(習作)とある転生者たちが作ったさいきょうのニホンの異世界戦記 作:ハルゼー
帝紀 1346年 9月
ついにウラノス=ハイデラバード連合はメスス島攻略作戦『アイアンフィスト』を発動させた。
先日の『アドラーターク』作戦によって敵海上戦力は一掃することができたためこの作戦が可能となった。
制海権は確保できたが制空権はいまだ完全に確保はできていなかった。
どうやら作戦開始前に大量に機材が補充されたようだった。しかし自分たちが制海権を握っているこの好機を利用して一気に叩き潰そうとハイデラバードは考えた。
現在無数の上陸用舟艇がメスス島海岸へ向けて向かっていた。後方の敵重砲群へ向け艦砲射撃が開始された。
海面へ落ちてくる敵重砲の砲弾は次第に減っていった。しかし沿岸の中口径砲が次々と上陸用舟艇に対し射撃を始めた。最初は狙いが正確でなかったが上陸用舟艇が距離を詰めるにつれ次々と命中するようになった。
「畜生!敵の狙いがどんどん正確になってやがる!」
轟音!そして衝撃!
どうやら隣の上陸用舟艇が砲弾の直撃を受け大破したようだ。これでは助かるまい
砲弾の破片により乗員が負傷したり命を刈り取られたり、あるいは撃破されたり転覆する船も相次いだがそれでも海岸を目指しただ只管進んでいく上陸用舟艇群
「海岸が近づいてきたぞ!上陸用意!」
兵士たちは、聖アルディスタに祈ったりして自身の幸運を祈り覚悟を決めた。
そしてついに上陸用舟艇が海岸へ乗り上げた!
扉のようになっている船首が開いた瞬間海岸線に配置されている機関銃群が一斉に射撃を開始した。
満足に身動きをとれないうちに次々とハイデラバード軍将兵は撃ち殺されていった。
さらに沿岸に配備されていた迫撃砲群も射撃を開始した。
あっという間に海岸線付近の海の色は青から赤となったが、それでもハイデラバード軍は前進をやめない
正確に言うならば前進しか活路がない、だからただ只管前進する。
海岸付近への艦砲射撃は行われない。上陸部隊を誤射する可能性がとても高いからだ。
「くそ!このままでは全滅だ!」
「援護を!援護を!」
海岸線の周りには、無数の兵士の遺体が転がっていた。
するとイドラ戦闘機やアクタイオン爆撃機が迫撃砲陣地や機関銃陣地へ爆弾を投下したり機銃掃射を行った。
「よし!突撃!」
機関銃陣地や迫撃砲陣地が沈黙してできた穴へ指揮官を先頭にして突撃を開始した。
穴に侵入して内部から突き崩すことを意図してのものだ
さらに第2派も上陸を開始し増援を得るとますます勢いづいた。
秋津軍の沿岸防衛隊は、4時間にわたり防衛戦を展開し後退を開始した。その時すでに、防衛隊の戦闘力はかなり消耗していた。
ハイデラバード軍は海岸の制圧を完了すると橋頭保を構築し始めた。
そして戦車を含む上陸部隊第3陣が到着した。
ハイデラバード軍の主力戦車は、主砲47㎜ 正面装甲30㎜ 最高速度40㎞/hとだいたい大戦初期の戦車と同程度の性能を誇っていた。
海岸を一望できる丘からその様子を見ているものたちがいた。
「奴らの戦車…まるで玩具みたいだな」
そう言って日本軍の野戦将校であり丘に布陣する戦車大隊指揮官である西住少佐は不敵に笑った。
この戦車大隊には増援として機動歩兵1個中隊などがついていてミニ独立戦車旅団のような編成になっていた。
「我々だって10年くらい前はあんな戦車に乗っていたぞ」
師団司令部にいる広瀬中佐は言う
現在二人の左官が話している場所には大隊本部小隊と戦車一個中隊が布陣しており
少し後方に戦車2個中隊と機動歩兵1個中隊が布陣していた。
その部隊の指揮は副大隊長である逸見大尉がとっていた。
「過去の話ですよ、今の97式中戦車チハという鋼鉄の軍馬はとても頼もしいものです。」
97式中戦車チハは主砲は海軍の旧式砲を改造した65口径100㎜砲、最大装甲厚130㎜、最高時速50㎞/hととても強力なものだった。
「しかし制空権が確立されてないとはきついな」
現在も島の上空では航空戦が繰り広げられているが双方互角のようだ
だがこの状況がいつまで続くかはよくわからない
「わが軍自慢の軍馬も上からの攻撃には弱いですからね」
