生産系チート持ちの戦士君が地球に帰ってきたお話   作:金属粘性生命体

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異世界の話

 

 

 

 

 転生チート。俺TUEEEE系やハーレム物に多く存在するタグ、展開と言うべきか。

 魔力チートで魔法使い放題、武術チートで無双、生産チートでインフラ破壊。それらはだいたい神様からお詫びや、記念として渡されたりするわけで。

 

 まぁ、そんなものだろうか。だいたいは圧倒的暴力による無双or技術レベルの暴力によって転生先で超楽に生きることができる作品郡の総称とも言えよう。

 

 そしてお察しの通り俺自身も転生チート物の展開になっている訳で。

 

 神様なんてものが存在する世界に転生している、ただ神様から転生チートを()()したという点だけ少し違うか。お陰様で狙ったチートを持っている訳でもない、が……転生後は割と自由自適に過ごさせてもらった。

 転生してから知ったが神様は実在し、尚且つ生物として存在するのがこの世界。地球にも居るらしいし、地球に帰ったら一度見てみたいものである。

 

 神とは、権能を持つただの生き物。だから出し抜くことも出来るし、その気になれば力を奪える。それがこの世界、いや地球や異世界全てを包括する原始世界に満ちる『魔力』の性質である。

 

 お目当てのチートを手に入れることは出来なかったが、それでも世界に対して不正する為の力である権能(チート)は強力であった。異世界という未知で生き残るため、自衛のためにチートを欲していた訳で。俺を殺した創造系統の権能(チート)を持つ神を半身不随にし、その権能を強奪。後に異世界へ渡って権能(チート)を使用する事で異世界に適合した肉体を作り出すことに成功。

 

 ただ、俺がやりたかったことは生産なんかではなく戦闘なので応用する事で一流の戦士となる事にした。

 

 

 

 

 転生直後。

 権能の使い方がわからなかった当時に作った肉体はそこら辺にあった土や木で作ったへなちょこだ。見た目上は人と大して変わらないが、ダメージを受けた際には中身が露出して正体がバレる可能性が高い。

 だが結局どうにもすることが出来ず今も尚を使い続けることとなった肉体。なんの才能も付けず、力もつけず、後からカスタマイズすることでそこら辺を補う事にしたが今となっては後悔するしかない出来事だ。

 

 

 転生1年目。

 人里を上手く見つけることができ、とある村にお世話になり始めた頃。余所者のためかなり疎まれていたりしているし、迫害もどきがあったりした。ただまぁチートのおかげで一人暮らしをする分には困らない為住む場所だけ提供してくれたのは非常に助かった。

 この頃はそこら辺にゴキブリの如く居る魔族や妖精族の中でも最底辺の生き物、ゴブリンやコボルト、オーク等の生き物を捕縛し、チートを使って作成した魔法陣で()()()()()を抽出、肉体に搭載していった。

 雑魚であり知能の低い奴らには正直なんの期待もしていなかったが奴らの数は正直バカにできないほどいる、1つの群れで最大1万近くにまで膨れ上がる多産種族達だ。例え才能の数値が1しか伸びなくても、抽出の効率が悪くて1以下しか取り出せなくてもそこまでの群れを犠牲にすれば二流程度にまでは一年で伸ばすことができた。

 

 

 2年目

 村のヤツらに袋叩きされそうになった。理由は村一番の女が強姦されたからである、盗賊も付近に居ない、魔物も魔族も妖精族も周りにいないというか俺が駆除して消え去った。つまり村の中に犯人がいるという事であり、槍玉にあげられたのが新参者の俺であった。結局犯人はその土地の領主のボンクラ息子だったわけだが。

 いくらチート持ちと言えど人と敵対するつもりはあんまりなく、俺も村人も悪くないので村から出ていくことにした。

 

 

 3年目

 素材を求めて三千里、そんな感じで旅をしていた時期。ちょくちょく人型魔物から才能を強奪していくことで一流にまで伸びた戦士の才能、武具が弱く釣り合ってないと知り合いの傭兵に言われたので作成しようと素材を探していた。

