仮面ライダー鎧武 All For The Future 作:エクシ
慧は珍しく時間に余裕をもって家を出た。通学路を歩いていると急に声をかけられる。信継だった。
「どうしたんだ?」
「最近ルイ・アントニオ・ヴァルドネールは学校に来ているか?」
「なんでルイのこと?…いや転校初日以来来てねえんだ。せっかく仲良くなれたと思ったのに…。」
「やはりか。情報感謝する。」
そういうと信継は立ち去ろうとしたが慧は信継の肩をつかみ止めた。
「おい、待ってくれよ。なんでルイのことを聞くんだ?まさかインベスに絡んでるのか?」
「…。」
「まさかインベスに襲われて怪我とか負ったのか!?どうなんだよ!」
「…君に話そうか迷ったのだが…」
信継はヴァルドネール兄弟と新世代ライダーたちについて知っていることをすべて話した。慧はルイが自分を利用しただけに過ぎなかったことと友達になったと思っていたものに裏切られた気持ちで押し潰されそうであった。
「君には酷なことを言うようだが…戦極ドライバーが行方知らずになるとかなり面倒なことになる。アーマードライダーブラーボ、グリドンに会った時には彼らのドライバーを奪還、もしくは破壊してくれ。」
「それってルイを倒せってことかよ?」
「君はアーマードライダー鎧武、私情は挟まないでほしい。」
それを聞くと慧は信継の首元につかみかかる。
「俺や零児にあんな拘束なんかした上に『私情は挟むな』だ?俺はあんたら呉島コーポレーションの犬じゃないんだぞ⁉」
「それは重々承知している、鎧武。」
そこに黒い車が止まり、その車の後部座席の窓が開いた。中には零児が座っていた。
「おい、学校に遅れるぞ。乗れ。」
慧は手を放すと零児の座っている方とは別の方のドアから車に乗った。
「今のやつは誰だ?」
「呉島コーポレーションの呉島信継だよ。…いいやつだと思ってたのに…。」
「なるほどな、俺たちを拘束した奴らのうちの一人ってことか。」
「いや…知らないけどさ…。」
「ならばまずアイツを俺の下に這いつくばらせるとしよう。」
「どういうことだ?」
「天樹学園の情報網を使って分かったのだが、どうやら予算の都合上、戦極ドライバーは五台しか生産されていないらしい。まぁニュー沢芽シティ内にしかインベスは現れない。そこだけに多額の予算をかけるわけにはいかないからな。」
「うん…で?」
「だが呉島コーポレーションのやつらは戦極ドライバーをなるべく増やしてインベスに対抗したいはずだ。この街を拠点にしているのだからインベスの存在が公のものになればこの街での他分野の呉島コーポレーションの事業にも影響が及ぶ。」
「う~ん…。」
「はぁ…。ようは金があればドライバーを作れる。ドライバーが多くあれば呉島コーポレーションを従わせるのも苦ではない…。」
「そ…そうか。」
「お前に話しても無駄だったな。さあ降りろ、学校だ。」
その頃何とかして呉島コーポレーション本部から脱出し、他県へ逃れていたアルとルイは戦極ドライバー侵奪任務を依頼したクライアントに会うため約束の廃工場にいた。クライアントはMr.Xと任務中は呼ばれており、某国の大臣にあたる地位にいる人物である。アルとルイは時間になっても訪れないクライアントにトランシーバーで応答を願うも返事は来ない。
「もう死んでるわ、Mr.Xは。」
声はトランシーバーからではなく放置された材木の後ろからした。ルイとアルは同時にその方向に銃を構える。
「何者だ?出てこい。」
すると両手を挙げながら女性が立ち上がり、二人の方に振り向いた。その女性は髪が色素の薄い色で右目が赤く光っていた。彼女はとても美しく銃を向けていた二人が一時見とれてしまうほどであった。調子を取り戻すとアルはその女性に質問をする。
