生産系チート持ちの戦士君が地球に帰ってきたお話 作:金属粘性生命体
生産系チート持ちの主人公の話なのに生産の話がねぇ……まぁキャラ自体が、ねぇ?
ということで生産&戦闘シーンです()
落ちる、落ちる、落ちる。
既に上から満ちる光すらなく。完全な暗闇の中落ちる感覚と耳を裂くような風切り音だけが自意識を支配している。
感覚だけで言うなら既に400階層を越えた辺りか。目的としてはお金を稼ぐための魔物の素材、そして大侵攻対策として中に存在する魔物の撃滅である。
世話が焼ける故郷だ、と思いつつも役割としては普段通りなので特段なんとも思うことはなく。
「……最下層から上層までローラーした方がいいかこれ?」
ちょくちょくとではあるがダンジョン内にいる魔物達の気配を感じ取る限り、現行人類では数週間ほどしか持たない怪物共だらけである。
多分だがそれぞれが自然環境そのものを支配して領域で破壊していくタイプだ。海を支配したらば海そのものを空から落としたり、火山を支配したならば火山がマッハの速度で大地を削りながらスライドしたりしてくる。
珍妙な事を言っているが異世界じゃ普通にあったことだ、一部のアホなヤツらは山は投擲物とかいう頭の悪いことを言ってたし……うん。
「んじゃ最下層行こうか」
周りの被害を気にする必要が無いので、移動用のいつものバイクを取り出す。
燃料は魔力を消費し、自身の血を注ぎ込むことでバカみたいな速度を出してくれ、空中に魔力の板を展開することで空を駆けることができる。最高速度はマッハ7である。
つまりマッハ7の速度で地面へ進むというわけである。
「スリリングだなッ!」
振るわれる大鎌。一切合切関係なく両断し尽くすソレを構えた数打ちの1本で受け止める。
甲高い音が鳴り響き、質量差ゆえに吹き飛ばされる自身を認識しながらも手元の剣が傷一つないことを確認する。
フィールドは十分に広い、北海道並みのサイズをしていると思われるこの空間。この時計台ダンジョンにおけるラスボスを守る砦が居を構えるにはなかなかのものだ。最下層まで行けなかったのは残念だが、速度×質量で此処まで潜れたのはいいことだろう。
──権■〚
権能の一部が発動される。そこら中に乱立する1000m級の山脈を地面と泣き別れさせるその一撃。
「フンっ!」
腕を突き出し、飛んできた斬撃を
「成りかけか、こりゃ想像以上に強いな」
油断なく、余裕を持って、洞察をもってすれば勝てる相手。ただそう簡単に行くかどうかと言われれば……微妙な所だ、今のままならば。
内なるその力に魔力を振り分ける、たったそれだけで己に眠るその権能は猛威を振るってくれる。
「権能〚
軽く踏み出した足、その足元が地獄の釜を開けるような轟音と共に盛り上がる。
周囲にある山脈を越え、高く、高く、高く。ひたすらに高くそれを積み上げる。
「
そして積み上げた積み木を崩すかの如く山脈そのものを岩雪崩とする。視界全てを埋めるようなその山脈が雪崩となって、カマキリへと襲いかかる。
────権■〚
だがそれでもなお対応してくるのが権能という力だ。例えそれが覚醒しかけの中途半端であろうとも不条理の力でしかない。
なだれ込んでくる土石流、質量だけでも複数の県なら壊滅させられるであろうその莫大な量をカマキリは数百メートルを超える巨体でありながら、腕から先全てが霞むような速度で鎌を振るい迫るその山脈そのものと言える土石流を真っ二つに斬り裂いた。
その最中、カマキリに向かって剣が音速を超えてとんできた。土石流が斬られることを想定し投げていたそれ、本来ならば驚異になりえぬ脆さだが魔神から簒奪せし権能〚
──ギィッ!?
だがサイズ的に言えば爪楊枝にすらならないサイズのその剣、なのにカマキリは苦しんでいる。
その理由は剣に付与した〚
内臓を、表皮を、筋肉を、その全てがなにかよくわからないモノに変わっていく。
──ギィィィイイイイ!
だがタダでは死なない。カマキリは本能的にその剣が刺さった部位を斬り、自分に苦痛を味わわせてくれた敵を探──
「足元注意〜、
マグマが溢れ出す、目に見える全ての範囲の地面が溶岩と化しカマキリの足から全てを燃やし尽くそうとし、尚且つフィールドの中央にはヒマラヤ山脈級の高さを誇る活火山が聳え立った。
「これこそが創造神の権能だ──と言いたい所だが、まだ本領じゃないんだ付き合ってくれ……そうにないな」
既にカマキリは息絶えていた。暴れに暴れたであろう痕跡が残るがその痕跡さえも己の肉体に傷1つつけられやしなかった。
仕方が無いので残った貸し出し用の剣を溶岩の海から救い出し、この時計台ダンジョンの最下層へ向かう。