 

 そのまま両者は相手に向かって駆け出した。先ほど光の矢を弾いた時に用いてもいたがソニックアローの鳥打部分はあらゆるものを両断する刃が付いておりこれを用いてアーマードライダーは接近戦をすることも出来る。

 

「フン!!」

「ハァ!」

 

 両者は一瞬で距離を詰め、そこからソニックアローで数手切り結ぶ。

 しかし、斬月・真はアーマードライダーの最上位であるゲネシスライダーの中でも天才・越島景虎が持てる力を尽くして作り上げたアーマードライダーの完成型。同じゲネシスライダーと言えども最初期にロールアウトされたシグルドではパワーの差は歴然である。

第一……

 

「ハッ!」

「ガァ!?」

 

 例え、斬月・真で無かろうとシグルドに変身した女性、トーレは彼を圧倒できなかっただろう。天性の戦闘センスとトライアルデータ収集時から旧世代アーマードライダーとして豊富な戦闘経験を持つ越島景虎には。

 

「クソ! やはりまともに戦闘をするのはこちらが不利か……。ならばッ!!」

 

 シグルドが赤く発光し、像が歪む。

 次の瞬間には彼女は消え、斬月・真の背後に回っていた。

 エナジーロックシードだけが持つ装着者との相性が極限まで高まると使用可能になる特殊能力、エナジーアビリティ。チェリーエナジーロックシードの場合、それは超高速移動だった。本来、エナジーアビリティは使用者がロックシードの性能を完全に引き出すまで使用できない。故に、装着者がそれを使用できるまで時間がかかるのだが、シグルドは最初期に開発され、トーレがすぐに試用運用していた事、そしてこの場では記述を控えるがトーレのある能力との親和性の高さからゲネシス開発から日が経っていないにも関わらずトーレはエナジーアビリティを使えた。

 トーレはチェリーエナジーの性能を完全に引き出し、高速移動で斬月・真の不意を突こうとする。が、しかし……

 

「っ! 何!」

 

 驚異的な戦闘勘を持つ景虎の前には無意味だった。彼が背後から襲ってきた斬撃をソニックアローのみを背中に回すことで軽々防いでいた事実にトーレは驚愕する。

 

「ほう、もうすでにレベル2に至ったか……。だが、それで不意を突いたとしても無駄なこと。はぁっ!!」

 

 景虎はトーレに振り向くと同時に左から右に横一閃。それに怯むトーレ。その隙に景虎がソニックアローを切り替えし、袈裟がけに振り下ろす。トーレは体を九の字に曲げ怯む。

 

「フン!!」

「がはぁ!!」

 

 そしてダメ押しと言わんばかりにソニックアローの先端で鋭い突きをみまう景虎。さらに吹き飛ばされて宙を舞うシグルドに向かってソニックアローを振り絞り……

 

「ゴッ!!」

 

 光の矢を飛ばしシグルドに当てた。

 それによりさらに数メートル吹き飛んだシグルドはあまりの痛みに悶絶し、床をのた打ち回る。

 トーレがシグルドのエナジーアビリティを完全に引き出しているのなら、景虎は斬月・真の戦闘性能を十全に引き出していた。

 

「止めだ」

 

 斬月・真はソニックアローを振りかぶり、シグルドのドライバーめがけて振り下ろす。

 しかし、

 

「クッ!」

 

 振り下ろされるより早く、別の方向から桃色の光の矢が斬月・真めがけて飛んでくる。

 斬月・真はその矢をあわてて弾いた。

 

「今度は貴様か、NO.1」

 

 斬月・真の視線の先には同じく腰にゲネシスドライバーを巻いた桃色のライダー、マリカがいた。

 

「はい。カゲトラ、貴方の身柄確保に参りました。あまり抵抗するなら潰しても構わないとドクターにも命令されています」

「フン、奴は高みの見物というわけか」

「いえ、ドクターもこちらに参られています。なにせ此処を制圧した後のシステム掌握にはドクターの頭脳が必要ですから」

「成程、ならばすぐにでも奴と会いたいものだな。奴の真意を確かめたい」

「それは難しいでしょう。貴方が抵抗せずこちらに従うのなら、可能ですが?」

「それなら仕方のないことだな……」

 

 そう言い、斬月・真はソニックアローを構える。

 

