もし士郎がモルガン化したら? 作:モル士郎
そのため、修正にあたり一時的に限定公開にしておりました。
私自身、恥ずかしながら、誤記、誤字が多いことは認識しており、誤記のご指摘はいつも大変助かっております。
ご心配おかけして申し訳ございません。
風が強い夜だった。
月光が少女と士郎を照らし上げる。その幻想的な光景に士郎は少女が自分の姿にそっくりなんてことに気が付かずに見惚れてしまった。
「問おう、あなたが私の……マスター……?」
その言葉、その少女に士郎はまるで時が止まったような感覚に陥った。1分か、1秒か、はたまた1時間か、この一瞬が引き伸ばされ、永遠にも感じられるほどだ。
そう、“少女"は運命に出会ったのだ。
「………いえ、疑問を口にしてる場合では無いようですね。」
少女、セイバーは色々ある疑問を棚に上げ外にいる敵を睨む。
そして、チラリと自分を召喚したと思われる少女を見る。"彼女"は口をポカンと開け間抜けな表情を浮かべている。その様子にセイバーは小さく首を振って土蔵から飛び出した。
「っいた」
士郎は手の甲の熱と痛みで思考を取り回す。すぐに見知らぬ少女と細い魔術的な繋がりを感じ取ったが、それ以上のことはわからない。
外からは激しい剣戟が響いている。その音を聴き士郎は痛む体を引きずり外に出た。
「————-ッ」
士郎は息を呑むことしか出来なかった。
外で行われていたのはまさに神話の戦いだ。剣と槍が激しくぶつかり合う激しい争い。学校で目撃したものと同じく士郎が介入できるレベルをとうに超えていた。
(……それでも)
あの少女が何者なのかは分からない。ただ、助けてくれたのは事実だ。ならば、せめて自分の出来ることはやりたい。そう考え、士郎は使い慣れた弓を投影する。さらに、そこから魔術的に強化を施す。
(あの男はゲイ・ボルクと言っていた。)
ゲイ・ボルク。
それはケルト神話に伝わる武器だ。使用者は多数いるが1番有名なのはクー・フーリンだろう。なぜ、そのような武器をあの男が持っているのかは分からないが、士郎には問題ない。
「投影、開始」
魔術回路が悲鳴を上げる。今まで使ったことがない回路を叩き起こし無理やり魔力を回す。全身を駆け巡る激痛、不快感、しかし、すぐに慣れる。この程度、この身体には何の問題もない。
(さっきのレベルじゃダメだ。もっと本物に……。いや、それ以上に……。俺にあったものを作る!)
「創造理念」
「基本骨子」
「構成材質」
「製作技術」
「憑依経験」
「蓄積年月」
投影魔術に必要な独学で辿り着いた6つの要素、それらを丁寧に組み上げ真紅の槍を投影する。かかった時間は凡そ1分だ。戦場では気が長くなるほど長い時間だが、セイバーがいるから可能となった。
作り出したソレは槍というには歪で短く細い、まるで矢だ。それを慣れた手つきで弓へと番えて引き絞り、魔力を込める。
「———-っ」
息を短く吐く。
セイバーとランサーの戦いはかなり激しく撃ち合っている。あそこに当てるのはいくら士郎とて難しい。しかし、士郎は気を落ち着かせ、いつも通り当たるイメージを固めていく。
そして、矢を放つ。
放たれた槍はオリジナルとは既にかけ離れたものだ。武具としてランクは劣るし、ぶっつけ本番で無理やり改造したことにより本来の性能、性質を発揮することは出来ない。
しかし、それは偽物とはいえ神話の武装という神秘を持つ
「妙な技を!」
ランサーは放たれた矢を咄嗟に槍で受け止め後方へと受け流した。後方へと軌道がズレた矢は家を囲う外壁を破壊した。セイバーとの戦闘中でも彼のスキル、矢避けの加護は十全に発揮して彼を守っているのだ。
だが、それは遠距離攻撃に対して無敵になるわけではないし、無効化するわけでもない。対処ができるようになるだけであり、回避や防御が必要となる。つまり、必然的に隙は生まれる。
「はぁああ!」
セイバーはランサーに斬りかかる。ランサーは後ろに飛ぶように回避をしたが間に合わず、右肩から脇腹にかけて斜めに斬られてしまった。
「終わりだ。ランサー」