残念そうに西住少佐は言う
少し考えるそぶりを西住少佐はして
「襲撃をかけるとしたら夜だな、あたりが暗いから航空機も出張ってはこれまい」
「そういう状況も許されなさそうだ」
西住少佐がいい広瀬中佐はそれは無理そうだと答えた。
敵の戦車を中核とした機械化部隊が徐々にこちらへ向かってくるのが見えた。おそらく戦果を拡大するために進撃を再開したのだろう。どうやらこちらには気づいていないようだ
戦車の車体は土で埋まっており砲塔はうまく樹木で偽装されていた。それなりに近くから見ないと気付かないだろうと予想できるぐらいうまく隠されていた。
「空襲ならばまだ味方戦闘機隊がいるからどうにかなるが艦砲射撃だけはどうにもならんな」
区画ごと吹き飛ばす艦砲射撃だけはどうにもならない、このままここに座していても状況は好転しない。
ジリ貧になるだけだ・・・事態を打開するためには…
「やるしかないのか・・・いやしかし…」
西住少佐は、その決断は現状では最善手かもしれないが部隊も壊滅する可能性が極めて高かった。なのでこの方法は正しいのかと悩んでいると通信兵が入ってきた。
「少佐殿司令部より電文です」
そういって渡された電文を少佐が見た
「味方主力が展開するまであらゆる手段を使い時間を稼げ・・か」
電文を見て少佐はそうつぶやいた。
まるで自分の決断を後押ししているかの如くのタイミングだった
時間を稼ぐには確かにその方法しかなかった。
「君の武運長久を祈るよ西住少佐」
気遣うような表情で広瀬中佐は言った。
「ええそちらこそ広瀬中佐殿」
広瀬中佐は上空を気にしつつ司令部の方向へ向かった。
その20分後 敵は我々の陣地の近くまで近づいてきた。
おおよそ大隊規模だと西住少佐は見切りをつけた。
敵との距離はおよそ1000m・・・まだだ・・まだ撃つのは早い
距離が600mくらいになって敵が不意に止まった。
気づいたのか?と疑問に思い、いつでも射撃命令を出せるよう準備した。
こちらを敵の戦車兵が注視しているのが見えた。そして後ろに振り向き手を上げるのが見えた。
どうやら見つかったらしい、ならばやるべき手段はただひとつ
「撃ち方はじめ!」
一斉射撃を行い一気に敵の戦車10両近くが吹き飛んだ。
かなり驚いている様子だった。そして敵は反撃を開始した。
こちらに次々と砲弾を当ててきたがどれも硬い前面装甲ではじかれることとなった。
少佐は少し声を上げ笑った。
敵の方もこちらに砲弾を当ててきたことから錬度は高いかもしれない。しかし戦車の性能が圧倒的に違いすぎて勝負にならなかった。
「次弾急げ!」
「撃て!」
その後も射撃を続け多数の敵戦車や兵員輸送車を破壊した。
少佐は少し興奮していた。敵より少数である我らが多数である敵を翻弄していると
敵の約半数ほどを撃破したころ敵は後退を開始した。このままここに座していても敵の空爆か艦砲射撃によって我々は撃破されるだろう。
ならばとるべき手段はただ一つしかなかった
少佐はキューポラから上半身を乗り出し右手を前方に振り下ろして若干興奮しつつ言った。
「戦車前へ!」と
彼らは突撃を開始する。生きるための活路を見いだせるのは前へ進むしかないからだ
その最終的に行き着くであろう海岸を西住少佐の双眸は睨みつけていた。
帝紀 1346年 9月
平地を十数両の鋼鉄の軍馬が疾駆していた。
そして先ほど交戦した無数の敵の戦車や装甲車の残骸や敵の死骸を避けあるいは踏み潰しながら
先ほど後退した敵を追っていた。
そして目の前に敵が進撃してきたと思われる海岸へ続く道路があった。
鋼鉄の軍馬たちは縦列の隊形をとりながら道路を疾駆した。
「大隊長より全車、敵の待ち伏せに注意せよ」
道路の側面には待ち伏せに最適のポイントがいくつもあったからだ
数分ほど進軍を続けていると不意に10個ほどの閃光が走ると先頭車両や他数両にに鈍い音と共に衝撃が走った。敵の砲弾だったが見事にはじき返された。
後続のチハが待ち伏せをしてきた敵戦車に対し発砲した。
砲弾の命中した敵戦車は砲塔が吹っ飛んだ。2分ほどで敵待ち伏せ部隊は全滅した。
