転生したらTSふたなり聖女だった件   作:自給自足日常系異世界ファンタジー作家

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この作品にはセンシティブな内容が含まれています。

この作品の世界観やキャラ及び背景は、現実の団体組織国家及び人間とは関係ありません。
ショッキングな内容が苦手な方や障害をお持ちの方、そして第二次性徴期の始まっていない人が見るには薦められない内容が多分に含まれています。

以下の方は本小説を閉じて頂けると幸いです
・中学校を卒業していない方
・過去に社会的に精神を大きく蝕むような経験をしており自分の中で因縁を断ち切れていない方

上記二項目に当てはまらない方のみ本小説をお楽しみ下さい


プロローグ

どうも初めまして異世界に転生しました、入江李江と申します。

読み方はイリエリエです、こんな名前でも男でした、ハイ自己紹介終わり。

 

 

前世で死んだ時の年は18歳で趣味は競馬&酒の飲み比べ、友人というか知り合いは腐れ縁が5人ぐらいかな?

 

 

腐れ縁の友人達には究極のアウトロー人間って言われていました。

 

その理由はきっとアレなのだろう。

 

俺は——

 

 

——神を信じていました。

 

 

 

宗教が危ないだの何だの、何でも反射的にレッテル貼りをしてしまう現代人に囲まれて真摯に神の存在を信じていたのだから。

 

俺は元日には必ず神社にお参りして、毎週日曜日には教会に祈りを捧げていました。

 

自分の満たされない孤独を埋めるために、どれだけ親しい人間と居てもどんな娯楽に浸かっても満たされない自分のために。

自分の未来の結末、救われずに死んでしまう誰かが減りますように...と毎日祈り続けた。

 

 

そんな中俺は人知れずに死んだ。

死因は覚えてない、ただ唐突に目の前が真っ暗になった事だけは覚えてる。

 

俺は信じてた、だから祈ってた、荒唐無稽にただひたすら傲慢に「俺を救って下さい」って。

 

 

天国に行けると信じてた、そんな俺が異世界に転生したのだ。

——人によって思う事は人それぞれだろう、少なくとも俺は全てに裏切られたと感じたね。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

娼婦の母のもとで生まれた、中途半端で飽き性で突発的に何かを始める人間だったけど継続ができない人だった。

——生まれとしてはいい部類ではないのだろう、毎日2食だしパンと薄いスープが少しったし飢饉の時は空腹で寝れない日もあった。

 

苦しく険しい日々だった、前世の自分だったら空腹でバイトなり何なりしてたが異世界だろうとマトモに子供を雇ってくれる奴は存在しないから諦めている。

——前世では薄汚い正義ズラした法人組織に媚を売って甘い食べ物を買って贅沢してたが、生憎そんなお優しい人たちは居ないから毎日空腹に耐える為に芋を育てております。

 

そんな芋も私の同類に奪われて結局は雀の涙程しか残らない、だけど今世の私は満たされている、何てったって何かに希望する事はなくなったからね。

——どうやら今世の私の脳味噌が社交的で人と居れるならば、多少の渇望感も誤魔化せるらしい。

 

俗に言う品性高潔な人間に生まれる事ができたという訳だ、残った微かな食べ物を私よりも弱い同類に恵んで便利さを供給してもらう。

 

 

ああ貧しいながら満たされた暮らしだ、クソッタレの虚栄感だ。

 

 

だから何だと思うだろう?

——それだけで私は胸を張って生きられる、一時的には満たされて生きる事ができる。

それだけで幸せなのだ。

 

神を信じる心労もなければ、仲良くしてくれた友人達を邪険に扱ってしまったという負い目も負わずに済んでいた。

 

 

こんなんでも私は毎日が幸せだった。

 

 

ところで諸君は幸せとは何だと思う?

——私は自分の意識次第だと思う、そう意識だ。

 

人間社会に生きる人間としてマイホームや自家用車を持てる事が幸せなのはなぜだ?

それは自らの幸せや判断を他者に委ねた結果だから、繰り返す事惰性の極み、だがそれだけでは心の底から満たされる事はない。

 

ならばどうするのか?