背中から倒れたランサーにセイバーは見えない剣を突きつけた。その瞳は冷たいが、目の前の男に対して一定の敬意は見て取れる。
「はっ、まさか土壇場で7人目を召喚するとはな。」
ランサーはニヤリと笑う。
小さくない傷を負い、地面に倒れ、剣を向けられている。絶体絶命のピンチだ。だが、この男はクー・フーリン。アイルランドの光の御子だ。
「楽しかったが、ここで終いだ。」
ランサーは隠し持っていた石を指で弾いて跳ばした。それはセイバーの顔あたりの高さまで上がる。そこには不思議な文字が刻まれていた。
「ルーン!!」
セイバーが直感した時にはもう遅い。その石は目が眩むほどの閃光と音が聞こえなくなるくらいの爆音を放った。まるでスタングレネードだ。聴覚と視覚を奪われる中、セイバーは直感を頼りに剣を構えた。
「逃げるのか!ランサー!!」
「傷を負ったなら帰って来いって命令だ。って、聴こえてねぇか」
ランサーはそう言うと立ち去った。
◆
ランサーが立ち去った後、士郎は投影した弓と矢を消しながら庭に独り佇んでこちらを見る少女と目が合った。彼女は髪の色や瞳の色など、細部は色々と異なるが、2、3年前の自分となぜかそっくりである。
しかし、少女は美しく、見惚れるほどだ。だが、それを認めると自画自賛をしているようで居心地が悪い。そんなズレた感想を士郎は持った。
対してセイバーは内心、狼狽えていた。目の前の"少女"はかつて自身と敵対した異母姉と余りにも似ていたからだ。瓜二つと言ってもいい。確かに細部は違う。顔つき、髪色、目つき、表情、それらは確かに姉と異なっている。だから、あの姉とは別人だ。
しかし、それでも無関係とは言い切れないと警戒心を高めた。
「君は……何者なんだ?」
士郎はまだ目に違和感があるのかパチパチと瞬きをしながらセイバーの元に駆け寄った。その様子にセイバーはさも当然のように答える。
「見ての通り、セイバーのサーヴァントです。マスター。」
「サーヴァントって……。」
凛が言っていたことを思い出した。おそらく、先ほどの男や、凛が連れていた女性のような存在だろうと士郎は結論づけた。しかし、そんなもの喚び出したつもりはないし、マスターになったつもりもない。
「……悪い。多分、君を喚び出したのは何かの間違い、事故みたいなものだ。」
その問いにセイバーは首を傾げる。自身を召喚したマスターは他人の空似の範疇を超えるほど姉に似ている。さらに、ランサーに放ったあの矢、アレは魔術に明るくないセイバーから見ても高ランクの存在だ。それだけの実力を持ちながら、状況を理解していない。
その様子にセイバーは不恰好と言えばいいのか、チグハグと言えばいいのか、士郎に対しての評価を決めかねていた。
「それでも、あなたは私のマスターです。」
そう返すセイバーに士郎は頭を抱えて応える。
「マスターって……。俺は衛宮士……。しろだ。いきなりマスターなんて変な話……」
本名ではなく女性としての名前を慌てて告げる。何かの間違いが起きたら大変なことになりかねない。対してセイバーは衛宮の苗字を聞いて内心驚いていた。
セイバーが前回参加した聖杯戦争。そのマスターが衛宮切嗣だったのだ。彼はセイバーから見ても冷酷な男で勝利の為にはなんでも切り捨てる覚悟があった。その男と同じ苗字の少女。
(……キリツグであれば今回の聖杯戦争の為に秘策を練っていてもおかしくない……が)
むしろ、参加するつもりであれば練っているに決まっている。彼はそういう男だ。しかし、理解できないのが前回の聖杯戦争の終盤での裏切りだ。彼は何故そんなことをしたのだろうか? 聖杯を手に入れる気がないのなら、なぜ今回このようなことをしていたのか……。
セイバーも分からないことだらけである。ただ、今はその疑問を考える余裕はない。
「では、シロと。私にとってはこの発音の方が望ましい。………シロ、家の外に新たな敵が2人。迎撃してきます。」
セイバーはそう言うと、塀を跳び越えて家の外に出て行ってしまった。その急な動きに士郎は静止の声を上げながら慌てて追いかける。
