転生したらTSふたなり聖女だった件 作:自給自足日常系異世界ファンタジー作家
自分と同じ偽聖女モノを書いていた先人が居る事を知り自分と比べてしまったんだ...
以下少し雑談
雑談1
そうそう最近知ったんですが禁欲をする事で想像力が高まると聞きまして9月26をもって始めてみました、まあ本当の理由は日常生活に異常を来たす感覚過敏を抑える事ができると聞いた為なんですけどね。
雑談2
ワイの家の隣に住んでいる友人が趣味?で作った催涙ガス?の刺激に『俺が』やられて吐きました、ミリオタ仲間として嬉々と原材料を語ってくれましたが俺はガス兵器に興味はないんだ...でも小説のネタとして使えそうだなと思ってしまったのが悔しい
そんな感じの心境の中書き込みました、それでは選ばれし読者の皆様はお楽しみ下さいませ。
「イリエは第三階梯魔術師なんだよね?」
「そうらしいね」
「なら僕にだけ先に魔術を教えてくれない?
——帝室が学院を通じてイリエに魔術の指南を求めたのは知っていると思うんだけど、僕にだけ先んじて教えてほしいんだ。」
ほほう?頑張り屋さんめ、よかろう俺が実戦的な稽古をつけてやろう。
「いいよやる事もないし付き合うよ、と言っても俺に出来る事は限られてるけどね。」
ついでに俺も教わろうかな、魔術書で分かる事は少なかったし、何て言うか穴だらけの継ぎ接ぎな知識だからな。
「という訳でヘレン先生宜しくお願いします」
「いいけど...その子は大丈夫?」
「イリエに教えてほしかったのに...」
「大丈夫だよ、どうせ俺に教えてもらいたかったんだと思うけど俺も教えられる程の知識ないし、という訳で俺にも指南お願いします。」
「意地悪...
まあいいわ、徹底的に扱いてあげるから覚悟して。」
はいはい私は意地悪なんですよ、まあ正確には意固地なだけだけど。
「えーまず最初に、人間の肉体には魔力を生み出す為の魔力神経が備わっています、この魔力は身体能力を強化したり道具や物質に魔力を込められる様になります。
——人間含む生命体が第一階梯魔術師になる以前の最低条件です、例外なく全ての人間が体内に持っています。
魔力を生み出す効率や運用能力は才能と努力で決まります、魔力は循環させたり使用する事で質が上がります、魔力神経器官内圧が高ければ高いほど魔力を捻出する能力が高くなり魔力量に直結します、魔術回路の場合は習熟度次第ですね。」
魔力神経が石油精製機兼倉庫みたいな感じで、魔術回路がエンジンみたいな感じかな?そして何かしらの形で出力するという事だ。
「先生質問です」
「はいイリエ君どうぞ」
「例外はないんですか?例えば生まれつき魔力神経がない個体というか人間が生まれたりする事はないんですか?」
例えば人間の場合でも生まれつき内臓器官が欠損していたりとか少なくない、魔力と魔術はギフトなのか、それとも先天的な才能もしくは進化や遺伝の結果で得られる系譜なのか。
「勿論例外はあります、ただそういった人は非常に少ないです、国に一人居るか居ないかですね。
——ただ居たとしても世界の魔力に当てられて早死します、魔力回路や魔術回路は先天的な耐性でもあります、故に居ないと考えても大丈夫です。」
「なるほど、ありがとうございました。」
エイズにかかりにくい血液みたいな?それの魔力版?がある可能性があるし、まあその辺は未来の研究者次第だな。
「次は魔術回路に関してですね、この魔術回路がある事が魔術を扱う上での最低条件です。
——魔術回路が魔力を元手に不定形の力に変換する事で使用されると言えます、ですが絶対は有り得ないのでこの辺に関しては殆ど解明されていません。」
「そうなのですか?僕は学院で神の与えた力『祝福』だと聞いたのですが?」
「それはギフトに近いものと考えられています、もしくは隔世遺伝と呼ばれるモノにかと私は考えています。
——後者は生まれつき何故か自由自在に雷や電撃を操れたり、異様に魔力や魔術の親和性が高い肉体を持って生まれたり、魔物や妖精の形質を受け継いで生まれたり、洗礼を受けずとも白魔術を使用する事ができたりと様々です、これは人間や生物など繁殖を必要とする生命体その全てが持つ事が性質です、偶然の末に得られるモノです。
前者の場合はこの世界と全く違う位相に住まう者達から与えられるものです、学院で習った
俺からしたら偶然と運命の違いなんか分からないけど魔術的には区別されているんだな、難しい事ばかり言われて全然意味分からない。