——無力感と負のスパイラルから抜け出して、ビジョンを組み立て心の底から何かを達成したと自分を底なしに認める事だ。

 

自己と周囲の境界線で、意識が上手く立ち回れる事が幸せの条件なのだ。

——故に他者から褒められても自分が認められなければ幸せになれない、故に自らを認められても他者から褒められなければ幸せになれない。

 

ああその両方がこの世界では廉価に売られている、目先だけで見返りがない世界で。

 

私は母を手伝えば店主に褒めてもらえる、そして周囲の人間と仲良くして勉学に励み出来の悪い芋とその草を分け与える事で自分を認められる。

 

 

私は品性高潔な人間だ、それだけで自分を認められる。

——今の私は廉価な人の心と自分の善行によって満たされている、とても幸せな毎日だった。

 

 

 

だがそんな幸せな日々を続けられる程、この世界は人に優しくないのだ。

 

異世界、それも文明レベルは中世から近世がいいところの不便な世界だ。

——そんな場所でも私は満たされていたが、これまでと同じただの虚栄の為だったと思い知らされた。

 

私は知らなかったのだ、色宿の中でお手伝いをしながら空き地で芋を育てているだけで何も知らなかったのだ。

——外では魔女と戦う騎士や魔物を狩る冒険者が居るとされている剣と魔法の世界の事を、それは非人間的な行動を衝動的に行わせる、自分でも隠してたつもりだったが同じ色宿の子供に両性な事がバレた。

 

 

私は震えた、自分がどの様に扱われるか分からなかったから。

——両性故に俺は理解できない存在、悪魔か何かの生まれ変わりだの魔女だのレッテル貼りされて殺されるという恐怖がどこからか湧いてきたから。

 

 

でも実際、私と母はどう扱われる事もなかった。

 

 

そもそも色宿は、俗に言うLGBTQ+うんたらの人々も少なくないのだ。

——私以外でも男だけど体が細くて胸の大きい人が居るらしい、女の体だけどチンポコ生えてただけで排斥する思考に至るほど短絡的になれる環境じゃない。

 

需要がありそれで飯を食えるなら何でも構わないのだ。

現代だとシーメール?ニューハーフ?みたいなのは敬遠されがちだけど、この異世界では貴族とか以外は男は女とヤルべき...みたいな概念を持ってない。

 

 

気にしてないのならそのままでヨシ!!

 

 

自分の中の物事を判断する大事な部分がグチャグチャになった、そんなブッ飛んだ世界だ。

 

 

それからは本当に自分を認められる様になった、芋を育てる場所を子供や落魄れた中途半端な大人を沢山集めてヤクザ紛いに取り仕切りる等をして正しく人を救う事ができた。

——飢餓から脱却し商いを始める事ができた、それからは欲求という底に蓋ができて満たされた日々を過ごせる様になった。

 

 

そんな時だった、魔術師の人が魔術で水やり用の桶に水を入れてくれたりガタイのデカい男の人が肉を恵んでくれる様になった。

——力のある者はより大きい力を振るえるって事を知った、でもそんな事に俺は興味を持てなかった、ああこのスパイラルから抜け出す為に行動する事こそ大事だったんだなって。

 

 

何故ならこの世界の人達は手に職をつけてから一定以上に達すると異様に裕福になるから、毎日酒を浴びる様に飲めるらしい。

 

 

どうでもいい事だが資源的に余裕のある世界なんだな、私の知っている人間の世界とは改めて違うと思った。

 

 

だが関係のない事柄ではなかった、無論ブッ飛んだ異様に資源的に余裕のある世界が自分達に牙を剥く事もある。

——この世界は剣と魔法の世界なのである、俗に言う魔物とか妖精とか人智の及ばないの魑魅魍魎が跋扈している魔境なのだ、そしてその魔境に足を踏み入れる一般人は相当な怪物だ。

何でもない20ぐらいまで生きる事のできた彼らでさえ異様に裕福な暮らしをしているが、逆に考えたらそれ以上の地位を持つ人達はどれほどの存在なのでしょうか。

——初めて出逢うまでは想像すらできませんでした、ええ()()()()できませんでした。

 

社会の秩序を維持し対価もなしに自分を守ってくれる警察は存在しない、災害に遭った自分を助けてくれる自衛官は存在しない。

——この世界でも力のない人間はただの搾取対象でしかない、個という存在は容易く蹂躙されるのだ、例え我が母の様に美貌に優れた魔性の女でも満足な食事もできない程に。

 

 

前世以上に位がハッキリとしている世界で、例えば異様に資源的に恵まれている人達の中で、例えば()()()()()と呼べる人間が居たらどうだろうか。

 

 