 この世界は割とインフレが激しい世界でもある。山一つを戦闘の余波で消し飛ばすバケモノがいるし、その場にいるだけで重力を歪ませる人も居るし、大陸ひとつ飲み込む大津波なんて言う大災害まで定期的なイベントとして発生する。

 そんな世界で生き延びるのはかなり大変であり、あくまで生産系のチートである創造系の権能では真っ向から生き延びるのは難しい。だから強力な武具を作る為に魔物を、鉱物を、概念を探す為に旅をしていたわけだ。

 

 

 4年目

 勇者一行に目をつけられた、いい意味でも悪い意味でも。ある程度装備が整い、空間を歪まし人を襲う呪いの人形を討伐し素材に変えていた時であった。その場に4人パーティの人間が来ていたのである。

 そして呪いの人形を討伐するシーンを見られていたが故にその力が欲しいと勧誘されるのであった。メリットが多かったのでその場で快諾する事に。

 

 勇者とは、英雄と呼ばれる人類の守護者達の中で最も高潔で、人道に厚く、優しい気高い英雄が選ばれる役職だ。他の英雄達は剣聖とか賢者とか呼ばれるのだが……だいたいカスである。全ての災害の原因たる魔神との戦争における前線に常に駆り出されるのが英雄なのだが、全員一癖も二癖もある。その中でも人類の生存領域において魔物達から人類を守る治安業務に着くのが勇者なのだ。

 

 そんなこんなで勇者一行に所属する事になった俺はパーティメンバーから若干疎まれながら勇者のサポートを開始した。理由?シンプルに勇者♂1人と♀3人組に余計な男が追加されただけだからな。しかもド定番のハーレム展開である、思わず苦笑いになったのも然もありなん、というところか。

 

 

 5年目

 勇者一行の中でも敵の標的になるのが戦士である俺の役割である。勇者(剣と丸盾)・女斥候(短剣や暗器)・女魔法使い(杖のみ)・女聖職者(聖書や聖具の類)というパーティである、その中に盾役が来たら基本俺が一番前に出るに決まっている、というか俺が戦士じゃなければパーティには誘われなかったようで、戦争の前線行きになっていた可能性もある。

 まぁそんなこんなもあり、人類の生存圏における四大魔獣やら三大魔人やら迷宮やらを討伐、攻略する役割である勇者一行において生産枠+タンク役を担った俺は割と重要ポジに着くこととなった。

 

 勇者に武具の強化やら生活環境の改善

 女斥候には罠解除とかいう死と隣り合わせの状況の改善

 女魔法使いの装備である伝説の杖のメンテナンス

 女聖職者の為の持ち運び可能な礼拝堂の作成

 

 戦闘においてはタンクを担うことで後ろに控える女魔法使いと女聖職者には一切のダメージを通さず、勇者と女斥候が動きやすくなるよう常に俺にヘイトを向かせる作業。時折致死級の攻撃を繰り出して敵を倒したり。割と多忙な生活を送っていた。

 

 

 6年目

 とある迷宮が魔神が人類圏の中へ魔物を送りだす機能を担っている事が発覚した。

 

 人類圏の中でも特に危険な猛毒地帯にあったため歴代の勇者達が後回しにしていた迷宮、毒侵狡知迷宮と呼ばれる迷宮が活発に活動し始め人類圏をじわりじわりと侵食するだけだったはずが、急速にでかくなりはじめたので「潰そうか」という勇者の鶴の一声で攻略を開始することに。

 事前準備として俺が毒に対抗する装備や薬品を整え、女魔法使いのクソやべぇ炎熱系魔法の大爆発魔法を使うことで迷宮の中心に文字通り爆速で向かうこととなった。

 

 そしてそこに居たのは今まで存在だけ語られていた、異世界人類史において一度のみ観測された実在が疑わしい魔神軍の幹部、蛇系魔人の最強種、地球にも神話に残る化け物。ヨルムンガンドが居た。

 北欧神話が実在していた事も驚きだが、地球とこの異世界は遙か過去において交流があった可能性もある。その事にある期待を持つようになったが何はともあれヨルムンガンドを討たなければならない。