「つまりどういう意味?3行で纏めて」
「魔力神経は魔力生成と魔力最適化に関わるもので魔力的な耐性にも関係する
魔術回路出力器兼運用器で魔術的な耐性に関係する
偶然得た特別な力を異能作為的に与えられた特別な力が|ギフト《特殊な才能を与えた存在によって名称が変わる》」
「なるほど分からん」
この人の頭が良過ぎて追い付けない、つまり結果よければ全てよしって事だな。
「まあイリエちゃんは例外ですから、こういう魔術の根底を考える必要ないですよ。
——外部の存在から与えられた才能を『ギフト』、生まれつき持っている性質を『異能』と言います。
魔力神経がエネルギーを生み出す場所で魔術回路がエネルギーを扱う場所です。」
それ絶対によくない解決の方法だと思うの、いやマジで何の為の授業やねん、俺の為の授業ですね、ありがとうございました。
——最初からそう言ってくれたら嬉しかったかもしれない、いや本当にマジで。
「分かりやすかったわその説明、その調子でお願いします。」
「大丈夫だよ、僕が教えてあげるから。」
黙れホモ、俺は可愛い女の子につきっきりで教えてもらいたいんじゃぁい。
「えー講義を再開致します、次は魔法の属性に関してです。
——私達第三階梯魔術師とそれ未満の魔術師の扱う魔術の違いは多いですが、根本的に違うモノです。」
「はい先生どういう風に違うんですか?」
「第一第二階梯魔術師の魔術は仮想的なモノで発動した魔術はいずれ無に還ります、——ですが第三階梯魔術師の使う魔術で実体化したモノは、ほぼ永遠に残り続けます。
備考ですが、そういった理由で上位種の魔物が巣喰った場所には豊富な資源がおさめられているのです。」
「へぇ...」
なら第三階梯魔術師が錬金術を使って生み出した金は残り続けるって事だよな、うわヤバ過ぎだろ。
「そして第一及び第二階梯魔術師が扱える魔術はおおまかに4種類と5種類合わせて合計11種類です。
黒魔術の基礎である火水風土の四種類、そして白魔術の洗礼魔術とその派生型である治療及び治癒魔術で2種類、そして呪術と錬金術と魔法です。
——呪術は幾度となく続いた排斥により旧帝国領土では喪失致しました、錬金術は魔術師の魔力量と魔術の制御能力の関係で使用不可能、魔法は既に世界へ溶け込んでいる為に認識ができないので意識して使用する事はできません。
一応例外も存在しますが...上記の理由によって第一第二階梯魔術師が使用できるのは黒魔術の火水風土の魔術に加え、白魔術の洗礼魔術とその派生型である治療及び治癒魔術のみになっています。」
「魔力量と魔術の制御能力の問題を解決できれば、ただの人間にも開発した魔法の使用が可能になるのですか?」
「ええ、理論上はその通りです。」
何か頭良さそうな話してる...
「ですが第三階梯魔術師の場合は魔法の認識ができるので、魔法の構築及び改造などが可能になります。
——因みにイリエさんは私の開発した魔術行使用の魔術行使陣を魔改造して、魔術を発現するどころか制御まで自動化しています。」
「それは凄い事なのですか?」
「ええ本当に、実は第三階梯以上の魔術師が編み出す魔術と魔法は想像力と構築能力に依存するのです。
——つまり『とある方法』を使えば魔術の操作にリソースを必要としないで済むと知っているのです、それはこの世界にとって『異能を超えたナニか』と言っても過言ではありません、まあそういう異能を持っているのかもしれないけど。」
悲報ワイ、この世界にとっての異様な存在と断言されてしまう、まあ当然だな前世持ちどころか異世界の人間だし。
「俺を新しい分類に当て嵌めるのやめてくれない?」
「まあイリエだしね」
「そうね
「その反応って少し酷くなぁい?てか相当ハードル低いんだな...」
話を戻しますと彼女は言い、彼らはまた聞く体制に入る。
——そんな事よりおうどん食べたい、おじさん異端とか人を糾弾する云々の話嫌いですの。
「それでは最後の講義です、異能及びギフトに関してですね。
これに関しては多種多様なモノが存在しています、この世に存在するモノの延長から
私の知り合いや弟子が異能持ちでしたから、その子達の事例を出します。
No.1善き湖の妖精Mちゃん、魔力が電撃になる異能使い。
No.2彼は旧帝国の建国者『初代皇帝』『尊厳者』であり『人類の救世主』、神から啓示を受け神の代行者として相応の力を振るっていたわ。
以上、Iちゃんの異能は想像もできないから説明はしないわ。」
——異能持ち少な?!
