……みなさん、2か月近く待たせてしまい申し訳ありませんでした!←土下座
感想の欄にも書きましたが、文体とか色々悩んでたらこんなに長くなってしまい……(滝汗)
で、肝心の出来はと言うと……あるぇー?(・3・)
道真「黙ってろよ、クズ。さっさと本編はじめろ」
はい!!
かしこまりました!!!!
それでは、プロローグも終わり、記念すべき第一話です。
魔法少女リリカルなのはHelheims、始まります。
第一話 変身! 空からプルーン!?
―――新暦74年・第47管理外世界
「予想されるポイントはここか……」
兄さんにこの世界から逃がされて四年。
僕、越島道真は”心強い支援者”を得て、この地に再び立っている。
《ああ、僅かだがヘルヘイム反応がある。この反応パターンと大きさから考えるにロックシードだと思う》
「となると、ここら辺をしらみつぶしに探せば……」
《だな、だけどマスター…… 俺がこんな事言えないのは分かってるけど、その……あんまり期待とかはしない方が……》
「わかってる。あれから四年、何も連絡がないことを考えれば、兄さんはもう……」
《マスター……》
「ザックが気にすることないよ。ただ一応、生死の確認はしないといけない。今後の方針のためにもね……」
そう言い、僕は自分の首にかけてあるペンダントトップの形をして待機しているデバイス、ザックに目を向ける。
《マスターがそう言うんなら、俺はマスターに従うだけだ》
「ありがと、ザック」
そう言い、僕は反応のする雑木林に足を踏み入れる。
林の中はうっそうと木々が生い茂り、日の光を遮断していた。
薄暗い―――
数刻前、僕はあの日兄さんに飛ばされた研究所が有った場所を探索していた。
有った場所という言い方をしたのは、もうそこが研究所と言える体をしていなかったからだ。
目ぼしい研究サンプル、データは丸ごと盗まれていて、施設は半壊し、壁全体にはこの世界の物だけでなくヘルヘイムの植物も無秩序に生い茂っていた。
もちろん、ヘルヘイムの植物は周囲を侵食しないよう焼き払ってきた。
ここから導き出される答えはただ一つ。
あの日僕を逃がした兄さんは襲撃者と戦い、生死は不明として敗北したのだろう。
施設が半壊しただけでは戦っている最中の被害と考えられるが、研究所の物がなくなっており、まして4年間手入れされていないあの研究所を見れば自ずとたどり着く予測だ。
さらに言うと、あれから4年間僕に何の連絡も寄越さなかった事を考えれば生存の可能性も絶望的だ。だが―――
「それでも僕は真実が知りたい。そうじゃなきゃ前に進めないから」
それに必ずしも死んでいるとは限らない。
限りなく低い確率でも生存の可能性はある。
自分にそう言い聞かせ、薄暗い林の中を抜ける。
林を抜けた先には十メートル程の幅のある川が流れていた。
「ザック。反応は?」
《あそこだ》
ザックの指し示すポイント―――川の抜こう岸に進む為、川の中を横切る。
服が濡れることも気にしなかった。
……あった。
《……これは》
「間違いない。兄さんのドライバーだ」
川岸に自生している水草、そこに引っかかっていたのは二つの品。
それは四年前、兄さんが独自に開発していたゲネシスドライバーとメロンエナジーロックシードだった。
二つの品は血がこびり付き、錆び、ところどころ外装が剥がれ落ちて内部の導線がむき出しになっている。
「兄さんの嘘つき……。生きて帰るって言ったじゃないか…」
死体はない。
だが、こんな物を見せられては僕の心の中に残った僅かな希望さえも否定せざるおえない。恐らく遺体は川に流されたのだろう。あれから4年もたっている。川下を探してもちゃんとした形で遺体が残っているかどうか……
生きていて欲しかった……
例えどんな形であろうと。
そうして、あの日交わした約束を守って欲しかった……
「これじゃ、兄さんにヘルヘイムの実1万個飲まさなきゃだね……」
《マスター……》
――――――ドゴーン!!!!!!
