その血が歩む道すじ:完全版   作:亞忌羅

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 還魂(かんごん)操術って反則ですよね、デフォルトで魂が知覚できるんですから。


百四話

「お? 勢揃いじゃん」

「遅かったね、羂索にしてやられたとか?」

「やっぱり封印されてなかったのか」

「何か(封印)される事か分かってるんだ、対策をするのは当たり前だよ」

「じゃあ今までどこに?」

「ちょっとした狩りをね」

「狩り?」

「ま、それはいいとして、恵君と宿儺の分離だけど……二人の魂が中で剥離さえすれば僕の『分離』でなんとかなると思う」

「確かか?」

「僕が嘘を言った事ありましたか?」

 

 口を手で覆い「ねぇな」と返す。

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「でしょ? まぁ僕(・)にやる事あるか分からないけど……それでもそっちは皆に任せたい」

「…………加茂先生はどうするつもりですか」

「羂索を殺す」

 

 乙骨は下唇を噛み「僕がやります、やらせてください」と言うが「これは僕が始めた物語だ、僕が終らせるのが道理ってモノさ」と答える。

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「じゃあこれからどうするか。を、話し合おう………前に一ついいかな」

「なんだ」

「彼は誰?」

「お前が言ってた鹿紫雲(かしも)って奴だよ」

「あぁこの人が。受肉化はしていないんですね」

「………爺になるなは嫌だからな」

「成る程確かに。若い体の方が自由に動かせますもんね、それで、甚爾さんはどうでしたか? 愉しめましたか?」

「半端にな」

「それは何より」

「良かねぇよ」

「その代わり秤君で愉しめたと思いますが」

「そっちは……そうだな、存分に愉しめた」

「さて、話を戻してこれからの事を話そうか」

 

 

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「それじゃ私は君が五条悟と戦ってくれてる間に死滅回游こ泳者(プレイヤー)を狩らせてもらうよ」

「鬱陶しい、さっさと去(い)ね」

「仕方ないだろ、今日まで君達から離れたら晴蓮に殺されちゃうからね。彼の事だ、何かしらの事を仕込んでいる筈だ気をつけた方がいいよ」

「貴様もな」

「そうだね、お互い切り抜けようか」

「フン」

 

 

 

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「九綱・(くこう・)偏光・(へんこう・)烏と声明・(からすとしょうみょう・)表裏の間(ひょうりのはざま)」

 

 

「虚式『茈』」

 

 

「勘違いしてるみたいだから言っとくけど、そっちが挑戦者(チャレンジャー)だから」

 や」

「クソガキが、挑戦者(チャレンジャー)? 不意打ちを当てた事が余程嬉しい様だな五条悟。

 貴様は俎板の上の魚だ、多少他より活きが良く、名前がついていないだけの魚、先ずはその鱗から剥いでやる」

「じゃあなんでその面ままなんだよ、僕に手加減してほしかったんだろ? 残念ながら僕は特殊な訓練を受けててね、恵なら本気で殴れる。

 悠仁で一回死んだのはまずったな宿儺、恵の事はオマエを殺してから考えればいい」

 

 会話が終わった瞬間激しい戦闘が始まる。先ずは接近戦、腕を振るだけで呪術を使い宿儺を弾きすぐさま駆け寄り体勢を立て直す前に蹴り飛ばす。

 重々しい足音を立てながら橋を踏み砕きながら宿儺に近寄るが宿儺は橋を両断し逃げる様に下へと落ち様とする。が、壊れた橋は浮かび上げビルへとぶつけようと吹き飛ばす。

 しかし橋を賽の目状に斬り刻みビルの屋上へと降り立ち駆け寄りながら飛ぶ斬撃を放ち五条の視線を自身から逸らし、接近し殴り掛かる。

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「全部オマエが壊した事にするからな」

「…………どの口で?」

 

 

 

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「無下限呪術で絶対不可侵を持つ五条に対し、宿儺は領域展延で術式を中和する手を打ってきたな」

「領域展延…………」

 

 戦場から離れた場所で五条・宿儺の戦場を見ながら話し合い見守っていると、両者による呪術戦の極致を発動させるのを見た。

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「領域展開(領域展開)」

 

