仮面ライダー鎧武 All For The Future 作:エクシ
零児が生徒会室に戻ると斗真が椅子に座って待っていた。
「おい零児、今日生徒会の会議だったのに何でばっくれたんだよ。お前がいなかったから…」
「斗真、俺は生徒会長を辞めるつもりだ。他にやるべきことが見つかった。」
「はぁ!?何言ってんだよ、任期までまだあるんだぞ。」
「生徒会長代理としてお前がこの学校を引っ張っていけ。」
「ふざけるなよ。」
「ふざけてなどいない。ほら、餞別だ。」
零児は懐からフェイスプレート部がブランク状態の戦極ドライバーを取り出し、斗真に投げた。斗真がそれをキャッチすると続けて零児はクルミロックシードを投げ、同じく斗真がキャッチした。
「量産に成功したドライバーの一つだ。呉島貴虎の遺したデータをハッキングさせて作らせたものでお前が俺に唯一勝るボクシングを力を最大に引き出せるはずの仕様になっている。うまく使えよ。」
「お…おい!」
斗真の制止を無視して零児は生徒会員のバッチを外し生徒会室を出ていった。
アルとルイのヴァルドネール兄弟は再びニュー沢芽シティに戻っていた。彼らのもとに依頼が舞い込み、その依頼主がニュー沢芽シティの高司神社の神木前を待ち合わせ場所に指定したからである。二人は予定より早めに神木の前に立っている。神木は以前の数倍と言っても過言ではないくらいに巨大化していた。予定の時刻になるとそこに依頼主が現れた。
「あんたが依頼主か?…ん?その制服は第3天樹高校!?」
「あぁ…第3天樹高校 元生徒会長 天樹零児だ。」
「よりにもよって休学中の学校の生徒会長様かよ。」
「”元”生徒会長だ。それよりお前たちはあの呉島コーポレーションの本部から脱出に成功したほど腕が立つようだな。今回の旅にはお前たちのように腕が立ち、危険な場所に連れて行ってもかまわないやつが必要だ。」
「旅?今回の任務は旅の護衛か?」
「護衛されるほど軟ではない。だが行くところがどんなところかわからんからな、貴様らにも協力してもらおうというわけだ。」
そういうと零児は自分の戦極ドライバーを取り出した。ヴァルドネール兄弟の二人は少し驚くも納得する。
「そういう系統の依頼だったわけか。で、どこにいくんだ?」
「ヘルヘイム世界だ。」
「は?なんだそれ?」
「いいから黙ってついて来い。この錠前を開けてロックビークルにしろ。」
零児は二人にそれぞれサクラハリケーンとローズアタッカーを渡した。ニヴルにヘルヘイム世界の座標を教えてもらい、あとは走り出して空間を越えればいいだけの仕様になっているタイプである。三人はそれぞれのロックビークルに跨る。そして走り始めようとしたとき、後ろから斗真の声がした。
「待てよ零児!俺も行く。」
「なんだと?」
「お前についていくって生徒会入った時から決めてたんだ。生徒会長代理については了解した。でも生徒会長じゃなくなったお前自身についていくってのも俺の選択肢にはある筈だぜ。」
そういうと斗真は零児の乗るローズアタッカーの後部座席に座った。
「仕方があるまい…メットをつけろ。」
こうして四人はヘルヘイム世界へと旅立った。その様子をニヴルは屋上から見ていた。
「やはりヘルヘイムに向かったか。さて様子見かな…?」
慧と信継は呉島コーポレーションの研究所に来ていた。そこは以前の戦闘で研究所としての機能はいまいち果たしていなかったが義秋の居場所としては十分であった。信継はそこで義秋による治療を受けていた。慧はあまり来たい所ではなかったものの背に腹は代えられないと致し方なく来ていた。
「で、君たちはフェンリルというニヴルヘイム人と戦って勝った。でもフェンリルはロックビークルに乗って逃げた…と?」
「そういうことだ、俺が撮ったビデオを見てくれ。」
「もう何度も見てるよ~。でもおかしいんだよなあ。」
義秋は頭をぐしゃぐしゃと掻きながら解説し始めた。
「ロックビークルはそもそもフェムシンムの世界に行ける転送装置だ。でもこの動画を見る限り、クラックの開き方に違和感を感じる。これはおそらくフェムシンムとは別の世界に飛んでいるね。かつて過去においてもフェムシンムの世界以外の行き先のクラックが開いた事例がある。武神とよばれるライダーたちが戦う世界だったらしいが…まぁそれは置いといて。フェンリルが逃げるためにロックビークルを使用したのだからこのクラックはフェンリルのアジト、つまりニヴルヘイムに繋がっている可能性が高いね。」
「我々が行けるようにすることは可能なのか?」
