仮面ライダー鎧武 All For The Future   作:エクシ

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第20話 「変身!そして過去へ」

バロンは次々と襲い掛かるインベスとヴェルダーを一歩も動くことなく斬り捨てていった。後ろにいたヘルは意識を取り戻すことなく倒れたままであったがそれでも彼は彼女を守り続けた。だがやがて一人で守り切れるような量ではない大群が神木前に現れる。「くそ…俺は負けるわけにはいかない!」バロンはソニックアローを持ち直し構える。その時、大群の一部が吹き飛ばされている光景を目にした。ナックルが敵をパンチで吹き飛ばしていたのだ。

 

「零児!俺も手伝うぜ!」

「ふん…お前ってやつは…。」

 

ナックルがバロンのもとにたどり着くとバロンのようにヘルを背にし戦いを再開した。お互いがお互いの背中を守り、一人の女性を守る。彼らの鉄壁の守りを崩せるものは誰もいなかった。

 

 

 

 

 

斬月・真と龍玄は神木から少し距離が離れたところまで行き戦いを続けていた。龍玄はすでにキウイアームズにアームズチェンジしており、二人はソニックアローとキウイ撃輪で敵を倒していく。二人もまたお互いに背中を預け戦っていた。長年の友である二人にもはやお互いに対する信頼は言葉にするまでもなく揺るがぬものであった。

 

 

 

 

 

ブラーボ、グリドンはニュー沢芽シティの東に向けて侵攻していた。彼らが通り過ぎたところにはインベスとヴェルダーの肉体の破片が充満していた。

 

「ルイ、西の方の住民たちはすでに避難させた。このままインベスやヴェルダーたちを東に追い詰めていく。そちらの方に呉島コーポレーションや天樹学園のアーマードライダーたちがいる。さらに有利に戦えるだろう。」

「了解、兄さん。ところでもう一回聞くけどなんでここまでするんだい?いくらクライアントの為と言ってもここまでやる兄さんは初めて見るんだけど…。」

「フッ…。」

「?」

「ルイ、お前くらいの歳の男たちが頑張っているんだ。年上の俺が頑張らないわけにはいかないだろう?」

 

 

 

 

 

ヘルヘイム世界…。終末の男改めロード・デュークはファングーシュと呼ばれる剣で鎧武を襲っていた。鎧武は怒涛の攻撃を防ごうとするも追い付かず一方的にやられていた。

 

 メロンディフェンダー!イチゴクナイ!

 

メロンディフェンダーで相手の攻撃を受け止め、その陰からイチゴクナイで攻撃をしようとする。だがロード・デュークは肉体を液体のように変化させ、その攻撃を避けるとそのまま鎧武に襲い掛かりダメージを与える。

 

 バナスピアー!マンゴーパニッシャー!キウイ撃輪!ドンカチ!ドリノコ!影松!クルミボンバー!

 

様々な武器を召喚し同時にぶつけようとするがロード・デュークは手からバリアを発生させそれを跳ね返し、鎧武を襲う。

 

「く…俺一人じゃこいつを倒すことは…!」

 

ロード・デュークは威嚇とも聞こえる奇声を発する。

 

「まさかこいつ…すでに自我がないのか!?」

 

ロード・デュークは序盤は自我を何とか保っていたものの、力の増幅に耐えられず途中から自らの意識を失っていた。それはまさに暴れまわる蒼き獣であった。

 

「ギュアアアアアア!」

「黄金の果実は黄金の果実で制さなくてはならない…。でも俺の力だけじゃ足りない…。どこかにまだ果実があれば…。」

 

空中に地球へとつながるクラックが開かれた。ロード・デュークの暴走した力によって開かれたクラックの一つだ。そこには巨大化した高司神社の神木の一部が見えていた。

 

「……あれだ…。」

 

鎧武のパルプアイが光り右手を挙げるとロード・デュークの足元から植物が生え、そのクラックの中にロード・デュークを投げ飛ばした。鎧武が左手を挙げると次は自らの足元に植物を発生させ、クラック付近まで近づく。そしてそのクラックの中に入った。ロード・デュークは投げ飛ばされたものの、地面に着陸する。そこにはインベスとヴェルダー相手に善戦しているバロンとナックルがいた。それにターゲットを絞ったロード・デュークはゆっくりと二人に近づいていく。

 

 無双セイバー!