「!?」
どれくらい時間が経っていたのか分からない。数時間かもしれないし、あるいはほんの数秒だったかもしれない。ザックが何も話しかけなかった事を考えると後者が正しいのだろうか。とにかく僕が悲しみに沈んでいると、とてつもない爆発音が聞こえてきた。
音の方向、大きさから考えてここからそれなりに離れた場所で爆発が起きたらしい。
「ザック! 爆発場所の特定」
《ここから南西20キロ。この距離からだから詳しくは分かんないがヘルヘイム反応アリ》
ヘルヘイム反応。
兄さんが研究していたヘルヘイム世界の動植物が発する微弱な生体バイオリズム。それを感知し、パターンからの生体の種類、場所、大きさを特定できる反応。
それが今反応し、ご丁寧に特定した場所で大爆発が起こっている。
ここから推測出来ることは―――
「……インベス」
それは、ヘルヘイム世界に住む動物。
時折こちらの世界に現れるヘルヘイムとこちらを繋ぐ裂け目・クラックからこちらの世界に迷い込んでくる。
迷い込んでくる。
それが犬や猫の様な動物なら微笑ましい光景なのだろうが、ヤツらはどちらかと言うと動物園から抜け出した熊やライオンの類だ。いやそれ以上に厄介な存在である。
ヤツらは獰猛で人を襲い、襲われて傷を負ってしまった人はその傷口からヘルヘイムの植物が生えてくる。インベスも危険だがこの植物もなかなかに危険だ。一度根付けば、自分が寄生する苗床の養分を暴虐的に吸い付くし死に至らしめる。また土地に根付けば、土壌を汚染し、こちら側の植物を枯らしてしまう恐ろしい植物だ。さらに繁殖力も高いと来ている。
「もしかしたら人が襲われているかもしれない。一応様子だけでも見に行こう」
ここは管理外世界だけど、人がいないとは限らない。ましてや爆発があったとなれば魔法を使って交戦している可能性すらある。
だが、魔法とヘルヘイムの動植物ではいささか相性が悪いのだ。
それを兄さんの研究をすぐ近くで見てきた僕は良く知っている。
僕は急いで一つのロックシードを取り出し開錠―――
それは瞬時にバイクに変形する。
「ザック、爆発したポイントまでナビお願い」
《了解だマスター。だが気をつけろ、反応パターンが今までと違ってる》
即座にバイクに跨りフルスロットルで爆発した方向にバイクを走らせた。
☆☆☆☆☆
―――Another side
爆発が起きた場所で何が起こったのか。
時は30分ほど前に遡る。
道真が訪れた研究所とはまた違う、小ぶりな廃工場のような建物があった。
その建物の扉に十人前後のデバイスで武装した人間たちが居を構え、今にも突入しそうな空気を漂わせていた。
「ハラオウン執務官、他の班は建物の包囲を完了した模様です」
一人の武装した男が同じく武装した女性に話しかける。
どうやら彼女がこの部隊を指揮しているらしい。
輝く様に艶やかで美しい金色の髪、透きとおる様に真っ白な肌、真紅の瞳は美しく、しかし意志の強さを感じさせる光を宿していた。そして何より、その身纏った凛とした空気は彼女が若輩ながらも数々の修羅場を潜り抜けた猛者だと示していた。
「了解しました。これより違法魔導師マーク・ハンセンの身柄拘束の為、突入作戦を開始します」
今回彼女たち―――フェイト・T・ハラオウンたち時空管理局は違法魔導師として指名手配されていた凶悪犯の追跡と確保の為、この第47管理外世界に来ていた。
時空管理局とは、簡単に説明すると数多に存在する次元世界を管理・維持するための機関であり、軍隊・警察・裁判所の3つを統合した、強大な組織である。
管理世界に登録されている世界の治安を守る組織である為、本来管理外世界であるこの世界に局員が来ることはない。しかしフェイトたちは現在ここに潜伏している凶悪魔導師の確保の為、特別に管理外世界に来ていた。もちろん、犯人を確保した後は速やかにこの世界を離れ、出来るだけ現住民や原生生物に対して被害の無いよう心掛けて行動している。