 

 結果としては討伐に成功、迷宮の消滅も確認でき、人類圏における最大の危機が去ったことで勇者がとんでもないことを抜かしやがった。

 

「逆侵攻して、魔神倒しに行こう」

 

 何言ってんだこいつ。

 

 

 6年半目くらい

 逆侵攻を開始した。

 迷宮を辿り魔神軍の中枢に辿り着くことが出来た。馬鹿なのか?総勢力5名による強行軍、というか暗殺部隊である。許可を出した王様も王様だ、時間が無いし過去最高の強さを持つ勇者一行だからって何言ってんだアイツァ!

 

 久々にガチギレしてしまったが来てしまったものは仕方がない。魔神軍の中枢、この気配的に言えば神域と呼ばれる神が独自に持つ世界であり、神が活動するための空間。

 

 つまり本丸である、中枢とかそういう話どころではなく、ラスボスの前にぽっと出たのだ。どれだけ魔神が人類の事をバカにしていたのか分かるだろう。というか俺が居なければもっと後になって迷宮が攻略されていたはずなのだろうことから少し察することがあった。

 

 んで?結局どうなったかって?

 

 

 

 

 

 

 

 

 見上げれば見える黒い人形のナニカ。そのサイズは見た事もないくらいでかく、前世のサブカルチャーで読んだハカイジ○ウの帝王級並だろうか。高さ数百km~数千km以上のサイズのそのデカさにどれぐらいでかいか考えるのがアホらしくなる。そんな存在が敵意をもってこちらを見ている恐怖は──特にない。もはやでかいだけでは恐怖を覚える事は無いが畏怖なら心の内に抱いている。

 

●●●●(潰れよ)

 

 まるで空そのものが落ちてきているような(おお)きい呪いの大剣が振りかぶられ──数瞬のまもなく頭上に構えていたスクトゥムと呼ばれる長方形状の盾に叩きつけられる。

 感じたその圧力は過去最高、足場である神域の空間が軋む。もし地上で放たれていたら大地の表面が剥がれ、プレートが砕け散りマグマが溢れ出すだろう威力。

 

 同時に神の呪いが空間を犯す。人の生きれる空間では無い神域を更に生命そのものが生き残れない空間へと塗り潰していくそれ。

 

「やっぱ刃が立たないんだけど!どうにかして柔くできないのかアル!」

「いやーちょっとキツいわ!ガンバ!」

 

 女斥候が空間と時間が圧縮された空間を通り魔神の首を刈らんとするも甲高い音と共に弾かれた。彼女の短剣は一撃必殺を基本とするために斬れ味が高く、ペンで文字を書く気軽さで世界に傷つけるほどだと言うのに。そして文句を言ってくるがそれに対して大したことは出来ないと軽口を叩く。

 先程の呪いの大剣が秒間10発くらいの速度で振り下ろされているせいでカバーができないのだ。まぁ片手は空いているのでポロリポロリとせっせこ作っておいた物を地面へ落としていく。それらは神域の地面へ溶けるように染み込んでいき、先程から降り注ぐ人類必滅級の攻撃のせいで砕けていく地面を修復&侵食していく。ボロボロになっていたその地面はみるみる間に俺の領域へと変化していっている。

 

『──●●●●●●(やはりイレギュラーか)●●●●●●(今ここで正史に戻さん)

「お断りってやつ、だッ!」

 

 変化した領域のおかげで全身に力がみなぎってくる。神域は神の空間であり、領域は人が作り出す空間。故に使用者が好きなように改造ができる空間であり、その空間内でなら人は神をも越えることが出来る。

 右手に腰に指していたカスカラと呼ばれる種類の剣を抜き放ち、魔力を込める。中に刻まれた刻印が自動的に魔法を起動し剣へある効果を付与する。

 

脆くする者(アルフィルン)

●●(貴様)──●●●●●●●(存在の記録ごと消してくれるわッ!)