 五条の領域の外殻が宿儺の領域を囲むが、その性能は互角だった。五条の結界内では対になる二人の必中が重複しあい打ち消しい、お互いが領域を展開した状態での戦闘。

 どちらが大きなダメージを負い、どちらかの領域が崩壊すれば即座に必中術式がどちらかを襲う。

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「マジか!?」

「まさか!」

 

 互角。結界内では互角。宿儺の領域の効果範囲は五条の領域の外殻より外側に達する、領域の結界はーー

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「外側からの攻撃には脆い」

 

 五条の領域の外殻が崩壊し伏魔御廚子(ふくまみずし)の必中術式がーー五条の首をを斬る。しかし即座に反転術式で治す。

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「(ああ、良かったよ…………術式の性能では僕の方が圧倒的に上だ)」

 

 伏魔御廚子(ふくまみずし)から離れ様とするが「見逃すとでも?」と言いながら近づき肉弾戦がまた始まる。

 五条の蹴り、それに対し宿儺が組み合い投げ様とするが崩れた体勢から殴り掛かる。

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「(俺の斬撃をしのぐ為常に反転術式を全開にした状態にめ関わらずよく動くモノだ)」

「(『伏魔御廚子(ふくまみずし)』の中心は御廚子(みずし)であって宿儺じゃないか)」

 

 

 

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「あの御廚子(みずし)、ブッ壊したらどうなるかな」

「通常、生得領域で具現化されるものはそれ自身に特別な意味や役割を持たない事が多い。言ってしまえば存在してないのと一緒なんだ」

「御廚子(みずし)が所謂ただの領域のシンボルである場合はそもそも破壊できないし意味がない、六眼を持つ五条君が破壊という手段をとらないならそういう事なんだろう」

「やばいじゃーん! 打つ手なし!?」

 

 

 

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「シン・巌流ーー簡易領域」

 

 

 

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「『簡易領域』で必中効果を消しつつその間に反転術式で肉体を修復、なんで反転術式と通常の呪力操作が同時にできんだよ」

「だが『簡易領域』程度の出力では本物の領域に対して時間稼ぎにしかならんぞ」

「イヤ、そうでもない。シン・巌流の『簡易領域』はシン・陰流の『簡易領域』より遥かに凌駕している、すぐには壊されないしその状態から接近戦に持ち込める」

「師匠が作ったシン・巌流ってそんなに凄いの?」

「シン・陰流使いが嫉妬するくらいにな」

「五条君。そこからどうでる」

 

 

 

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「シン・巌流:八極(はっきょく)〈震脚(しんきゃく)〉。拳当術(けんとうじゅつ)〈双極・明王烈破拳(ソウキョク・ミョウオウレッパケン)〉」

 

 地面を踏み砕き一瞬で宿儺に飛び上がりながら近づき拳と蹴りによる猛攻をし、最後に地面へと叩きつけ、逃がす暇すら与えず襟を掴み持ち上げ『シン・巌流〈仁王槌(ニオウツイ)〉』で拳による殴打と蹴りによる連撃を行い、最後にとび蹴りはシン・巌流による最高潮に達した集中力は五条に微笑む。結果、飛び蹴りに黒い火花が乗る。

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「黒閃!? ここで極めるか!」

「つくづく化物だね」

 

 この黒閃が五条のボルテージを一段階上げ、反転術式の性能・精度の底上げされ焼き切れた術式は回復し『蒼』で高速移動し抱きつき体を反らして宿儺の顔面目掛け「術式反転『赫』」の言葉と共に宿儺を御廚子(みずし)まで弾き飛ばす。

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「あー、しんど」

 

 

 

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「反転術式で焼き切れた術式を治癒…………?」

「乙骨!!」

「無理……とは言えないですよ、実際に五条先生は今やっちゃってるし」

 

 後方に集まる者達な話し合いは加熱し喧喧囂囂と様々な話題が飛び交う。

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「もっと拡げられるでしょ効果範囲」

 

 挑発である事を理解しながらも宿儺が『伏魔御廚子(ふくまみずし)』の効果範囲を最大まで広げ様とした瞬間に五条が動く。

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「『無量空処(むりょうくうしょ)』」

 

