仮面ライダー鎧武 All For The Future 作:エクシ
消えゆく意識の中、ヘルは涙をこぼしながら呟いた。
「私は…なんて…ことを…お父さん…。」
そんなヘルを抱きかかえる慧。
「俺は…君のお父さんも君自身も詳しくは知らない。でも…他人に迷惑をかけてしまったり…自分の親に対して何か思うことがあるなら…償おうよ。誰も許してくれないかもしれない。でも…償おうよ。それが君をまた成長させてくれるんじゃないかな?まだ君はこんなところで消えちゃだめだよ。」
励まそうとする慧自身も自らの瞳に涙を浮かべていた。零児は涙を流してはいなかったが黙って二人を見下ろしていた。そこに二人のバイクに乗った男たちが現れた。信継と義秋だ。
「いいことを言うのはいいが根本的な解決にはなっていないぜ?慧くんよぉ。」
義秋はそういうとカッティングブレードが付いていない量産型の戦極ドライバーをヘルの腰につけた。それと同時にヘルは気絶し、光り輝く現象も少し治まった。
「何とか予算を削ってここまではつくれたんだ。感謝してくれよ?」
義秋はいつもの調子で慧に声をかける。涙をぬぐった慧は義秋に小突いた。そして信継が話しはじめる。
「我々はお前がニヴルと共にヘルヘイム世界へ行ってから一度この地球に帰還した。そしてニヴルの正体を調べていたんだ。」
「正体?」
はじめて零児が三人のやり取りに興味を示した。それを面白がるように義秋が零児に向かって言う。
「そもそもあのニヴルとかいうやつがゲネシスドライバーを作ったとかいうこと自体おかしいんだ。別次元の存在がおんなじものを作るなんてありえない。あるとすればゲネシスドライバー、あるいはゲネシスドライバー設計の知識をニヴルヘイム世界に持ち込んだものがいると考えるべきだ。」
「どういうことだ?」
信継が義秋に続いて再び話す。
「貴虎のデータによるとかつてアーマードライダーと呼ばれるものたちがバトルロワイヤルを行った時、フェムシンムの世界以外に通じるクラックが出現したことがあったそうだ。その現象を調べるために派遣されたユグドラシルの研究チームの一つが行方不明になっていた。おそらく目的地であった別世界に行けずにニヴルヘイム世界へ飛ばされてしまったのだろう。」
「その中にいたのが明智真汰郎という男さ。戦極凌馬の右腕、戦極ドライバー・ゲネシスドライバー両方の製作に関わっていたそうだ。で、そいつの顔写真が…これ!」
携帯端末に明智真汰郎の顔が映し出される。それは間違いなくニヴルと呼ばれた男の顔であった。
「じゃあ…ニヴルの正体って…。」
「戦極凌馬の右腕、明智真汰郎だ。」
「馬鹿な!どれくらい昔の人間だと思ってるんだ?そんな長い時間生きているわけがないだろう!」
「零児く~ん、浅はかだねえ。ニヴルヘイム世界は生物学が発達した世界だったんだよ?人間レベルの寿命なんて考えるだけ無駄無駄。」
「じゃあニヴルは元々人間だったっていうのか…。」
慧は自らの故郷を容赦なく攻撃するものがいることにショックを受けていた。そんな慧を見た信継は何とか話の流れを変えようとする。
「とりあえずヘルヘイム世界に果実を守るものがいない今、ニヴルが黄金の果実を手にするのは時間の問題だろう。何とかして止めなくては地球も危ない。」
「んでもロックビークルは我々がいない間にぜ~んぶやられちゃったってわけよ。仕方ないからこの天才 安土義秋、頑張っちゃいました。」
「なんだよ?」
「何とか一台だけロックビークルを作りました!ほら、天才は違うでしょ??」
「…果実を手あたり次第捥いでロックビークルを当てただけだろ。」
零児に鋭い指摘をされる義秋。だがそんな言葉は耳には入らないと言わんばかりに話を続けた。
「一台だけだからニヴルと戦うことになるのは一人だけになるね。私と信継は地球に出現しているヴェルダーを倒さなくてはならない。どうやらニヴルがドライバー破壊のための刺客として大量に送り込んでいるらしい。あの三人に任せておくのは癪だしね。」
「あの三人?」