「はっ!! 包囲した別働のB班、C班と同時に三方向から突入します」
そう男性局員は言い、他の局員と共に入り口を固める。
気配を押し殺し突入の機会を伺う。恐らく別働の二班も入り口を固めているだろう。
あとはフェイトの合図次第で突入できる。
フェイトは息をのみ、自分の愛機・バルディッシュアサルトを強く握る。
今回の違法魔導師、マーク・ハンセンは昔管理局が壊滅させた犯罪組織の残党だ。
壊滅したのは今から十年前なので年若いフェイトは関わっていなかったが、バイオ兵器や違法改造デバイスの製造、流通をしていた一大犯罪企業だったらしい。組織壊滅時、下っ端だったハンセンは組織のデータを持ち逃げした。そのデータを使いこの十年で色々な悪事に手を染めていたと聞く。最悪の場合人体実験もしていた時期もある。
「B班、C班準備は良いですか?」
《ハッ! 完了しています》
《こちらも何時でも突入できます》
自身の特殊な出生ゆえ、フェイトは人体実験を平気で行うハンセンの事が他の犯罪者より許せなかった。
しかし、個人的な情に流されていては時に命取りになる。相手は戦闘能力が著しく低い魔導師という事は調べがついているが、凶悪なマッドサイエンティスト。どんな兵器を使ってくるか分からない。局員の負傷を起こさないよう、私情は捨て的確に作戦を指揮し、迅速にハンセンの確保するのが今のフェイト責務である。
故に努めて冷静であろうと、今のフェイトは己の中に燃える義憤を鎮めるのに苦労した。
彼女は扉の真正面に立ち、静かに、しかし大きく息を吸い―――
―――突入の合図を出した。
「時空管理局です。武器を捨てて投降しなさい!」
フェイト達が突入する。
別働のB,C班も別の扉から突入していた。
工場の間取りは開かれた広間になっていた。
その中央に黒い革ジャンを着たオールバックの男がいる。
フェイト達はその男を取り囲み、各々のデバイスを突き付ける。
彼は突入してきた局員に怯える事も声を荒げることもなく、ただ軽薄そうな笑みを浮かべていた。
「確認します。貴方は違法魔導師のマーク・ハンセンで間違いありませんね」
フェイトが問う。
「ああ、そうだ。……しかし驚いたな、管理局にはむさ苦しい男しかいないモンだと思ったが、こんな美人なねーちゃんもいたなんてな」
ハンセンが軽口を叩く。
「お世辞は結構です。武器を捨てて大人しく投降してください」
フェイトはハンセンの軽口を受け流す。
「お世辞なんかじゃねーよ。仕事なんかよりねーちゃん。俺とデートしない?」
なおもフェイトに言い寄ってくるハンセン。
「これが最後通牒です。大人しく投降しなさい!」
フェイトは、そんなハンセンの秋波をキッとはねつける。
「おー怖い怖い。これだからエリートな女は嫌だね~。で、大人しく投降しろと? ……冗談じゃねーよ。公僕の分際で俺に指図すんじゃねー!」
そう言うとハンセンは懐から一つの機械を取り出す。
全体的に黒く、サイドに小刀のような質素な装飾が施されている機械―――戦極ドライバーを腰に当てる。
「なんだそれは?」
局員側はハンセンの不審な行動に身構え、いつ攻撃が来ても良いように備える。
「さぁ~? それはこれからのお楽しみだ」
―――グリーンバナ~ナ!!!!
そうハンセンが言うと手に持ったロックシードを開錠する。
すると彼の真上の空間がチャック状に割け、その空間から熟していない、巨大なバナナが下りてくる。
―――ロック・オン!! ♪♪~♪~
―――ソイヤ! グリーンバナナアームズ
――― knight of immature!!