てか俺も異能持ち扱いなのか、てか魔女さんそういう事は魔術書に書いてなかったのね、マジで落書きが大半なんだわ。
「勉強になったわぁ、色々と俺も試してみるよ。」
「僕には何も分からなかったけどね...」
多分見えている世界の違いなんだろうな、俺には分かんないけど。
でも色々と勉強になったわ、まあ異能の解析とか興味ないから俺は強さと利便性を求めるだけだな、ただ進化先を選ぶべきって事は理解できた。
モルガンさんの自分を卑下する言い方って最終的にはそういう事だよな...
——生かすも殺すも自分次第か、彼女は殺しちゃったんだろうね、あと迷宮関係だな。
今現在超絶困っております、超絶お困り状態です。
——魔物の襲撃が止まりません、どこからともなく襲ってきます、12時間体制で俺とヘレンさんが交代交代砲撃し続けるという無の時間が続いております。
因みに礼拝協会とやらが派遣してくれた騎士達は案の定裏切ってくれました、魔術で映像記録と音声記録も残したので安心。
——皇太子クンが後ろから斬られましてねそれからはもう一瞬だった、第三階梯魔術師による蹂躙劇、よかったねぇ皇帝陛下とやらは俺が本物でね。
「ヘレンさぁん帝都までの道は分かる?」
「確か2000年前ぐらいに行った覚えがあるから大体の道は分かるわ、間違えたら皇太子の子に案内してもらうから。」
「いや無理だろ、帝室暮らしの皇太子が僻地と王都を繋ぐ道を理解している訳なかろうて。」
「酷い事言うわね...」
「残等ですわ、俺に惚れてしまった時点で残念男なんだよ、まあ容姿がいいから仕方ないのかもしれんが。」
「可哀想ね...人の心とかないの?」
「あるけど命がかかってる時は手元にない、落ち着いたらヤろうぜ。」
「遠慮しておく」
「残念」
じゃあ手を出す事はできないな、味方の事は蔑ろにしたくないし彼女を尊重しないとね。
「——あとこいつら何か弱くない?
第三階梯魔術師も何人か居るみたいだけど戦闘能力はその辺の傭兵にも劣るぞ、てか主力が魔獣ってそれでいいの?前みたいに精鋭を大勢で送ってくれば刺し違えた可能性もあったのにな。」
「前みたいに?」
「迷宮の主を狩った時に襲われたんよ、一応全員殺したんだけど。
——比べると弱過ぎるのよコイツ等、黒雀蜂と大雀蜂ぐらい違う。」
この世界に居なかったら伝わらないだろうけど、いや本当に戦闘力においては大きい差があった。
「その例えは分からないけど、前襲われた時の魔術師達は強かったの?」
「100人ぐらい居たんだけどそこそこ強かった、でもコイツ等は弱過ぎる、戦い慣れてない新兵ばかり。」
「その時に熟練の魔術師の大半を失ったのよ、イリエはまるで人間を殺す事に特化した魔術の運用をするわね、多分魔術師や人間との戦いにおいてイリエに並ぶ存在は居ないわ。
——損耗率は基本1%酷い戦場でも20%なのにイリエとの魔術戦では6割が重症者で残りの4割が死傷者ね、異様な死傷者率と制圧力が、ただ運用は対人特化なのに使用魔術が大型の魔物や迷宮の主に使う様な威力のモノなのがよく分からない。」
「ただ人を殺すだけなら近接戦で十分だ、だけど数を殺すなら投射量の方が重要だし、戦車を破壊できる一撃が廉価だったらソッチの方が楽でいい、だけど正確性も求める必要があるから結果こうなった。」
米帝みたいな拡大志向から効率重視に移行した結果だよね、ただの155mmに誘導弾を付け加えるとか流石としか言い様がない、そして魔術は便利だから一手間加えるだけでそれが為せる、更に便利だ。
「天使の軍勢にでも喧嘩売る気なの?片っ端から魔物でも滅ぼす気かしら?」
「正直どうでもいい、ただある程度の力を求めたらこうなってしまった。」
「これはある程度とは言えないわよ?」
辺り一帯が血深泥となり、そこら中で砕けた魔物が散らばっている、地面に血が3で肉が7といった割合だ。
——強烈な悪臭が漂い、血肉に鳥や動物が無数に群がっている、そうそう見る事はできないだろう異様な光景だ。
「いいじゃんそんな事、それより早く首都に行こうぜ時間を無駄にしたくない。」
「そうね、ご飯ができたら出発しましょうか。」
「了解、食事は邪魔されたくないから攻撃範囲を広げる事にするよ。」
「まだ広がるのね...」
半径10kmだった魔術攻撃範囲が20km先まで広がり、その範囲に入り込んだ魔物の悉くが虐殺されていった。
「まあこんなモノでいいだろう、数だけは多かったな。」
「あなた救世主じゃなくて悪魔だったりしない?」
酷い言い草である、まあ個人が軍隊を完全に掌握して操るってんなら戦闘力的には当然だわな。
「しない、衝撃魔術の種は使い切ったから大盤振る舞いはもうできない。」
「——そうなの?
