仮面ライダー鎧武 All For The Future   作:エクシ

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第16話 「さらばヘル」

「母がそんなことを…。」

 

始まりの女との接触のすべてを聞いたヘルは俯く。しかしすぐにまた二人を鋭いまなざしで睨んだ。

 

「だが私は消えたくないんだ。私は…消えるなんていやだ!そのためだったら…」

「なんでもする…か?」

 

零児はヘルに言い放つ。ヘルは黙って頷いた。慧はそんなヘルを諭すように会話に入る。

 

「君の両親の世界がどうなってもいいってことか?君は本当に自分さえよければいいのか?」

「当たり前だ。私が世界の中心だ!」

「織河、無駄だ。この女は今までずっと全知全能の両親としか生きてこなかった。他人の気持ちなどわかる筈がない。だから父も消したんだろう?」

「…。」

「え!?」

「始まりの女から聞いた。お前はニヴルとともに葛葉紘汰を倒した。自分の障害になったからな。」

「あれくらいで…父は死なない。いずれ戻ってくるわ。」

「だからってあんた…自分の父親を…!」

「父だって私が復活することを望んでくれているはずよ。私がニヴルに治してもらったら父を助けるわ。」

「治ったら…か。」

 

零児は微笑を浮かべた。

 

「何がおかしいの?」

「お前は本当に馬鹿な女だな。」

「なに!?」

「おい…零児…。」

「やつは黄金の果実を狙っているんだぞ。そんなやつがお前を本気で助けると思うのか?お前を助ければ黄金の果実を奪いにくくなる。信じるやつを選ぶ時には頭を使うんだな。」

 

ヘルはハッとした顔でその場にうずくまる。「私は…ニヴルに利用されていただけだってこと!?」しばらくして取り返しのつかない自らの過ちに気が付く。ヘルは自分の病が治ったら、始まりの男と女から遺伝された黄金の果実の力を使い、始まりの男を復活させようとしていた。だがもしニヴルに治してもらえなかった時には自分の望みは何一つ叶わなくなる。ヘルはその状況にようやく気が付いた。そこに突然黄色い閃光が三人のところに放たれた。三人は避け、放たれた方向をみるとそこにはデュークが立っていた。

 

「おやおやばれてしまったか。」

「ニヴル!あなた私を騙していたの!?」

「ハハハ、何の話だい?わが友よ…ククク…。」

 

デュークは笑いが止まらないようでついには大笑いし始めた。

 

「てめぇ…!」

 

慧は怒りをあらわにする。デュークはローズアタッカーを展開し、跨った。

 

「ヘル相手にヘルヘイム環境はいくら体調がすぐれないと言っても不利だな。地球に逃げるとするか。」

 

デュークはそう告げると再びクラックの中へと消えていった。

 

「零児!追うぞ!」

「あぁ。」

「…。」

「君もくるかい?」

「私は…。」

「構わん。この女は置いていくぞ。」

「でも…」

 

ヘルは俯きながらも零児の冷たい言葉に反応を示した。

 

「行くわ…私も…。」

 

 

 

 

 

デュークは三人が来るのを待っていた。

 

「さぁて…早くこっちに帰ってくるんだ。ククク…。」

 

期待通り、ロックビークルに乗った三人がクラックの先から現れた。

 

「やぁ、遅かったじゃないか。ん?」

「ニヴル…アンタは許さない!!いくぜ、零児!ヘル!」

 

 オレンジ!バナナ!ピーチエナジー!

 ロックオン!ロックオン!ロックオン…

 ソイヤ!カモン!ソーダ…

 オレンジアームズ 花道 オンステージ!

 バナナアームズ ナイトオブスピアー!

 ピーチエナジーアームズ! ♪~~♪

 

鎧武はお得意の二刀流でデュークに斬りかかり、バロンはバナスピアーを器用に使いデュークの急所を狙っていく。マリカは二人に当たらないようにソニックアローの射撃でデュークのゲネシスドライバーを壊そうとする。だがいずれの攻撃もデュークには当たらない。そればかりか反撃を食らい、三人の体力が奪われていくばかりであった。

 

「ニヴルヘイムは生物学が発達した世界。そしてこの私は科学者だ。自らの体を強化していないわけがないだろう?」

 

デュークは力を実感するようにして三人を追い詰めていく。マリカはピーチエナジーロックシードを外し、ソニックアローに取り付けた。

 

 ロックオン…

 

マリカはソニックアローを思いっきり引き、デュークの急所に狙いを定める。そして射撃を放った。だがデュークはシーボルコンプレッサーを一回押し込んだ。

 

 レモンエナジースカッシュ!

 

ソニックアローから放たれた斬撃によってマリカの攻撃はかき消され、彼女のドライバーにダメージを与えた。ゲネシスコアにひびが入った程度の故障であったがいずれにせよもう変身は続けられず、マリカはヘルの姿へと戻った。

 

「さーて、そろそろ最後の一手を打っておくかな?」

 

デュークはスイッチを手にし、それを押した。すると鎧武たちが乗っていたロックビークルが爆発し、大破した。

 

「な…!」

「フェムシンムの世界以外へ行くためのロックビークルのプログラムには自爆プログラムが組み込まれているのさ。これでもう君たちは新しいロックビークルを生成しないかぎり他世界へは行けない。あ~もちろん呉島コーポレーションの方のロックビークルも君と呉島信継、安土義秋がニヴルヘイム世界に旅立った直後に爆破させといたよ。ハハハ!」

 

嬉しそうにデュークは一つだけ残されたローズアタッカーに乗った。

 

「今度こそヘルヘイム世界に入って私を邪魔するものはいなくなった!次会うときは私が果実を手にし、神となった時さ!!さらばだ…アーマードライダーたちよ!」

 

そういうとデュークはヘルヘイムへ向かった。鎧武とバロンは変身解除し、倒れているヘルの元へいった。

 

「おい!大丈夫かよ!」

「う…。」

 

ヘルの体は再び黄金に光はじめる。今までの中でも一番の輝きだ。

 

「まずい…こいつはもうすぐ消滅するぞ。」

「え!くっそ!どうにかならないのかよ!?」

「俺に言うな…。」

 

ヘルは遠ざかる意識の中、父との思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡っていた。

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