「さぁ行きなぁ!」

 

 既に戦闘が開始してから数時間。漸く見えた隙に後ろに控えて力を溜め込んでいた勇者が下段から上段へ振り上げた。

 人類最高峰の英雄である勇者、時には魔神軍幹部を片手間に切り、山脈さえも大地から引き剥がす台風を蹴り1つで消し、大地には地球における大西洋並の広さの穴を作り出す力を持つ勇者。

 

 そんな歴代最強の勇者がたっぷり数時間溜め込んだのだ、普通の強者が数秒力を貯めるだけでも驚異的なのがこの世界。最強の化け物が数時間も力を溜め込んだらどうなるかなんて答えは簡単だ。

 

死ね(殺す/消す)

 

 神だろうとその周辺の空間や次元ごと死ぬだけである。

 

「ひゅー……神だろうと消し飛ばすとかマジこっわ」

「さすがよね、ウチのラクシエムは」

「──何を言いますか、我らのラクシエムですよ」

 

 消し飛んだ空間を世界が直すために周辺が歪み始めた瞬間、後方から飛んできた魔法が空間を一瞬で直し、聖なる光が呪いを駆除し始める。

 

「だが油断はすんなよ?」

「なによ。ラクシエムがしくったとでも?」

「いや、単に神の厄介さをお前らが知らんだけ──そぉら来たぞ!」

 

 世界が揺れる。ここから先は正真正銘本物の神が降臨する。

 

「は?どうして生きてんのよあれ!」

「──そういうことですか、確かに油断していたのは我らの方ですね」

「みたいだねぇ……まさかあれがただの道具とは思わないよ」

 

 勇者が走って戻ってきて失態に気づいたのか顔を顰めていた。黄金比のその顔が歪んでも美しいのはさすがと言える。

 

 さて、神がどうなったか、なぜ生きているとわかったか。簡単だ、神域がまだ残っているからだ。奴らが生きるための空間であると同時に、奴らの存在無くしては在る事が出来ないこの空間。故にこそ油断なく構えていたはずだったのだが。

 

 地面から染み出るように黒く不定形な手が俺を掴む。空間を歪ませる道具を使いその場から退避したはずなのに気づけば掴まれていた。しかもその手の範囲的に勇者たちも巻き込まれていたはずなのに俺だけが掴まれていた。

 

「そういう権能か!!!」

「アル!?」

「ちょっと!死なないでよ!」

 

 少なくとも分体であろうと、道具であろうと、本体と繋がっていたのならば勇者の一撃でダメージを食らっているはずだ。なのにダメージもなく衰えない魔力や、その肉体の硬さを把握して。権能がなんなのか理解し──

 

 

 同時に音速の数十倍の速度で地面へと叩きつけられる。

 

「ッ!?!!?!?!?!???」

 

 今まで感じたことの無い威力、内臓全てが破裂し、骨格が歪み、装備に付与していた自動回復が発動し、尚且つ装備が壊れていく。

 

 そして脳裏に浮かぶ明確なイメージ。

 

    <死>

 

 だが笑みが止まらない。何故ならばある一手で全てが終わるからだ、本来なら取らない選択肢だったがある情報を知ることで取る事が可能となった。血みどろの口の端が吊り上がる。

 

「────お前、俺と相性悪すぎな?」

 

●●●●────(死ね────)

 

 

「権能“神犯の時”」

 

 俺の体から麻縄が飛び出て地面から這い出てきている魔神を捕え、縛り上げ、圧縮し、その神としての核のみを残し俺の中へ取り込んでいく。それと同時に意識が沈んでいくのを自覚する、ここから先が正念場だ。

 

 

 

 

 

 

 

『ここは──ッ、言葉が』

「いらっしゃい、俺の心域(シンイキ)へ」

『貴様、イレギュラー!』

 

 ある平凡な四畳半の部屋。パイプでできたベッドに、パソコンやその周辺機器が置かれた机にゲーミング椅子。馴染みある踏み心地の畳に、そこらの家具屋で買ってきた適当な長方形のテーブル。

 その空間の中に、適当なジーパンと白のTシャツを着てゲーミング椅子に座る俺と、パイプベッドの上で寝ていて、上体を起こした褐色肌の露出が激しいネグリジェのような格好をした女がいた。