早めに行きましょうか、なら二波三波と続いたら生き残れるか分からないわね。」
焦ったように馬車を飛ばす、馬車に備え付けられていた馬は潰してしまったからバンバが全速力で悪地を女1.5人男1.5人を運ぶ、流石に我が愛馬であっても疲れが見えるな。
——衝撃魔術の種である反物質エネルギー錬金術で物質化させて用意していたんですが、その種を全部使い切ってしまいました、もう使用し放題の衝撃魔術は使えません、第二派は近接戦もしくは乱戦になるが俺以外が生き残れるかどうか。
「そうだね、さっさと行こう。」
戦って感じたんだが、殺すだけじゃ何だか無駄な気がしてきた。
——何かしらの方法で有効活用したい、したくない?殺すだけじゃなくて手駒にできたら最高じゃない?いや俺は何を目指しているんでしょうね。
資源が勿体ないじゃん、捕虜を戦力化するのは基本だしさ?何か開いたらいけない扉を開いた気がするわ。
方法は追々考えるとしますかね、今そんな事している暇はないし。
「お起きたかフリードリヒ」
背中をバッサリ切り裂かれた皇太子は目を覚ました、不用心な彼である、付き人が信用に足りるとは限らないだろうに。
「...何これ」
マジでこのエルフ何者やねん、この世界の事柄に関して詳し過ぎだろ。
——前世の経験をトレースして俺はこれだけ強くなれたのに、この人は永い悠久の日々の中で全て経験して習得したんだよな、ヘレンさん俺の事を異常って言ってるがこの人も大概だよな。
「まあ何だ負い目を感じる事はない、この経験を自分の糧にするんだな。
——てかフリードリヒって結構な強さで驚いたよ、自分一人でなら切り抜けられただろ、俺達の事を気にするなんて5年は早いわ。」
背中を斬られ意識混濁とした状態で魔物や聖騎士をバッタバッタと薙ぎ倒していたからね、多分俺を囲んでいた騎士の存在に気を取られなければ生き残れていた筈だ。
——なのにねぇ、全くいい生まれだというのに人生を棒に振ろうなんざ勿体ない、いやまあ嫌いじゃあないが。
彼は命を賭して証明したのだ、それで生き残ってしまうのがまあ異世界って感じだな。
——いやまあアッチでも命を賭して証明した人は沢山居たんだが、誰も生き残る事はなかったから何か感慨深い、因果とか運命だっけか?そういうのもあるのかねぇ。
神は言っている、ここで死ぬさだめでは無いと...みたいなもんだろうか。
アホくさと思いながら笑い声をあげる、愉快な世界だ、人間が脊髄を切り裂かれても動いて敵を殺す事があるんだからな。
「そうだね...」
「誰もが最初から何でもできる訳じゃないんだ、確実に努力をして積み重ねれば目標には届かなくとも、多少ならば近付ける。
——もう一度高い場所から周囲を観察してみる、交戦後の奇襲が一番怖いからね。」
彼女が空を飛び5秒ほど経った後、彼ら二人は口を開いた。
「イリエってもしかしてヤバい人?」
「倫理観は滅茶苦茶、善性は混沌を極めているわ。
——ああ見えて敬虔な信徒よ、洗礼も受けずに高精度の白魔術を扱えるんだから、しかも魔術の才能もピカ一だから俗に言う完璧な人間とも言えなくはないわね、正直惚れてしまうのは仕方ないと思う。」
互いに自分に思いが向けられていない事を再確認して暗い雰囲気になる、魔物への悪熱を少しでも向けてくれたらと。
「君はイリエに色情を向けられていたじゃないか、何で断ったんだい?」
『既に一度彼女からの劣情を向けられておいて何を言う。』と彼は捻くれ気味に口を開こうと思ったが、その言葉は雰囲気に負け口から出る事はなかった。
「私は廉くないの、一時の淫慾に負けて彼の意思を軽率にを蔑ろにするほど優しくないの。」
「——僕達は決して廉くない、ただ君は彼女に選ばれるほど相応しい人間ではないと思うよ。」
何て言ったって君は妖精じゃないか、『ナニか』に作られた道具に過ぎないというのに。
「——それはお互い様でしょう?」
所詮人の形をした怪物じゃない、あなたは亡国の主の真似事で生まれたモノでしょうに。
互いに侮辱しあう、想い人のいない場所で化けの皮を剥ぎ合っていた。
「帝国の判断は正解だったね、イリエなら帝国中に点在する迷宮の主に対抗できる。
——迷宮の主を誅したのも本当だろう、衝撃の魔女もイリエが誅したに違いない。」
「——謀ったの?」
