その血が歩む道すじ:修正版   作:亞忌羅

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 地域信仰や土着信仰はとても厄介、何がいるか分かったもんじゃない。





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 それとこのキャラ口調ちゃうぞゴラァって箇所があれば教えていただけると嬉しいです、めっちゃ助かります。


十六話

「そうか……逆なんだ! 僕はここに神社がありその上にこの建物を立てたと思っていました。

 でも、逆なんです集落の場所と神社の場所が……『ここ』が集落です」

「待って晴蓮くん。それこそこの建物の方が濃くなるハズよ、なのに呪力は道の方が濃かったわ」

「今……僕達が通って来た道は集落に行くための道ではないんです」

「それはどう言……まさか、参道なの!? 今私たちがきた道が神社に行くための参道だった……」

「おそらくは。もしそうだとしたらあの濃さも納得できます、それに、先ほど通ってきた道に横道が有りました。

 多分その先に神社の跡地があるハズです」

「それでもこの建物の呪力の薄さは説明がつかないわ」

 

 晴蓮は首を左右に振り歌姫の主張を否定した。

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「集落の人達は神社を……御祭神を篤く信仰していました。

 であれば行き場の無い、無害な住民の霊が救いを求めて神社に行ってもおかしくありません」

「そして神社の御祭神もまた、住民達を救わんとし受け入れた……害ある住民の霊であっても、住民であるが故に受け入れた……たとえ自身の許容量を越えてもなお『御祭神』は住民を救おうとした」

「そして、その結果……墜ちてしまったのね……」

 

 場に重苦しい空気が流れる、住民を救わんとした堕ちた土地神、たとえ墜ちていようと神は神。特級呪霊なのは明らかだ。

 だがそれ以上に2人を苦しめていたのは住民を救おうとした結果、墜ちてしまった事だった。

 穢れ墜ち呪霊と成った以上呪術師は祓わなければいけない、民を救った神を祓う(殺す)のだ。

 沈黙を破ったのは晴蓮だった、己の呪術師(生き様)を遂行するために。

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「庵さん、行きましょうか呪霊が居るであろう場所に、僕達は呪術師です。

 どんな呪霊であってもほっておく事はしてはいけない」

「ええ、わかってるわ。でも相手は土地神クラス。最低でも特級下位……下手をすればもっと強い可能性が高い。(私が居ては晴蓮くんの邪魔になる、ここで待っているのが正解ね)」

「庵さん。呪霊との戦闘時、是非あなたの術式を僕に使ってください。長引かせたくありません、今回は短期戦で片をつけます。

 お願いできますか?」

「……分かったわ、なるべく邪魔にならない様に頑張るわね」

「頼りにしてます、庵さん」

 

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 二人は来た道を戻りその途中にあった横道を進む、進むにつれ呪力の濃さが尋常じゃない程濃く重く成っていく、並みの術師では近付く事すら赦されない領域に2人は入っていく。

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「ウッ……くぅ! はぁ……はぁ、うぁ」

 

 まるで、呪力が物理的な圧力を持つかの様に歌姫を襲い、歌姫は膝を崩し地面に手をつき息が荒くなる中、晴蓮が指を弾く。

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「(なに……コレ、こんなの経験した事が無い……コレが土地神……コレが特級呪霊!! これ以上近付くのはできな……)あ……体が少し楽になった?」

「今、庵さんの周りに結界を張りました、これで少しは楽になったかと思います」

「結界……この短時間で!? (スゴい、全然気付かなかった。いったいどんな結界を張ったのかしら、でも体が楽になったのは事実、今はそれでいい)」

 

「あれですね。最悪だ……この匂い(呪力)にあの社は産土神じゃない、地主神(じぬしのかみ)それも荒神(あらがみ)を祀る荒神殿(こうじんでん)だ!」

「荒神……火の神や竈の神を奉る荒神信仰の?」

「はい。ですが、神仏習合に際してどの信仰なのかよりますが祀られている御祭神が変わります。

 荒神信仰には『屋内に祀られる三寳荒神、屋外の地荒神』と謂われて言います、しかも地域(土着)信仰……何が祀られているか分かりません」

 何が居る、何が祀られている、クソッたれ……これだから地域(土着)信仰は厄介なんだ! 

