「どうした」
「宿儺が体を変えた」
「そんな事が可能なのか?」
「可能だからそうなったんだろ」
「誰に変わった」
「俺の甥」
「加茂恵か」
「恐らく宿儺は初めから恵君に変えるつもりだったんだろうな、だから宿儺は悠仁君の心臓を治した。悟君が言うには『何かを話した気はするけど思い出せない』だそうだ」
「縛りか」
「どんな縛りかは分からないが、縛りの事を忘れる縛りでも科したんだろうよ」
「それよりいいのか? 君の甥が宿儺に乗っ取られたんだろう?」
「俺が何もしてない訳ないだろ」
「何をした」
「恵君の生得領域内に呪物化した俺を入れてある、今頃生得領域内で
「暫くと言う事は加茂恵の中に居る君は敗けるのか?」
「所詮は分体、今の宿儺に勝てる可能性はない」
「何本取り込んでいる」
「一応十五本」
「一応?」
どうするか逡巡し「悠仁君には生まれた時から宿儺の指が入っている、つまり本当の本数は十六本だ」と苦々しい表情で答える。
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「その事を知っている者はいるのか?」
「俺しか知らん。知らない方が都合が良かった」
「何故だ」
「羂索に悟られたくないからだよ、悟られれば何をされるか分からないからな」
「加茂晴蓮、悠仁はどうなった」
「宿儺と戦闘真っ最中。だから参加しに行く」
「俺も行く」
「初めから来てもらうつもりだよ、悠仁君には君という存在が必要だ。まあでも、俺達にやる事あるか分からんけどな」
どう言う意味なのかを考え「九十九由基か」と答えに辿り着く。
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「今頃
「下手をすれば死ぬと思うが」
「手加減くらい分かるでしょ」
「アレに手加減ができると思わん」
「………多分大丈夫だ、多分」
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━━━━
━━━
━━
━
「まさか加茂君の言った通りになるとはね」
「恵………」
「今は心配ないさ、中で加茂君と
「師匠と?」
「なんでも別世界の自分の分体を呪物化させて呑ませていたらしい、本当になんでもできるね、彼は」
「いつの間に……」
「本当にいつだろうね」
悶える加茂恵を見守る虎杖は中の晴蓮が勝つ事を願っていたが加茂恵の顔に特徴的な模様が浮かびあがる。
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「つくづく侮れん呪術師だな、加茂晴蓮と言う男は」
「敗けたか。虎杖君、ここからが本番だ」
「押忍!」
飛んでいる
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「フッ、しぃ!!」
術式によって呪具化した式神・
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「馬鹿げたデカさだね、出力の違いでこうも変わるのか」
虎杖は晴蓮から渡されていた腕輪に呪力を流すと大鎌に変わり宿儺に斬りかかる。
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「宿儺、恵の体は返してもらう」
「やってみせろ小僧」
何かに驚いている宿儺に今度は
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「面白い術式持っているな」
「それはどうも、折角だし潰れていくかい?」
「ハッ、大言壮語を吐くじゃないか」
「なら味わってけ」
仮想の質量を乗せた拳や蹴りを落ちながら繰り出すと
━
「(あの式神、硬いな。恵君を殺さない様に加減しているのもあって攻めきれない)」
「宿儺ぁあぁあ!」
虎杖も大鎌をデタラメに振り攻撃すのに対し宿儺は
━
「(あの大鎌、さっき受けた時に魂を揺さぶられた、受けるのではなく近寄らせない方がいいな)やはりお前はつまらんな」
「うるせぇ!!」
宿儺の言葉に惑わされずに攻撃を続け、宿儺は迫る大鎌の刃を掌の中で
━
「クッ……は、はぁはぁ」
「大丈夫かい?」
「はい」
その時、宿儺の腕を貫通し
━
「これは…………構築術式か、面白い使い方をするな」
「余所見してんじゃねぇよ」
「!?」
避け様とするが体が重く避けられずに
━
「(この女、呪力がない!? それになんだこのーー)」
「考え事とは余裕だな」
真希の在り方への一瞬の驚きが隙となり全力の一撃が直撃し殴り飛ばされる。
━
「ククク、あの男と同じ在り方か。少しは楽しめそうだ」
真希に向き直り肉弾戦を仕掛け様としていると、どこからか狙撃される。
━
「構築術式の奴か、二度はーー」
「気ぃつけろ、真依の銃弾は防いだだけじゃ躱しきれねぇ」
「何をーー」
その瞬間弾丸を握っていた手から数えきれない程の刀身が突き破る。
━
「!?」
「だよな、驚くよな、だからこうなるんだよ」
驚きによる隙を見逃さずシン・巌流・〈
━
「グッ、カ…………」
更に長巻を投げ〈
━
「イッテぇ」
「今ので膾斬りにならんか、肉体が頑丈なのかそれとも別の要因か」
「どっちだろうな」
「まあいい、どのみち膾斬りにするだけだ」
手を振りながら真希に近づくと「やあ宿儺、ご機嫌いかがかな?」の声が聞こえると何もない所から蹴りが襲いかかる。
━
「加茂! 晴蓮!!」
突如として現れた晴蓮に驚くがすぐさま反応し足を掴もうとするがすり抜け晴蓮はそのまま地面に着地する。
━
「どこから来た、などとは言わん。言うだけ無駄だからな」
「そうか、ああついでに言っといてやるよ」
「………何をだ」
「
「悠仁の友の体は返してもらおう」
宿儺の真後ろに立ち両手を合わせる。この距離なら
━
出力は落ちてなさそうだが、真希や悠仁君を見る限り対人相手には……イヤ違うか、仲間に対しての出力は下がっている。中で抵抗しているのか、なら、今が攻め時!!