自分は騎士に斬られても、魔物に喰い散らかされても完全に死ぬ事はないから?どこぞの島の王みたいに位の高い魔物もしくは妖精の因子が刻まれているからよね。
「僕も謀られた側だよ、協会に入れ込んではダメだな。
——僕は誓うよ権威に振り回されない人間になると、権威を掌握する人間になるって。」
それでもあの状況は予想していなかった、結果オーライって奴だ、このエルフさえ居なければ。
「それってイリエに?」
「いいや、自分に。」
「——ただの子供だと思ってたけど、あなたはもう
「君達みたいな贋作とは、僕は違うんだよ。」
「「アッハッハッハ」」
たった一人の人間を巡り、贋物と怪物が競り合う。
——一触即発、その時上空に陣取っていたイリエ・リエンデールから一報が入った。
「なあ目の前に妙にデカい町?都市?があるんだけど、あそこが目的地かな。」
さっきまでの喧嘩ズラとは打って変わって、急に口を軟化させる二人であった。
「あれが聖都エイレン、帝国の経済軍事研究政治その全ての中心地だ。」
彼ら二人の居る場所にホログラムが現れた、映像を見たフリードリヒがそう答える。
「中々大きい規模の都市だね、ハリボテじゃなければざっと1000平方kmぐらいあるのかな?デカ過ぎるだろ東京1.5個分ぐらいやん。」
中世に毛が生えた時代でこんな大都市を維持できるのが驚きだ、もしくは人間社会において技術は重要視するものではあるが絶対視するモノではないのか、まあ分からないがね。
周囲一帯が畑で多くの人々がせっせと働いている、土地も豊かで実りも多分いいのだろう。
——西暦世界のゴリゴリに品種改良された植物と比べたらアレかもしれないが、うん多分。
望遠した感じただ農奴は痩せこけている様だが、まあ中世じゃそんなモンか。
「少し見せたくはないものを見せてしまったね」
「いや気にするな、俺も生まれは恵まれている部類だが飢餓に晒された事は少なくはなかった。
——芋だけとは言え最低限食事を得られるだけ恵まれている方さ、ここは幾分かマシだよ。」
倒れてしまった子供に水を飲ませふやかした芋を与える事ができる、その時点で彼等は恵まれているさ。
——なに世界中から食べ物を集めて、それを裕福な国々が全て独占する様な凶行に走る様な前世よりかは全然いい場所だ。
「慰めでもないよりはいい...か、ありがとう。」
「なに俺はそんな場所を見に来た訳ではない、明日を豊かにする為の金を貰いに来たんだ、ついでに死んでしまう人々が居るだろうがまあ補填ぐらいはしてやるさ。」
「善性と邪悪さってここまで均等に両立させる事ができるのね、人間って。」
「イリエの心が変なだけだと思うよ」
魔女を誅し迷宮の主を討ち果たした救世主、人間や妖精を自分の為に虐殺する事を厭わない魔女である。
——救世主か悪魔か、それは帝国と皇帝そして皇太子次第である。
「帝国よ、二の舞いを演じてくれるなよ?」
何れ遠い昔の話、とある善き魔法使いが迫害された話だ。
「僕も陛下もそこまで愚かじゃないさ、御膳立ては彼女自らしてくれる、僕達は彼女に合わせるだけさ。」
「ただの齢11歳の少女に期待しているのね」
「ただの齢11歳の少女があれ程の偉業を為す事は不可能だ、偉業を為せた理由も彼女が『帝都』で動く為に最低限探らせてくれるさ。」
「悪い扱いを受ける事はないのね?誓える?」
「当然」
彼は首肯し理を示した、彼女も相応の行動に移る。
——とある魔女の不治の呪いが込められた小刀を彼の前で砕いた、それはあらゆる治癒魔術及び治療の効果を阻害する効果を持つ呪いを唯一込められた道具だった。
「それは君のお弟子さん、彼女の大事なものじゃないのかい?」
「不要な物よ、こんな危なっかしい物を持っていられないわ。
——
皇太子に手を引かれた幼き少女が聖都を凱旋し、聖都の中心へ招かれる運びとなった。
——彼女に向けて帝国臣民の数多くが手を振っていた、数千数万という沢山の人間が彼女一人にだ。
彼女は引いた、もうそれはドン引きしていた、この国大丈夫なのかよと。
——半飢餓状態の人々が私に向かって笑顔で手を振っているのだ、それも協会とやらに背中で刃を向けられている状態で、後方から剣を突き付けられてだ。
そんな最中突如馬車が止められた
——なるほど、そういう事か。