戦極ドライバーのバックルにロックシードを嵌め、右側の小刀を倒すと巨大な青バナナがハンセンの頭に覆いかぶさる。次の瞬間、熟してないバナナは展開しハンセンを覆う鎧となる。
「な、なんだ。あの姿はっ!! 新手のパワードスーツか!?」
「へへっ、良いだろ? どうも黒影トルーパーって言うらしいぜ」
戸惑いを隠せない局員の呟きに対し、自慢げに答えるハンセン。
右手にはバナナの形をした短めのスピア。
左手は腰に当て、余裕綽々な態度で周囲を挑発する。
「!? 拘束班、バインド!!」
ただならぬ危機感を抱いたフェイトは局員に指示。
突入隊の数人が前に出て拘束魔法のバインドを黒影トルーパーにかける。
「ふ~ん」
何重にも巻きつけられた色とりどりの魔力の縄。
ただ黒影トルーパーは特に抵抗するでもなく、そのまま突っ立っていた。
「何重にも重ねがけしてるところを見ると、随分と警戒しているようだな。そんなに俺が怖いか?」
「そのパワードスーツは一体なんだ? どこで手に入れた?」
何重にも巻かれたバインドを意に介すこともない黒影トルーパーに警戒しつつ、フェイトはハンセンが持っている謎のパワードスーツの出自を訊く。
やれやれと言うように黒影トルーパーは肩を竦め―――
「人にものを訊くときはそれ相応の態度ってモンがあるだろうが、よっ!!」
「なっ!!」
「何重にも巻いた我々のバインドが!?」
いとも容易くバインドを引きちぎる。
「今度はこっちから行くぜ?」
―――ソイヤ!! グリーンバナナスパーキング!!!
横の小刀を三回連続で倒す黒影トルーパー。
すると右手に持ったスピアが徐々に光を帯び始める。
「!? 全員地面から退避!!」
何かを感じ取ったフェイトは、直感的に地面から離れるよう周りに指示を出すが―――
「遅いぜ!!!」
フェイトが叫ぶと同時にスピアを地面に突き刺す黒影トルーパー。
次の瞬間、無数の青いバナナ状のオーラが局員たちの真下からせり出し彼を襲う。
咄嗟にシールドを張る局員もいたが―――
「「「グアァ!」」」
「「「ガハァ!」」」
「クッ!」
今の一撃で、フェイトを除く局員は戦闘不能に陥った。
「今のは……防御魔法を溶かした?」
フェイトは周囲を見渡す。
彼女はいち早く危険に気づき、持ち前のスピードで無数のオーラの剣山を避けきることに成功していた。
幸い局員は戦闘不能に陥ってはいるが、命に別状は全員無さそうである。
問題は今の攻撃。
フェイトの目が正しければあの攻撃は局員たちが咄嗟に張った防御魔法を溶かしていた。
「なんだ、一匹取り逃がしちまったか。全くすばしっこい女だな」
「魔力を中和……。もしくは魔力結合を阻害するなんらかのエネルギーをぶつけた攻撃?」
「さぁな。自分で確かめてみるか?」
「クッ」
《Blitz Action》
フェイトに襲い掛かる黒影トルーパー。
瞬間、フェイトのバルディッシュから流れる電子音。
フェイトは魔法を使い高速で移動。黒影トルーパーの背後をとる。
「ハァ!!」
《Haken Slash》
そのまま背後からフェイトは切りかかるが―――
「なっ!?」
「フン、今の俺には魔法は効かねーんだよ!」
なんとバルディッシュから伸びる魔力の切っ先は黒影トルーパーに触れる事で溶解していた。
そのままフェイトにスピアを振るう黒影トルーパー。
「クッ!!」
(やっぱり、あのパワードスーツは魔力結合を阻害させる事で魔力を用いた攻撃手段をシャットダウンしているんだ。なら!)
後ろに高速で退避しながらフェイトは魔力のスフィアを生成。
3つ程生成されたスフィアに魔力をありったけ流し込む。
「何度やったって同じだぜ」
「それはどうかな」
《Plasma Lancer》
3つの魔力弾が黒影トルーパーに襲い掛かる。
黒影トルーパーは己の鎧を過信しているのか避けようともしない。
だがそれがいけなかった。
「グアァ!」
まともに魔力弾に当たった黒影トルーパーに今まで感じた事のない衝撃が襲う。
その衝撃に伴い強烈な痛みが体の底から湧きあがってきた。
(やっぱり、鎧の魔力分解能力を超えた魔力量をぶつければ勝てない相手じゃない!)
