その血が歩む道すじ:完全版   作:亞忌羅

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 カットするとは言え変わった部分は書かないとね、とは言え流石にカットしすぎた、駆け足も駆け足すぎるね。


百一話

「烏鷺亨子(うろたかこ)だね、見ていたよ。とても素晴らしい術式だ。だから貰いに来た」

「オマエは……乙骨が」

「そんな事はどうでもいいだろう?」

「そうだな、お前を殺せばいいだけだ」

「それは無理だ。死ぬ事に……イヤ、違うな。死に目に合う(・・・・・・)のは君だ。

 何、死にはしない(・・・・・・)。情報(データ)ーーー」

「な、にを……あ、ガ……繧ャ縺ゅ=縺ゅ=縺ゅ=縺ゅ≠縺√≠!!!」

 

 赤く光る手を伸ばし、何者かの頭を掴み何か(・・)をすると女性は膝と腰を地面に付け白目をむき、口から泡を吹いている。

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「次は高専の二人か」

 

 烏鷺亨子(うろたかこ)に何かをした白い外套を着た人物はそのままどこかへと歩き去った。

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「あ、なんだ? 上野から脱走したか?」

 

 鹿紫雲(かしも)を見てすぐさま四足歩行へと切り替え、内心「(その通りです)」と思い見せかけようとしたが、コガネを呼び出し「アレも泳者(プレイヤー)か?」の問い掛けに「泳者(プレイヤー)、デス!」と元気よく答えを聞くや否や視認できない速度で接近しパンダの腹を一撃で突き破る。

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「(とんでもなく速く、重い!! しかもそれだけじゃない! 恵の『鵺(ぬえ)』と同じ……呪力が電気のような性質を持ち、奴自身に帯電している。つまり防御不可能、だがそれは俺も同じだぜ!)激(ドラミ)震(ング)掌(ビート)!!」

「(内部破壊か)悪くない」

 

 腕を極め圧し折ろうとした時、上から体格が良い偉丈夫が乱入する。その手には反りのある刃渡り約80cmの呪具『ゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)』が握り締められていた。

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「よぉパンダ、生きてっか?」

「うお! ゴリラが降ってきた!?」

「あ? 特訓受けるか?」

「甚爾先生! ありがとうございます! 助かりました!」

「チッ、まあ良い。鹿紫雲(かしも)? つったか?」

「誰だお前、それに」

「呪力が感じられねぇだろ? 俺にゃ呪力が一滴も無くてね」

「へぇ、そいつぁ面白そうだな」

「俺が相手すんのは少しだけだがな」

「こっちはさっきので暖まってんだ、冷たい事言うなよ」

「こっちにも都合っつーのがあってな、だがまぁ、その少しを愉しもうんじゃねぇか」

「なら長引かせてやるだけだな」

 

 鹿紫雲(かしも)の体全身の力を淀み無く乗せた一撃を頑強な腹で受け、「良い一撃だな、だがそれだけだ」の言葉と共にゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)を振り下ろし若干空間が歪む。

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「バカみてぇな頑丈さだな」

「呪力がねぇ分その他の強度がバカみてぇに上がってな、こんな風にな!」

 

 空を切る、ただそれだけ。それだけで空気が震え縦一文字に斬られるのを周囲にばら蒔いている呪力特性の電気が斬られた事に気付き、コンテナに蓄えたプラスの電荷に自身の体に溜まるマイナスの電荷でコンテナに引っ張らせ避けると、自分が居た場所のコンテナが縦一文字に斬れる。

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「(ただ避けたって訳じゃねえな、引っ張られたって感じだな。これが晴(ハル)の言ってた電気って奴か)随分と器用な事すんじゃねぇか」

「取り柄なもんでな、アンタも良いモン持ってんじゃねぇか。童子切安綱(どうじぎりやすつな)の陰打ちか」

「大正解、加茂家当主曰く『大抵のモノは斬れる』だそうだ。俺には呪力が無いんでね、こう言った(ゞ子斬安綱)代物が無いとマトモに戦えねぇのさ。

 アンタこそ術式が使え無いんだったか?」

 