外にはセイバーの見えない剣を中華剣で受け止めるアーチャーの姿があった。そして、アーチャーから少し離れた場所で遠坂凛が驚いた表情でこちらを見ていた。
「はぁああ!」
セイバーは力任せに剣を振るいアーチャーを吹き飛ばした。しかし、それでも数歩後退するだけで、背後のマスターを庇える場所に留まる。完全に防御に徹しており、コレを崩すのはセイバーでも難しいだろう。
「……ライダー……、いや、アーチャーか?」
目の前のサーヴァントは何かが変だと、セイバーは直感した。しかし、それが何なのかは解らなかった。だが、それもここで倒して仕舞えば問題ないと、見えない剣を構える。対してアーチャーは中華剣を二振りを構えている。その様にセイバーに子どもを守る親を彷彿とさせた。
「待って、待ってくれ。」
遅れて士郎が飛び出し、セイバーに向けて攻撃を止めるように訴えかけた。それもそのはずで、士郎からすれば、突然現れた自分に似た少女が見ず知らずの女性に斬り掛かった、という訳のわからない状態なのである。
「何故です? 今なら目の前の敵を倒せる!止まる理由はありません。」
アーチャーに感じた違和感は不確定な問題なのでセイバーは口にしなかった。しかし、その口論にも似たやり取りに凛は軽く頷いた後に口を開いた。
「なかなか面白い事になってるわね。衛宮さん?……私が巻き込んでしまったようなものだし、状況の説明くらいはするわよ?」
凛はそう言った。
彼女の言葉に嘘はない。凛は士郎がマスターになってしまったのは自分が戦いに巻き込んでしまったからだと思い、最低限の説明をする責任があると考えていた。一方で現状の硬直した状態を打破し、セイバーという最優のサーヴァントの情報を得られるのでは?という、したたかな思惑もあった。
◆
凛が状況を説明する、という提案に士郎は頷いた。セイバーは凛がこちらの情報を得ようとしていることは見抜いていたが、それでも何も知らないマスターに状況を理解させることを優先した。
庭に入るとまず目に入ったのは、壊れた外壁だ。庭と外の堺である塀の一部は見るも無惨に崩れ、窓ガラスもまた何枚も割れていた。しかし、これらを士郎はいとも簡単に修復してしまった。
「……ま、コレくらいは出来るか。入門レベルだもんね。」
お詫びも兼ねて手伝おうとしたが、凛が手を出す暇は無かった。無論、士郎の修復の魔術もかなりのもので、それ以上に魔術を必要としない部分が専門の業者かと疑うレベルに手際がよく、あっという間に片付けてしまった。
(……けど、マスターと同じ見た目のサーヴァントか……。衛宮さんの血縁?けど、そんなことって……。)
なんとなく凛は霊体化したアーチャーがいるであろう場所を見る。すると、アーチャーは『外の監視をしてくる』という言葉とともに屋根へと移動して行った。
(………?……けど、アーチャーの記憶は戻らずじまいね)
凛は七騎揃って本格的に戦争が始まるのに記憶が戻らない相棒に小さく溜息をついた。
片付けが終わるとすぐに士郎は居間のストーブとコタツの電源を入れて凛の説明が始まった。
「つまり、衛宮さんは魔術師同士の殺し合いに巻き込まれたのよ。」
聖杯戦争のあらましを凛はあらかた説明をした。目的やルール、英霊やサーヴァント、令呪について、それぞれを説明した。それを聴いて士郎は自分に刻まれた令呪を見た。セイバー曰く、魔力供給もままならないとのことだが、確かに感じる繋がりは弱いと士郎は納得した。
そして、ふと疑問を口にした。
「凄い昔の人を喚んでいるってことは分かったけど……。ちゃんと準備をしていたら、狙った人を喚ぶことは出来たのか?」
士郎にとっては手遅れな質問だが、凛は当然の疑問だと不思議に思うこと無く答えた。
「召喚時に英霊に縁のある物を用意しておけば狙った英雄を喚びやすくなる……けど……、何も使わないと、よく分からないのが来るわ。」
凛は天井、いや、その向こうにある屋根を見るように言った。その様子に士郎は何かを察して乾いた笑いを浮かべた。
「……つまり、……例えばへし切長谷部を使って召喚したら織田信長が来るってことか?」
