生産系チート持ちの戦士君が地球に帰ってきたお話 作:金属粘性生命体
「おー?」
ダンジョンの入口は色々と種類がある、魔法陣式や普通に洞窟のように開いていたり、門があったり。隠し扉になっていたり、そもそも土地そのものがダンジョンの場合入口とかいう概念がない。
時計台ダンジョンは魔法陣タイプの入口であり、転移をすることによって別次元にあるダンジョンに行くことが出来る。未だに原理が判明していない手法の為、一部の探索者は怖くて入ろうとしない類である。
原理の話するとめんどくさいが、シンプルに話すなら世界から真っ逆さまに落ちる穴を作って通している。世界に上とか下とか言う概念がないので穴が空いた世界から繋がった穴が空いてない世界に落ちる、という仕組みである。よく分からんて?別に俺は作ることができるだけで仕組み理解してるわけじゃねぇし、答えから逆算するのは俺の脳みそだから語彙力ねぇのはデフォルトだ。
そんなくだらないことよりもダンジョン攻略である。如何に強靭な肉体を持ってようと、人間社会で生きるにはお金がいるんだわ。異世界産素材を無数に持ってようと無駄なやり取りは要らんので、普通にこの世界で価値あるものを取るのが穏便だ。
力を隠すつもりはなくても必要ないやり取りは排除するに限る、例えそいつらが剣一振でなぎ払えたとしてもな。
「貸出装備、品質は悪かねぇし、素材の質も悪くねぇな」
てことで組合から装備を借り受けた。
今の俺は四級なので市販品の装備しか使えないわけで。ただそれを買うためのお金は全て遺産として家族の手に渡っているため俺の金は無い。だからこそ組合が貸し出しをしている初心者装備セットを借りたわけだ。
思ったより質が悪くなく、ちゃんとした装備で感心してしまった。普段使ってる装備からするとゴミのような品質だが、普通の人が使う分には高品質な代物。
防弾防刃性のアーマーに、チタン製の剣。チタン製だから高いかなと思ったが剣に使う分にはそこまで量はいらないので金額自体は割と良心的ではあるみたいだな。キログラム1500円くらいか、長剣だとだいたい数kg+諸々代で数万って所だな。これが市販品か……
「……異世界の初心者からしたら涙目だな」
合金を量産できる訳でも無い異世界。結局英雄とか一騎当千の化け物に投資した方が安いため一般的な異世界の探索者にはまともな装備が支給されない。良くて鉄製、場合によっては石斧とかになる。舐めてんのかって話だが……あっちは人の命がかなり安い、地球の人口が今80億くらいか、異世界は150億くらいな。これでもだいぶ人口減ったんだけど……話が長いな。要は異世界よりも日本の探索者の環境はとてもいいってことだ。
「んじゃ行きますかね」
魔方陣周辺に備え付けられたゲートに専用のブレスレットタイプの認識証をかざし、魔法陣に乗る。するとあとは勝手にあっちが招き入れてくれる、ダンジョンは栄養を欲してるから外敵を誘致するんだよ。その性質を使ってるわけだ。
ダンジョン内は広い、時計台ダンジョンは世界最大と言われるだけあって一つの階層が四国並みの広さだ。しかもちょっとした世界なので空がある。
「草原タイプ、パンフレット通りか……なら60階層くらいまでは情報に嘘はなさそうだな」
ただし世界の端っこは上すら見えぬ巨大な岩壁で円を描くように囲われており、記録によると数百キロ上まで行ってもなお頂上に到達できないのだとか。だから広いが妙な圧迫感がある、無限に上まで壁が続くカルデラだと思えばいい。
ただ上に行きすぎるのはダメだ。行き過ぎると多分ヤベェのが出てくる、今の現行人類程度じゃ数秒で滅ぶくらいにヤベェやつがこの異界の外に居るからな。
そんでもって草原タイプ。これはそのまんまだ、端から端までぜーんぶちょっとした坂や丘がある程度の草原で埋めつくされているタイプだ。視界が開けてて敵が見分けやすいが、もちろん向こうからも見分けが着くので交戦頻度がくっそ高いエリアだな。
それで次の階層に行くためには魔法陣を見つけねばならないのだがクッソ遠いらしい……名前の通り階層になってるわけで。最上階がここだから上が危険なだけで、下は掘れば次の階層に繋がるんだよな。それを知ってか知らずか組合は地面を掘って下の階層に行けるようにエレベーターというかゴンドラ?台車?的なやつをこさえてやがる。
人間ってたくましいネ。良く5キロ近くの地面を掘ったもんだ、これも魔法のおかげかね?
だ、が。である。俺の目的は高額な代物である。つまりエレベーターで行ける程度の場所の素材は簡単に手に入ってやすいためうまみがない。じゃあもっと下に行くしかないのだが……一々魔法陣を探すのがめんどくさいわけで。
で、こういう階層型ダンジョンには大侵攻のためにダンジョンが作っている物がある。そちらに向かうとしましょうか。
クラウチングスタート、からのダッシュ。四国程度の広さなら俺の足なら端から端まで数十秒よ。当たり前のように音速の何倍とかなんでそこら辺は道具でカバー、空間にそもそも干渉しないように少しだけ位相をずらすことで物理的なあれそれを無視。空気抵抗とかもないので速度の減衰もしません。
そして到着である。そこで取りだしたるわエコーロケーション。
「さてどこにあるかな〜?」
外周全てを探さないといけないが、見つけたら後々楽なので一苦労する必要があるんだ。
とまぁ探し始めて数分、走っては止まって壁に向かってエコーロケーション、外周の半分くらいだった頃。
「お、あった」
そこにはお目当ての代物があった、が岩壁の中なので拳を振るうことで破壊してそれを見る。
そこには奈落と言えそうなほど下が見えぬ大きな縦穴が存在していた。
「……縦横サイズ的に……へぇ」
縦横のサイズそれぞれ数十kmに及ぶその巨大な縦穴はダンジョンが大侵攻をするために作り出した穴。ここを通って下の階層の魔物達は地上に這い上がってくるのだ。
異世界だともっぱら通路扱いだったが、ここまででかいのはなかなかにない。
「下手したらこれ地球滅んでたな?見つけれてよかったわ」
そして数十kmサイズということは少なくともそれぐらいの大きさの魔物達が現れる可能性があるというわけで、大きさ=強さな魔物だと非常に驚異的である。
「こりゃ歯ごたえがありそうだ……行くか」
これからがダンジョン攻略の開始だ。