 

「やっぱこの空間なら俺の知る言語になるわけね。来訪者二人目だからあれだけど」

『──』

「おっと、乱暴な女だ。落ち着けよ、ここじゃお前は何も出来やしねぇ」

 

 起き上がり、欠伸が出る速度で貫手を繰り出してきた手を掴み取りポイッとベッドへ放り投げる。

 

「ここは俺の中、心の内。だからここが俺の馴染みある家ってことになるわけでな」

『死ね!』

「はい無駄。ここは本来お前らみたいな神なら簡単に抜け出せるんだが、ある条件下でのみ俺は神を弱体化させ、ある取引……対戦を持ちかけることが出来る」

『ッ!ッ!』

「話聞けって」

 

 殴り、蹴り、体当たり。ありとあらゆる動きで抵抗する女──魔神。時折手元を見て悔しげに握り込みながら殴るその様子に魔法すら使えない事を察しているようだ。

 

「条件とは

 

 1つ、権能解放を宣言する事

 2つ、対象が神である事

 3つ、対象が敵対者である事

 4つ、対象が権能保持者より強い事

 5つ、対象を権能保持者が欲する事

 

 だ」

『なに』

「条件が達成された場合、問答無用で神はこの心域へ取り込まれ対等に対戦が行われるよう両者の力を制限することが出来る」

『……それで?』

 

 息を切らしながら大人しくなった魔神、漸くこちらの話を聞くようになった。

 

「最後に俺が権能と対戦の内訳を説明する事で対戦が開始される。これは契約だ」

『契約、フン……いいだろう。聞かせよ』

「あいよ……

 

 俺の権能“神犯の時”は生まれつき持っていた権能であり、死後創造神の手により発動可能状態まで移行された権能である。

 

 発動する事で敵対している神を取り込むことでその神の権利と俺の権利を賭けた戦いを神へ持ち掛けることが可能な権能だ。今回は生殺与奪の権利だ」

『ほぉ、つまり今貴様は命を対価に私へ対戦とやらを申し込んでいるということか』

「そ」

 

 うむうむ、と何かしたり顔をしているがこれお前が不利な内容だからな?

 

「対戦の内容は権能保持者が決定でき、その内容に沿うように敵対神と権能保持者の能力を公平に調整する」

『それで?内容はなんだ、この私に対して何で挑む。決闘か?それとも知恵比べか?』

「──内容は性行為だ」

『─────────は?????』

 

 俄然とする表情。前に創造神の顔も似たような顔をしていたな、姉妹かこいつら。

 

『ふ、ふざけているのか!神に対して!そのようなことができ、いやそもそも何故それを選択した!』

「俺は創造神より2つの権能をこの“神犯の時”を使い簒奪した。そのうちの一つ、お前なら知ってるよなぁ??」

『な、に?いや、待て。貴様!“不正接続者”を持っているな!』

「そう、それで貴様の事をさっき調べたらよォ、出てきたんだよなあ──処女、生娘、快楽弱点ってさァ!」

『あんのバカ女がァ!』

 

 顔を真っ赤にし、全力で抵抗を開始した魔神。だがその力はか弱い。

 

「今のお前は俺の元いた地球における平均的な女性程度の力しかなく、俺も平均男性程度の力しかないが……それでもお前は抵抗できやしねぇ」

『はな、せ!!!』

「これは公平な戦いだ。俺が負ける可能性もあるし、俺を負けさせねばここから出ることも出来ねぇぞ?」

『ッ!』

 

 両腕をつかみベッドに押し倒すが抵抗がない、しかしその瞳には怒りが浮かんでいた。

 

「んじゃ、始めるとしますか……なぁ?」

『──絶対に殺してやるからな』

 

 

 ここに女神と地球人の性行為における対決が始まって、終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルー?そろそろ終わったんじゃないかい?」

 

 ぺちぺちと頬を叩かれる感覚に目を開ける。綺麗としか表現出来ぬその彫刻のごとき顔が覗き込んでいる。

 