 五条悟が再び領域を展開する。

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「また同じ事を繰り返す気か!?」

「そんな甘ちゃんじゃないさ、アイツは」

「今度は中々壊れないよ?」

「成る程………」

「結界の対内条件と対外条件を逆転させたのか」

「つまりこの結界は」

「外側からの攻撃に強い!!」

「なんでホイホイ領域の要件を変更できるんだよ」

「私達は『最優』の呪術師に鍛えられた、この程度ならやれるさ」

「夏油君もできるのかい?」

「私の生得術式に領域を使うメリットは少ないので領域をあまり使わないんです」

「呪霊操術の領域か、想像できないね」

 

 

 

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「仕切り直そう」

 

 激しい接近戦をしながら宿儺は領域を展開展延を使う事に驚きながらも分析をする。

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「(慣れか? さっきより出力も上がっている………まあ、ハルもしてたし……ハルの領域は例外か。展延中に使えないのは肉体に刻まれた生得術式、一度領域に付与した術式なら話は別だ。まあ、だからなんだっつー話だけどな……!? 俺の領域内で宿儺の必中術式がオフになっている!)」

 

 羂索からの入れ知恵、そして宿儺は無量空処(むりょうくうしょ)の弱点は経験していた。

 故に五条の領域を外側から破壊する為に効果範囲を渋谷」り絞り威力を上げていた、五条悟の領域内で『伏魔御廚子(ふくまみずし)』の必中命令を消す縛りにより、領域外での威力を更に上げ『無量空処(むりょうくうしょ)』に触れる事で凌ぐ。再びーー五条悟の領域が崩壊した。

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「仕切り直しだな」

 

 

 

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「なんで!?」

「恐らく宿儺も何かしら領域の条件を変更したんだ!」

「おい。アイツが死んだら今度こそ俺が出るからな、邪魔すんなよ」

「その次は俺だ」

「アンタは最後だ、アンタは紛れもない最終兵器だからな」

 

 舌打ちをして椅子に腰掛ける。

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「またソレか」

「便利な上に強いからな、使わない手はないっしょ」

「(シン・巌流はこの体の記憶にあるがあそこまでの事はできない筈だ、練度の違いか)」

「領域展開」

 

 

 

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「また!?」

「いや今度は」

「デカい」

 

 高専側が話し合っていると巨大な領域の外殻が作られ破壊されると思った時、外殻が縮まり始め最終的にはバスケットボール程度の小ささまで縮んだ。

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「小さい結界!?」

「理論上はまぁ結界の強度は上がるか」

「バスケットボール程の大きさもないんじゃないか?」

「まてまてあり得ねーだろ」

「本日何回目の『あり得ねー』だろうね」

「なんでた? 結界の外見と中身の大きさが違うのはいつもの事だろ、それに蓮兄はもっと小さくできてたぞ」

「晴蓮みてぇな化物を基準にするじゃねぇよ」

「それは五条は見てるか?」

「見てるし受けてたな」

「なら五条ができてもおかしく無い……か」

「化物どもめ。いいか? 普通はなーー」

 

 

 

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「(ハルの言った通りだな、付与した術式以外を使ってこない。となると、だ)九綱・(くこう・)偏光・(へんこう・)烏と声明・(からすとしょうみょう・)表裏の間(ひょうりのはざま)ーー虚式『茈』」

 

 ここで放つは呪詞を唱えた虚式『茈』。しかし宿儺は領域を展開する。

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「(領域を使ってこない?)俺にその程度の呪術で勝てるとでも思ってるのか?」

「どーだろうね。(ハルの言う通りなら俺の領域を恵の魂に肩代わりさせてる、そして魔虚羅(まこら)に無下限呪術を適応させてる筈だ、ならーー)シン・巌流:銃剣術(じゅうけんじゅつ)〈塵球至煉弾(ジンキュウシレンダン)〉」

 

 拳銃の形にさせた手を上空向け呪力の塊を放つと、塊は幾つもの塊へとバラけ頭上から雨のように宿儺目掛けて呪力砲へとなり降り注ぐ。しかし宿儺はステップをしながら躱すが、そこに呪詞を唱えた『茈』を放ち宿儺は片腕を吹き飛ばす。

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「お前、恵に肩代わりさせてるだろ」

 

 舌打ちをし腕を生やしながら「なんの事だ」と返すが「隠してもムダムダ、全部分かってるから」煽るように答える。

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「(加茂晴蓮の未来視(世界視)か)だとしたらどうする? 術式を使わずに戦うのか」