 

「ね、ねぇ晴蓮くん、ここに祀られている神様はどれの可能性があるのか分かる?」

「……そうですね……一般的なモノであれば『竈の神、それが転じて岐の神(くなとのかみ)』と呼ばれる神。

 もう一つの可能性は……火の神。火炎崇拝(かえんすうはい)……とまではいきませんが、火・炎を神格化して崇拝の対象ーー火と言う現象その物を奉る、そして、この国で火の神と言えば日本神話における『神殺しの神……軻遇突智神(かぐつちのかみ)』の可能性が出てきます。

 次の可能性は……仏教における荒神信仰ーー三宝荒神です。

 仏教系では仏・法・僧の三宝を守る神様(佛神)として祀られています、そして荒神の尊像は三面六臂、或いは八面六臂とされ、その形相から不動明王に通じると謂われています。

 万が一、佛神では無く明王であった場合……五大明王が一尊『一面二臂の不動明王』或いはソレに近しい明王かと思います。

 そうですね……こちらに都合良く考えるのであれば1番格の低い夜叉、と言ったところですかね」

 総監部(腐ったミカン)どもめ、良く調べもせず渡しやがったな、俺を殺すきかアイツら。帰ったらブチ転がしてやろうかワリとマジで。

 ふぅー……流石にこれは手加減どうこうの話じゃない、全力でヤらなきゃこっちが死ぬ……

 それと、どの可能性であっても彼女には荷が重すぎる、申し訳ないが後ろでおとなしくしていてもらうしかない。

 

「か、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)不動明王(ふどうみょうおう)って……そんな、そんな神格がここにいるワケが……もし、もし晴蓮くんの言う通り火之迦具土神か不動明王だとしたら一人で祓うなんて到底無理よ!! 

 確かに晴蓮くんも特級だけど一人じゃ流石に無理だわ、ここは一旦下がって他の特級……そう! 五条悟を連れてきましょう。それなら……特級二人なら!」

「そんな時間はなさそうですよ」

 

 晴蓮は「ほら」っと荒神殿の上を指す、ソコには空間を歪ませる程の呪力が渦巻いており今にも爆発しそうな様相していた。

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「そ、そんな……どうすれば良いのよこんなの……」

「今、ヤるしか無いですね……庵さん先ほどの発言を撤回させてもらいます。

 すみませんが庵さんにはソコから動かずにいてもらいます」

 

 そう言うや否や晴蓮は庵の周りに呪力を遠ざける結界の上から、結界の継続時間を短くする変わりに『庵歌姫が出ることを禁ずる』結界を張った。

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「えっ。な、なにコレ!? ちょっと晴蓮くん! 何する気なの!!」

「僕も腐っても特級です、今まで何度も特級呪霊を相手にしてきました。

 ですが、庵さんを守りながら戦うのは流石にキツイ。

 ですので、すみませんが庵さんには少しの間その結果の中に居てもらいます」

 

 ふー、加茂晴蓮。腹に力を入れろ周りの被害なんざ考えるな、今はただ目の前の呪霊を祓え。

 何をしてでも……相手が誰であっても、神であっても祓え(殺せ)! 

 

 

初っぱなからフルスロットルだ!!  

 

 

 〔凝血変異(ぎょうけつへんい)〕〔血位流動(けついりゅうどう)〕〔形態収斂(けいたいしゅうれん)

「凝血棍〈血太刀〉」

 

 〔汗孔噴漿(かんこうふんしょう)〕〔散開凝固(さんかいぎょうこ)〕〔養物収斂(ようぶつしゅうれん)

「ふぅ、ハァァ、ふー……天より振り降ろされし轟く剣……シン・巌流:轟剣! ーー血譴(けっけん)『〈秘剣・燕返し(ひけん・つばめがえし)〉』」

 

 晴蓮にのみ許された剣術、無数の世界を『視れる』晴蓮だからこそできる秘剣。

 そして……新たな領域に至ったが故にできる芸当……それ即ち(すなわち)、無数の世界から己がいる世界にもっとも近い世界から斬撃を呼び込む行為。

 そして今回呼び込めたのは三つの異なる剣筋、それを巨剣で、完全に同一の時間で……さらに、黒い火花を迸らせながら振るう一撃(三擊)

響く轟音

 完全同時に振るわれ、黒い火花を伴う巨剣による3つの異なる剣閃が一度によって振るわれた斬撃は、荒神殿(こうじんでん)を完全に破壊した。

 そしてソコから現れたのは汚泥が沸き上がり、零れ落ちる鬼哭啾啾(おどろおどろしい)気配を漂わせる、三面六臂の姿をした夜叉の呪霊。

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 夜叉か! コイツは運が良い、神か明王だったら死を覚悟したが……イヤまあ、正直なところ五十歩百歩だけどそれでもまだマシ………

 

その時、夜叉が吼えた。

 

 

「ア、ア、■■■■■■!!!」

 

 大気を振るわせ、耳を劈く(つんざく)雄叫び、聞くものを震わせ竦ませる、並みの術師(人間)が聞けば即座に泡を吹き良くて気絶、最悪ショック死する程に呪力がこもった雄叫びだった。

 そして荒神殿の上に渦巻いていた呪力の塊は雄叫びと共に夜叉へと吸い込まれ……あろう事か八面六臂の金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)へと変成(呪胎戴天)した。

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「おまっ……ふざけんなよクソが! 呪胎戴天するとかマジでふざけんなよ、クソッたれが!! 