私の居た色宿というか町は魔女と魔女の率いる魔物に襲われた、狙いは完全な両性具を有した私だったらしい。

——つまり私は変態に襲われている訳だ、何言ってんねんそういう風に攫われるのはお姫様の役割でしょうが、勇者様に助けられてラブロマンスでも繰り広げてクレメンス。

 

魔女は私の事を救世主だの何だの、とふざけた事を宣いながら守衛を惨殺していた。

 

これ以上被害を出したくない街の代表者は色宿に圧力をかけた。

——母の手で俺を魔女に売らせる事を強要したのだ、常に街で踏ん反り帰っていたデブがそう言ったのだ。

 

 

だが最終的に街は魔女の要求を裏切った、デブは母に刺された、あらやだこの人強い。

 

 

もう自分の生存に石を割く事をやめてしまった私を、そんなヤケクソな私を一人逃す為町が何とか馬車を用意した。

 

 

結果論だが愚かな選択だったと言えるだろう、魔女の率いる魔物によって俺が居た街と逃げてきた街の両方が滅んだ。

 

 

魔女は私を差し出せば何もしないと言った、けれど魔女の言葉を信じる人は居なかったらしい。

——私を売り飛ばす選択肢を選ばなかった理由は分からないが、多分俺私住んでた町の人達は高潔な人だったのだろう、もしくは俺のこれまでの行動が活きたかの何方かだ。

 

 

まあそんな事はどうでもいい、母は前の町で託された馬や御者の人ごと殺された

——私は魔女に捕まった、全てが無意味で無価値だと示されたんだ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「救世主様は頑丈で羨ましいわ、勿論死んでもよかったのだけど。」

 

 

衝撃魔術の直撃、岩を容易く砕く攻撃を受け、彼女はただの打撲程度の傷しか負っていない。

 

 

私の衝撃魔術をここまで低減する程に濃い魔力か他の魔術的な素養が飛び抜けているのね、やはり私の見込み通りだったわ。

 

 

こんなのが救世主ね...

人が、いや母が殺されても眉一つ動かさずに居られるものなの?

 

 

諦めか虚栄心か、ナニかは分からないけどね。

 

 

礼拝協会や福音委員会の理想とする存在を現実に置き換えたら、こうなってもおかしくないのかしら。

——あらゆる厄災に屈さずあらゆる悪に惑わされない存在、実在するならばどこまでも素敵よね。

 

 

「ねぇ魔女さん、何で私を狙ったの?」

 

 

「救世主を殺したかったの。」

 

 

「は?」

 

 

「神を信奉する人達の救い手、いずれ蘇り天に上ると言われている救世主様——

 

 

——あなたがそうでしょう?イリエ・リエンデール」

 

 

存在するのならこの子供に間違いない、自分は全てを賭けてきた、私はこの子と繋がっているモノの行く場所を見てみたい。

 

ただこの子供は、その全貌を知ろうと思う事もせずに断言した、悟った様な目で私の全てを否定したのが許せなかった。

 

 

「人が天に上るその時を私は見てみたい、理由はないわ、ただ気になったから。

悪魔と天使が居るなら神が居てもおかしくはない、私はそれに触れたいだけ。」

 

 

「ん?」

 

 

叫びもしない泣きもしない、過去の自分とは大違い、私とは真反対ね。

——気味が悪い

 

 

「私ってそれが、とっても悍ましい事だと思うの。

——でも現実に置き換えたら人間ってそういうモノよね?悪く思っても構わないわよ?」

 

 

遠い異界の地に存在する楽園とされる牢獄の中で美しい人達が飼い殺されているの、とっても悍ましいわよね?彼は理解できなかったみたいだけど。

 

 

「悪く思う...かぁ、満たされてるから別に今は思わないかな。

不快感かな?それだけが凄いや、う〜ん喪失感って大事だったのかな。」

 

 

気に入らない、何も知らない子供の癖して悟ったみたいに話すのが気に入らない。

 

あなたは何も知らない。

——魔術の事も妖精も魔物も悪魔も天使も何もかも知らないのに、何故そんな心構えで生きられるの?

 

理解できない、死を前にしてそれを受け入れられる心構えが理解できない。

 

 

ああ、この子供を選んでよかった。

 

 

この子供は私の理解できる存在ではない。

——悪魔は悪魔と形容できる、天使は天使として存在が確立されている、だけどこの子供の存在定義は確立されていない。

 

 

もし彼を救世主と定義できたら?