「中々にいい登場だ、だが当たらなければ意味がない」
「そうか、なら俺の速さについてこい宿儺」
「ハッ、お前の術式は知っている。であれば対処はーー」
瞬間、宿儺が吹き飛ぶ。
━
「
うん? なんだって? 何か、言ったかい?」
術式反転『
━
「今、何をした」
「言うと思うか? それよりいいのか宿儺」
「……聞いてやろう」
「上、準備万端らしいよ」
その言葉に何かを思い出したのか空を見上げると
━
「光よ 全てを浄化し給う光よ 罪・咎・憂いを消し去り 彼の者を導きたまえ」
空が光に包まれる。
表現しがたい何か、式神が舞い光の柱が宿儺を包み襲う。
━
「
宿儺が……否、加茂恵が呟いた。そして「ありがとう、もう大丈夫だ」と語り掛ける。
━
終わった? イヤ、まだだ!!
「
二人が抱き合った瞬間に宿儺の顔が膨れ上がり
━
「あの呪いの王がハニー・トラップに頼るとは思わなかったよ」
「あ、え。へ……」
「何をした、今のはただ
抱き抱えた
━
「
「で、でも!」
「目の曇った君は足手まといだ」
目を見開き唇を噛み締めていると頬に口が現れ「礼を言う加茂晴蓮」と天使が喋り、更に「
━
「逃げられると思うなよ宿儺」
「お前を殺すのは骨が折れそうだ」
「物理的に折ってやるよ」
両者相対しお互いの指が動いた瞬間に宿儺の後ろから呪力の起こりが発生し「ほぅ」と宿儺が呟くと何者かが呪術を使う。
━
宿儺の後ろからは凍てつかせる氷の波が、晴蓮の隣からは天を焼く炎の波が衝突し水蒸気爆発が発生する。
━
「チッ、宿儺様、お早く」
「構わん。アレを少しでも止められればそれでいい」
「逃がすかよ」
水蒸気の中から凄まじい速度で晴蓮が現れ宿儺を殴ろうとするが、裏梅が割って入り守ろうとする。しかし、横から何者かが裏梅の頭を掴み地面に叩きつける。
━
「
燃える掌打を宿儺に打ち込むが、宿儺は影に片足を沈ませる事で躱し振り返り拳を振り抜く。
━
「器用な真似をするな、意味はないがな」
宿儺の拳はすり抜け、そしてすり抜けた腕を掴み顔面を蹴る。
━
「ぎ……貴様」
「出力、落ちてんだろ。恵はそこまでヤワじゃない」
「ハッ、分からんぞ?」
「お前には今ここで死んでもらう」
「お前にやれるのか?」
「引き剥がす程度、容易いモノだよ」
晴蓮と宿儺の激しい打撃戦を繰り広げるがお互いが痛打を極められず長引いていると「出力最大・
━
「宿儺様、お早く」
「まさかこの程度で俺を止められらとでも思ってるのか?」
「幾重にも重ねればいい」
「諦めろ、無意味だ」
小指を引き千切り裏梅に放り投げ「
━
「クッ……」
「行くぞ裏梅」
「はい」
「逃がすかよ」
水蒸気に紛れて
━
「使う呪術を間違えたか。
「『なんとかな』」
「宿儺だけでも面倒だと言うのにもう一人面倒なのが増えたな」
「『なんとかならんのか?』」
「できるに決まってるだろ」
「『したらばどうするつもりだ』」
千切った指と炭化した腕を治しながら頭を搔き毟り「考え中」とだけ返す。
━
━━━━━━━━━━━━
「コガネ、
『却下されました、
「そうはいかないよ」
『却下されました、
「日本には天元が呪霊の発生抑制と補助監督役の結界術の精度を底上げする為に数多の
その中で要となる四つの
京都御陵
言葉を遮る様に「ここ、日本を分断する巨大
━
「見かけないと思ったらここに居たのか」
「ハルからの指示でな、必ずてめぇが来る場所だって書いてあった」
「それでも本当に来るとは思わなかったけどね」
「それだけ大事なモンがこん中にあるんだろ」
「彼から何も聞いてないのかい?」
「わざわざ聞く事でもないからね」
「なんとも彼らしいやり方だ」
「ハルを馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇよ」