「正解って言ったらどうするよ」

「…………舐めるなよクソガキ。(使わざるを得んか)シン・巌流」

「(そりゃ使えるよな)シン・巌流」

 

「拳当術(けんとうじゅつ)〈金剛発破掌(コンゴウハッパショウ)〉」
「拳当術(けんとうじゅつ)〈双極・明王烈破拳(ソウキョク・ミョウオウレッパケン)〉」

 

 凄まじい速度の拳打と蹴撃(しゅうげき)の応酬、一手上回ったのは五条だった。

 ━

「グッ……だが捕まえたぞ」

「!?」

「捌(ハチ)」

 

 胸に触れられ斬撃が五条を襲う。が、斬撃を無視して宿儺を殴り続け顔面を掴みコンクリートの地面に叩きつける。

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「容赦がないな」

「なりふりなりふり構ってられないんでね」

 

 そのまま更に殴り手に『蒼』を纏わせ吸い込みながら拳を振り抜く。

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「ッ!」

「(隙ができるまで殴り続けろ、ほんの一瞬で良い、ただひたすらに殴れ!)」

 

 サンドバッグを殴る様に拳の嵐を喰らわせ続け宿儺にコンマ秒の隙がーー生まれる。その隙を見逃さず飛び退き使う、『無量空処(むりょうくうしょ)』を。

 コンマ秒が生死を分けた、宿儺は無量空処(むりょうくうしょ)を受け思考が完結しなくなった。そしてシン・巌流:銃剣術(じゅうけんじゅつ)による呪力砲の連撃を行い宿儺はなす術なく受け続けた、しかし宿儺は知っている、触れている間は無量空処(むりょうくうしょ)が発動しない事をただ待った、完結しない中でも待った近づいて来るのを。

 そして五条はトドメをさす為に近づき胸ぐらを掴む、それは宿儺も同じだった。宿儺は付与術式が解けた瞬間に五条の手を掴み『シン・巌流:簡易領域』を使用、宿儺は無量空処(むりょうくうしょ)から解放された。

 ━

「余程余裕がないらしいな」

「(あの一瞬で掴んでくるか!!)この状態で何ができるんだよ」

「これができる」

 

「布瑠部由良由良(ふるべゆらゆら)」

 

「八握剣異戒神将魔虚羅(やつかのつるぎいかいしんしょうまこら)」

 

 魔虚羅(まこら)が召喚され、領域展開を破壊される

 ━

「マジか。(もう適応してたのか!?)」

 

 血の塊を吐き出し「仕切り直しだな」と余裕の無い表情で言う。

 ━

「その状態で仕切り直しができんの?」

「魔虚羅(まこら)は既に適応している。どうする『最強』」

「(どうする……本当に適応されてんならジリ貧だ)」

「勘違いするなよ」

 

嵌合獣・顎吐(かんごうじゅう・あぎと)

 

「三対一だ」

「迷子の宇宙人みたいになってんじゃん、宿儺さんよ」

「どこまで虚勢を吐けるか見ものだな」

 

 魔虚羅(まこら)の腕についている剣による斬撃を躱し、顎吐(あぎと)の拳を『蒼』による高速移動で距離を取り躱すと影を使った移動で五条の影から宿儺が現れ満象(ばんしょう)の水を用いた穿血(せんけつ)を放とうとするが素早く振り返り『蒼』で宿儺を引き寄せ殴る。

 ━

「遅いって」

「俺に掛かりきりでいいのか?」

 

 その言葉に「知ってるっての」と言うと振り返らず腕を後ろに向け呪力砲を放ち魔虚羅(まこら)の動きを止め、『蒼』を使い顎吐(あぎと)の背後に回り『蒼』を纏った拳を振り抜く。

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「ハッ! お前だけ釣り合ってねぇんだよ、シン・巌流:拳当術(けんとうじゅつ)〈双極・明王烈破拳(ソウキョク・ミョウオウレッパケン)〉」

 

 顎吐(あぎと)を殴り、蹴り始めると極限まで高まった集中力が黒い火花となって微笑む。

 都合四度の黒閃、この黒閃を経て五条のボルテージが最高潮まで達し顎吐(あぎと)をビルの外まで殴り飛ばす。そして唱える。

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『位相・(いそう・)黄昏・(たそがれ・)智慧の瞳(ちえのひとみ)』

