生産系チート持ちの戦士君が地球に帰ってきたお話   作:金属粘性生命体

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──ダンジョン攻略委員会──

 

 

 

 時計台ダンジョン、世界最初のダンジョンであり、世界最大のダンジョンでもある最恐のダンジョン。

 

 未だ攻略の兆しが見えず、国内外の強者達が集まり攻略をしてもなお65階層ほどしか攻略できていないとの事。そのダンジョンの魔力量からして推定300階層以上ということが判明しているものの、このままではあまりにも攻略が進まず、ある危険性に対して現状のまま対処しなければならないという事態に陥っている。

 

 第四回北海道洞爺湖サミット、2008年に主要国首脳会議において使用されたザ・ウィンザーホテル洞爺。ダンジョンに関わることのために特別に開催された主要国首脳会議が3回目に至った。

 

「──それで、新汰総理、このままではあのダンジョンは溢れてしまうがなにか対策はあるのかね?」

「現状は自衛隊による包囲、及びダンジョン周辺の要塞化、探索者の居住支援等で戦力を揃えていますが……足りませんよねぇ」

「うぅむ……やはり我々も戦力を出すべきでは?この事態は国という括りでくくるにはあまりにも規模がデカすぎる」

「はっ、ご自慢の畑から人を収穫しまくって気がデカくなってるのか?貴様らがホッカイドウを事実上占拠しようとしていることは知られているぞ?」

 

 アメリカ合衆国、イギリス、イタリア、カナダ、ロシア、ドイツ、フランス、中国、日本、という錚々たるメンツが集まるこの会議。

 

 目的はただ1つ、ダンジョンからいずれ溢れ出る大侵攻をどう対処するか、である。本来ならばいる事が出来ないロシアと中国は、世界五大ダンジョンを1つずつ抱えるが故に特別に招待されていた。

 

「喧嘩はよせ、ここは政治の場ではあるが第一にダンジョンの対策をする場だ」

「世界の警察は正論しか言わねぇな?ただの空気を和ませるジョークだぜ、ジョーク。お宅の下品なジョークよりは良いだろ?」

「度が過ぎている、ということだ」

 

 現日本国の総理大臣である新汰(あらた)信雄(のぶお)は不思議な感覚に陥っていた。

 映画の翻訳のように目の前で喋る他国の者達の口から出る言葉は日本語で、口の動きに合わない言葉が出ている故の違和感があった。

 

 これもダンジョン素材による賜物、バベルの塔が建てられる以前のように言葉の垣根がなく会話ができるようになる道具のおかげである。

 

「それで、期日まで残り半年ほど。あの博士の言う事だから疑ってはいない……傾向はあるのか?」

「間違いなく、魔力内包量が昨年より1.5倍ほど増加しています。それに加え明らかに魔物の数が増えてきています」

「ふーむ、やはり不味いのではないか?領土云々の話を抜きにしても我々も戦力を出すべきだ」

「あ、うちは無理だヨ。最近新たにダンジョンが5つ出来たからナ、対処のために軍出してる」

「……予想規模は?」

「全部50~100階層ほど、本腰入れなきゃ攻略できないネ」

「相変わらず中国はダンジョン天国だな、土地柄とは聞いたがにしても多い」

「それを言うなら日本も大概です、彼らの国こそ大変な時期ですからね」

 

 その言葉に額に汗が流れる。意識しないようにしていた事だが今日本には非常に危険なダンジョンが複数できている。

 

「ついこの間もダンジョンできたんだろう?」

「えぇ……まぁ」

「聞いた限りだと200階層くらいはあると聞いたが……マジか?」

 

 イタリアが話しかけてくる。彼の表情は心配そうな顔をしていて、この中では割と良心的な存在だが……余計な事を聞かないで欲しい。ちょっと胃が痛いから……

 

「本当ですよ……本当になぜうちばかり……」

「我々の所も時折ダンジョンはできてはいるが、およそ10~50階層が多い、が日本は質が違うからな」

「ロシアとは違うが私の所もダンジョンは多い、ただ戦力を日本に割く訳にはいかん、こちらにも五大ダンジョンがあるからな」

「イギリス、我々で手助けするしかあるまい」

「仕方がありませんね……軍は半年で動かせますのでもし受け入れるのならば受け入れ可能にしていて欲しいです」

「一応聞いておくか、日本に戦力を出せる国は挙手を」

 

 アメリカがそうこの場にいる者らに聞く。

 

 イギリス、イタリア、ドイツ、カナダが挙手。

 アメリカ、ロシア、中国、フランスが手を挙げず。

 

「いやおいロシア戦力出せるんじゃねぇのかよ!」

「……」

「おいおい……ほんとに侵略目的だったのかよ、せめて隠せよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 会議は終わり、各国の首脳とは別れ、ホテルの自室へと戻る。

 

「本当にどうなってるんだ……なぜ日本にだけこれ程魔力濃度が高いダンジョンばかりできる」

 

 7年ほど前に唐突に溢れ出した魔力という概念。今までの常識を嘲笑うその力、電力以上に扱いやすく、電力以上に危険なその力。オマケに世界五大ダンジョンが2つもできるという異常事態な時期に総理になってしまったことを後悔してしまう。

 

「どうにか戦力を集めなければならないな……」

 

 他国からその力を借りずに、大侵攻を乗り切れねば……日本は世界の傀儡になってしまう。今回の会議は日本に対する最後の猶予だった、ということなのだろう。

 今まで以上に直接、日本では対処できないということを見せつけられてしまった。だからこそ何か方法を考えねば日本最悪の総理となってしまうのだ。

 

「本当に……何がどうなってんだ……」

 

 どこか都合のいい、いきなり出てきて時計台ダンジョンを攻略出来るやつ……いねぇよな〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時計台ダンジョン・???階層

 

「お、少しは歯ごたえあるやつ来たな?」

 

 そこには東京ドームサイズのカマキリと対峙しているある男がいた。

 

「ヴェールカーム!!」

 

 

 

 

 

 

 






 TIPS:ダンジョン
 濃密な魔力が土地に根付くと発生する生命体。一応生き物。
 ダンジョン内で発生する魔物、魔獣たちは言わば白血球とかそういった生命の防衛機構。だから侵入してきた生き物は全てぶち殺すという殺意マシマシになっている。虫だろうが、犬だろうが、象だろうが、人だろうがダンジョンにとっては全員等しく敵である。

 魔力濃度が高ければ高いほど階層が増えるか階層一つ一つの規模がでかくなる。中はだいたい独自の世界となっている事が多く、言わば神域や領域と同じ分類。たまに土地そのものを侵食するタイプもいる。異世界だと1000階層とか普通にある、人海戦術で攻略する為ダンジョン内に街とか作ってる。大災害対策でもある。


 TIPS:大侵攻
 ダンジョンが生まれてから一度だけ起きる魔物、魔獣の大氾濫。たった一度しか起きないが、起きてしまったら最下層から最上層の全ての魔物達が地上に噴出、辺り一面を草一本すら残さず破壊し尽くしダンジョンの領域を広げていく。大侵攻の目的は■になる為である。
 ダンジョンが完全に成長しきった時にのみ発生する。

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