 

 

何かを知れる、新たな世界への扉が開かれるって信じてた。

——私は何も知れなかった、何も知れなかったのだ。

 

ふざけるな、私の生み出した心そのものでしかない魔術で私の心を否定するな。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

魔女が俺と目を合わせたら発狂したんだ、俺を何回も刺したあと不意に自殺した。

——魔女の身体中が妙な痣だらけだし手足も腐りかけ、薬でもキメて狂ってしまったんだろう、マトモな状態じゃなかった。

 

全部手に入れた後に結果がこれかよ、許せねぇよ返せよ俺の全てを返せよ。

——何で奪った?何故?

 

 

俺は救世主でも何でもないただの子供だ、周囲の人間その全員が狂信した結果誰も救われないなんてな酷い話だ。

——虚無感に苛まれる感覚、そうこのどうしようもない感覚だ。

 

どこまでも空虚だ、いや逆にこれまでが幸せ過ぎたんだろうな、これが普通なんだ。

 

勝手に死んだ、やりたい放題して勝手に死んだ、俺を残して全員死んだ。

——今世の良き母を返せ、掛け替えのない友を返せ、俺の幸せを返せ。

 

そんな事をいくら心の中で繰り返しても一向に元通りになる気配はない、ああこれが他者に自分の価値を依存していた結果だ。

 

 

これからどうしようかなぁ、身体中痛いし苦しい、血がドバドバ出てるし。

——多分この怪我が原因では死なないけど、生きられるかは分からないんだよね。

 

 

何か食べたいし何よりも水を飲みたいけど、疲れか何かで手も足も痺れたまま碌に動かないから困った。

 

 

この世界の人間って頑丈なんだな、ザクザク刺されまくって内臓飛び出てても死なないんだね。

 

うん絶対関係ない。

頑丈な生まれだったか、切り裂かれた場所が重篤な症状にならない部位だったのだろう。

 

内臓は少し飛び出ているが押し込める範囲でよかった、正常に治るかが心配だ、無理矢理布で押さえ込んでいるが今にも再び飛び出てしまいそうだ。

 

 

こんな状況で生存を確信できるとか前世での環境では到底有り得ない、何だったら完全な人の子じゃないとか?妖精とか魔物の血が入ってるとかだったらまあ納得できるかもしれない。

——そんな事はどうでもいい、今にも俺は死にそうなんだ。

 

 

目の前の魔女の亡骸に何体かの魔物がしゃぶり付いていた、血や肉を吸うたびに欠損した肉体を再生させている。

——確信した、俺はこれからコイツらに腹を啜られて死ぬんだって。

 

 

それからは本当に無だった、諦めか何もやる気がしなかった。

 

 

死にたくない、その一心で這ってでも動きだす。

 

 

重種の馬、前世の知識における輓曳馬にあたる。

——その巨躯に触れる、頼りになる存在だった、日々の生活の維持に一役買ってくれてたな。

 

前世で初めて見た時の競馬、その時のそれは軽種(サラブレッド)だったけど。

ドン底で負の感情に苛まれ続けた結果起きた残酷な過去、俺は何だかんだ楽しかった日々を思い出していた。

——そんな事はどうでもいい、俺は死にたくねぇもうすでに終わった前世の記憶を見せてくるな。

 

 

ぼんやりとした意識のまま手を上げる、俺のその手を何かが掴んだ

——周囲に人間は居ない、だが確かにその手は握られていた。

最初は偶然通りかかった人かと希望を持ってしまったが愚かだったと思う、それは似ても似つかない二足歩行の生物だった。

 

見た瞬間確信した、それはこの世に居る筈のない異形の存在だと。

——妖精魔物その何れかだと、関わる筈もない異形の存在だ。

 

俺はソレの手を払った、悲鳴を上げる体を無理矢理動かして逃げた。

だが地面で這う事しかできない瀕死の子供が化け物相手に逃げられるはずもなく、俺の抵抗は意味をなさなかった。

 

それからは何もかもされるがままだったと思う、人のカタチをしたナニかに洞窟の中へ連れて行かれた。

 

 

目が覚めたら、そこで俺は首枷を嵌められていた。

 

自分の肉体からウジが沸いてるしヌメヌメしたナニかが身体中にこすり付けてある。

——何故か睾丸と陰茎は切り落とされてるし、そのヌメヌメしたナニかが腟口から滴り落ちている。

 

何となく察した、ソレをしたのが目の前の緑色のヒトガタだという事を。

——俺は吐いた、不快感と倦怠感で吐いた。

 

身体に塗りたくられているのは?

