仮面ライダー鎧武 All For The Future   作:エクシ

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第13話 「ヘルヘイム浸食の真実」

「ヘルがニヴルに唆されているだと?どういうことか説明してもらおうか。」

 

零児は足元にあった石に掛けた。

 

「ヘルは私と紘汰の子供、このヘルヘイム世界で生まれた初めての知的生命体。」

「紘汰…葛葉紘汰か。ハッキングしたときに貴虎の資料の中で見たな。」

「ヘルはすくすくと成長した。でも私のせいで彼女はある病を患った。」

「病?」

「私は精神体だった。そのDNAを引き継いだせいでヘルもやがて精神体に変わってしまう症状が出始めたの。そしてヘルは精神体に変わり、やがて私のように消えてしまうことを恐れた。そこにニヴルがヘルヘイム世界にやってきたの。」

「…。」

「ニヴルはヘルに『地球のロックビークル、ドライバーをすべて破壊すればその体を治してやる』を約束した。恥ずかしい話だけど他者をほとんど知らないヘルは自分中心にすべて考えてしまう性格だったの。だから迷わず彼女はニヴルの仲間になることを決めたわ。」

「それで再び現れるはずのなかったヘルヘイムに関する現象がニュー沢芽シティで起こり始めたということか。葛葉紘汰はヘルのためにニヴルたちについているのか?」

「いいえ、そんなことはないはず。紘汰は他人に迷惑をかけないでいつも自分が犠牲になるもの…。」

「ではなぜヘルを止めに現れない?」

「ごめんなさい。私はそこまではわからない。」

 

そういうと始まりの女は零児の足に手を乗せた。するとその手はさらに黄金に輝き、やがて光が落ち着くと零児は足が動かせることに気が付いた。

 

「足が動く…!何をした!?」

「私の中に残っていたわずかな果実の力で貴方の足を治したの。お願い、ヘルを止めて。」

「余計なことを。」

「お願い…。」

「…俺は借りを作らない主義だ。いいだろう、ヘルを止めればいいんだな。」

 

零児は振り向いて言うもそこにはもう始まりの女はいなかった。

 

 

 

 

 

その頃グリドン、ブラーボ、ナックルの三人はマリカによって大量発生したインベスに襲われていた。

 

「くそ!こんなとこで足止め食らってる場合じゃないんだ!零児を助けに行かなきゃいけないのに!」

「なぁ兄さん、クライアントが死んだんだからここに長居する必要はないよな?」

「あぁ、そうだな。」

「お前ら…!」

 

グリドンとブラーボはロックビークルを展開し、それに乗った。そしてブラーボはナックルの近くまでサクラハリケーンを走らせる。

 

「おい、クルミの坊主。お前はあのバナナの坊主から何を託された?」

「え?」

「俺が使いこなせなかったアームズを使いこなせたほどのやつだ。簡単には死なないだろう。それよりも自分が出来ることをやるんだな。」

 

そう告げるとグリドンに続くようにブラーボも地球へと帰還した。残されたナックルもローズアタッカーを展開するとそれを使って地球に向かった。それを見たマリカは変身を解除し、再び森の深いところに帰って行くのだった。

 

 

 

 

 

デュークはシグルドに手を差し伸べた。

 

「大丈夫かい、わが友よ。」

「あぁすまない、ニヴル。」

「ここから反撃だ。」

 

龍玄、斬月・真が倒れている中、鎧武は立ち上がる。

 

「お前がニヴルか!」

「アーマードライダー鎧武…。ふふ…私の同じレモンのロックシードをなぜ持っているのかは知らないが…ここでお前たちには消えてもらう。」

「おい、アンタに聞きたいことが…」

「問答無用!」

 

デュークはソニックアローによって鎧武を容赦なく攻撃する。防御する隙も与えずただひたすら斬る。その光景にシグルドも何も言えないほどであった。鎧武は吹き飛ばされるとチェリーエナジーロックシードを取り外し、レモンエナジーロックシードに変えた。

 

 レモンエナジー!ロックオン!ミックス!オレンジアームズ 花道 オンステージ!ジンバーレモン!ハハー!

 

ジンバーレモンアームズに変わった鎧武はデュークに対しパワーで勝負しようとするもゲネシスドライバーの中でも最高スペックを秘めているデュークには勝てない。ソニックアローの使い方も鎧武を上回る。やがてデュークはシーボルコンプレッサーを二回押し込んだ。

 

 ソーダ…レモンエナジースパーキング!

 

ソニックアローを構え、レモン型の斬撃を鎧武に対し飛ばした。それが命中すると鎧武は大きく吹き飛ばされ近くに流れていた川に落ち、流されていった。

 

 

 

 

 

慧は川下で目を覚ました。近くで火の暖かさを感じる。たき火を誰かがしているのだ。ガバッと体を起こし、火の向かい側を見るとそこにはサガラが座っていた。

 

「よう。織河慧。どうやら信継はゲネシスコアとレモンエナジーロックシードをきちんとお前に渡していたようだな。」

「あんたは…?」

「まぁなんでもいいじゃねえか。お前の敵じゃあないよ。」

「…アンタが助けてくれたのか?。」

「さぁどうだろうな?」

「…。」

 

沈黙がしばらく続く。するとサガラが再び慧に話しかけた。

 

「なぜデュークに対し本気にならなかった?」

「え…。」

「俺は気が付いてたぜ。いくらゲネシスドライバーの力がすごくてもあそこまで圧倒はされないだろう。なぜだ?」

「…俺がやってることって正しいのかなって…。」

「お前は人を守るために変身し、戦うと決めたんだろ?それが間違っているということか?」

「それは間違ってないと思う。でも人を守るってことは敵を倒さなきゃいけないわけで…でも敵も仲間を守るために…世界を守るために戦っているんだとしたら…。」

「なるほどな…お前もアイツみたいに悩んでるってわけか…。」

「え?」

 

いやいやといいながらサガラは薪を足す。

 

「かつてお前みたいに二つのうちどっちかを選ぶことなんて無理だと言ってるやつがいた。俺はそいつにこう答えた。『どんなことにも犠牲を強いる世界と戦えばいい』とな。」

「世界と…。」

「それを言った時は俺の仕事…いや本能のためにやつを戦いに駆り立てたくて言っただけだったんだがな。今回に関してはお前は果実を争奪戦の選手ですらない。お前を戦いに駆り立てるつもりはない。」

「何の話だ?」

「いや…ただ俺の知ってるやつに似ている若者がいたからな。懐かしくて話しちまっただけさ。」

「…。」

「お前は純粋すぎる。何でも鵜呑みにする。そういうやつは決まって損な道を歩むことになる。ニヴルが世界を救おうとしている?本当にそうなのか?人を救うために戦う?ならば守るべき人間の中に敵がいないと言えるのか?戦うべき敵がいる?そいつは本当に敵なのか?常に疑え。それが世界の秩序だ。世界は常に疑惑で成り立ってきた。」

「そんな…。」

「お前はアイツに似ているからな。どうしても応援したくなっちまう。だがアイツのようになるにはもっといろいろな荒波に揉まれろ。世界を知れ。これはそのチケットだ。」

 

サガラは懐からオレンジを取り出した。それは機械的な果実に変わり、やがてロックシードへと変化した。たき火の火はすでに消えている。その隣にロックシードを置くと蛇の姿に変わり、森の奥へと去って行った。

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