 

「おっと待ちな!」

 

鎧武が無双セイバーでロード・デュークを斬り、止める。

 

「織河か!」

「零児、ちゃんと守ってるんだな。」

「ふん、約束だからな。ところでそいつはなんだ?」

「ニヴルだよ。」

「!…なるほどな。」

「零児、悪いんだけどこいつを少しの間止めていてくれないか?」

「何をするつもりだ?」

「ふふ。」

「…いいだろう、すぐ終わらせろ。」

 

バロンはナックルにヘルを任せるとロード・デュークにソニックアローで斬りかかった。ファングーシュで対抗するロード・デューク。そして鎧武は神木のところまで駆けた。ナックルは敵を倒しながら鎧武に尋ねる。

 

「おい!なにするつもりなんだ?」

「あんた副会長か?」

「今は会長代理だ…っていうか答えろ!」

「見てなって。」

 

鎧武は無双セイバーを大きく構える。無双セイバーの刃が黄金のエネルギーに包まれるとそれを振りかざし、神木の幹を縦に斬りつけた。その切り口にクラックのようなチャックが現れる。それは静かに開かれ、その中には黒い髪の青年が目をつぶって立っていた。

 

「やっぱり封印は黄金の果実の力なら解除できたんだな。」

「おい、織河慧!こいつは一体!?」

「俺の先祖の兄弟でこの世界を救った英雄 葛葉紘汰だ。」

 

その名を呼ぶと紘汰はゆっくりと目を開けた。

 

「その名前で呼ばれるのは久しぶりだな。」

「突然だけどあんたの力を借りたいんだ。」

「神木の中からだったけど事情は分かってる。今の俺は肉体に秘められていた果実の力を全部神木に吸われちゃったからただの人間だけど…協力できることはするぜ!ロックシードは神木には吸われていないしな。」

 

紘汰の腰にはすでに戦極ドライバーが巻かれている。

 

「さぁ行こうか、後輩。変身!」

 

 カチドキ!フルーツバスケット!ロックオン!ロックオープン!極アームズ!大・大・大・大・大将軍!

 

紘汰は鎧武 極アームズへと変身した。二人の鎧武が神木の前に立つ。

 

 無双セイバー!

 

先代鎧武は無双セイバーを召喚し構える。そしていつも言っていた決め台詞をここぞとばかりに言う。

 

「こっからは俺たちのステージだ!」

 

バロンはロード・デュークの攻撃で強制変身解除まで追いやられた。ロード・デュークが零児にとどめを刺そうとするとき、二人の鎧武がロード・デュークを斬る。二人は初めて会ったとは思えないコンビネーションでロード・デュークを攻めていく。

 

「ギュオオオオ!」

「痛いみたいだな!さぁ輪切りにしてやるぜ!行くぞ、慧!」

「はい!」

 

 火縄大橙DJ銃!

 ロックオン!イチジュウヒャクセン…オレンジチャージ!

 ロックオン!イチジュウヒャクセン…オレンジチャージ!

 

先代鎧武は火縄大橙DJ銃による射撃を、鎧武は無双セイバーによる斬撃をそれぞれロード・デュークに繰り出す。なんとか耐えるロード・デューク。だがもうその肉体はボロボロになっていた。

 

「紘汰さん、キックでラストステージだ!」

「お、それいいねぇ!よっしゃあ、いくぜ!」

 

 ソイヤ!極スカッシュ!

 ソイヤ!極スカッシュ!

 

お互いに右足と左足を突き出しダブルキックをロード・デュークの腹部に叩き込んだ。とてつもない衝撃波が辺りを包む。やがて爆発とともにロード・デュークの姿は消えた。インベスやヴェルダーは元のクラックに強制的に戻される。数分後、ニュー沢芽シティから敵は消えた。

 

 

 

 

 

「じゃあ今は本当に果実の力を失っているってことですか?」

「あぁ、神木にはエネルギーを吸収する力があったみたいなんだ。でもロックシード化してた俺のロックシードは神木がエネルギーとして判断しなかったみたいで何とか無事だったってことだ。」

 

戦いが終わり、神木の前に紘汰、慧、零児、斗真、信継そして横になっているヘルがいる。そこにサガラが現れた。

 