 

 ━━━━

 ゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)は鬼を斬る呪具(刀)。『鬼』の語源の一つに、『鬼』とは姿が見えない『隠(おぬ)』が変化したものと言う謂れがある。『鬼』とは目に見えない不気味な存在や霊魂を表す言葉だとされており、『ゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)』は何も無い場所を、なんでも無いモノを、何かである事を斬り捨てる。

 ━━━━

 

 

「……よく知ってるな、誰に聞いた」

「現代の加茂家当主だよ」

「御三家か」

「なんでも蔵にお前さんの事が載った文献があったらしくてな、色々と聞いてんだよ。

 術式を使えねぇ奴と戦い合うのはつまらねぇが……せいぜい愉しませてくれよ、なぁ!」

 

 瞬間移動に劣らない速度で近づきゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)を振り抜き何かである事を斬った。

 ━

「(俺の電荷の繋がりを斬ったか。ゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)、聞きしに勝る武器だな)」

「その電気(電荷)は逃げるだけか?」

「どうだろうな」

 

 ヒリつき流れる沈黙を裂いて先に動いたのは甚爾だった。

 ━

「少しの間は愉しもうじゃねえか!」

「いいや違うね! 死ぬまでだ!!」

 

 如意(にょい)とゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)の斬り結び、本来鉄製の武器(呪具)であれば鹿紫雲(かしも)の呪力特性である電気(電荷)が溜まり奪われるが、ゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)は何かである事(電荷)を斬り十全の攻撃(パフォーマンス)で戦える。

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「ハハハ! いいねぇ! ここまで戦(や)り合えるのは晴(ハル)以来久しぶりだ!」

「お前もな! 生前に会ってたら気があったかもな(殺してたかもな)!」

 

 如意(にょい)とゞ子斬(どうじぎり)の斬り結び合いが一合二合と続き、お互いが満面の笑みで殺し合い「もっとやろうじゃねえか術師!」と鹿紫雲(かしも)が叫びながら稲妻を喰らわせるが「わりぃが俺は術師じゃないんでね!」と叫び返し稲妻ごとゞ子斬(どうじぎり)で斬る。

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「(周りのは斬れても自分に溜まった電荷は斬れねぇだろ!)俺は『稲妻の桑原(くわばら)』、稲妻ってモンを身をもって知れ」

 

 自身が持つ如意(にょい)とコンテナに打ち込んでおいた釘に溜めていた帰還雷撃を甚爾の腹部を通るが掠り傷一つついておらず、何食わぬ顔で刀を振り下ろされ自身の背後に打ち込んでおいた鋲目掛け電荷集束を使い雷速に近い速度でこの場を離れる。

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「今のを喰らって抉れないか、人間か? お前」

「安心しろよ、ちゃんと怪我してんぜ? 多分だがな。それと、怪我をしねぇ理由はコイツだよ」

 

 そう言い腰に帯びていた太刀を半分程抜いて、鹿紫雲(かしも)に見せる。

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「お前さんなら分かるんじゃねぇか」

「三日月宗近(みかづきむねちか)の陰打ちだな」

「ご名答その通りだ、家の当主様は心配性なもんでね。

 ぶっちゃけ並大抵の攻撃(術式)なら効かねぇんだが、念のためにって訳でコイツを渡されててな。

 心配性でお人好しで優しすぎる当主様だよ」

 

 

 ━━━━

 三ヶ月宗近(みかづきむねちか)は人(呪霊)を斬る物では無く、身を護る(怪我や病気から遠ざける)ための最高峰の守り刀。この刀を帯びている者は『戦場でも決して不覚の怪我を負わず、災いから身が守られる』呪具。

 それ故か、真打ちでさえ戦場で敵を斬るために使われた記録が殆ど無かった。

 ━━━━

 