「これでも付き合いは長いモノでね」
「その悪縁を俺が断ち切ってやるよ」
首を横に振り「どうしたものかな」と呟いている羂索を無視して「『蒼』」を使う。
━
「おっと、怖い怖い。いいのかい? この体は晴蓮の友人の体だよ?」
「問題ねぇ、傷つけずに殺せばいいだけだ」
「ここは諦めるか、しかしどうしたものか………取り敢えずは……。コガネ、
『却下されました、
「何をするつもりだ」
「死滅回游はこの天元が作った
「結局はてめぇが原因じゃねぇか」
「そうだとも、私が作った。だが今言った通りベースは天元の結界、であればその結界を壊す事ができる存在が居たらどう思う」
「何が、言いたい」
「この虎杖倭助の生得術式、
「隷属?」
「そう、隷属だ。共存共栄ではない」
「それがどうした」
「強がりはよせ、分かっているんだろう?
「!」
「あり得ねぇな」
「はははその通りだ、本物を隷属させる事には失敗した」
「ならどうするつもりだい?」
「造ればいい」
「何?」
「今の天元は『天地が自我』となっている。つまり、そこら中に散らばる天元の魂を集めれば
「(天元様が言っていたのはこう言う事か)」
「ねぇな」
「何故そう言える」
「ハルの手紙に書いてあった」
不適な笑みを崩さず「何をかな」と問い掛け「ソレをするには『天元の魂の輪郭』を知る必要があるってな」と返される。しかし「私は
━
「じゃあ、まさか!」
「
術式の行使。その瞬間周囲が光り、そして光が羂索の手中に集まり形を成していく。
━
「『赫』!」
五条は術式反転を使い夏油は幾つもの呪霊を出し
━
「
「んな偽物造って何がしてぇんだよ」
「死滅回游を終わらせる為だよ」
「てめぇが始めたんだろ」
「私の目的の『天元と人間の超重複同化』は死滅回游を終わらせないと実行できないからね」
「てめぇの勝手でやっといて、てめぇの勝手で終らせるだ? 巫山戯んじゃねえよ」
「私が始めたのだから私が終わらせるのさ」
「どうやって終らせるつもりだ、さっき言っていた事が関係しているのか?」
「そうだ。死滅回游のベースは天元の
だがこれらの
さて、偽物とはいえ天元は今私の手中にある。そして偽物であろうと
コガネ、
「そんな事ができる訳が」
『
「何をさせるつもりだ」
「意図的に作らせるのさ、バグをね」
「んな事をしてなんの意味があるんだよ」
「どちらを選んでも課せられた『永続』は叶わない、コガネはより持続可能な選択をする筈だ。だからこの
『
「更に
『
「さて、これで準備は整った」
━
「なら
「縛りの関係だよ、私が死滅回游の終了に疑念を抱いてはいかない。
私の目的は済んだ、これ以上の戦闘は無意味、だからできれば通らせて欲しい」
「んな事されてまで『はいそうですか』って通らせるかよ」
「そうか、ならこのまま逃げさせてもらうよ」
「させるとでも?」
「
「アレが
「とっとと祓って後を追うぞ」
「言われずとも」
━
━━
━━━
「意外と強かったね」
「ああ、お陰で逃げられた」
「どうする?」
「プランBってヤツだな」
「そうしようか」
逃げられた事に舌打ちしながらも唐突に「そう言えばさ、聞きたい事があんだよね」と声を掛け、それに対し「まだ何かあったか?」と返し「俺達の交流会の個人戦での出来事だよ」と聞くと「随分と昔の話だね」と答える。
━
「それで、何が知りたいんだ?」
「ハルと傑の個人戦。何かあったんだろ?」
「ははは、これまた懐かしいな。私が知らなかった呪術界をまざまざと見せつけられたのさ」
「あー、だから罵り合い?」
「そうだね、あんなのを見せられた時は流石に荒れたよ。でもそれが真実だった」
「理想と現実は違うモンだからな」
懐かしい話に花を咲かせながらプランBとやらの実行に移る。
━
いやー、広げた風呂敷を畳みきれていない。私の未熟さが浮き彫りになりましたね。