フェイトがやった事は簡単だ。
鎧の表面が魔力弾を分解し威力を分散するのなら、分解しきれない密度で魔力を圧縮し勢いよくぶつければよい。
その為にフェイトは魔力弾の表面にさらに魔力をコーティング、その中身にもありったけの魔力を凝縮した。さらに、勢いよくぶつけることで魔力は分解できても物理的な衝撃を体内に浸透させる事も可能にする。
もちろん、これは上位の魔導師に位置するフェイトクラスの人間に出来る事であって、一般の魔導師にはそうそう真似できる芸当ではない。
(行ける!)
勝機を見出したフェイトは魔力を凝縮したバルディッシュ・ハーケンフォームで黒影トルーパーに切りかかる。
だが―――
「調子乗ってんじゃねーぞ、クソアマ!」
黒影トルーパーは新たにロックシードを開錠、するとフェイトの前の空間が先ほどと同じように割ける。
「グルルル」
「!?」
咄嗟に裂け目から距離をとるフェイト。
その裂け目から、二足歩行の真っ赤なライオンのような怪物が飛び出す。
「召喚魔法!?」
「違うが、まあ似たようなモンさ」
フェイトの疑問に得意げに答える黒影トルーパー。
あまりに連続する異常事態に焦るフェイト。
このまま戦闘が長引くと負傷した局員たちが危険だ。
「グルルラァ」
《Photon Lancer》
「ファイア!」
襲い掛かってくる真っ赤なライオン―――フェイトは知らないがライオンインベスと言う―――に対し射撃魔法を行使するフェイト。
しかし、その魔力弾は先ほどの黒影トルーパーと同じ様に、ライオンインベスの体に触れた途端に溶解した。
「コイツも魔力結合を阻害してるの?!」
「ガァァァ!」
《Defensor》
魔力の弾幕を突っ切って肉薄してくるライオンインベス。
その鋭い爪がフェイトに振るわれる。
魔力を圧縮した防御シールドでそれを防ごうとするフェイトだが、一瞬の均衡の後にシールドはいとも簡単に切り裂かれる。
フェイトは魔力を凝縮し、ハーケンフォームにしたバルディッシュでライオンインベスの攻撃をいなす。
召喚獣を相手に戦うとき、まず一番気を付けなければいけない事は爪や牙による攻撃を直接受けない事。そう管理局では教えられている。
彼らの爪や牙にどんな物質、細菌が付着しているか分からないからだ。
場合によっては命を落とすかもしれない。なおも自分に向けて飛び交う爪。フェイトは冷や汗を流しながら距離をとる事を試みる。
しかし、ライオンインベスはしつこくフェイトに肉薄。ブリッツアクションの発動すらもままならなかった。
「なら、これで!」
爪による斬撃をバルディッシュで受けとめ、魔力強化を施した右足でガラ空きの脇腹を蹴る。多少は効いたのかライオンインベスは一瞬たじろぐ。
(今だ!)
《Blitz Action》
その隙を逃さずブリッツアクションで高速退避。
しかし―――
「グラァ!」
「なっ!」
ライオンイベスが口から火の玉を吐いてきた。
攻撃は爪と牙だけだとつい思ってしまっていたフェイトは、予想外の攻撃に焦る。
無情にも火の玉がフェイトに直撃。幸いブリッツアクション始動中だった事で致命傷になる事だけは避けられた。
「ハァ……ハァ……」
「オラよっ!と」
バルデッィシュを杖代わりにし、肩で息をするフェイト。
そこに黒影トルーパーとライオンインベスは容赦なく追撃を掛ける。
「これで終わりだ!」
―――ソイヤッ! グリーンバナナスカッシュ!!
