生産系チート持ちの戦士君が地球に帰ってきたお話 作:金属粘性生命体
結局最下層から最上層までローラーをした訳だが、時間がかかった。特に何も考えずに来ていたけど、時計台ダンジョンは1000層まであった。
いくら俺が強いし、速いと言えど普通に考えて下に行けば行くほど広くなる階層型ダンジョンの1000階層付近の一層ごとの広さはえぐいほど広い、具体的には多分中国領土くらい?北海道並のスペースの場所は999階層の一角だし。それが何層も重なってるのだ。
そんな馬鹿みたいに広い階層を今後のためとはいえ1人で上から下までローラーしたのだ……馬鹿かと。異世界でもそんなことしてなかったが???基本ダンジョンは1人で攻略するもんじゃねぇ、例え1人でできる実力があったとしてもだ。安全的な面でもそうだし、精神的な面でも1人で攻略する必要性がない。何日、下手したら数週間も孤独にダンジョンで常に命のやり取りをしてたらいくら強くても心が持たないわけだ。
ダンジョンによる場合もあるが……大概は英雄でも普通に一人では攻略しない。
そんなこんなで一応下から上まで魔物を潰しました、という話だ。結局超大型の魔物はおらず、物量が飛んでもなかったくらいだろうか。数百万もの魔物がひしめき合ってる回想を見た時なんて鳥肌が立ったくらいだ。ゴキブリかと思ったわ……いやゴキブリ型もいたけども。
勿体なかったから魔物達の素材は全回収していたが、所有している腕輪型収容道具はパンパンに埋まってしまった。普段は戦闘に使う道具や武器をしまっていたりしている道具なのだが、適当に作ったせいで容量がわからんのだ。まぁ経験則からしてかなり入るはずなのだが……それが埋まるほど魔物がいた訳だ。
「とりあえず素材売却だなぁ」
第一階層をのんびり歩き、時折襲ってくる羊型魔物の首を刈り取りながら脱出用の魔法陣へ向かう。
「……ま、さすがにここまで来たらトラブルは起きねぇか」
起きたとしても簡単に対処できるから気にする必要も無い。レンタル装備を着ているとはいえ本気装備も持ってきてるし、色々と道具もある。
結局何も起きなかった。
……何も起きないのはいいことなのだが、それはそれとして面白みがねぇ、というのは不謹慎だろうか。
「とりあえずこれはオークションにかけてもらって」
「は、はい」
「こっちは買取で」
「わかりまし、た」
てことで普通に地上にたどり着いたので協会の買取カウンターに集めてきた素材の一部を買い取ってもらうことに。階層で言えば多分70階層くらいの魔物である蛇丸ごとを買い取ってもらうとして、あのクソデカカマキリくんの唯一残ったクソデカ鎌部分をオークションにかけることにした。東京ドームくらいのサイズのカマキリの鎌なので30m位のサイズである。
建物内に置けなかったので協会所有の駐車場に出しておく。あとついでに盗難防止で追跡魔法もかけておく。
余りにもな情報量のせいで宇宙猫になって作業を進める受付の男性を横目に買取票を待つ。
「ち、ちなみになんですけど……どこから取ってきたヤツです……か?素材一覧にも載ってないような見たことない素材なんですけど」
「多分70階層辺りの蛇と999階層のクソデカカマキリの鎌だな」
「は、はぁ……分かりました。とりあえずそれで処理しておきます」
極力嘘はつかないようにしているので正直に話したら怪訝な顔をされたが……ま、今までの階層で見つかってない魔物の素材なので少なくとも攻略済みである65階層以降の魔物だということは信じてくれたらしい。
「えー……新素材の鎌の方はオークションで1週間ほどかかります、あと新素材の蛇の方の買取はおよそ2日ほどかかります」
「マジ?即金ほしいんだけど……じゃあこれは?」
「えーっと、
「んじゃ10匹分お願いします」
「分かりました、現金か銀行振込のどちらにしましょうか」
「あー、現金で」
「少々お待ちください」
やっぱり見られている。
この腕輪、めちゃくちゃ見られている。いやまぁ分かる、確かに荷物運びとか楽になるもんね。犯罪とかにも使えそうだし、でもあげません、頑張って作りたまえ。現代科学の力と魔法の力が合わさればいずれ作れるようになるから……具体的には1立方cmの容量を作るのにこのままだと30年くらいかかるけど。空間に干渉するのって割と厳しいからね、権能使わなきゃやってられんよ。
だからと言って怪しい眼差しを向けられるのはちょっとあれだね。こりゃダンジョンで襲撃されそうだな……無意味だけど。
あれから3日ほど。金が手に入ったので好きなものを食べたり、ダンジョン内で釣りをしたり、軽く遊んでいた。
ダンジョンで釣りをしていた時にようわからん不良のような奴らに絡まれたがシバキ回して釣りの疑似餌にしてやった、殺さないでやっただけありがたく思われたいな。
「えー、では……新素材の蛇の命名をお願いします」
「お、ん?俺が決めんの?」
「えぇ、まぁ発見者がつけるというルールになっておりますので」
「んー……じゃあ、
「分かりました。ではこちら風蛇の素材の料金は丸ごと一匹で500万円ほどとなります」
「思ったより高いな」
「新素材なのもそうですが、どうやら皮が強力な風避けの効果もあるようでして、飛行機などの装甲に使ったりすると燃料代が安くなる算段らしいです」
「はー……割かしでかいけど飛行機とか戦闘機とかに使うには十数匹必要だけど……ま、高く買取ってくれるのはありがたい。で、オークションは現状どんな感じ?」
「こうなっております」
そうやって見せられたのはタブレットの画面であり、そこではかなりな金額が動いているのが見て取れた。
残り期日およそ4日のこの時点でこの鎌には一億を超える金額が付けられている。しかも国や組織、あるいは海外のトップパーティや研究所などが主な出資者だ。
「ほー……?こいつらどうして新素材なのにここまで金かけれるんだ?」
「えー、こちらで分かる限りの情報を連日公開しているからですね。初日には含有魔力量、一昨日はその切れ味や耐久、昨日はどのような特性を持っているかなどが判明してきていて、そのどれもが現行のモンスター素材を全て桁上回っているからですね」
「……ま、納得か」
「ちなみにお聞きしますが、実際に戦ってみてどのような感じでしたか?」
「え、うーん……じゃあ前置きとして俺から今から言う言葉は嘘は無いからね?」
「分かりました」
そう言って実際に戦った時の感想を思い浮かべる。
「どう考えても今の日本の戦力じゃ1ヶ月国を保てればマシな強さかな?」
「……」
富士山を撫で斬りにする力と言えばわかるだろうか。しかもそれが通常攻撃に混じって放たれる。どんだけ数を揃えても意味をなさないのが圧倒的な個だ。
強力な個を倒すために凡才が物量で押しつぶす、間違っちゃいないが……単身で物量もこなせるならどう足掻こうと凡才程度じゃ敵わんのよ。
「んじゃ、また後日来るわ。オークションの方は銀行振込で頼む」
「は、はい」
「はん!尻尾を出したな詐欺師め!」
「おん?」
おや?なんか楽しそうな気配がする。協会の受付の奥からそんな詐欺師呼ばわりをしたやつがはい出てきた。
バーコードハゲのほっそりしたおっさんだった。
なんか地図作るアプリとかないっすかね、異世界マップ作りたいんだよね。