「ヴァルドネール兄弟に第3天樹高校生徒会長代理の浪川斗真さ。」
「ふん…あいつら…。」
零児は嬉しそうにニヤリとした。
「おい織河慧。お前がニヴルと戦え。一番強いやつと戦いたいのは山々だが俺を待ってるやつらがいる。俺はそっちの方に行かねばならん。」
慧は嬉しそうにゲネシスコアとレモンエナジーロックシードを差し出した。
「俺、お前のこと勘違いしてたかも。この世界は頼んだぜ。」
黙って零児はそれらを手にする。するとヘルが小声で慧に話しかけた。
「これを…使って…。」
ヘルは右手を黄金に光らせる。輝きがやむとそこには鍵の形をしたロックシードが現れた。
「父が持っていた…ものを真似てみたの…。私の残された…最後の力…!」
慧はそれを受け取る。
「任せろ。君の世界は救って見せる。」
義秋から受け取ったサクラハリケーンを展開し、慧はそれに跨る。四人に手を振ると慧はヘルヘイム世界での最後の戦いへと向かった。
「行っちゃったね。信継。」
「あぁ、だが彼なら大丈夫だ。」
「おい、呉島コーポレーション共。」
「ん?」
「なんだ?」
「貴様らの力だけで世界を救えると思っているのか?」
「なんだと?何が言いたい?」
信継は零児に突っかかった。その間に辺りはヴェルダーの集団が蠢いている。
「な…いつの間にこんな!」
「お前たちだけでは無意味。戦いには…数が必要だ!」
零児がそう叫ぶと辺りから黒いアーマードライダーたちの集団が現れ、ヴェルダーたちを攻撃していく。
「これは!?」
「黒影トルーパー隊。貴様らのようなお堅い組織にはできないことだ。どうだ、俺の力。」
「……ふふ、まさか高校生にこんなことをされるとはな、一本取られたよ。」
信継は笑みを浮かべるとゲネシスドライバーを取り付けた。
「変身!」
メロンエナジー! ロックオン…ソーダ…メロンエナジーアームズ ♪~~♪
斬月・真となった信継はヴェルダーの軍団に突っ込む。零児も戦極ドライバーを取り出し、つけようとするが義秋にゲネシスコアの部分が故障したゲネシスドライバーを差し出される。
「そこのお嬢さんが持ってたやつだ。コア部分以外なら問題なく機能するよ。」
「…ふん。」
零児は壊れたゲネシスコアを取り外しそれを捨て、慧から受け取ったゲネシスコアを取り付け、腰に装着した。
「変身!」
レモンエナジー! ロックオン…ソーダ…レモンエナジーアームズ FIGHT・POWER!FIGHT・POWER!FIGHT・FIGHT・FIGHT・FIGHT・ファファファ・FIGHT!
バロンはソニックアローを逆さに持ちながらヘルに背中を向けるように立つ。ヘルを襲おうとするヴェルダーを逆さに持ったソニックアローで次々と斬り裂いた。
「俺はこいつの母親からこいつを頼まれている。指一本触れさせんぞ!」
「ふ~~、かっくいい!んじゃ私も…変身!」
ブドウ!ロックオン!ハイー!ブドウアームズ!龍・砲・ハッハッハッ!
龍玄は斬月・真に続き、ヴェルダーたちに挑んでいった。
ニュー沢芽シティの西エリアでグリドン、ブラーボ、ナックルも戦っていた。
「兄さん…ここまでする必要…あるのかい?」
「フランス人は常に誠実であれ。クライアントとの契約が切れるまで俺たちはそのクライアントの傭兵なんだ。クライアントが望むであろうことが出来なくてどうする?それに今のクライアントは彼だ。」
ブラーボはそういうとナックルを指した。ナックルは息が上がりながらもあぁと返事をした。するとナックルの元に通信が入る。
「はい、こちら浪川…」
「きちんとできてるじゃないか、生徒会長。」
零児からであった。
「零児…!!よかった…やっぱり生きてた!」
「泣くな、戦いの最中だぞ。俺は高司神社付近で戦っている。お前も負けるなよ。」
「あぁ…当たり前だ!」
「それでこそ俺が見込んだ男だ。」
そういうと通信は途切れた。ナックルは今までのバテが嘘だったかのように体が動くようになった。
「よっしゃ!すぐ片づけるぜ、二人とも!!」
三人はヴェルダーたちに突っ込んでいくのだった。