ベルトの小刀を一回叩き、スピアにエネルギーを集約する黒影トルーパー。
フェイトは回避行動を取ろうとするが、尚も纏わりついてくるライオンインベスにより、それもままならない。
「オラァ!」
フェイトに向かって突き出されたスピアは、その先端から集められたエネルギーを放出。
先ほどと同じバナナの形になってフェイトを襲う。タイミングを見計らったようにライオンインベスは横に退避する。
《Defensor》
1人取り残されたフェイトは再び防御シールドを張るが、魔力を圧縮している暇がなく、先ほどより強度の低いシールドになってしまった。
故に―――
「キャッ!」
オーラは、そこに何もなかったかの様にシールドを突き破りフェイトに到達。
今度はモロに攻撃を受けたフェイトは、吹き飛ばされて壁に叩きつけられる。
「さすがライオンちゃん強いねぇ。いや、操作してたの俺だから凄いのは俺か?
アハハハハハッ!」
ライオンインベスの後方で高笑いをする。黒影トルーパー。
どうやらこの怪物は先ほどの錠前により、黒影トルーパーに操られていたようだ。
「クッ!」
「おっ! まだ立とうとするの? 今ので骨の2,3本は逝ってるだろうに。仕事熱心な女は嫌いじゃないけど……」
尚も立とうともがくフェイト。
しかし、全身に走る激痛によりそれもままならない。
地面にうずくまり、悶絶するフェイトに近づく黒影トルーパー。
「お前とのお遊びはもう飽きちまった。だからここら辺で死んでくれや?」
そんな理不尽な言葉をフェイトに投げかけ、スピアを振り上げる。
もうダメだ、そう思い目をギュッとつむるフェイト。
しかし―――
―――バンッ! バンッ! バンッ!
「ガホッ!!」
どこからともなく銃声が響き、その直後に聞こえるハンセンのうめき声。
疑問に思い、そっと目を開けるフェイト。
そこには、自分から見て左側に吹き飛ばされ床に転がる黒影トルーパーの姿だった。
☆☆☆☆☆
―――道真side
爆発地点に到着し、そこで見たものは謎のアーマードライダーに襲われている金髪の女性だった。慌てて僕はザックに銃を出してもらい発砲。なんとか間に合う。
「大丈夫ですか!?」
そんな言葉を発しつつ女性に近づく。
見るとあちこちがすでに傷だらけだ。
僕は、彼女の隣にしゃがんで治癒魔法をかける。
《おい! 良いのかマスター。この女、管理局の人間だぞ! ここで変に出しゃばると後々面倒だぜ》
念話でそう僕にだけ伝えてくるザック。
今の彼は剣と銃が一体となった武器・無双セイバーの姿を採っている。
これは景虎兄さんが残していた設計図を基に僕が組み立てた機体だ。
先ほど黒いアーマードライダーに向けて発砲したのもこの銃。
ちなみに、ザックはこの奥に組み込まれたクリスタルが本体で、無双セイバー自体はアウトフレームだったりする。
(大丈夫だよ。管理外世界に来てるって事は地上本部の人間じゃなくて、次元航行部隊の人間だろうから……)
そう僕は念話で伝える。
ふと、治癒を施している女性を見る。
見たところ彼女は僕より少し年上の様だ。きれいな金髪に透きとおる肌、顔立ちも端正だ。さらに、意志の強そうな瞳が、可愛いくもかっこいいという印象を同居させていた。
でも、触れてしまうと壊れてしまいそうな儚げな雰囲気を纏って、守ってあげたくなる様な……。
「あ、ありがとうございます。あの、あなたは?」
と、今の状況であまり関係ない考えをめぐらしていると、僕の視線に気づいたのだろうか、女性が不思議そうに話かけてくる。
何を考えているんだ僕は……。今考える事じゃないだろう……。
「通りすがりの一般人ですよ。……たぶん?」
(それに例え地上本部の人間でも、このままほっておくわけにもいかないよ)
と念話でザックに言い、辺りを見回す。
どうやら襲われたのは彼女だけではないらしい。
周囲には傷つき倒れている局員の人たちが10人ほどいた。
「ブラァ! なんだテメェは?」
さっきの発砲で吹き飛ばしたアーマードライダーがやっと起き上がる。
今まで起きてこなかった事を考えると、兄さんが設計した無双セイバーは相当の威力らしい。さすが兄さん。そう心の中で我が自慢の兄に賞賛を送る。
(それに、確かめたい事もあるしね……)
《確かにこの状況は気になるな……》
「とりあえず、ここでジッとしておいてください」
治療をあらかた終え、僕は女性にそう言って立ち上がり、黒いライダーを見据える。
「こんな事をしておいて、テメェどうなるか分かってるんだろうな?」
「さあ? そんな事よりなんであなたが戦極ドライバーを持ってるんです?」
「アン? なんでこのおもちゃの名を知ってるかは知らねぇが、テメェなんかが買える代物じゃねぇんだよ。坊ちゃん?」
「買った? どこでだ?」
相手の坊ちゃん呼びにイラッときつつ、気になった部分を再度質問する。
戦極ドライバーを買った?
