その血が歩む道すじ:修正版   作:亞忌羅

17 / 84
 顕れたるは、北方の守護神・五大明王の一尊、金剛夜叉明王、そんな佛神・神格とヤり会う晴蓮くん、マジでやべぇ状況。
 因みに本来の金剛夜叉明王は八面六臂の姿ではなく三面六臂の佛神です。

 前話辺りから大きく修正?変更?されてます。
━━━━━━━━━━━━
 それとこのキャラ口調ちゃうぞゴラァって箇所があれば教えていただけると嬉しいです、めっちゃ助かります。


十七話

「はぁはぁ……はぁ、ふー。これでようやく1/3ってとこか、先なげぇなおい。

 夜叉神(金剛夜叉明王)様よ、少しは楽になったかい? だと嬉しいんだがね」

 さってと、続けますかね。相手は夜叉(明王)……腐っても神格……同じ技はそう何度も通用しないとみて良いだろう、手札の多さってのはこう言う時にイイね、良くやった俺。

 

「ア、ア。……ね……い、レを……」

 

 しゃがれた声を発した呪霊(金剛夜叉明王)その六つの手に持つ武器。

 それらは全てが特級呪具、当然……内包する術式も相応のモノ、それら武器を構える。

 まるで『幾らでも来い、その全てを斬り伏せようぞ』と言わんまでもの様相、そこに立つは三宝荒神・夜叉神……否、その姿は佛神(ふつしん)にして、五大明王の一尊、八面六臂の金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)そのモノであった。

 ……されど顔に浮かぶは苦痛の表情……祓っ(殺し)てくれ……と言っているような錯覚さえしてくるほどに。

 ━

「!? はは、すげぇな。さっすが神様、マジで少し戻ってきてんじゃねぇか? できれば話し合ってみたいね」

 さぁ、『視よう』か。俺が果てない世界を手繰り寄せよう、俺が尽きない世界を、辿り着こうかその世界に……極限を(未来と無数の世界)『視ろ』! 

 

「さぁ……ヤり(呪い)逢おうじゃあないか、呪霊(金剛夜叉明王)、〔百斂〕〈血太刀〉〈秘剣・燕返し(ひけん・つばめがえし)〉……〈天下無双飯綱舞イ(てんかむそういづなまい)〉」

 

 頚と四肢を両断せんと迸るは異なる世界線から呼び込まれた五つの血の刃 。だが 、この程度で終わる(術師師)では無い。

 呼び込んだ異なる五つの血刃の一撃(五擊)呪霊(金剛夜叉明王)を空中へと打ち上げた後さらに、異なる五つの血刃の一撃(五擊)が空中で完全に同一の時間で何度も何度も、黒い火花を迸らせながら相手を斬り刻む。

 切り刻まれた呪霊(金剛夜叉明王)は喉を搔き毟るかのような悲鳴を上げ、血の池に落ち水飛沫(血飛沫)をまき散らす。

 ━

「ハッハァ! 楽しいな! 明王様よぉ! 今のあんたの在り方は荒神(あらがみ)荒御魂(あらみたま)! 

 外敵を討ち滅ぼさんとする存在、どこまでいこうが鬼神・魔神のソレよ! なればこそ……俺が越えよう、その(いただき)! 

 俺は『最優』の呪術師……超えてやろうじゃないかこの程度の壁ごとき! あんたを……この俺が降す(還す)

 

刺し刺され、斬り斬られ、穿ち穿たれ。

 

 それでも尚お互いが近距離で1歩も退かず殺し(呪い)合う。まるで離れ離れの友との再会を喜ぶかの様に、お互いを殺し(呪い)逢う。

 肉が千切れる音が、骨が砕ける音が血の伽藍堂に響き、血の池をバチャバチャと音を立たせながらも殺し(呪い)逢う。

 この領域内にいる限り死なないが故に手加減なぞあり得ない。

 ただ全力で全霊で斬り結び逢う。晴蓮の顔に苦痛は無い、それどころか喜びの顔だった。ここまで長く殺し(呪い)逢えるのが嬉しいからだ。

 刺しても死なない斬っても死なない心臓を穿っても死なない、呪霊(金剛夜叉明王)の胴を断ち斬れば即座に直り、呪霊(金剛夜叉明王)は間髪入れずに手に持つ宝剣:五鈷剣(ごこけん)で晴蓮の腕を斬り落とす。

 しかし刹那の間もなく腕は付いており、その腕で呪霊(金剛夜叉明王)を切り捨てる。

 気が付けば呪霊(金剛夜叉明王)に纏わり付いていた汚泥はもう、僅かな量……終わりは……近い。

 ━

 