病に侵された無数の孤児が倒れていた、曰く偉大なる主の御力で救って下さいだと。
「端な権威ぐらいは見せてやるさ、ただこれは根本的な解決にはならないからな。
——御名の下で救う事はできない、ただの栄養失調だから肉と果実を食わせれば回復する、これからは食事に気を付ける様に...それ以前の問題か。」
オジサン知ってるよ、これ一部の人達を贔屓する事になって最終的に革命を起こされるヤツだって。
——俺にボランティアという名の実を結ばない産業をさせたいのだろうな、まあいいや今回限りとさせてもらおう。
「流石です、我らが聖女イリエ・リエンデール様。」
「畏まる必要はない、其方も一国の主であり対等な存在なのだから。」
「ありがとうございます」
『ただ適当に手を振っているだけでよかったんじゃないのか?サプライズとか苦手なんだけど...』
『協会の手の者による嫌がらせだと思われます、気に入らなければ滅ぼしてくれても構いません。』
怖、それでいいんか?あ代わりに信仰的な象徴になれという事だな、まあ委員とやらを抱き込むとか言ってたしな。
『だけどさぁこの服装色々とアレじゃない?』
『とても似合っていますよ』
町に入る前にシフォン?オーガンジー?みたいな生地が沢山使われた服に着替えさせられているんだよな...
——俺の肌特に腹部は傷だらけだから見栄えはよくないと思うんだが、まあいいか俺は普通の人間ではないし隠す程じゃなかったんだろうな、軽く妖精みたいな扱いをされてるのがイラつくわ。
まあそんなこんなでユリウス・フォン・ハイエンシュタイン皇帝陛下と謁見する事になった、若過ぎだろこの人多分年齢30代ぐらいだぞ。
——親子って多分嘘だよな?
まあいいや、それは俺が関与すべき事柄じゃないし。
「初めまして皇帝とやら、数奇な因果で救世主をやらせてもらっているイリエ・リエンデールだ。」
「よく来てくれたな救世主、余は大帝ユリウスである。」
「大帝ユリウスか、いいだろう。
カエサルじゃねぇか...」
「イリエ・リエンデールだな、覚えた——してイリエ・リエンデールよ、貴公は世界唯一の霊長であるヒトとして、神に遣われし救世主として偉業を為したと聞く、何を為したか教えてくれぬか。」
そうして皇帝の手により、この場に一名の修道女が招かれた。
——曰く彼女は生まれつき因果というモノを視る事ができるらしい、故にその言葉が誠か偽りかを視て判断できるとの事だ。
「世の中には巧妙な魔女が存在する、してこの修道女は神からの祝福でその言葉や行動が真実か嘘かを見破る事ができる。
其方が為した事を教えてくれよ
——不躾ではあるが余も国を預かる人間、非礼ではあるが協力してくれ、救世主という帝国の友人という存在の示しにも成り得る故な。」
何をしたかを正直に言えばいい訳だ、魔物を圧倒したであろう事、魔女を退けた?事を。
「礼拝協会より派遣されし聖人、東方の守護神ヘルメスより因果視の祝福眼を授かりしマリエナ・リアンスでございます。
この場では皇帝陛下の名を借りて審判者として、その立場を承っております、祝福に誓い偽りなく諌言させて頂きます。」
あれ?こいつ俺を貶めようとしている敵じゃね?
——おいユリウスとやら人選ミスしてるジャマイカ、おいごらアドリブは苦手なんだよふざけんな。
てか皇帝の前で審判者面を許すのか、そう易々と権威を貸し出してもいいんですか。
皇帝は救世主の目を見て、続けられるかどうかを確認する。
『続けるが問題はないか?』
『無理だ絶対にボロが出る』
『『よし分かった!!』』
『任せたぞ!!』
『頼んだぞ!!』
彼の救世主と言われている少女が、答弁においても優秀だと勘違いしてしまった為の悲しいすれ違いである。
「——して救世主殿は魔女を誅したと聞くがどの様な手段を選んだのだ?」
ファッ?!伝わっていない?!
——マズいマズい何て答えればいいんだ?
まず因果視って何?
——確か生まれつき身につけている超能力みたいなモノなんだよね、因果視ってどんなモノやねん。
いや普通に聞くか、浅学は恥じる事ではないし。
——その因果視ってモノを知らなければ対処ができない、さてどうしたものか。
「その前に一つ聞きたい、マリエナ女史よ因果視とは何か教えてくれないか?」
「チッ!!