どこで?
誰に?
「んな事教えるかよっ! そんなに教えて欲しくばこの俺に勝ってから聞け。まあ、勝てたらの話だがな?」
そう言い、スピアを肩に担ぐライダー。
どうやって操作しているかは知らないが、上級インベスと思わしき赤いインベスを隣に従えている。
「そう……。勝ったら教えてくれるんだね? ザック!」
《あいよ!》
ザックの格納領域からあるものを取り出させる。
それは―――
「なっ! 戦極ドライバー?!」
驚愕する相手を他所に、僕はソレを腰に巻きつける。
―――プル~ン!!!
右腕をまっすぐ相手に突出し、ロックシードを開錠する。
まっすぐ突出して誇示したソレを今度は胸の近くまで引き寄せる。
引き寄せた右腕と左腕を交差、次に両腕を開くように体の周りを回していく。
半周回して、ロックシードが顔の左側に来た所でいつもの言葉を叫ぶ。
「変身!」
それは昔兄さん変身する際言っていた言葉。
故に自分も変身するようになってから真似をするようになった、僕にとっての戦闘前の己を奮い立たせてくれる暗示の呪文で、そして今は遠くに行ってしまった、兄さんと僕を繋ぐ言葉。
それを口にし、左側に持ってきていたロックシードをドライバーにはめる。
―――ロックオン!! ♪♪~♪~
待機音声として流れる銅鑼の音を聞きながら、僕は左手でベルトの小刀・カッティングブレードを弾く。すると、ロックシードを開錠した際、空間を割いて表れていた巨大なプルーンが僕の頭に被さる。そして―――
―――ハイ~!! プルーンアームズ!!
―――蒼・刃・セイヤッハッハ!!!!
プルーンが展開し鎧となった。
そこにはもう僕の姿は無く、一人の戦士が立っていた。
深い緑色のスーツ・ライドウェア、明るい空色の鎧。
そして、右手には黒に近い紺色の短剣、左手には白に近い水色の短剣、いわゆる双剣を両手に握り悠然と構えている。
「覚悟しろ! ここからは、終幕(エンドマーク)まで一本道だ!!」
悠然と構えた戦士。僕ことアーマードライダー絶影がそこにいた。
道真「ゴゴゴゴゴゴゴ」←いい笑顔
作者「……」←土下座
道真「なにか言う事は?」
作者「2か月も待たせてしまった事、そしてキリの良いところまで仕上げたらいつの間にか長ったらしくなっていた事、本当に申し訳ありませんでした!」
道真「小説放置は性質の悪い病気だ。それも人に伝染する。……作者さん、あなたはね、そうやって病原菌をバラまいているんですよ」
――ソーダ~!!
――メロンエナジーアームズ!! ♪~♪♪♪~♪♪
斬月・偽「あなたには犠牲になってもらいます!」
作者「ミチザネェ!!」
魔導師とインベス&アーマードライダーの関係は、ポケモンの水タイプと草タイプをイメージして頂ければ分かり易いと思います。
それと、ミッチが龍玄じゃなかったり、グリーンバナナ黒影とか初っ端からオリ要素満載なのは私の責任だ。だが私は誤らない←土下座