術式順転『蒼』

 

 

 顎吐(あぎと)に向けられた『蒼』は顎吐(あぎと)を無限に収束させ続け圧し潰す、残るは魔虚羅(まこら)と宿儺の二人。

 ━

「サイッコーに気分が良い」

 

 容易く顎吐(あぎと)を潰された事に驚愕するも動揺を隠し穿血(せんけつ)を放つが、不可侵状態の五条の前では無意味だった。

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「展延も魔虚羅(まこら)も絡まねぇモンが俺に効くかよ」

「ならそうしよう」

 

 魔虚羅(まこら)は駆け出し殴り掛かるが、受け止めカウンターで 『蒼』を纏った拳を振り抜き手を拳銃の形を取り『シン・巌流:銃剣術(じゅうけんじゅつ)〈轟雷爆閃弾(ゴウライバクセンダン)〉』を放ち魔虚羅(まこら)を吹き飛ばす。

 その間を縫って宿儺が接近しており激しい格闘戦へと突入、息もつかせぬ攻防は魔虚羅(まこら)の再登場で終わる。

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「魔虚羅(まこら)頼りだな」

「違うかもしれんぞ? (もう少しだ、領域を使うか? イヤだが奴は領域を使わずシン・巌流を使うだろう。そうなれば無下限呪術の適応はできない、浴をして加茂恵の魂は沈めたが完全に沈みきれていない。

 今は、今はこれでいい。とにかく『茈』を使わせる隙を作らせなければーー)」

「忘れてるかもしんねぇから教えてやるよ、さっきの『蒼』は終わってねぇよ」

「! 魔虚羅(まこら)!!」

「位相・(いそう・)波羅蜜・(はらみつ・)光の柱(ひかりのはしら)ーー術式反転『赫』」

 

 呪詞を唱えた『赫』を『蒼』に向け飛ばし、『蒼』を壊させる為に向かわせた魔虚羅(まこら)とある呪術を使う。

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「『藍(あい)』」

 

 魔虚羅(まこら)の四方に囲むように四つの球体が浮かび無限に続く収束し続ける事で動きを封じる。

 ━

「これ、知らないでしょ?」

「なんだ、なんだそれは」

「これはハルしか知らないから無理ないさ、んで、時間だ。九綱・(くこう・)偏光・(へんこう・)烏と声明・(からすとしょうみょう・)表裏の(ひょうりの)間(はざま)」

 

虚式『茈』

 

 ボルテージが高まった五条の手加減無しの虚式、呪詞を唱えての『茈』は一帯を飲み込み爆発する。

 ━

「イヤー、拡張しとくモンだね」

「クソガキが」

「残念、魔虚羅(まこら)壊れたね。

 魔虚羅(まこら)で何かしたかったんでしょ? でもソレをする前に壊れた、どうする呪いの王」

「(最後までは適応はできなかった、だがヒントは得た)」

「仕切り直しだな」

 

 お互い構え合いーー激しい近接戦へと戻る。

 ━

「ここにきて近接戦か」

「でも宿儺は何かを考えてるみたいな感じするけど」

「不可侵を突破できる方法だろうね」

「どうやってするんだよ」

「それを魔虚羅(まこら)で確認してたんだろ」

「でもその前に魔虚羅(まこら)は破壊された……手詰まり、か?」

 

 

 

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「余裕無さそうじゃん、どうした?」

「喜べ『最強』、その余裕面を剥がしてやる。(ヒントは得た、後はどう拡張する。加茂恵の記憶を探せ、加茂晴蓮の言葉を思い出せーー)」

 

 顔を歪め「キヒッ」と嗤い解(・)を纏わせた拳を振り抜き五条の不可侵を貫通(・・)する。

 ━

「(術式で俺の不可侵を貫いた!? どうやって………恵の記憶か、だとすると厄介な事になるかもね)なんか思い付いた?」

「ククク、加茂晴蓮という男はつくづく呪術師だな」

「ハル以上の呪術師はいないからね。(ハルが恵に言ってる事次第ではヤバい事になるかもね)」

「どうした? 余裕面が無くなったぞ」

「僕以上にハルの事を理解してる奴なんていないから問題ないっての」

 