「まぁな」

「その様子からして……勝ったんだね?どんな内容にしたんだい?」

「あー、まー……な?」

「……?まぁいいや、これで魔神も終わりかー。呆気なかったなー」

 

 起き上がる、それと同時に己のうちにある繋がりがある事を確認する。その繋がりを辿り視線を横へずらすと、女魔法使いと女聖職者が魔神をなんかあらゆる術で縛りあげていた。

 

「いや、ちょちょちょちょ待って!待って!」

「あん?なによ」

「そいつもう俺のもんだからその拘束解いてやってくれ」

「ふぅん?何奪ったのよ」

「え?生殺与奪の権利、こいつのこれからの全て」

「……相変わらずえげつないわね、あんたの権能」

「人が対象にならないといえど神に対しては絶大な力ですね、厄介極まりない」

 

 見上げるほどの巨体もなく、力無く横たわる魔神の姿。先程まで乱れに乱れていた情景を脳裏に浮かべてしまうが、一旦放置して腕を掴み立ち上がらせる。ネグリジェっぽい感じでもなくなった貫頭衣のような姿でよかった、要らぬ疑いをかけられるところだった。

 

「おいおい、随分としおらしいじゃねぇか」

『……』

「ま、良いが……とりあえず帰るか。魔神軍と言えど魔神と直接繋がってたわけじゃねぇし何も出来ん、ほらよ」

 

 無言で俯くその姿になにか違和感を感じつつ、空間圧縮袋からピンクのドアを取り出す。日本の国民的アニメの青いタヌキのひみつ道具を再現したものだ。ただし、一度行ったことがあり登録した場所にしか行けないが便利な道具である。

 

「はぁ……魔神を倒したから魔神軍を止められるかと思ったんだけど、まさかただの信仰の対象だったとはね」

「あたしらが襲撃した側と言えどただの巻き込み事故だったなんて災難よねぇ、この女神サマ」

 

 各々無駄骨になったこの戦いに対して愚痴を零しながらドアを通り過ぎていく。

 

「あいつら……本人いるのに躊躇いもなく傷口をエグるようなことを……」

『……よ』

「あん?」

『仕方があるまいよ、私が過去に何かをした訳では無いと言えど、その名を名乗ることを許したのは事実だからな』

「なに、歴史でも語ってる?」

『故に私を打倒すれば解決すると思うのは仕方があるまい、そういうことよ』

「……威厳たっぷりなところ悪いけど、あいつらもう帰ったし、俺はお前の乱れた姿知ってるからなんとも言えんが?」

『なっ、なっ!なっ!』

 

 ゆだったタコのように真っ赤に顔が染っていく。力無く腕を振りかざし俺に腹パンをするが、可愛いものである。

 

「とりあえず、これからよろしくな?魔神ちゃん」

『……ッ!くっ、殺せ!』

「ワォ、女騎士じゃないけどリアルくっ殺じゃん……今度それでヤルか?」

『ッ!?』

 

 ポコスカと殴ってくる魔神の襟首を掴みドアをくぐりぬける。とりあえず……思いついたあれ、やらないとなぁ。

 

 








 Tips:Tipsについて
 Tipsとは、本編で語られることがないであろう、少ないであろう設定を後書きで話す場である。

 Tips:神
 ただ人より長生きで、人より魔力を持ち、なんかすんごい力を持ってるだけの生き物。普通に死ぬし、普通に騙されるし、普通に恋するし、普通に子供も産むことが出来る。
 ただし、神という種族の中に原初より生きている化け物だけは理から外れている。

 Tips:魔力
 正式名称は『力』。原始世界が無限に生み出す驚異的なエネルギー。それは何にでも姿かたちを変える、だからこそ火にも水にも岩にも風にも木にも人さえも生み出すことが出来る。ただし才能と力量次第である。

 Tips:権能
 全ての生命体が持つ力のことである。
 才能、スキル、異能などは権能から漏れ出た絞りカスであり、本人の力である。ほぼ全ての生命体は権能を覚醒させることが出来ず、生まれた時から扱えるのは神達だけである、それ故に彼らは神と呼ばれている。


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