「よう、久しぶりだな。葛葉紘汰。」

「サガラ…本当に懐かしいな、その呼び方。」

「始まりの男とはもう呼べないからな。お前は力を失った。」

「…。」

「ところでそこに横になってるお嬢さんを救いたいのか?お前らは。」

「当然だ!」

 

慧は紘汰が返事をする前に叫んだ。サガラは笑いながら話を続ける。

 

「ならばその娘に黄金の果実を食わせるしかないな。果実を食べることによって肉体を力に耐えきれるものに変換することが出来る。ニヴルの場合、ニヴルヘイムの技術でいろいろ体をいじったせいで耐え切れなくなってしまったようだがな。」

「でももう黄金の果実なんてない…。」

「あるじゃないか。そこに。」

 

サガラは神木を指した。そこにはたしかに黄金に光る果実が生っていた。

 

「どうして…!」

「木は蓄えた栄養を実にする。それはヘルヘイムでも同じことさ。」

 

慧は果実を捥ぎ、ヘルの口元に持っていく。ヘルはかすかに意識を取り戻す。

 

「ヘル、口を開けるんだ。君を救える。」

 

ヘルはゆっくりと口を開け黄金の果実を口にした。瞬く間に彼女の肉体を植物が包み込み、黄金に光る。それが収まると白銀の鎧をまとったヘルが起き上がった。

 

「ありがとう皆さん、零児、父さん、そして…慧。」

「よかった。もう大丈夫なんだな。」

「えぇ。今の私は力に耐えきれる体を手にした。」

 

紘汰は涙を流し始める。

 

「父さん。」

「あぁ…よかった…娘を…おれはやっと家族を救うことが出来たんだ!」

「父さん、私本当に父さんに感謝しているの。それと同時に謝りたい。本当にごめんなさい。」

「悪いことをしたってわかってるんだな。…よかった!」

「だから父さんに償いをしたいのよ。」

「え?」

 

そういうとヘルは右手を光らせながら話を続ける。

 

「私が父さんの肉体を昔の状態にまで戻して過去に戻すわ。」

「な…!」

「父さん、私の前では言わなかったけど母さんと二人のときいつも沢芽市とそこにいる仲間たちの話してたじゃない。あの時はなんであんなに楽しそうに話していたのか全く分からなかったけど今ならわかるわ。仲間の大切さを。」

「ヘル…。」

「だからこの全知全能の力をまず父さんに対して使いたいの。」

「…。」

「私はどんなことがあっても父さんの娘よ、父さん本当にありがとう。」

「お前も…俺の…俺の娘として生まれてきてくれて…ありがとう…!」

 

涙が止まらない紘汰の体はヘルによって黄金に光る。そして光りながら紘汰は慧に声をかけた。

 

「慧…。」

「はい。」

「本当にありがとう。」

「いえ…。」

 

そして紘汰は光とともに消えた。

 

 

 

 

 

ビートライダーズたちによるステージでのダンスが再び盛り上がりを見せている沢芽市。西のフリーステージではザック、ペコ、ラット、リカ、チャッキーそして清々しい笑顔を取り戻した光実がダンスを踊っていた。観客も大盛り上がりである。最後のポーズも決まりハイタッチをし合うビートライダーズたち。

 

「いいぞぉ~!ビートライダーズ!」

「かっこいい!」

「あの時は助けてくれてありがとう!」

 

かつてのような冷たい罵声はなく彼らの純粋にダンスがしたいという気持ちを理解した市民たちは彼らを暖かく迎えていた。光実は自らの罪を償うべくこうしてまたビートライダーズとして活動していた。「紘汰さん。今何をしているんだろう。」ステージの上でも彼はそんなことを考えていた。

 

「いいぞ!みんな!かっこよかった!」

 

ビートライダーズたちは聞き覚えのある声がしたことに気が付く。辺りを振り向き、やがて観客の後ろの方にその声の主がいることに気が付いた。光実は目を大きく見開き驚く。そして涙を流しながら笑みをこぼし、彼の元まで走って行った。

 

 

 

 

 

「ヘル、じゃあ君はヘルヘイム世界に帰るんだな。」

「ええ、あれが私の故郷だから。」

「そうか。」

「本当にありがとう。慧、零児。」

「ふん、俺は借りを返しただけだ。」

「ふふ。そうだ、よかったらこれを。」

 

ヘルは慧と零児にピーチエナジーロックシードを一つずつ渡した。そしてクラックを開け、ヘルヘイム世界へ帰ったのだった。ヘルが去ったことを確認すると斗真はそっと零児の耳元でささやいた。