「うん、このクラック出現パターンをロックビークルにプログラムすれば余裕っす~。」
「ならば頼む。」
「何をする気だい?」
「やつらは我々の武器を壊そうとしている。壊される前に止めなくては。それに黄金の果実についても聞きたいことがある。」
すると義秋が目を輝かせて信継に迫った。
「黄金の果実だって!?それはなんだい?なあ教えてくれよ!」
「貴虎のデータではそれを手にすると全知全能の力を得るとあった。だが葛葉紘汰がそれを手にしたからこの世界にはないはずなんだ。だがヨルムンガンドは黄金の果実を求めているようだった…とにかくそれについて聞きたいんだ。」
「ほおおおお…私も俄然興味がわいてきた。よし、私も行くよ、それと織河慧君もね。」
全く会話についていけていなかった慧はいきなり自分の名前が出てきたことに驚く。
「へ!?」
「はい、決定~!サクラハリケーン二台にローズアタッカー一台をセッティングしとくよ。」
「な…何で俺が!?」
「だってどんな世界かわからないんだよ?怖いじゃん~!ほら、『じんば~れもん!はは~~!』って敵を倒しちゃってよ!」
「お前俺のことバカにしてるだろ!?」
「おーおー、若いと声がでかいねえ。」
義秋はおどけながらあっという間にロックビークルをニヴルヘイム仕様に変えた。渋々慧も二人についていき、三人はニヴルヘイムへと向かった。
ヘルヘイム世界に零児たちは無事に着いていた。辺りにはクラックの周りに発生していた不思議な植物が生い茂っており、原生の地球を思わせる光景が広がっていた。ただ違うのは生物が一種類しかいないこと…インベスである。着いて早々、四人はインベスの群れに遭遇してしまった。
「おいおい…いきなりかよ。」
「斗真、変身の仕方はわかるな?」
「おう!」
四人は戦極ドライバーを装着した。
「変身!」
バナナ!ドングリ!ドリアン!クルミ!
ロックオン!ロックオン!ロックロン!ロックロン!
カモン!カモン!♪~~♪ ♪~~♪
バナナアームズ ナイトオブスピアー!
ドングリアームズ ネバーギブアップ!
ドリアンアームズ ミスターデンジャラス!
クルミアームズ ミスターナックルマン!
四人はそれぞれバロン グリドン ブラーボ、そしてアーマードライダーナックルへと変身した。それぞれ目の前にいた初級インベスにダメージを与えていく。ナックルは初戦とは思えぬパンチで初級インベスたちを倒していく。ナックルのボクシングの技術とクルミボンバーの威力によって強化されているのだ。辺りのインベスを一掃したかと思えばまた新たなインベスが現れる。その繰り返しであった。
「じれったいな!こいつを試してみるか!」
ブラーボは呉島コーポレーションで手にしたマンゴーロックシードを開錠した。
マンゴー!ロックオン!マンゴーアームズ ファイトオブハンマー!
ブラーボはマンゴーアームズにアームズチェンジした。マンゴパニッシャーを両手で持ち、辺りのインベスに重い一撃を与えていく。だが機動力に欠けるため、背後にいるインベスからの攻撃を受けてしまう。
「あー!駄目だ!やっぱこいつが一番だ。」
ドリアン!ロックオン!ドリアンアームズ ミスターデンジャラス!
再びドリアンアームズに戻ったブラーボはマンゴーロックシードを捨ててしまう。それをみたバロンはそのマンゴーロックシードを拾った。
「ふん、力の使い方が成っていないからそうなるんだ。見ておけ。」
マンゴー!ロックオン!マンゴーアームズ ファイトオブハンマー!
次はバロンがマンゴーアームズにアームズチェンジする。バロンの周囲にインベスたちが近づいてくるとハンマー投げのようにその場で回転し、マンゴパニッシャーをあたりのインベスにぶつけるバロン。強烈なダメージをインベスたちに与え、やがて周りにインベスはいなくなった。
「ふん、見たか。お前らは俺が雇ったんだ。俺よりも働け。」
ブラーボはカチンとくるも何も言い返せず黙る。言い返そうとグリドンがバロンに文句を言おうとするがブラーボは彼を止めた。
ピーチエナジーアームズ!♪~~♪
どこからともなく音声が聞こえ、四人はあたりを見まわす。ちょうど四人の死角になったところにマリカが現れた。ソニックアローでバロンに斬りかかる。
「お前たちがなぜここにいる!?」
「ぐ…貴様に話す必要は…ない!」
バロンはマンゴパニッシャーで反撃しようとするもソニックアローの斬撃の方が早く、バロンは吹き飛ばされてしまう。吹き飛ばされた先には崖があり、バロンは谷へと落ちていった。