「カゲトラ……。私としては本当にこちらに来ていただきたかったのですが……」

「貴様らが今からやろうとしていることを俺はみすみす見逃すことはできない。何かの間違いであると信じたかったが奴に真意を確認できず、こうして此処を襲撃されている以上、俺は貴様らを敵として認識するより他にない」

「……そうですか」

 

 斬月・真と同じように構えるマリカ。

 

「ハッ!」

 

 一瞬早く駆け出し斬月は切りかかる。

 慌てて対応するマリカ。

 シグルドの時と同様、ソニックアローで数手切り結ぶ。

 そしてまたシグルドの時同様にマリカは押され始めていた。

 しかし斬月は失念していた。いや正確には勘違いしていたのだろう。この場には戦える者がもう一人いたことを、

 

「私を忘れてもらっては困る!」

「何!」

 

 そう、それは先の戦いで斬月・真に倒されたと思われていたシグルドである。

 彼女は持ち前の素早さで接近し斬月・真を羽交い絞めにする。

 予想外の事態にこの戦いで初めて斬月・真の声に焦りの色が見えた。

 

「今だ、ウーノ!」

「感謝します。トーレ」

 

 そう言うと、ウーノと呼ばれた女性・マリカはドライバーについていたピーチエナジーロックシードを外し、ソニックアローのジョイント部分にセットする。

 

        ――ロックオン!

 

 そして、限界までソニックアローを絞り込む。

 

        ――ヴォン、ヴォン、ヴォン

 

 それと同時に今までとは比較にならないほどのエネルギーがソニックアローに収束する。

 完全に収束し終わったと見るや、マリカは勢いよく矢を放った。

 

        ――ピーチエナジー!

 

「ガハッ!!!!!!」

 

 シグルドに羽交い絞めにされ身動きが取れなくなっていた斬月・真はマリカの放った光の矢をまともに受けてしまった。

 余りの衝撃に吹き飛ばされ床を2,3度バウンドする。

 いくら防御に特化し強化された鎧を身に着けていても、マリカの渾身の必殺技・”ソニックボレー”をノーガードで受けて無事ではいられない。

 

「トーレ!」

「分かっている!!」

 

 そして二人は斬月・真が起き上がるよりも早く、斬月・真を斬りつける。

 

「グッ!!」

 

 景虎と言えど手負いの状態で腕に覚えのある者二人を相手にするのは厳し過ぎた。

 ましてシグルドとマリカの連係プレーは目を見張るものがある。

 どちらかが接近戦を挑めば、どちらかがアローで遠距離攻撃を仕掛ける。どちらかが斬月・真相手に劣勢にならば前陣と後陣を入れ替えお互いの隙をカバーしていた。

 そして斬月・真に決定的な隙が出来た所に二人は至近距離から赤と桃色の矢を飛ばす。

 避けられずもろに受けた斬月は再び床に倒れる事となる。

 

「どうだ!」

「こちらに投降する気になりましたか?」

 

 床に転がる斬月・真を見ながら横に並んだ二人のアーマードライダーは問う。

 

「ハァ……ハァ……」

 

 起き上がろうとする斬月・真。しかし今まで蓄積されたダメージのせいで上手く立てず膝をつく。

 

「言ったはずだ……。お前たちをあの巨大樹には近づけさせない……」

 

 この研究所の最深部にある巨大樹、その洞には異世界へと繋がる時空の裂け目・クラックが存在していた。これは偶然に巨大樹に出来た裂け目を樹ごとこの研究所に持ち帰り、空間維持装置で裂け目が閉じる事の無いよう加工した代物だ。

 この裂け目の向こうの森に覆われた異世界、ヘルヘイム。それを分析したデータでアーマードライダーは誕生した。それほど重要な資源と情報がクラックの向こうには眠っている。――そう、世界を武力的にも技術的にも制圧させることが可能な程の――

 

「そんなことはさせない!!」

 

 斬月・真は膝立ちのまま、ソニックアローを力いっぱい振り絞る。

攻撃が来ることに身構えるシグルドとマリカだったが、直後斬月・真はその矢を彼女たちの真上に向かって放った。

 すると、矢はエネルギー状の巨大なメロンとなる。

 次の瞬間、巨大メロンは弾け、数えきれないほどの橙色の矢となり、彼女たちに降り注ぐ。

 

「なに!」

「グッ!」

 

 予想できなかったのか二人は焦り、その橙の矢の雨をまともに浴び怯む。

 そこに――

 

「ハァッ!!」

「「!?」」

 

 力を振り絞り斬月・真が二人のもとに急接近する。

 そのままドライバーのレバーを一度引き――

 

       ――メロンエナジースカッシュ!!!!