 

 ━━

 

 ━━━━

 

「おい! オマエ!! ハルは、ハルどこだ! なんで連絡がこんなに遅いんだ!!」

「晴蓮くんはあの中、それと連絡が遅くなったのも晴蓮くんの仕業よ」

「はぁ! ンなワケあるかいや! ど阿呆! 蓮クンがなんでそないな事せなあかんのや!」

 こンのクソガキども……晴蓮くんの爪の垢を煎じて飲んでから出直してこい。

 

「そんな事知らないわよ、私にかけられた結界が解けたのがアンタ(五条悟)に連絡がいった数分前だもの。(それよりいくらなんでも速すぎじゃない? ここに来るの、まだ連絡いって数十分程度でしょ? どうやって来たのよこの二人)」

「それで、どれだけの時間が過ぎた」

「約四時間くらいかしら? 私たちがここに来たのがお昼頃、アレを見つけたのが昼1時頃」

「そんなになげぇのかよ、ハル……よし」

 

 気合いをいれている悟を横目に直哉が語る。

 ━

「アレ……蓮クンの領域やな、外から入るんは無理や待つしかあらへん」

「ハッ! だったらてめぇはそこで待ってろ、オレはブッ壊して中に入る」

「あー、無理やムリムリあの外殻は壊せぇへん。蓮クンが今回どこまでやっとんのかは分からへんけど、少なくとも外から入るンは無理や。

 壊すンのも無理や、蓮クンの領域に必殺は無い。せやからその分のリソースを外殻の強度に回しとんねや」

 

 直哉は胡座をかき空を見上げながら「だから固いトンでもなくな」とボヤいた。

 ━

「……なんでそんな事知ってんだよオマエ」

「そりゃ見せてもろぉた(中に入った)でな」

「見た? ハルの領域を?」

「そーゆーとるやろ、エッグいでぇ蓮クンの領域(心の裡)、アレは地獄や」

 地獄……直哉は晴蓮の領域をそう表現した、見た者にしか分からない恐ろしさを。

 

 その時、ピシリの音と共に領域の外殻に罅が入る。

 その瞬間、三人がバッと領域を見た。

 ━

「晴蓮くん!? まさか……」

「んなワケ有るかよ、ハルが勝ったに決まってる」

「相手は地主神(じぬしのかみ)……それに晴蓮くんは地域に根差した地域(土着)信仰って言ってたの、だから何が出るかも分からないって。

 それに私も見たわ、晴蓮くんが荒神殿を破壊した後、出て来た呪霊……アレは三面六臂の夜叉だった」

「夜叉……だと!?」

「なんやソレ! 上の連中はナニ考えとんのや!! 蓮クンを殺す気かいな!」

「それだけじゃないわ、夜叉が叫んだら荒神殿の上に渦巻いていた呪力が呪霊に吸い込まれて呪胎戴天したの……八面六臂の呪霊に。

 ……幾らなんでも相手が悪すぎる……そんな相手、例え晴蓮くんであっても……」

 

 三人の間に沈黙が流れる、それを破ったのはもっとも付き合いの長い五条悟だった。

 ━

「心配すんな、ハルは負けねぇ。

 ハルは『最優』の呪術師だ、堕ちた神ごときに負けやしねぇよ」

 

 悟が発した声とほぼ同時にパキンと高い音と共に領域の外殻が空に解けて消える、そこに立っていたのは晴蓮だけ、服は破れ上半身をさらけ出しながらもその身体にはキズ一つ無かった。

 相手は三宝荒神・呪霊(金剛夜叉明王)……激戦のハズだ、なのに晴蓮はキズ一つ無いのだ異様な光景に二人は沈黙、一人はそう言う事かと納得していた。

 ━

「ハル!!」

 悟が叫び晴蓮に駆け寄り倒れるさなかの晴蓮を受け止めた。

「悟? 匂い(呪力)で気付いてはいたけど、来てたんだ、それに直哉も来てるんだね」

 

 息も絶え絶えに二人に声をかける。

 ━

「当然や、蓮クンのためなら火の中水の中や、すぐに駆け付けるで」

 

 晴蓮の呼び掛けに応じながらも「そっちが素なん? そっちの方がエエで蓮クン」その問い掛けに「一人称や言葉遣いは人に与える印象を和らげるんだよ、覚えておきなさい」と返した。

 ━

「晴蓮くん……大丈夫なの? その呪霊(夜叉神)はどうなって」

「ええ、問題無く祓いました。

 ただ流石に疲れましたね………とても強かった、荒神(佛神)なだけはある」

「そう……それで身体の方は、その」

「キズは有りません、呪力もそこまで問題有りません。その代わり精神的に……ちょっとダイジョバ無いですね」

 