 五条は拳に『蒼』を纏わせ吸い込みながら殴り、宿儺は拳に解(カイ)を纏わせ斬り刻ながら殴る。

 ━

「器用な事すんじゃん」

「貴様もな」

 

 右手で吸い込み、左手で弾きながら拳を連続で叩き込む。宿儺は避ける事は不可能と判断し突っ込み、右手には解(カイ)を、左手で五条を掴み捌(ハチ)『蜘蛛の糸』で応戦する。

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「オイオイオイ! なんだよありゃあ!!」

「どちらも化物だね」

「(………師匠は俺に宿儺の術式が使える様になるって言ってたけどあんな使い方もあるのか……ならあの後に師匠が言った事もできる。

 問題はいつ(・・)俺が使える様になるかだけど……何度か黒閃を極めろって無理じゃね?)」

「お互い領域は使いませんね」

「術式の焼き切れを警戒しているんだろう、お互いがシン・巌流:簡易領域を使える。領域を使う事自体がデメリットでしかない」

「使うなら確殺できると判断しない限り使わない」

「…………いえ、多分五条先生はこれ以上領域を使いません」

「何故だ」

「師匠が言ってたんです、宿儺は無下限呪術を魔虚羅(まこら)に適応させる為に恵の魂に押し付けるって」

「じゃあ今までの五条君の領域は無駄だったと?」

「………それは分かりません」

「だから五条は領域を使わんのか、このままだとジリ貧だぞ!」

 

 

 

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「シン・巌流:拳当術(けんとうじゅつ)〈獅子連撃(シシレンゲキ)〉」

 

 拳に『蒼』を纏い三回の拳打、二回の蹴撃(しゅうげき)をし掌打を叩き込みそのまま胸ぐらを掴み頭突きを喰らわせる。

 ━

「こんなもんじゃねぇぞ」

 

 その言葉通り五条は殴ろうとするがその腕を斬り飛ばされる。

 ━

「は?」

「クカ、捉えたぞ『最強』」

「術式対象の拡張か」

「そうだ、加茂晴蓮も面白い事を考えるモノだな」

「忘れてない? 俺もハルに鍛えられてんだぜ? 灰」

 

 瞬間、五条はいつの間にか宿儺の真後ろにおり『茈』(・・・)を纏わせた拳を振り抜き胴体を貫通させる。

 ━

「なん……だと……」

「オマエにできる事が俺にできない訳ないでしょ」

「何を……した」

「術式の開示してほしいの? 余裕がないね」

 

 遂に呪いの王に千年ぶりの緊張が走る。

 ━

「だがもう一度斬ればいい」

 

 今度は捌(ハチ)で不可侵を貫き賽の目に斬り刻む。そして腕を後ろに向け解(カイ)を放つがそこに五条はいなかった。

 ━

「(完全に無限を貫通してくるな、流石にヤバいかもね)ま、なんとかなるっしょ」

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「宿儺は完全に不可侵を攻略したのか」

「日下部君、どう見る」

「どうもこうも無いだろ、とっとと致命傷与えてなんとかするしかない」

「胴体を貫かれてもピンピンしてるよ?」

「…………自爆覚悟の100%『茈』をブチ当てればどうにかなる……筈だ」

「だといいね」

「クソッ!」

 

 

 

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「腹じゃなくて胸貫けば良かったな」

「殺すきだな」

「それぐらいしないと勝てなさそうだしね」

「だがもう遅い、オマエは俺に時間を与えすぎた」

「オマエもな、上、見ろよぶつかるぞ?」

「!? (いつの間に!)」

「『位相・(いそう・)黄昏・(たそがれ・)智慧の瞳(ちえのひとみ)』」

「させん!」

 

「位相・(いそう・)波羅蜜・(はらみつ・)光の柱(ひかりのはしら)」

 

 不可侵を切り裂く解(カイ)を放ち首を両断しようとするが、拡張術式『灰』を使い無下限で自身の「一秒」を無限に分割し、周囲の時間を限りなく停止に近づけ横に大きく飛び退き解(カイ)を躱す。

 ━

 

位相・(いそう・)波羅蜜・(はらみつ・)光の柱(ひかりのはしら)

 

「(またか! アイツは今何をした!)」

 

 打ち上げていた『蒼』、『赫』を後追い詠唱し出力を最大まで上げ更に『茈』の呪詞を唱える。

 ━

 