 

 橙色の光を帯びた強烈な斬撃を彼女たちに見舞った。

 

「「ガハッ!!」」

 

 二人は至近距離から受けた強力な斬撃により、はるか後方に吹き飛ばされる。

 当然、二人とも変身は解除されていた。

 そんな二人に荒い息をしながらも斬月・真は武器を突き付け、彼女たちに問う。

 

「お前たちは、人工クラックを独占した後、ドライバーの生産ラインを握り、世界を言いなりにさせる。ドライバーがなければ森の浸食には耐えられないと脅して。そして反乱分子にはそのゲネシスドライバーで制圧する算段、違うか?」

「さあ、私たちの口からは何も言うことが出来ません……」

 

 ウーノが景虎の問いに答える。

 

「いいや。半分正解で半分間違いだよ。カゲトラ」

 

 突如斬月・真の後ろから男の声が聞こえてきた。

 彼が振り向くとそこには白衣に身を包んだ紫髪の男性がこちらに歩いてくる。

 

「!? ジェイル」

 

 そう、この男こそ景虎と共同してベルトを開発し、現在研究所を襲撃しているジェイル・スカリエッティだった。

 

「いや~。カゲトラ、それが君が独自に創りだしたアーマードライダーかい?我々が共同して創ったシグルドとマリカを優に超える性能じゃあないか。やはり君はすばらしい!!」

「ふざけているのか! ジェイル!」

 

 この場の雰囲気に全く似つかわしくないトーンで気安く話しかけるジェイル。

 それに激高するように怒鳴る景虎。

 

「いやいや。私は至って真面目だよ。私の目に狂いはなかったとね。そんな素晴らしい君に提案だ。私のもとに下ってまた一緒に研究しないかい?」

「何?」

「驚くことはないだろう。君ほどの優秀な人間だ。君がいてくれれば後十年、いや五年で私たちの理想に到達することが出来る!」

「全世界を脅すのが貴様らの理想か」

「言っただろう。半分正解で半分間違いだと」

「ならばなぜこのような襲撃をした」

「……黄金の果実」

「?!」

「君はおとぎ話だと言って信じなかったが、黄金の果実は確かに存在する。そしてそれを手に入れ解析できれば!! 私は自分の野望に大きく近づくことが出来るのだよ!!!!」

 

 ジェイルは目をギラギラさせながら熱弁する。

 

「正気か? 何の根拠も見つかっていない、存在するかどうかさえ怪しい代物だぞ!」

「気づかなかったようだけど、私は君に隠れてあの森を探索し、調べたんだ。そして見つけたんだよ! 果実が確かに存在する証拠と心強い協力者をね!!!」

「証拠…協力者…? どういうことだ? それにお前の野望とは一体!」

「おっと、話はここまでだ。もう一度聞く、私たちと共に世界を思いのままにしてみないか?」

「……断る」

「あっ、そうかい……」

 

 景虎が断った事でジェイルはまるで興味のなくなった玩具を見るような目で彼を見た。

 

「なら、話題を変えよう。…君のアーマードライダーと私のアーマードライダー。どちらが強いだろうかね?」

 

 そういうとジェイルは白衣のポケットからロックシードを取り出す。

 

「それは!? パワーが強すぎて制御できなかったはず…」

「いや~苦労したよ。うまくパワーを調整するのもこれ専用にドライバーを改造するのもね。もっとも連続稼働は今のところ10分が限界なんだけどね、変身!」

 

         ――レモンエナジー!!!!!!

 

 ロックシードを持つ右手と左手を交差させ、開錠と同時に両手を返す。

 そして、いつの間にか巻かれていたゲネシスドライバーにセット。

 右のレバーを押し込む。

 

          ――ソーダ~!!

   ――レモンエナジーアームズ、Fight Power!! Fight Power!! FifififififiFight!!!!