 

「お前は加茂の人間か」

「イヤ養子だよ、元は禪院だ」

「あの嫌味な奴らか」

「それが嫌いでね、色々訳あって加茂の養子に成ったてこった」

「ゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)に三ヶ月宗近(みかづきむねちか)か、随分とお前を気にしている当主だな」

「ああ、優しい当主だ。だから俺はアイツの為なら死ねる」

「そうか、ならここで死んでいけ」

「死なせてみせろよ雷撃使い」

 

 一触即発の気配を漂わせ、鹿紫雲(かしも)、甚爾が共に動き如意(にょい)とゞ子斬(どうじぎり)との斬り合いが数分続き、何度も帰還雷撃を喰らわせるが意味がないと判断し呪力を励起させ体内の電気信号を加速させる。

 ━

「お? 少し速くなったな」

「お前には外からの雷撃は意味が無さそうだからな、なら肉弾戦にするのは当然だろ」

 

 その言葉に「そりゃ違いねぇ」と返し速度の増した鹿紫雲(かしも)に容易く追いつき「速いっちゃ速いが晴(ハル)程でもねぇな」と言いながら如意(にょい)を弾き、いつの間にかゞ子斬(どうじぎり)を左手に持っており、右手で三ヶ月宗近(みかづきむねちか)を器用に抜き放ち斬りつけるが、鹿紫雲(かしも)は気づいていたかのように後方へ飛び退いた。

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「よく避けたな」

「ゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)じゃねぇなら軌道がわかるんでね」

「そうかい、だが俺は二刀剣術も教わっててな」

「噂に聞く二天一流か?」

「イヤ、別もんだな。晴(ハル)曰くシン・巌流だとよ」

「巌流? 佐々木某のか」

「どうだろうな、その辺は当主に聞いてくれ。

 さて、第二ラウンドといこうか」

 

 斬り合い殺し合いは加速し苛烈を極める。だが、ゞ子斬(どうじぎり)であれば何かである事(雷撃)を斬れるが、三ヶ月宗近(みかづきむねちか)はそうではない。

 電荷を溜められ奪うのではなく三ヶ月宗近(みかづきむねちか)を避雷針のように使い強力な雷撃を腕に喰らわせるが、宗近(むねちか)は雷撃を散らし甚爾には当たらなかった。

 ━

「おうおうやるじゃねぇか、意味なかったようだがな」

「いいんじゃない?」

「じゃねぇと右腕は勤まらねぇからな」

 

 ゞ子斬安綱(どうじぎりやすつな)を武器庫呪霊にしまい、三ヶ月宗近(みかづきむねちか)は納刀し別の呪具(・・・・)を取り出す。

 ━

「コイツはつい最近渡されたモンでな、何ができんのかは書いてあったが使うのは初めてだ。存分に喰らってけ」

 

 武器庫呪霊から洗練された細身の大太刀と重厚感のある無骨な直刀を取り出す。

 一振は『陽炎』のように細かく揺らめいており、静止していてもブレて見え、もう一振は濃密な『影』そのものを硬化させて削り出したような質感で、刃先からは常に黒い影が煙のように立ち上っている。

 ━

「第三ラウンドだ」

「最終ラウンドの間違いだろ」

 

 人間離れした速度で詰め寄りながら「ならさせてみせろや!」の言葉と共に右手に持つ新たな刀身揺らめく呪具・『虚空ノ幻《コクウノマボロシ》』を振り下ろし、影が立ち上る虚空ノ影《コクウノカゲ》を振り上げる。二つの呪具の危険性を本能で察した鹿紫雲(かしも)は近くに打ち込んである鋲に対して電荷集束を行い躱す。

 ━

「高速戦闘は晴(ハル)で慣れててなっ!」

「そのハルって奴と戦(や)り合いてぇな!」

「なら俺を殺してからだ! いきなり大将と戦(や)り合えると思ってねぇよなぁ!」

「違いねぇ!」

 

