生産系チート持ちの戦士君が地球に帰ってきたお話 作:金属粘性生命体
「おー……馴染みある空気〜」
排気ガスの匂い、色んな香料の匂い、食べ物のごった煮の匂い。
前世特有の情報量の暴力。
異世界もなかなかに酷いが、こちらはなんの暴力も強大な存在もなく、ただ積上げた上方が濃い。
「……んで、なんで魔力があるんすかね?」
その中に混じる
明らかに、そう明らかにおかしい。
地球には、地球が存在する宇宙には魔力が存在しなかった。それだけは絶対だ、だが何故か存在する。
「……仮説としては──あのクソ女神のせいだよな」
権能〚不正接続者〛を利用し、世界の知識に接続。本来なら物作りにしか使えない権能だがちょっとした検索程度ならできる。
結果──クソ女神のせいだと確定。
「殺すか」
さすがにやらかしたことが大きすぎだ。
あのクソ女神が俺に干渉するために地球に現れた。それだけなら問題なかったが奴は神だ、世界に対する優位性が普通の生物より上だったせいで宇宙の法則が乱れるわけで。
物理法則に魔力が適用されたのだ。それと同時に宇宙中に魔力が出現する変化が起こり、その変化の中心たる地球は魔力溢れる星となったわけだ。
「」
今現在地は本来俺が死んだ場所、あのクソ女神が出現して魂を抜き取っていった俺の家の近所──のはずだったのだが。
様変わりしていた。
様々な建物が建っている。
鍛冶屋、武器屋、薬局、よく分からん人が沢山出入りする建物、総合体育館的な建物、多くの事務所が建っている。
そして何より魔力が濃いのだ、その影響なのか足元にはある魔法陣があり、それこそ異世界で腐るほど見てきたダンジョンの出入口だと分かる。
そして何よりも。
「……ちっ、予想外だ。ひとまず退散しておくか」
多くの建物がある=人が多くいる、そんな衆人環視の中、虚空から扉が出現し人がでてきたのだ。様々な視線が、カメラが、携帯が向けられてしまう。
足に力を込め直上に跳ね上がる、人が豆粒に見えるほどの高さに至ったら靴に魔力を込め空を踏みしめ、人がいないであろう山へ向かう。
故郷たる地球、その地元は札幌。向かった山は近くの藻岩山である。
「クソがよォ……」
登山客に紛れるように空中移動中に作成した登山道具を着て下山中。同時に作成したスマホを弄りながら情報収集をしていた。
「……」
およそ七年前に世界最初のダンジョン、時計台ダンジョンが現れた。それを境に世界中に様々なダンジョンが現れ、そこから現れた怪物達に人類は殺され、全世界の被害者数は5000万人程となった。
「あのくそ女神、狙ってやった訳か?新興宗教ができてやがる」
日本は自衛隊を動かし、猟師などの手も狩り山や川に出来たダンジョンの攻略をしたり、街中にできたダンジョンはアメリカ軍が手を出してきて自衛隊が手を出せなかったり。それでも人類はやられっぱなしでなく対抗もしていた。
しかし、ほとんどのダンジョンは対処できず残っている。唯一ロシアが自国にできたダンジョンに弾道ミサイルを継続的に放つことで消滅させた、くらいか。
そんな中人々は特異な能力、魔法を扱えるようになり、勝手にダンジョンに潜っては様々な素材を手に入れ現代社会に大きな風を巻き起こすこととなった。
未知の素材、未知の生き物にあらゆる科学者が、博士が、権力者が価値を見出した。
そんなこんなあり日本は自己責任制の法律上は猟師である探索者制度を発足した、ねぇ。
「随分と愉快なことになってんね……ま、異世界の力を隠さなくていいってことがわかっだけマシか」
動画とか見るに俺は強すぎるが、どうせ7年しか研究されてない分野だ。何もわかりゃしねぇし、先駆者だ。
「……これならアイツら連れてきて問題なさそうだな」
それはそれとして戸籍を何とかしなければならないか、多分このダンジョン法?とやらの失踪者枠を利用すれば問題なさそうだな。
TIPS:異世界
主人公が居た世界は平面説の世界。ただし、傘のように土地が多少湾曲している。宇宙は存在せず、ただ光る2つの球体が世界を回っている、それが異世界における太陽と月である。上から見るとほぼ完全な円形をしている。
年に半径12km、月に半径1kmずつ大きくなっており、現在は地球を平面にした時の面積より52倍近くデカイ。
数値にすると、地球の面積がおよそ5億平方km、異世界がおよそ256億平方kmほどである。
TIPS:大災害
異世界で発生する大災害。ユーラシア大陸程度なら飲み干す津波や、北海道程度の島なら巻き上げ何百と飲み込んでいく嵐なんかが存在する。
年一程度には発生する為、かなりの頻度で人々は死に瀕している。異世界の人々が生き残るための手段として英雄が直接掻き消すか、国家丸ごと移動するか、叡智をかきあつめた道具を使って対抗するかしかない。
勇者一行なら大概の災害は対処可能であり、だいたいの英雄ならば1つの国程度は守ることが出来る。
TIPS:英雄
人智を超えた化け物の総称。もちろん主人公も英雄である。
全員が少なからず1つの権能を覚醒させている為、大概の生き物には勝つことができ、魔神軍に攻め入って無双ゲーの如く敵を蹴散らす怪物たちである。
数百の混合魔獣と英雄1人はイコールで結ばれる戦力差である。なお混合魔獣は単騎でアメリカ程度なら滅ぼせる。
英雄のほとんどがゴミのような性格だったり、狂信者だったり、極端な性格をしている。勇者だって人の守護に偏ったヒトデナシだ。