「そういうことになるわね。まぁ、あの刀の場合は黒田長政とか秀吉とかの逸話もあるから、そっちが来ちゃうかもしれないけれど……。」
と言った後、「そもそも聖杯そのものがキリスト教圏内の概念だから、日本の英雄を召喚するのは難しいけどね」とも付け足した。そのあたりは魔術的な縁の話なため、今回の質問の趣旨とは外れてしまう。
その凛の答えに士郎は何かに気がついたような表情をした。
自分とあまりにも似ている少女が来たことに納得が出来た。その様子を見て凛は口を開く。
「……もしかして、セイバーの正体に気がついた?」
「え?」
「自分とそっくりな英霊でしょ? その正体が気になるのが普通でしょ?だから衛宮さんもセイバーの正体を考えていたのかなって」
凛はセイバーを
例えば童話の化身である『ナーサリーライム』、正体が不明であることが重要な『ジャック・ザ・リッパー』。
このようなタイプのサーヴァントであればマスターに近い姿をしているのは不思議ではない。しかし、姿が変わるからこそ見た目や言動で正体を探るのは難しい。ならば、と、凛はマスターにカマをかけたのだ。
「………目星がついていないと言えば嘘になる。けど、これは俺だけの問題じゃない。悪いが遠坂にも教えることはできない。」
凛のカマに対し、士郎は正直に答えた。
嘘偽りの無い、ただただ正直な言葉に凛はポカンとしてしまった。凛は士郎を巻き込んでしまったという責任から状況の説明だけはしようと考えていた。しかし、その一方で士郎が
だが、士郎はそんなことを気にせず、ただ正直に返してくるだけである。そのせいで、今まで警戒していたことがバカバカしく感じられてきてしまったのである。
(本当に綾子が言ってた通りの人だ)
凛は頭を押さえて、溜め息を吐いた。
「そう……。ま、深くは追求しないわ。それより、そろそろ、行きましょうか?」
凛は立ち上がった。向かう先は今回の聖杯戦争の監督役がいる教会だ。士郎はこんな時間に?と、思ったがそもそも聖杯戦争が人目のつかない夜がメインなのだから仕方がない。
「セイバーは霊体化出来ないの?」
玄関を出ようとした際に凛はそう言った。それに対してセイバーは肯定し、『召喚の不手際で霊体化出来なくなった。』と語った。しかし、そうなるとあまりにもセイバーの格好は時代錯誤すぎる。時間も遅いためあまり目立たないだろうが、それでも問題だ。
「俺が昔着てた服でよければあるぞ。多分、セイバーにもピッタリなはずだ。」
士郎はそう言うと黒いジーンズと白地に黒い袖のTシャツ、紺のジャケットを用意した。よく言えばユニセックス、悪く言えば没個性的な服で、一目でどこで買ったのか分かるほど汎用性の高い普段着である。
それともう一つ、黄色いレインコートも士郎は持ってきていた。
「もし、俺のお下がりが嫌ならこっちのレインコートも……。」
決してオシャレとは言えないが普通の普段着と、謎のレインコート。その選択肢を交互に見るセイバー。凛はその不思議な光景に笑いそうになるのを必死に堪えた。
「……こちらを貸していただけますか?」
セイバーは言葉少なく普段着を借りた。
◆
(こうして見ると2人って姉妹みたいね。)
無言で歩く士郎とセイバーの姿は"距離感が分からない姉妹”のようだと凛は思った。そして、とある少女のことを思い出す。あの子は幸せにやっているだろうか? と、思うがそれが無駄な思考だと凛はすぐに思い至る。
(いや、考えるのは辞めよう)
衛宮しろが教会で参加表明をすれば、晴れて敵同士だ。あの少女にとって衛宮しろは大切な存在なのは分かっている。そんな"彼女"と殺し合いになるのだから、今更、少女の幸せを願う資格なんて自分には無い。
(よし、切り替えなさい。遠坂凛。)
思考を切り替え、凛は2人を教会へと案内した。しかし、セイバーは外で待つと言い、凛と士郎の2人で中に入った。中には男が1人背を向けて立っていた。彼は凛に対して嫌味を言いながら振り返ると士郎と目が合った。
「…………」
男は士郎の顔を見ると一瞬だけ固まったが、何かに納得したのか意味深な笑みを浮かべた。その様子に凛は機嫌悪そうに首を傾げた。
「どうしたの?綺礼。」