上陸したばかりでおそらく敵は砲兵が展開できてないだろう、敵航空戦力も現在味方の戦闘機隊が健在なおかげでそこまで気にしなくて良い、艦砲射撃も誤射を恐れて撃ってこないだろうし観測機を飛ばすことができないだろうからあまり気にしなくて良い・・・
現在自分が率いている戦力は一個中隊強だが、少し後方からは逸見大尉率いる大隊の主力が向かっている
状況は最高とまではいかないが、なかなか整っているのではないかと西住少佐は思った。
西住少佐は獰猛な肉食獣のような微笑を浮かべていた。
ハイデラバード軍の先鋒を務めていた機甲大隊は、現在潰走に近い退却をしていた。
まさかあんな化け物のような戦車に出くわすとは思わなかったからだ。
先ほどの交戦で大隊長は戦死し、現在は大隊の中の最先任の中隊長が指揮を執っていた。
そして今足止めを命じた部隊が全滅したことを知った。
「くそ!どうなっている。あんな戦車がいるなんて聞いてないぞ」
ハイデラバードに日本の航空機については何度も交戦しているのでデータは集まっていた。(データが集まったからと言ってそれに匹敵する機体を作ることはできない)
しかし戦車と言った陸上戦力は今回が初めての地上戦なのでまったくデータがなかった。
(諜報員が何度も日本に潜入しようとするがイギリスやソ連と長年にかけて渡り合い互角の争いを繰り広げた
優秀な防諜機関内務省の『特別高等警察』や軍の『国家憲兵隊』によって次々と消されていった。)
「おそらく秋津の戦車ではないだろう・・・だとすると奴らに手を貸しているニホンの戦車か」
今まで交戦した自軍より貧弱な秋津の戦車を思い浮かべながらそう言った。
秋津軍の主力戦車は短砲身57㎜砲搭載の史実のチハのような戦車だった。
「畜生め!・・・援護はまだ来んのか!このままでは我々は全滅してしまうぞ!」
さっきから援護要請を出しているがどうやら敵戦闘機隊の反撃が始まったらしく爆撃機を出すことはできないと返信が来た。それどころか踏み止まれもしくは反撃しろとの命令が来た。
そのため即席の陣地もどきを作っていた。しかし中隊長は容易に突破されると思っていた。
「冗談じゃない!おれたちはあれに敵わない!」
正にそうだった。しかし後方には司令部や物資の集積所がある。ここで踏み止まらないといけないのも事実だった。しかしそうだとしても
「増援を!戦車部隊を!航空支援を!それがないと踏み止まることはできない!」
しかし相変わらず答えは変わらなかった。
そうこうしているうちに敵戦車部隊接近との報があった。これ以上の押し問答は無駄だと思った。
通信兵から連絡があった。どうやら増援の戦車部隊が向かっているらしい。
だが自分たちがその時生き残っている自信は全くなかった。
先ほど待ち伏せしていた戦車部隊の残骸を通り越してしばらくすると、最初に撃破した機甲大隊の残存兵力と思わしき部隊が脆弱な防衛線らしきものを構築しているのが見えた。
「全車戦車突撃陣(パンツァーカイル)をとれ」
「了解!」
「腕が鳴りますな」
西住少佐率いる戦車隊は槍の穂先のようにとんがった陣形をとると敵の防衛線へ向け突撃を開始した。
敵は果敢に反撃して砲弾を放つがすべてチハの装甲にはじかれ逆にチハの反撃によって沈黙していった。
敵は再び後退を開始した・・いや潰走だったバラバラになり逃げて行った。戦意は完全に粉砕されたことだろう。
しかし一部の歩兵が勇猛果敢にも突撃を仕掛けてきたが、戦車隊についてきていた機動歩兵や自走高射機関砲によって撃退された。
バラバラになり潰走した敵は追わなかった。そんな余裕はなかったからだ。
もちろんハイデラバード戦車部隊中隊長は戦死していた。
パンツァーカイルのまま進軍していると前方に先ほど壊滅させた敵の増援らしき戦車部隊が見えた。
「飛んで火にいる何とやらだ」
そう言って西住少佐は前方の敵戦車部隊の撃破を命令した。
「撃て!」
敵先頭車両が吹き飛んだ。
その直後指揮下の戦車隊が発砲すると次々と敵戦車が大穴を開け砲塔がびっくり箱のように吹き飛んで行った。
「まるでびっくり箱だな」
湾岸戦争時のt-72のように吹っ飛んで行った。