九綱・(くこう・)偏光・(へんこう・)烏と声明・(からすとしょうみょう・)表裏の間(ひょうりのはざま)

 

 

出力最大

 

 

虚式『茈』

シン・巌流:楽受の法(らくじゅのほう)』

 

龍鱗(りゅうりん)

反発(はんぱつ)

番いの流星(つがいのりゅうせい)

 

 

解(カイ)

 

 

 戦場は爆発し、砂煙に覆われる。

 ━

「どうなった!!」

「自爆覚悟の『茈』か、本当にしたね」

「それだと五条先生が……」

「あの構えはシン・巌流:楽受の法(らくじゅのほう)だ」

「楽受の法(らくじゅのほう)?」

「晴蓮曰く『術式を『己を害する要因』と見做し、波及させた呪力を以て敷かれた領域(術式)を緩衝・融和させる』技術だそうだ、楽受の法(らくじゅのほう)を使えば100%の『茈』もある程度は耐えられる」

「どれぐらい耐えられるんですか?」

「俺が知るかよ、だがーー五条の勝ちだ」

 ━

「指向を絞らず自身を巻き込む無制限の『茈』…………の割にはダメージに差が出たね。やっぱ自分の呪力っていうのが大きい上にと楽受の法(らくじゅのほう)を使ったのからかな、結果オーライ。遠隔の『茈』もアドリブにしては上出来でしょ」

「…………コレで俺を殺せなかった事がお前の敗因だ」

「は?」

 

 

 

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「は? 何が……起きた」

「術式対象の拡張ね、兄さんがよく言う言葉よ」

「どう言う事だ」

「そのままの意味よ、『術式を、呪術を自己完結させるのではなく、世界に拡げろ』。兄さんはいつも言ってた、五条悟を斬った呪術は世界を斬る斬撃」

「お前は、何を言ってんだよ。んな事できる訳が………」

「兄さんが得意とする行為じゃない、兄さんは型に囚われない。発想が飛躍しすぎてるから誰も理解できないだけ、その事は恵にも言い聞かせてた、だから宿儺はソレをしたのよ」

「その結果がこれかよ……」

「あん? ちょっと待て、五条の死体はどこ行った」

 

 全員がその言葉に驚きモニターを見るとソコには五条悟の死体は無かった。

 ━

「どう言う事だ、確かにさっきまでは有ったぞ」

 

 その時後ろから「うお!!」の声が聞こえた

 ━

「お帰り五条」

「ここどこだ?」

「モニタールーム」

「なんで俺がこんな所に居るんだ?」

「晴(セイ)から渡された呪具の術式効果」

「これの術式効果? 硝子は何か知ってんのか」

「その呪具の術式効果は『再誕』。三度だけ呪具所持者を再誕させられる呪具、アンタは一回死んだって訳。で、再誕する場所は私の近く……晴(セイ)曰く私が『ゲームで言うリスポーン地点』らしいわよ」

「はは、なんでもアリだな」

「晴(セイ)に感謝なさい、と言うより晴(セイ)はこうなる事が視えてたからアンタにその呪具を渡したんでしょうね」

「ハルん中では俺が出る事は決まってたって事か」

「死ぬって言われてもアンタが止まる訳無いでしょ」

「違いねぇ」

「家入先生は蓮兄から何か言われてたんですか?」

「詳しくは聞いてないけど安全地帯に居ろとは言われたわね」

「じゃあなんでお前はその呪具の術式効果を知ってんだよ」

「昔に聞いてたのよ、とは言っても信じて無かったけどね。それと五条、暫くは戦闘禁止、再誕直後は体が鈍るらしいから」

「確かに体が動かせねぇし術式も使いづらいな」

「これからは計画通り進めて、五条が動けるようになるのに掛かる時間は短く見積もっても四時間。

 最低四時間は時間を稼ぎなさい、勿論宿儺を倒せるのなら倒せばいい。それと恵は生きて取り戻してよ、晴(セイ)は『取り返せる』って言ってたから、だから行ってらっしゃい。とことん追い詰めるのよ」

「押忍!!」

「(晴(セイ)、これで良いのよね……)」

 

 あり得ない現象が起きて混乱はしたが思考をすぐに切り替え加茂恵奪還作戦は続行される。

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 過去の設定を思い出すのは不可能でござる。
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