「…………なに、彼女が知り合いに似ていたものでね。」
「知り合い……?」
士郎は男の発言に眉間に皺を寄せた。不思議なことにこの時点で士郎は目の前の男とは絶対に相容れない、気に入らない存在だと認識していた。
「改めて……。私は言峰綺礼。此度の聖杯戦争の監督役だ。」
「俺は、衛宮しろだ。」
「衛宮……。なるほど。時に凛。彼女をここに連れてきたという事は、聖杯戦争のルールを説明すればいい、ということかな?」
「ええ、概要は説明したけど、細かいところは貴方が適任でしょ?」
凛の言葉を受け、綺礼は聖杯戦争についての説明を始めた。先ほど凛から聴いたことも含まれていたが、彼女よりもより直接的、そして、暗い部分まで彼は語った。
例えば10年前の大火災が聖杯戦争が原因である、などだ。
その言葉に士郎はトラウマを呼び起こしたが、それでも綺礼は続けた。そして、その話を全部聴いた上で士郎は聖杯戦争への参加を決意した。
あんな大災害を引き起こさせる訳にはいかない。戦いを終わらせる為に士郎は立ち上がったのだ。
「喜べ
しかし、教会を出るときに発せられた神父の声が嫌に耳に残っていた。
◆
「これからよろしく頼む。セイバー」
教会から出た士郎はセイバーと握手をして共に戦うと約束した。それにセイバーも応え、その様子を見ると凛は頷いて口を開いた。
「これで、あなたを巻き込んでしまった責任は果たしたわ。明日からは敵同士だから」
そう言い、2人に背を向けて歩き出す凛。それに対して、士郎はお礼を言った。
「ありがとう。遠坂がいいやつで助かった。」
その言葉に凛は足を止めてしまった。士郎がこの殺し合いに巻き込まれたのは凛の勘違いが原因だ。学校での出来事の時、士郎が参加者じゃ無いと気がついていれば、無害な
そして、凛は巻き込んでおいて『ルール説明は終わったから明日から殺しに行くね』と宣言しているようなものだ。責められる事はあってもお礼を言われる謂れはない。
だから、凛は足を止めて士郎に何かを言おうとした時、気がついてしまった。教会から新都に戻る道、その先に1人の少女がいた。
「お話は終わり?」
少女はつまらなそうに続ける。
「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。愛称はあるけど
その視線の先には凛でもセイバーでもなく士郎がいた。つまらなさそうな言葉の裏にあるのは明確な拒絶だ。士郎もその感情をなんとなく感じ、一歩、たじろいでしまった。
対して凛は、アインツベルンという言葉を反芻する。あの家は遠坂家と同じく聖杯戦争を作った御三家のうちの一つだ。つまり、間違いなく強敵である。
「挨拶も終わったし………。じゃあ殺すね。」
少女は歌うように言う。
「やっちゃえ、バーサーカー。」
アーチャーVSセイバー
原作ではアーチャーは一方的にやられるが、凛が「アーチャーがセイバーに見惚れていたからでは?」と語るシーンがある。
そのため明確な強さはこのシーンだけで分からない。
ゲイボル矢
ランサーの槍を無理やり矢に改造したもの。
原作エミヤが使う偽・螺旋剣のゲイボルグバージョン。
名前をつけるなら模倣・死棘槍(ゲイボルグⅡ)とかになるのだろうか?
しかし、刺す方を元に投影してしまったため、矢としてはかなり使い勝手が悪く。槍の間合い、この場合はゲイボル矢を放たずに近接武器として使用した時に届く範囲が間合い判定となり、その範囲の敵に必中効果が発揮される。さらに上手く改造出来ていない(練習不足)なため必中性能は劣化してただのホーミング弾程度である。
つまりは、自分から1メートルくらい離れた敵にしか発動しないホーミング弾という悲しい宝具となってしまった。投げる方を元にしておけばよかったかもだから、その辺は士郎のミスといえばミスだが、状況的に責めることは出来ないと思う。
とはいえ、ぶっつけ本番としては上出来だと思われる。
仮に投げる方を元に作成し、模倣・死翔槍とかで完成すれば性能としてかなり強い武器になるのかもしれない。
まぁ、この辺りは士郎の今後の成長次第である。