残った少女と残らなかった少女   作:息抜きのもなか

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ついにオリキャラ2人目の登場です!


ゲヘナミドリモップ

 ゲヘナ自治区のアビドス自治区との境界付近にあるスラム街。

 大きな爆発音に混じって聞こえる銃撃戦の音。

 

「あれ、私、どうして――」

 

 揺れ続ける地面と近くでの爆発音に意識を取り戻した又鳩メリサは、自身がここに来ていた理由を思い出し、立ち上がる。

 周囲を見渡して自身の得物を拾い上げ、再び直近で爆発した爆弾でなびく黒スカートには気にも留めずに走り出す。その左腕には赤色の腕章が巻かれており、そこには白文字で『風紀』の字が。

 

「すみません、又鳩メリサ、戻りました! 状況は!」

「……っ! 小隊長! ご無事でしたか!」

 

 合流した部下は半分以下に減っており、そのほとんどは既に救急医学部へ運んだという。先ほどメリサが直撃から庇った爆弾の被害こそなかったものの、その後の銃撃戦と爆発で数を減らしてしまったようだった。

 

「小隊長のモフモフの緑髪がこんなチリチリに……! 温泉開発部め、許せない!」

「問題はそこではないでしょう! 各々爆弾に注意しながら制圧を進めますよ!」

 

 メリサの風紀委員長ヒナに似たフワフワの髪には一定数の信者がいるようで、小隊長という委員長と比べれば接しやすい立場なこともあって部隊員以外にも多くのファンがいるようだ。

 加えて彼女は立場が上に行くほど崩しがちな制服を気崩さず着用しており、そういった点でも一目置かれているようだ。

 

「マズい! ミドリモップが復活したぞ! ありったけの爆弾をこっちに!」

「誰がモップですか!」

 

 部下に拾ってもらった風紀委員帽をかぶり直し、リロードを完了した愛銃で温泉開発部の生徒を二丁拳銃で的確にヘッドショットで射抜いていく。彼女が使用する銃はどちらかといえば狩猟用や趣味用とまで呼ばれる代物であるのだが、その分威力はお墨付きである。それを使用した精密射撃を行ってくるのだから敵対勢力にとっては堪ったものではない。

 演習中に油断して二連ヘッドショットを喰らったヒナがクラっと来たと言うレベルであることを考えれば、普通の生徒が喰らえば一撃昏倒ものである。

 

「マズいマズい! 間違っても眉間に喰らうなよ! 普通に死ねるぞ!」

「うわぁ! ヘルメット貫通してるよぉ! 馬鹿じゃねぇの!?」

 

 飛んでくる爆弾を回避しつつ、10発の弾丸を撃ち終えてリロードする。

 その間に飛んできた爆弾は部下に任せているが、小隊長の髪をチリチリにされたせいか随分と躍起になっているように見える。

 

「よし、このまま一気に制圧しますよ!」

「逃げろ逃げろ! やっぱミドリモップは手に負えん!」

「っ! 待ちなさい!」

 

 建物に逃げ込んでいく温泉開発部員たちを追って、メリサも建物に突入する。

 次の瞬間、時限式だったのか彼女の背後で爆発が起き、入り口がガラガラと音を立てて崩れてしまった。

 

「隊長!」

「こっちは大丈夫です! 裏に回ってください!」

 

 部下を先回りさせ、メリサは建物内に逃げ込んだ者たちの姿を探して階段を上がる。

 偵察に顔を出したその眉間に問答無用でヘッドショットを叩き込みながら階段を昇りつつ、メリサは違和感に気が付く。窓など建物の外へと続く道が封鎖されており、明らかに誘導されているのだ。

 

「慎重に行きますか」

 

 一歩一歩、ゆっくりと周囲を確認しながら進む。

 一段一段、ゆっくりと音の違いに耳を澄ましながら上階へ進んでいく。

 

 駆け上がれば気持ちは楽だろう。何も考えなくていいのだから。

 何も考えなければ楽だろう。目の前のことにだけ集中すればいいのだから。

 だけど今の私は風紀委員である。違反者の取り締まりをする立場である。であるのならば、確実に違反者を捕らえられるよう、最善を尽くすべきだ。

 

 周囲に気配がないことを確認して、メリサは大きく深呼吸をして息を整える。

 次の階段に足を掛けようとしたところで、上階から爆発音が響いてきた。

 

「早まった? いえ、上で待ち構えていると考えた方がよさそうですね」

 

 足元に気を付けながら、一段、もう一段と階段を昇る。

 コツ、コツと彼女が階段を昇る足音だけ聞こえてくるかと思えば、何階か上の方からどたどたと何人かが下りてくる音が聞こえる。

 

「急ぎましょうか」

 

 そういって罠に注意をしながら二段飛ばしで駆け上がって次の階へ辿り着けば、その上へと向かう階段が落とされたのか、瓦礫で埋められていた。

 リロードし直して、待ち伏せに警戒しながら進む。

 

「っ!」

 

 足元にワイヤーが張られていた。ご丁寧に足首、膝下、そして見えにくいが腰ぐらいに高さにも細い線が存在しているようだ。

 シャッターの下、通路に入るところに設置されていることもあり、避けようとすれば隠れている温泉開発部員から集中砲火を喰らうことは想像に難くない。

 

 いっそ勢いのまま突っ切った方が被害が軽くて済むかもしれないと思案していると、背後の下り階段の方から爆発音が聞こえてくる。それだけではなく、連鎖的に起爆されたようでどんどんこちら側に向けて近付いてきているようだ。

 そうして後ろに気を取られていることを嘲笑うように、メリサの頭上真上付近のシャッター格納部分に設置されていた爆弾が起爆される。

 

「やられた!」

 

 背後の爆発も近づいていたため結局廊下側に転がり込むことになり、ワイヤーは上手くすり抜けたものの廊下の両サイドに陣取っていた温泉開発部員から案の定集中砲火を喰らう。

 その銃撃を何発か貰いながらも逃げ込んだ広間に、

 

「やあやあ、待っていたよ又鳩メリサくん」

 

 温泉開発部の部長と100人規模の温泉開発部員が待ち構えていた。




便利屋68出せなかったけどキリが良いので短めです。
又鳩メリサのヘイローは十字に広がる三枚ずつの白い花弁と中心寄りの二重円。二重円の内側は透明、外側の円は黄金色です。

【挿絵表示】

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