因果視とは私が守護神ヘルメスより授けられた
——例えば帝国の未来
ただ私は祝福によって識った事を偽る事はできません、全て偽りなく答えさせて頂きます。」
うわコイツ舌打ちしたよ怖、俺の事を貶める気満々やんけ。
——つまりどんな未来を視るかは自分の自由自在って事か、都合の悪い未来は視ないつもりだと断言した様なモノだぞ。
キリっとした銀眼に柔らかそうな桃髪、間違いなく淫乱である。
——巨乳だし尻もそれなりにデカい、ヘレンさんといい勝負である。
まあ冗談は兎も角どうしたものか、こういう傲慢な輩には足元に墓穴を掘って貰うとしよう。
多分彼女は嘘をついた、いや正確には自分の嘘に気が付いていない。
——恐らく因果視というモノは自らが望んだモノを識る事ができるのではなく、識らされるモノでしかないのだ、自らが撒いてきた罠にかかるといい。
だが識った事に嘘はつけないのだろう?
俺は敵を罠にかける事が得意なんだ
「ありがとうよくわかったよ、それで何を聞きたいのかな。」
「魔女を誅したと言いますがあなたは何をしたのですか?」
ふむ何て答えようか、話し合った末に彼女は自殺したと示すべきだな。
——嘘をつかず、正直にだ。
恐らく彼女が視るのは光景、その過程で視覚音声統合?みたいな感じで言葉や背景等も理解している筈だ。
——彼女は自らが忌避する事柄を沢山見てきただろう、故に引き際を弁えている筈だ。
だからこそ、彼女が何かを識れる一歩手前で俺は踏み込ませてもらう。
——彼女が引き返せない状態に陥った時に俺は
まあ風呂敷を広げ過ぎるのはよくないからね、ただ身の潔白を示すべくある程度彼女に喋らせよう、そして誘導する。
——何せ俺は魔女が俺を救世主と勘違いするほど類似した存在なのだ、彼女もいい感じに勘違いしてくれよう。
「少し話した、俺がしたのはそれだけだ。
——その後は見えただろう?」
「...言の葉は理解できませんでした、ですがイリエ・リエンデールは魔女を諭し罪を償わせたと言えるでしょう。」
「おお!!それは誠か?!」
皇帝陛下とやらの言葉に乗じて周囲も驚きの声を上げた
まさか本当に魔女を帝国から排斥していたとは誰も思わなかったのである、それもただの齢11の少女ならば尚更だ。
「腹部や胸部に跨る多くの傷は魔女によって傷付けられたモノですか?」
「事実だよ、その後に一方的に嬲られてまあこの怪我を負ったんだ。」
「高練度の治療魔術は不死の病や古傷でさえ跡もなく綺麗に治療する事ができる筈なのですが、なぜ治療しないのですか。」
「この傷だけは治らないんだ、腕を切り落とされても腹を刺されても傷一つなく治るんだけどね、まあ呪いとかそういうのが込められてたんじゃねーのかな。」
彼女は数秒考え込んで、次の質問を俺に投げかけてきた。
「迷宮の主を討ち果たした様ですが、何故対象の魔物に洗礼魔術を使用しなかったのですか?使用すれば金属を
高初速って言ったな今、知識等と言った情報も受け取れるのか。
「その時は洗礼魔術の本領を知らなかったんだ、だけどその本領を知ってからの事は見えているだろう?何を言いたいか分からないがその通りだね。」
「救世の主が使う魔術とやらがどれ程のものか余は知りたい、マリエナ女史よ教えてくれぬか?」
「彼女が誅した『衝撃の魔女』の扱う、通り名の由来となった『衝撃魔術』や『錬金術』を使用していました。
——そして何者にも劣らない高い習熟度の『洗礼魔術』とその延長線上にある『治癒魔術』と『洗礼魔術』です。」
「——ほう?
魔女の魔術を使えるという事は彼女は魔女であるか?」
ファッ?!唐突な裏切り?!
——だが、彼女の返答は思いも依らぬモノだった。
「否それだけでは判断できません、衝撃の魔女の魔術の過半はヒトでも再現可能です。
——ですが彼女程の洗礼魔術を扱える人間は存在しません、聖職者に由来する杖を洗礼を受けずに使用する事ができるのは彼女だけです、故に信仰の埒外の信仰対象となる存在であると言えるかもしれません。」
中々結果が出ないな、まあいいやそろそろ大詰めにかかろう。
——権威やその他諸々を示す事はできた、俺は救世の主とやらとの共通点を
「埒が明かないな、してマリエナ女史よ。
——権救世の主とは何だ?どのような存在なのだ?」
「
正しい力を扱えること
蘇った存在であること
神霊と同位体であること
伝承が散在したきらいはありますが、概ねこの四点と言えます。」
あれ?全て条件として満たしてね?