 晴蓮の砕けた物言いに歌姫は破顔する、しかし同時に心配を隠せなて無い表情を『視て』いた晴蓮は「イヤー疲れた。でも……ご心配無く、少し休めば回復しますから」と歌姫に優しく言葉を掛ける。

 その優しいと言葉に歌姫は顔に悔しさを滲ませた、理由は分かりきっている。自分がなにもできなかった事に自責の念と不甲斐なさでいっぱいなのだ。

 ━

「ごめんね晴蓮くん。私が不甲斐ないばかりにあなたに無茶をさせてしまった、私の術式が戦闘向けなら良かったのに」

「ホンマやで、サポーターがサポートできへんてなんのためにおるんや」

 

 直哉の物言いに歌姫は下唇を噛み締める、なにも言い返せない、自分はなんのためにここに来たのか、なんのための支援術師なのか、実力不足を痛感していた。

 ━

「直哉。庵さんを戦わせなかったのは僕の判断だ。

 それを言うのなら悪いのは僕の方だ、直哉……責めるのは庵さんじゃない」

「蓮クンそれはずるいで、なにも言えへんやんか」

「はは、君は優しいからね……君は人の心を分かってあげられる子だ」

 

 直哉な晴蓮の言葉に「面映ゆいで、蓮クン」と照れた表情をしながらこめかみを掻いていた。

 ━

「なぁハル、その手にもってンのナニ?」

「あぁ、これかい? 貰ったのさ彼に」

「貰った……て、まさか呪霊から!?」

「はい、呪霊……いいえこの集落を守っていた地主神(じぬしのかみ)にして荒神(あらがみ)

五大明王・金剛夜叉明王ごだいみょうおう・こんごうやしゃみょうおう

 領域内で僕との戦闘(殺し愛)で穢れと汚泥が落ちた彼は一時的では有るものの神へと戻れた、その時にこの宝玉を貰った(授かった)んだ。彼曰くこの先必ず必要になるハズだとのことで」

 

 堕ちた神、穢れはらひて(祓いて)神へと還る、それは如何なる奇跡か彼らはまだ分かっていなかった。

 晴蓮が無事であったことに安堵した3人は喧喧囂囂(けんけんごうごう)としながらも和気藹々(わきあいあい)とした和やかな空気が漂うさなか晴蓮は誰にも聞こえない声で「どこの誰かは知らないけど出歯亀(覗き見)とは良い趣味とは言えないね」と囁き、フィンガースナップ(指鳴らし)をした。

 ━

「ん? ハル今何かした? 呪力が動いたんだけど」

「ははは、羽虫がいてね追い払ったんだよ。

 悟………僕は少し眠ることにするから、後は頼んだよ」

「……ああ。

 オレに任せて眠っとけ、起きたときには全部終わってから」

 

 晴蓮は消え入る声で「助かるよ」と呟きそのまま眠る。

 ━

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 荒神殿上空二キロ地点、なにがしかの術式か空に浮く人影が一つ。

「アレを祓うのかい? 流石は『加茂の麒麟児』、素晴らしいね、是非とも欲しい。

 それにしても最初のアレは反則過ぎやしないかい、あんなの避けも防げもできそうにないね」

 

 誰に言うでもなく独り言を喋りながらウンウン唸っているその時ーー空間が、燃えた。

 ━

「!? まさか気づかれた!? ………だとしたら本当に化け物だね、欲しくはあるけど、生かすか殺すか……早めに判断しなきゃ駄目そうだ。

 いずれ……直接逢おうじゃないか、加茂の麒麟児『加茂晴蓮』」

 何者かの声は誰にも聞かれずに空に消えていった。




 金剛夜叉明王は、人を襲っては喰らう恐るべき魔神(夜叉)でしたが、仏教に帰依した事で金剛夜叉明王は悪人だけを喰らうようになったと言われ、ここから「敵や悪を喰らい尽くして善を護る、聖なる力の神」として日本で古くから敵を打ち破る「戦勝祈願の仏」として崇め奉られています。

━━
 あの集落は何でこの仏様を祀ってたんでしょうね、もっと他の生活に直結する様なそれこそ豊穣の神様とか仏様にすればよかったのに、集落が無くなったので理由は不明のままです。
 まぁカグツチじゃなくて良かったですね本当に、カグツチが出てきたら多分四方数百キロくらいは焦土と化す。

━━
 指を鳴らした(フィンガースナップ)だけで術式を発動出来るって、呪術師として相当凄いのでは。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。