 刀身が揺らめく虚空ノ幻《コクウノマボロシ》を果たし合いで培った勘で避け、影が立ち上る虚空ノ影《コクウノカゲ》を如意(にょい)で防ぎ接近し体重を乗せた一撃を叩き込む。

 ━

「ちょっとピリッとするな」

「ならでけぇモンを喰らって潰れてみろよ」

 

 帰還雷撃が通用しないとみるや否や、甚爾の体に溜まった電荷に幾つものコンテナを引き寄せ物量、物理的に押し潰そうとするが、二刀をもって「シン・巌流〈閻魔大車輪(エンマダイシャリン)〉」の言葉と共にコンテナを斬り刻む。

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「今のは肝が冷えたぜ」

「デタラメな剣術を使うな、それがシン・巌流か」

「お前も教わったらどうだ、棍術もあるらしいぜ」

「気が向いたらな」

 

 電気(電荷)を走らせ動こうとした時、人影がコンテナを潰しながら「げぇ!! ゴリラ! 聞いてねぇぞ!」と叫ぶ。

 ━

「ゴリラじゃねぇテメェから殺すぞ」

「すんっません」

「ったくドイツもコイツもゴリラゴリラ言いやがって、言った回数分〆るか」

「(最初は俺でありませーー)」

「最初はお前からだ金次(きんじ)」

 

 目を泳がせていると「金次(きんじ)ぃ! 返事は」と怒鳴ると「う、ウス! ありがとうございます」と

 人影ーー秤金次(はかりきんじ)がなんとも体育会系の返事をし、腰を直角に曲げる。

 ━

「まあいい。それより、だ。雷撃使い、残念だが俺のお役目は御免だ、こっからはギャンブラーとやれ。お前さんが言った通り最終ラウンドだったな、俺の勝ちの最終ラウンドだがな」

「逃がすと思うか?」

「チゲぇな『逃がさざるを得ない』だ。オイ金次(きんじ)、無力化(・・・)させろ」

「無力化……了解(りょぉかい)!」

 

 二人のやり取りを見て「イヤ駄目だ、お前からだ加茂の術師」とヤル気を漲らせながら声を張って言う。

 ━

「俺もヤりてぇが当主さまの指示なもんでな、コイツで我慢しろ。だが、コイツを倒せたらヤってやるよ」

「そうか、ならさっさと終わらせねぇとなぁ!!」

 

 呪力(稲妻)を漲らせ秤に向き合い速攻を掛けるが、行動を読んでいた秤のカウンターを如意(にょい)で防ぐ。

 ━

「ソイツは教え子の中でも上位だ、愉しめるだろうよ」

「それは良いこと聞けたな」

 

 

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 ━━━━━

 

 ━━━━━━

 

 

「どうだ雷撃使い。愉しめたか?」

「ああ、存分にな」

「それは重畳、俺が出る必要は無くなったな」

「その代わり宿儺と戦わせる事になりました」

「それくらい問題ねぇだろ、晴(ハル)もやらせるさ」

「でも加茂先生の弟子なんですよね?」

「アレはそう簡単にやられる程ヤワじゃねぇ」

「……加茂先生の弟子ならその可能性は高いのか」

「んじゃまあ次は………何すんだ?」

「先生からの指示は?」

「一つだ」

「一つ?」

「『パンダを死なせるな』」

「パンダは死なないじゃないんすか?」

「イヤ俺も死にはするぞ、厳密に言えば違うが」

「核が壊されれば死と同じだろ」

「でもなんでっすかね」

「それも書いてあった『幽閉されているとは言えパンダが死んだら学長に合わせる顔がない』てな」

「あの人そんな事まで知ってんのか」

「未来(世界)でも視たんだろ」

「なら封印は?」

「それは間違いなくされてる………筈だ」

「断言できない、と」

「考えてみろよ、アイツがそう簡単に封印されるタマかよ」

「加茂先生だもんなぁ、絶対何かしてる」

「だろ?」

 