敵も反撃してきたがさっきと結果は変わらず全て弾かれお返しと言わんばかりにチハが発砲し敵戦車部隊は撃破されていった。敵戦車部隊は2個中隊規模だったが5分程度で全滅することとなった。
先頭が終わり周囲の状況を確認すると後方に逸見大尉率いる大隊主力が土煙を上げながら猛然と接近してくるのが見えた。
「さて・・これまでは序章・・これからが本番だ」
そう西住少佐は呟いた。
数分後 逸見大尉率いる大隊主力と合流した。
「諸君我々はこれより海岸にいる敵部隊に強襲を仕掛ける!諸君の奮闘が今後の戦いの趨勢を決することとなるだろう!諸君の奮闘を期待しかつ幸運を祈る!」
そう言うと大隊は進撃を開始した。
司令部にもさらなる混乱を生み出すために敵の上陸地点への突入を行う旨を発信した。
そしてついに西住少佐率いる大隊は海岸に到達した。
海岸には無数の敵歩兵やドラム缶や補給物資、車両があった。その獲物の多さに口笛を吹く者もいた。
「全車突撃開始!戦車前へ!」
そして戦車部隊が猛然と突撃を開始した。艦砲射撃も空襲も気にする必要がなかった。
確実に膨大な補給物資や味方の将兵を巻き込むことになるからだ。
敵は素人から見ても大きく混乱しているようだった。
そして大隊は辺り一帯のあらゆるものに対して攻撃を開始した。
「目標前方のドラム缶の山!撃て!」
100㎜砲が唸ると燃料の入っていたドラム缶の山は爆発炎上した。
ある戦車はハーフトラックと言った車両を、またほかの戦車は弾薬や火薬の詰まった箱を攻撃していき
またある戦車は海岸に上陸していた重砲をと敵陣の中央でやりたい放題していた。
ハイデラバード兵は何とか阻止しようとするが貧弱な火力ではどうすることもできなかった。
接近しようとしても機動歩兵や自走高射機関砲、戦車の車載機関銃によって蜂の巣にされたり物言わぬ肉塊にさせられた。
海岸は悲鳴と爆音と硝煙と炎そして死体に満ちた地獄と化していた。
大隊はやりたい放題行い地獄を増産しながら進んでいた。海岸は一時的にだが西住少佐率いる部隊が支配していた。
しかし西住少佐はこれは敵がひどく混乱しているからで体勢を立て直されると長く持たないことがわかっていた。それに敵補給物資は十分に破壊したと判断しより高い戦果を挙げるために敵の頭脳を潰すことにした。
敵上陸部隊の司令部を潰せばこの混乱はさらに拡大しうまくいけば敵を島からたたき出すことも夢ではないからだ。それに敵の決死の抵抗に2割という無視できない損害が発生しつつあった。
そう考えていると数分後部下の報告があった
敵の抵抗が激しく遠くを見るとひときわ大きいテントがいくつもが見えると
おそらくそこが司令部なのだろうと判断すると
「全車ここより10時の方向2㎞の地点に敵の司令部が存在する!全車進撃開始!」
そう言うと敵の司令部のある方向へ進撃を開始した。
現在ハイデラバード軍上陸部隊の司令部はひどく混乱していた。
「いったい何が起きている!?」
「敵機甲部隊が上陸地点へ進出暴れ回っています!」
幕僚がそう答えた。
「何!?至急排除せよ!」
司令官は焦っていた。あまりにふがいないと本国で銃殺されかねないからだ。
「それが敵の火力が協力で近づくことすらままならないと!」
「くっ!物資が!これでは今後の作戦に支障をきたすぞ!」
少なくともスケジュールの数日の遅延は確実だった。
「敵の規模は?」
「大隊とも連隊とも師団とも言っています」
まるっきり混乱しており正確な状況が全く分からなかった。
「ええい!それもわからんとは!いったい何をやっている!」
司令官は味方の無能を罵倒した。
「味方を必ず巻き込んでしまうため艦砲射撃も空爆も要請できませんし…」
「ちっ!あの傭兵どもは何をやっている!給料分の仕事もできんとは!」
ハイデラバード人の司令官は金をもらっておきながら満足に仕事のできていないウラノスを嘲った。
この司令官は祖国に何かと集るウラノスのことを快く思っていなかった。
すると一人の将校が慌てて入ってきた
「何事だ!?」
「申し上げます!敵機甲部隊が司令部へ向け突進を開始!」
「何!?」
このことにかなり驚き外を見てみると数十両の味方に比べ巨大な戦車がこちらへ向け猛然と向かってくる様子が見えた。