 

「ぶっちゃけお前さ、あの果実横取りしたかったんじゃないの?」

「フン…言っただろう、借りを返しただけだ。あんなことがなければ果実を奪っていた。」

「やっぱりな。」

「さて、帰るぞ。こんなやつらといつまでも慣れ合っている時間はない。」

 

斗真は苦笑いをしながらそうそうと立ち去る零児についていった。

 

「なーんだあれ。」

 

慧はポカーンとしたまま二人の背中を見送るだけであった。そして残った信継に思い出したように質問する。

 

「あ、そうだ。義秋は?」

「終戦処理中。」

「え?」

 

 

 

 

 

ヴァルドネール兄弟は沢芽空港にいた。戦いに片が付くとすぐに支度をしフランスへ帰国しようとしたのだ。だがその二人を黒服の男たちが囲む。

 

「な!」

「逃がさんぞ~、クソ兄弟。」

「お前は安土!」

「確かに君たちの世話にはなったがどちらにしてもその戦極ドライバーは盗品。ということで我々呉島コーポレーションはグリドン・ブラーボの戦極ドライバーのイニシャライズ機能を切ることで君たちにそれらを預けるということに決めた。」

「イニシャライズ機能を切る?」

「そうすればいざとなったら君たちから力ずくで奪ってこちらの戦力にすることが出来るからねえ。」

 

義秋はニヤリとしながら言う。アルはため息をつくと戦極ドライバーを取り出した。

 

「早めにやってくれよ?飛行機はあと一時間で離陸なんだ。」

 

 

 

 

 

慧は帰り道を一人で歩いていた。家に着く直前、サガラが現れる。

 

「よう。」

「よう。」

「すべて終わった…のかな。」

「うん。あ、そうだ。俺アンタに言いたいことがあったんだ。」

「なんだ?」

「アンタ前に『守るべき人間の中に敵がいないと言えるのか』って俺に言ってきただろ?俺仲間に裏切られるとかそういう意味なのかなって正直ちょっと不安なときがあったんだ。」

「ほう。」

「でも結局そんなことなかったよ、アンタにだって予想できないことがあるんだよ。それを知ってほしかった!」

 

そう言うと家の前で鍵がなく入れなくなっている桜子と家に遊びに来た日菜子が門の前に立っていることに慧は気が付く。

 

「それだけ!じゃあな!」

 

慧は二人の元に走り去っていった。彼の顔は笑顔に満ち溢れていた。そんな後ろ姿をサガラはじっと見つめていた。

 

「果たしてそうかな?」

 

 

 

 

 

金の鎧をまとったアーマードライダーと銀の鎧をまとったアーマードライダーが戦っている。冠と呼ばれた銀の鎧のアーマードライダーはやっとの思いで立っているほどであった。マルスと名乗る金の鎧のアーマードライダーは冠にとどめを刺した。

 

「ぐはっ!」

「私が復活するたびに貴様に邪魔されるのはもううんざりなんでな。まず消えてもらおう。」

「僕がいなくたって…紘汰が…!」

「フン、この時代にやつはいない!私が恐れる者はもういない!」

「そん…とは…な…い…。」

 

冠は倒れた。マルスはその亡骸に背を向けた。

 

「私の世界を今度こそ!」

 

 

 

 

                                 第一部 完




ありがとうございました!

なんとか頑張ってプロットは立てたつもりです。もし矛盾するところなどがあったらごめんなさい><


また前回最終回にするといったのに結局第一部の最終回ということにしてしまいましたww
というのも今回の話はいろんな登場人物が活躍出来てなかったなあと反省しており、また新しい話を作りたいなと思ったからです。

いつになるのかわかりませんが第二部をやれたらいいなあと思います。最後に書いた通り二部はコウガネ復活の話になると思います。テレビ本編で邪武となったものの鎧武と龍玄に倒されたコウガネがなぜマルスという形で再び復活できたのか、これからプロットをたてて少しでも面白いものが欠けるように頑張りたいと思います。予定としては矛盾が生じないようにしたいのでmovie大戦2015を私が見てからにしようかななんて考えてます。まぁ我慢できずに書きはじめるかもしれませんがww

ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。第二部もこのページに書くことになると思います。その時にはまたよろしくお願いします。

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