糞尿や目の前のアレに吐精されたモノだろう、俺はしばらく理解できなかった、理解したくなかった。

 

 

精液に糞便を塗りたくされたら治るモノも治らない、幸い良質の食事や水は運ばれてきてるから死ぬ事はないけど。

——気色悪い、何を考えてるか分からない。

 

 

こんなのが救いか?答えろ

——神が居るなら答えてほしい、目の前の薄気味悪いゴブリンみたいな奴に死にかけた状態で犯される事が救いなのか?

 

肉袋として慰みモノになるのが救いなのか?

 

否こんなモノが救いである筈がない、少なくとも俺にとっては救と最もかけ離れたモノだ。

 

婦女暴行そして監禁罪、前世で与えられた知識はよくないモノだと言っている。

 

 

よくこの化け物達は俺を見て微笑む事ができるな。

 

死にかけの俺に糞尿を塗りたくって吐精して殴って、とても正気とは思えない。

 

もしや正気じゃないのは俺か?

——この場限りでもいいからこの異常を受け入れろと、そう言いたいのか。

 

 

「ハハッ!!アッハッハ!!」

 

 

笑う事しかできない、きっと俺は狂ってしまったのだろう。

 

 

そんなある日、ゴブリンが本を持ってきた。

 

 

あの魔女が持っていたであろう魔術書だ、このゴブリン達に亡骸を犯されながら貪り喰われた魔女の知謀だ。

 

 

「ゴホオビ」

 

 

どうやらいい子にしていたらご褒美が貰えるらしい。

——糞尿を塗りたくられて吐精されて殴られながら笑えば、()()()を貰えるらしい。

 

 

ふざけるな

 

 

コイツらは惨たらしく殺してやる、清廉とした場で清く正しく殺してやる。

 

 

甘ったれてた、そうだ長く平和で安定した環境で生きていたからだ。

——頼れるのは自分だけ、自分を救えるのは自分の手に届かない超越存在から齎される身勝手な施しに全身全霊でありつけた時だけだった。

 

人が信じるに足りる神なんぞ居なかったのだ、思い出した、自分を救えるのは自分だけだと。

 

 

俺の望むが儘にこの世界を、この世界における人間の世界観を構築して自分を救ってみせよう。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

生まれ変わったら剣と魔法の世界だった

 

魔術師や神官が超常的な技を使っていた。

ある者は火を操り水を生み出した、またある者は傷を癒やし病を治した。

 

剣士が魔物を両断し、家の屋根よりも高い場所に軽々と飛び移ってた。

 

 

誰もが夢見たファンタジー世界だ、私はこの世界に生まれ変わった。

 

 

そして、そんなファンタジー世界の根幹では魔術が存在している。

——魔術、この異常な力の源は魔力であり、それを操る事であらゆる結果を齎す事ができる。

 

 

その力の正体は証明されていない

 

 

奇跡の様な未知の力を操る、それが我々神官であり魔術師だ。

——万人が魔力を持っている為、全ての人に平等に齎される力であり権利だ。

 

 

そして、それを解き明かしたり世界における法則を書き換えようとするのは大罪である。

——世界の在り方を一変させ、破壊するかもしれない凶行なのだから。

 

 

 

私は孤児だった。

いずれ成人となり神官として、冒険者として働いていていた。

 

役割としては後方支援であり、後送されてきた人達の治療などを行っていた。

 

そして1日一食、それでも彼と幸せに生きる事ができた。

そんなある日、私の居た町は迷宮から這い出てきた魔物に滅ぼされた。

 

 

私は怒った、何に?神にそしてこの世の不条理さに。

 

なぜ私達から幸せを奪ったのだ!!彼は死ぬ必要はあったのか!!

 

 

その謎を問い続けている内に私は魔女となり、悠久の時を経て希望に出逢った、それは白髪の子供だった。

 

 

 

彼は街を豊かにした、彼は正しき力を操った。

彼の在り方も救世主そのものだった...

 

 

 

そして、そんな彼の全てを手に入れる為に悪魔と契約したというのに私は何も得られなかった。

 

 

目の前に居る少年、まだ小さな守るべき子供が救世主の筈のない事は頭では分かっていた。

——全ては私の求める答えがなかっただけだ、彼はあの場所で全てを示していたのに。

 

 

人に能を与え程々に酬を与える、ただそれだけでよかったのだ。

 

 

なのに私はそれを認められなかった、あの子供に八つ当たりをして、刺して嬲って...

——ああ私って何してるんだろう、何がしたかったんだっけ。




小説の描き方分からん侍
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