「お前は何者だ?」
「私はヘル。名前だけで十分でしょ?」
「…Mr.Xが死んでるだと?」
「そう、彼はロックビークルを裏のルートで呉島コーポレーションから購入していた。時空間転送装置があると面倒になるから彼を消したのよ。もちろんロックビークルも破壊したわ。」
「ロックビークルの存在が面倒になるだと?」
「そう。時空間転送で万一フェムシンムの世界以外…例えばニヴルヘイム世界や私の世界に来られたら面倒になるの。あー、あと戦極ドライバーにはヘルヘイムの果実をロックシード、またはロックビークルに変える能力がある。同じく面倒になるからそれも破壊させてもらうわ。フェンリルのやつ、堅物のくせにそんなことも忘れて貴方たちを逃がしたんですから間抜けよね。」
銃を向けられているにも関わらずヘルは余裕の態度を見せる。
「フェンリル…たしかあの時にいたアーマードライダーの一人がそう呼ばれていた。つまりニヴルヘイムとかいう組織のやつの一人か?」
「うーん、組織じゃなくて世界なんだけどな…。それには私はニヴルヘイムの者じゃないし。」
「なに?」
ヘルは手を挙げながら指を鳴らした。するとアルとルイの背後にクラックが開き、中からインベスが現れる。インベスたちは二人を襲い、銃を弾き飛ばした。
「何!?ルイ!変身だ!」
「あぁ、兄さん!」
「「変身!」」
ドングリ!ドリアン!ロックオン!ロックオン!
カモン!♪~~♪ドングリアームズ!ドリアンアームズ!
ネバーギブアップ!ミスターデンジャラス!
グリドン、ブラーボになった二人はインベスとの戦闘を始める。ヘルは手を下ろすとゲネシスドライバーを取り出し、装着した。
「変身」
ピーチエナジー!ロックオン!ソーダ…ピーチエナジーアームズ!♪~~♪
ヘルはアーマードライダーマリカに変身し、インベスと戦う二人の背中をソニックアローで斬る。
「ぐっ…お前あの時の!」
「あの時はフェンリルが逃がしたけど今回は逃がさないわ。あなたたちには悪いけど消えてもらう。やれ!」
マリカはインベスたちに命令するがインベスたちの中の一部はマリカにまで襲い始める。
「ち…やっぱりダメか…。」
マリカは左のシーボルコンプレッサーを引き、ミニクラックを生成した。そしてそこからヴェルダーが現れる。初級ヴェルダーたちはインベスたちを襲い、食い始めた。インベスを食った初級ヴェルダーはそれぞれ姿の違うヴェルダーに進化し、次はグリドンとブラーボに襲い掛かる。
「全く…何がどうなってる!?」
「わからん、だが油断するな、ルイ!」
ドリノコでヴェルダーの腹部を斬るブラーボとドンカチでヴェルダーの頭部を殴打するグリドン。そのそれぞれの背中をマリカはソニックアローの射撃で撃ち抜こうとする。だがそれに気が付いたブラーボはマリカの放出したエネルギーをヴェルダーを盾に守る。グリドンは直に受けてしまったが致命傷ではない。ブラーボに盾にされたヴェルダーの亡骸の横を通りブラーボはマリカに接近する。
「なかなかやるわねヴァルドネール兄弟…。」
「こちらはプロだ。なめてもらっては困る。」
「確かにこの姿ではキツそうね。」
そういうとマリカはゲネシスドライバーごと取り外し、床に投げた。ヘルの姿に戻ったため、ブラーボは一瞬動揺する。
「父上に聞いたことがあるわ。私のようにインベスや森の植物を操作できる者のことをオーバーロードインベスというらしいわ。だから私は…オーバーロードインベス・ヘル!」
そう言い放つとヘルの肉体は青白く光りはじめ、森の植物が肉体を覆っていく。やがて輝きが落ち着いてくるとヘルの肉体は蒼銀のオーバーロードへと変化していた。