味方は対戦車砲などで必死に敵の進軍を止めようとしているが、敵戦車は全く物ともしていない様子だった。
「な・・何としてでもとめろ!敵を!」
そう言っていると不意に敵戦車から閃光が走り近くで爆発が起きた。それにハイデラバード軍上陸部隊司令官と幕僚が巻き込まれ重傷を負い意識が混濁した。
これによりさらにハイデラバード軍の混乱が拡大した。
「し・・司令官閣下!?」
「うわあああ!!」
「ど・・どうする!?指揮権の委譲は!?」
「副司令官閣下も負傷なされたし幕僚の方々も大なり小なり負傷なされている」
「何!?」
誰が指揮を執るか指揮権の委譲のことに関して混乱していると敵機甲部隊が目前まで近づいてくるのが見えた。
「に・・逃げろ!」
「退却だ!退却!」
そう言って司令部の人間は逃げ散っていった。
意識が朦朧としていたハイデラバード軍上陸部隊司令官が見た最後の光景は戦車の履帯だった。
西住大隊が総司令部に突入し通信施設などを破壊して蹂躙したからだ。
『我敵司令部を制圧セリ』
この報告は日本義勇軍司令部を沸かせた。敵を混乱させ時間を稼ぐことはできるかもしれないと思っていたが
ここまで大きな戦果を挙げるとはだれも予想していなかったからだ。
日本義勇軍司令官宮崎繁三郎は、敵の海岸が混乱始めた時から3個戦車大隊、機動歩兵1個大隊、自走榴弾砲一個大隊を基幹とした独立戦車旅団規模の部隊が若干準備不足ながら進発させていた。
西住大隊の作った穴から戦果を拡張するためだ
しかし失敗する可能性のほうが高いと思っていた。なぜなら上空はまだ味方が踏ん張っているが艦砲射撃によって妨害される可能性が高かったからだ。
しかし現在は、完全に敵上陸部隊の頭脳が潰されかつ上空でも味方戦闘機部隊の活躍により艦砲射撃を行う際の観測機の妨害もなされていた。そのため正確な艦砲射撃を行うことができない。
この好機を逃さず日本軍逆襲部隊は反撃を開始した。
西住大隊は何とか安全圏まで離脱することに成功していた。
敵司令部突入時のハイデラバード軍の抵抗は苛烈だった。中には地雷を抱え体当たり攻撃を仕掛けてくる者もいた。しかしこれらの抵抗を受けつつも西住大隊は前進を続けついに敵司令部を蹂躙した。
その後戦果はもう十分すぎるほど挙げたと判断し全車に対し安全圏までの撤退を命じた。
撤退時も司令部の敵として何度も何度も襲撃を受けたが統一性がなく何とか撃退し逃げ切ることができた。
大隊の残存戦力は3割にも満たなかった。戦車大隊は、一個中隊程度となり機動歩兵も一個小隊ほどしか残らなかったし、自走高射機関砲も1門しか生き残らなかった。全滅判定を通り越して壊滅判定である。
だが戦果は絶大なものだった。敵の今後の作戦に必要な物資をもやし、敵司令部を制圧した。敵戦車も最終的には2個大隊以上撃破していた。
安全圏にまで逃げた西住少佐は言った。
「我々は生き残ってしまったな・・・死んでいった部下は私の判断を恨んでいるかな?・・・」と
「いえそれはないかと思われます少佐殿、敵の鼻っ柱をへし折ってやったと思っているでしょうし、そう判断を悔やまれては死んでいったものたちが浮かばれませんよ」
同じく生き残った逸見大尉はそう答えた。
「そうだな・・」
そう自分を納得させるように少佐はつぶやいた。
ふと先ほどまで激戦を続けていた地域を見た。独立戦車旅団規模の部隊が突撃を開始しており、混乱していた敵部隊が次々と撃破されていく様子が見て取れた。おそらくこのまま海岸へ突入するだろう。そして混乱し満足に航空支援と艦砲射撃による支援を受けれなくなった敵は撃破されるだろうとボンヤリ考えていた。
西住大隊が戦域から脱出したのとほぼ同時に独立戦車旅団が突入を開始した。先ほどの3倍はある敵の兵力に指揮官不在のハイデラバード軍上陸部隊は対応できず次々と撃破されていった。そして最終的にハイデラバードは島から上陸部隊を撤退させることとなった。
上陸部隊を務めたハイデラバード第一海兵師団はほぼ壊滅に近い損害をだし島からたたき出されることとなった。
メスス島攻略作戦『アイアンフィスト』作戦は事実上失敗した。