 

 今まで以上に独特な電子音を発しながら、ジェイルは降りてきたレモンに身を包み、青い全体的に西洋風な戦士――アーマードライダー・デュークに変身した。

 

「フンッ」

「クッ!!」

 

 そのままデュークは斬月・真に切りかかる。

 斬月・真もソニックアローで受け止めるがデュークのあまりの腕力に押され気味になっている。

 第一、 これまでの連戦による疲労と負傷で斬月・真は思うとおりに動けていなかった。

 

「残念だ。本当に残念だよ、景虎。君となら共に理想を歩めると思ったのに……」

「ふざけるな! お前は最初から俺を騙すつもりで俺に近づいたのか? アーマードライダーの研究データが欲しいから」

「ああ」

 

 デュークの斬撃が斬月・真にヒットする。

 

「もう評議会の連中の言いなりになるのは沢山だと……。奴らのエゴの為に悪事を働くのはもう懲り懲りだと……自分の意志で命を助けたいと言ったのは嘘だったのか!!?」

「別にそれは嘘ではないさ。奴らの言いなりになるのは御免だし、私は私の意志で新しい命をこの世界に満たしたいと考えているのさ」

「キサマァ!!」

 

 斬月・真もデュークに切りかかるが、以前ほどのキレがないその斬撃をデュークは易々と受け止める。

 

「君は弟君とは違って、本当に他人の悪意に対して鈍感なようだね。どうせ私の裏切りに気付いたきっかけも弟君ではないのかな?」

「クッ」

 

 ジェイルの言っている事は正しく、景虎がジェイルの裏切りに気付けたのは道真の提言による所が大きい。一度ジェイルに道真があった際、言われていたのだ。

 あのオジサンは何か悪いことをたくらんでいる気がする、と。

 まさかと思いながらも景虎はジェイルの事を調べていると色々と出てきたのだ。

 彼が自分を裏切ろうとしている証拠の数々が。

 それにより万が一の為に迎撃用の斬月・真を開発し、研究所のセキュリティーも強化、ジェイルの裏切りに備えては一応いたのだ。

 が、しかし景虎の心の片隅にどこかまだジェイルを信じたいと思う心があった。

 それにより、幾分も緊急時の対応策が甘くなっていた。

 それにより、今回の大規模な襲撃を許してしまったのだ。

 そして目の前には信じたいと思っていた男がこうして自分に刃を向けている。

 それだけで景虎の精神は疲弊していった。

 

「結局、君は人類を救うと言いながら信じてはいけない人間に心を許し、人類をより危険に晒したと言えるねぇ」

「黙れ!!」

「事実を言ったまでさ。君の”協力”によって私は長年の悲願を達成できそうだよ。そう、大多数の人間にとっては絶望でしかない世界の創造にね」

「!?」

 

 斬月・真は、もうほとんど武器を振れていなかった。

 連戦による疲労もあるが、それ以上にジェイルの言葉が胸に突き刺さり、精神にダメージを与えていた。

 

    ――誰かの未来の為、自分が行おうとしていたことが……結果的に人類を危機に晒していた。

 

 その言葉は、道真や守りたかった者たちの為すべてを捨てて愚直に突き進んできた景虎にとっては何よりも強烈な一撃だった。

 では、自分が今まで進んできた道はなんだったのか。

 愛する弟に寂しい思いをさせてまで、突き進んできた日々は?

 第一、今まで信じてきた希望は――理想は――

 そう思っていしまった時、景虎はもう満足に動けなくなっていた。

 

          

            

      

            ――自分が正しいと信じ、進んできた理想は紛い物だったのだ

 

 非常に極端な発想。

 頭では分かっていても、景虎の心はその疑念を掴んで離さなかった。

 

「結局、私の本心を見抜けなかった君は……私の理解者では無かったという事だね」

「グアッ!!」

 

 そうデュークは言い放ち、極限まで引き絞ったソニックアローを斬月・真に向かって放った。

 吹き飛ばされた斬月・真は壁を破り、研究所の外の崖のすぐ近くまで転がった。

 崖の下はかなりの高さがあり、落ちてしまえば命はないだろう。

 

「友よ……。名残惜しいがお別れの様だね……」

 

          ――ギュィィィィィィン――

 

「!? なんだ」

 

  なにか巨大なファスナーが閉まるような音が研究所の方から聞こえてくる。

 