 黙っていた鹿紫雲(かしも)が「その加茂ってのは強いのか?」と聞き「誰よりもな」と、甚爾が返し「宿儺とどっちが強い」と更に質問を投げ掛け「トントンじゃね」の言葉で締める。

 ━

「へぇ、そいつはいい事聞けたな宿儺の後はその加茂って奴だ。宿儺に術式を使わずに倒せたらの話だがな」

「アイツの事だ、その内ひょっこり顔を出すだろ」

 

 秤とパンダが「あー、うん確かに」と異口同音を口にする。

 ━

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「中々やるな、呪霊」

「貴方こそやりますわね、呪術師」

「呪術的不利は貴様にある、どうする」

「そうね、このままだと私(わたくし)の方が不利なのは事実。ならこうするまでよ」

「領域展開」

 

 その言葉に即座に反応し扇も領域を展開する。

 ━

「領域展開」

銀雪蓬莱山(ぎんせつのほうらいさん)

三界火宅四大洲(さんがいかたくしだいしゅう)

 

 コンマ数秒の差、だが、領域の押し合いには成功。しかし領域の練度はーー銀崩(ぎんほう)が上だった。そして扇の領域は押しまけ銀崩(ぎんほう)の領域に呑み込まれた。

 ━

「ッ! シン・巌流:簡易領域」

 

 僅か数秒だが銀崩(ぎんほう)の領域を受け片腕が凍り砕け散るが、片腕でシン・巌流の簡易領域を張り即死は間逃れた。

 ━

「簡易領域ですか、ですが、片腕は砕けました。貴方の敗けが濃厚、いずれ簡易領域も剥がれます」

「かもしれぬな、だが、シン・巌流の簡易領域はそこまでヤワではない。あの男が開発したモノだからだ。そして、私もまた、ヤワではない」

 

 そう言うと簡易領域を張ったまま銀崩(ぎんほう)に駆け寄り、シン・巌流の〈壱之太刀・垂月(イチノタチ・スイゲツ)〉で下段から空高く吹っ飛ばす様に斬り上げ両断し、続け様に〈閻魔大車輪(エンマダイシャリン)〉で跳躍し無数の円陣を組むようにして敵を斬り刻み片腕を断ち斬る。

 ━

「ッ! (片腕でここまでの事をできるのか!)」

「まだだ、シン・巌流〈鬼輪牙(キリンガ)〉」

 

 勢いを殺さず滑る様に背後に回り込みながら片腕て器用に納刀し、抜刀し横薙ぎの居合い斬りで胴を斬る。

 ━

「浅かったか、片腕ではこれが限界か」

 

 斬り刻まれた体は時間が掛かったが直し扇を掴もうとするが、後方に飛び退き地面を踏み砕き恐るべき速度で再度近づき突進した状態から刺突攻撃をし、更に返す刀でそのまま連続して斬撃を放つ。

 ━

「(今のまま(・・・・)では領域は使えん。だが、今は呪力を消費させ続けるだけでいい)シン・巌流:簡易領域、〈閻魔大車輪(エンマダイシャリン)〉」

 

 四方へと移動しなが簡易領域を張り、絶え間なく使い斬り刻み呪霊特有の負の呪力での再生を何度もさせ呪力消費を加速させる。

 ━

「(片腕が無い状態でこれ程までの技を! だがこの男には領域が使えない、このまま仕留めきる!)」

「呪霊よ、貴様は勘違いをしている」

「何?」

「私が領域を展開しないのは腕が無いからではない。術式の焼き切れからの回復を待っていただけだ、術式解放。焦眉之赳(しょうびのきゅう)・纏」

 

 術式を解放し砕けた腕を炎で作り上げ、使う。

 ━

「領域展開、三界火宅四大洲(さんがいかたくしだいしゅう)」

 