 まぁいい、もとよりフルスロットルだ、ヤってやんよクソ野郎!」

 

 晴蓮は素早く手印を組んだ。その形は、左手の人差し指を立て、その指を右手を握る。

 それは『智拳印(ちけんいん)』と呼ばれる印である

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そして唱える

 

 

領域! 展開!! 

 

 

肉雫唼皆生伽藍堂!! (みなづきみぶづきがらんどう!!)

 

 

 晴蓮の領域には必殺は無い。式神化した術式:肉雫唼(みなづき)の体内にある血が絶えず湧き続け溢れる血液。現に領域を展開すると同時に晴蓮の背中から肉雫唼(・・・)が現れ、吐き出した大量の血が外殻と成り、広がり金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)を領域内へと呑み込む。

 そこは伽藍堂へと変わり、伽藍堂の中央から溢れ出る血が池へと変わる様はまるで血の池地獄を彷彿(ほうふつ)とさせる領域だった。

 そして付与された術式は単純明快、それは

皆尽(みなづき)

 どちらかの心が尽きるまで殺し合うだけの領域……皆が生き皆が尽きるまで殺し(呪い)合いを強制(必中)する領域である。

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「領域……展開、呪術師の極致……まさか十五歳の晴蓮くんが使えたなんて、スゴい。

 これが特級術師の戦い……なんて……高い、壁」

 

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「さぁ、堕ちた地主神・夜叉神様(金剛夜叉明王)よぉ……とことんーー気が済むまで呪い合おうじゃあないか」

「オアァ………」

「汚泥のせいか? ……特級表現すら烏滸(おこ)がましいレベルの土地神クラスであれば会話ができるかも、と期待してたが……所詮呪霊は呪霊」

 

「祓わせてもらう! フッ! シィ!」

 

 晴蓮の領域内においての戦闘は何も難しいことはしない。ただ手を振るう、それだけで伽藍堂から絶えず溢れる血が刃となり迸る。

 血の刃が呪霊を切り裂き呪霊が呻く……が、しかしソコに傷はない。

 この領域では誰であろうとナンであろうと傷は負わない。斬られても即座に治る(直る)これは人間には絶えず反転術式が行使され、呪霊には伽藍堂に溢れる(負の呪力)による強制復元。

 故にどちらも死なない(死ねない)、心が折れるまで、意志が尽きるまで永遠に……呪い合い続ける。

 ━

「ハ! 夜叉神(金剛夜叉明王)よぉ! その穢れが尽きるまで! 汚泥が尽きるまで!! 付き合ってやんよ……それが神様への最期の手向けだ……殺し殺され……死に死なせ! お互い尽き果てるまで!! 思う存分呪い合おうや!!」

 

 

「シャアァ、ラァ!!」

 

 五指を広げを振るい上げ叩き付ける。その動きに連動し血の池は五つの刃と成り夜叉神へと次々に襲いかかる、が。

 夜叉神(金剛夜叉明王)も八面六臂の手に持つ様々な武器でもって応戦する。

 ━

「フン!!」

 

 間髪を入れずに血の池を踏みつけた事で出来た飛沫が槍と成り、夜叉神の幾つもの武器を狙い打つも、神懸かった武器さばきでいなし瞬時に晴蓮へと近付き片側3つの武器を振るう。

 ━

チッ、流石は夜叉神(金剛夜叉明王)! 斬り合いはお手の物ってか? ハッハァ! 〈百斂(びゃくれん)〉〈血太刀〉〈秘剣・燕返し(ひけん・つばめがえし)〉!」

 

 池の血を手中に収め高圧力をかけ放つのでは無く、太刀へと形成し無数の世界から四つの異なる剣筋を呼び込み、わずかな時間差もなく完全に同一の時間で頚めがけ振るうそれは『必中不可避』の攻撃、いかに夜叉神(金剛夜叉明王)であろうと避けられない、防ぎきれない。

 ━

 

 

「ギィ、ア"ア"ア"ア"ア"ア"!」

 

 

「やっかましいねぇ。でも、少しは汚泥が落ちたかな? まったく先が思いやられる」




 戦う相手は変わりませんがおそらく相手としてはマシな部類の神様。それでも死闘は必至、晴蓮くんマジ命懸け。


 地主神(じぬしのかみ)の設定スッゴくめんどくさい。
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