「……間にあったか」

「まさか貴様、空間維持装置を破壊していたな!」

「トーレにも言った、お前たちを人工クラックには行かせないと」

 

 そう、景虎はトーレに会う前に人工クラックを開いている空間維持装置を破壊していたのだ。空間維持装置を破壊された人工クラックは時間を追うごとに閉じていく。

景虎は最初から時間稼ぎの為、ジェイルたちと戦っていたのだ。

 

「貴様最初からそのつもりで……」

「……なんとか意地は張り通せたな……」

「ウーノ、急いで巨大樹の下に行って処置をしてくれ。今ならまだ間に合うかもしれない」

「はッ!!」

 

 通信でウーノに指示を飛ばすジェイル。

 

「ハハハ、いやはや参ったよ、景虎。まさかこんな事をしてくれているとはね」

「これで貴様らの計画は大分狂ったはずだ……」

「良いだろう。痛めつけて服従させるなり、そのベルトを解析しようと思っていたが、気が変わった。ここで、君を消してあげよう。塵ひとつ残さずにね!」

 

      ――ロックオン!!

      ――ヴォン、ヴォン、ヴォン

 デュークは自身のロックシードをソニックアローに装填、極限まで引き絞る。

 先ほどのマリカのソニックボレーの比ではない熱量がアローの先端に集約される。

 

(ああ……ここで死ぬんだな……俺は)

 

 そう景虎は思う。

 あれほどのエネルギーが直撃すれば命はない。

 もう避ける為、体を動かすことは出来なくなっていた。

 それは肉体のダメージのせいか、それとも精神的ダメージのせいか、もう景虎には判断が付かなくなっていた。

 景虎は頭の中で今までの思い出がフラッシュバックしていた。

 

(これが……走馬灯と言うやつか……)

 

 今は亡き両親の研究を継ぎ、ヘルヘイムの脅威に必死で対抗しようと考えた。

 その為に色んな事を犠牲にしてきた。

 遊び、恋、友情、そして家族……。

 

   ――この騒動がちゃんと終わったら、また昔みたいに兄さんと遊園地に遊びに行きたいな――

 

 つい先ほど交わした最愛の弟との約束が思い浮かぶ。

 

 (約束……守れなくてゴメンな? ホント、ダメなお兄ちゃんで……)

 

  「道真……」

 

        ――レモンエナジー!!!!!

 

 瞬間、デュークが放ったソニックボレーが斬月・真を貫いた。

 そしてそのまま、彼の肢体は吹き飛び崖の下に吸い込まれていった。

 

  「死体は回収できないか……。まあ良い。どの道生きてはいまい」

 

 そこにウーノの通信が入ってくる。

 

「ドクター。申し訳ありません。人工クラックの完全消滅、確認しました」

「フム、起こってしまった事を悔やんでも仕方あるまい。大分我々の計画も狂ってしまったが、収穫もあった。あとは協力者に頼んで何とかして貰うことにしよう。とにかく今は研究所に残っているデータや機材を失敬するとしよう。クアットロたちにも指示を出してやってくれ」

「かしこまりました」

 

 そう言い通信は切れた。

 ジェイルは変身を解き、景虎が落ちて行った崖の下を見つめる。

 

 「……さようなら、景虎」

 

 そう呟き、ジェイルは踵を返し研究所に歩を進めるのだった。

 かつて彼と共に研究した、その懐かしい場所に……。

 

 

 

 

 

                  序章・閉じ行く世界編  ~完~

 

 

 

 

 




道真「に~さーん!!!」
作者「まっ、大丈夫じゃないの。相手はあの呉島貴虎のリイマジだし。死んではないない」
道真「ホッ、それなら安心でき」
黒作者「ただし五体満足、ちゃんとした人間とは言っていない(笑)」
道真「」
黒作者「フフフ、ハハハ! 全部私のせいだ☆」
道真「スチャ(ヨモツヘグリロックシード構えながら)」
作者「ちょっ、ヨモツはアカン!!! 君、本編でそれ使う予定ないからね! 第一そのロックシードはヤバい!」

        ―――ヨモツヘグリアームズ!!
        ―――冥・界・ヨミ・ヨミ・ヨミ

ヨモツヘグリアームズ「自分の命だからって……惜しむものかァァァァァァァァ!!!」


 
 次回から道真がメイン主人公の第一部・邂逅編です。
 お楽しみください。
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