 何度も斬り刻まれ、体を直していた銀崩(ぎんほう)の呪力は激減しており扇の領域に押しまける。

 ━

「喜べ呪霊、この領域に必殺を無くした。故に領域の押し合いに全力を注いだ、そしてこの領域は私の術式性能を高める領域だ」

 

「残炎加具土命剣(ザンエンカグツチノツルギ)」

 

 扇の体から灼熱の炎が立ち上ぼり使っている呪具『火星剣・炎王(カセイケン・エンオウ)』の性能も爆発的に底上げされ、晴蓮が使う血刀火惨葬(けっとうかさんそう)の様な刀の形をした火柱を振り下ろす。

 そして灼熱の炎の刀身で銀崩(ぎんほう)は両断したが、扇はそれでも残心を怠らず銀崩(ぎんほう)を注視し塵となって消える銀崩(ぎんほう)を見続けた。

 ━

「…………祓えたか」

 

 確実に祓えたのを確認してから領域を解いた。

 ━

「ふぅ……私も精進が足りんな。そして呪霊よ、見事なり」

『五点が追加されました』

 

 勝者は、禪院扇だった。

 ━

「加茂晴蓮に言えば義手の類いを用意できるだろう……イヤ、戒めの為にこのままにしておくのも良いかもな」

 

 銀崩(ぎんほう)を祓った扇は踵を返し結界(コロニー)内に居る覚醒呪術師、そして受肉体を仕留めに向かう。

 戦いはまだ、終わっていない

 ━

 

【京都結界(コロニー)にて氷の自然呪霊『銀崩(ぎんほう)』祓除完了】

 ━

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「雑魚ばっかじゃねえか、少しは殺しがいのあるーー」

「貴様は呪術師か?」

「見て分からねぇのか?」

「貴様はどちら側だ」

「どちら側?」

「羂索か加茂晴蓮(・・・・)のどちらだ」

「加茂の坊主を知ってんのか?」

「俺は団和杈介(・・・・)、加茂晴蓮の手によって現代に黄泉返った」

「!! 団和(ウチワ)の呪術師だと? しかもあの小僧の手で?」

「禍求夜(カグヤ)一族を殺す為にな」

「(アイツはどうやって団和(ウチワ)を用意した?)コガネ」

『なんだ?』

「禍求夜(カグヤ)の術師は居るか?」

『愛知結界(コロニー)に居るぜ』

「との事だ、ああそれと俺は加茂の小僧側だ」

「そうか、なら貴様と殺し(呪い)合う意味はない」

「少し残念だが俺とて団和(ウチワ)の術師と戦い(呪い)合うのは御免だ、だがコガネ、結界(コロニー)の外に出れるのか?」

『無理だな、一度結界(コロニー)に入ったら出入りはできねぇ』

「だとよ」

「そうかコガネ総則(ルール)追加だ、結界(コロニー)を自由に出入りできる様にしろ」

 

『泳者(プレイヤー)による死滅回游への総則(ルール)追加が行われました!! 総則(ルール)11。泳者(プレイヤー)は結界(コロニー)を自由に出入りする事ができる』

 

「マジかお前」

「初めからコイツに聞けば良かったのか、失念していた、加茂晴蓮の仲間」

「なんだ」

「ここには術師はいない、俺が全て殺した。お前達も早々に別の結界(コロニー)に行くといい須佐能乎(スサノオ)」

 

 その言葉に反応して鴉天狗のような顔をした巨人が出現しそのまま飛び去っていく。

 ━

「団和(ウチワ)ってのはなんでもありかよ……。しっかしどうする、団和(ウチワ)の奴が言った通りならこの結界(コロニー)には術師はいねぇ……一先ず扇と会うか」

 

 団和(ウチワ)が残した言葉、団和(ウチワ)が新たに追加した総則(ルール)を話し合う為に禪院扇の下へと歩を進める。

 ━




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