霊長(ゴブリン)に一方的だけど救いを与えてるし
正しい力を扱える事も多分満たしているし
蘇りも条件は転生を踏まえて満たしているかもしれない
俺一応神道にも手を出してた邪教徒だからから死後は神霊になるって言ってたし同位体ですね
——肩書だけじゃなくてガチ救世主認定されるんじゃね?
う~んそれはマズい、因果的に非常にマズい、
「待て俺は第三階梯魔術師として扱われる存在ではあるが——」
俺はお飾りの聖女でいいの!!分かる?!ガチ認定は求めてないの!!
——絶対に面倒な事になるからな、俺は変な因果に巻き込まれたくない。
このままだと救世の主になっちゃう!!嫌だそんな異様な存在にされてたまるか!!
それにこのままだとポンポコ生えてる事がバレる!!公共の場では言われたくない!!
殺そうと思えばいつでも殺せるのに何で公衆の面前なんだよ!!ふざけんな嵌められた!!
「——ならばイリエ・リエンデールはその条件を満たすのか?」
「迷宮の主を討ち果たし、魔女を誅した事は我々霊長に救いを与えた事と同義と言えます。」
「——正しい力を扱えるのか?」
「人々に洗礼を与え、言霊で人ならざる存在と言葉を通じさせる事ができるのは正しい力と言えるでしょう。」
「——蘇った存在であるのか?」
「遠い遠い別世界にて、軍人として活躍していたようです。」
まあ5年間ぐらい紛争地帯の最前線で殺し合いを繰り返した一般兵ではあったが...
「いや待て!!もう何でもいいからそれだけは暴くな!!」
「——神霊と同位体であると言えるのか?」
おい待て何だよ何でモジモジしてんだよ...
「私は魂を感じ取る事はできませんので断言はできませんが...えっとその...」
「神が生み出したと思えるほど美しい肢体に...ある筈のない男の人のアレがありますので主と一体化してると言えるかもしれません...」
「——アレとは何だ?」
「おい待てそんな事を公共の場で話すんじゃない!!口を紡げ絶対に言うなよ!!
——こんな場所でそんな暴露されても困る俺にはそういう趣味はないんだ!!」
「オチンポ...」
オチンポォォォォ?!
——は?マジで淫乱かよこいつ?!
「堂々とせよ、今何と言ったのだ?」
「おい待て馬鹿お前が止めろこの変態ジジイ!!」
「そそり立つ男根が...あります...」
場の空気が凍った、誰も理解できなかった。
「すまんもう一度言ってくれ...今何と言ったのだ?」
式典に参加した子供はその言葉の意味を理解できず、意味を理解できた人間も大半は想像すらできなかった。
「えっと...とても気持ちよさそうで...」
「このド淫乱ピンク野郎がぁぁぁ!!
——お前何見てんの?!なあ神から受け賜わった祝福眼とやらで俺の何を見てんの?!」
俺が一歩踏み出した瞬間ビリっと衣服の一部が破れた、そして露わになる俺の相棒。
——エルフは茫然として皇太子は意識喪失、魔術書から布を取り出して何もなかったかの様に隠す俺。
「ふむ...なるほど、理解した。」
何を理解したの?!ねぇ何を理解したの?!
——変態シスターお前マジでふざけんなよ?!
これは罠だ!!俺を貶めたかった礼拝協会とやらの周到な罠だ!!
「——もう終わらせない?
いや本当に疲れたわ、不貞寝したい。」
「そうだな申し訳ない、ゴホン!!みんなも理解しただろう彼女が本物の救世の主だったとな。
——これにて式典を終了とする!!」
はぁ根源的な恐怖に負けるわ今の俺は...穴があったら入りたい...
何が証明になったんですかねぇ、この国滅ぼそうかなって思ってしまったのが何か残念というか色々な意味で残念というか。
「イリエ・リエンデール様、どうぞ此方へ。」
「(´・ω・`)」
俺の秘密が暴かれ礼拝協会とやらの権威が失墜した後、俺はメイドに裏に案内されて退場した。
——何か貴族の令嬢らしき人からの視線が痛かった、この世界本当に碌でもねぇな、神妖精人間まで変態しか居ないのかよ流石に引くわ。
学院は宗教系の学校らしい...まあ俺は学校言ってないから分かんねぇがな(不登校宣言)