その血が歩む道すじ:修正版   作:亞忌羅

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 晴蓮くん考案スペシャル修行を完遂し死んだ目をした夏油傑。彼はどんな成果を得たのか。





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 それとこのキャラ口調ちゃうぞゴラァって箇所があれば教えていただけると嬉しいです、めっちゃ助かります。



四十五話

 その言葉を皮切りに、今確かにここに居た加茂晴蓮の姿が変わった(・・・・)

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「は? 何が、どうなって」

「改めて自己紹介をしようか。初めまして、私は東京高、1年・『夏油傑』だ、宜しく」

「あ、あり得ない! 今まで確かに俺の目の前には加茂晴蓮が居た! 何をした!」

「ああ見た目の事かい。ソレは私が操る呪霊……烟々羅(ゑんゑんら)と、蓮の連れている式神であるこの子達の術式だよ。

 烟々羅は煙状の呪霊でね、それを纏えば姿を誤魔化せるんだ、そしてこの子の術式で姿を変えていたのさ。

 つまり今まで君の前に居たのは蓮では無く私だった……と言う訳さ」

 

 夏油の肩には薄い黄色い体毛のニホンカワウソによく似た呪霊と後ろに同じく薄い黄色い体毛の猿のような呪霊が居た。

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「だ、だが声は間違いなく加茂晴蓮のモノだった! 昨日聞いたばかりなんだ聞き間違える訳が無い! (そうだ、ありえない。昨日お前達の会話を盗み聞きした時に声は覚えた、俺が聞き間違える訳が………)』

「いつ聞いたのかは分からないけど、それは蓮の式神……『山彦』という仮想(妖怪)呪霊の仕業(術式)だね。

 山彦。聞いたことは有るだろう? 山で叫ぶと声が跳ね返ってくる現象、昔はその現象を山彦と言う妖怪の仕業だと謂われてきた。

 その結果、仮想(妖怪)呪霊として存在していて蓮がその呪霊を調伏し式神化したらいよ。

 スゴいよね、彼はそんな事も出来るんだ。それだけじゃない、彼は式神を通してここを見て君と会話をしていた……『最優』の呪術師の面目躍如ってヤツかな」

 

 戸惑う風真琥太郎に対して「ほら、私の後ろにいるこの猿? がそうだね」と付け加え教えた。

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「(本当に凄いよね、私でさえ呪霊と感覚を繋げる事がまだ出来ていない、なのに式神使いですらない蓮はそれが出来ている。私も精進しなきゃね)」

「そ、それなら術式はどうなる! アレは加茂家の赤血操術の術式だった! 何で別人の君が使えるんだ!」

「あー……蓮、まだ見てるよね? 説明、頼めるかな」

『説明もなにも、傑君に血漿の球を前もって渡して式神を通じて状況を見ながら、タイミングを見計らって遠隔で使っただけだよ。

 傑君にはそれっぽい動作をしてもらいながらね、これくらい練習すれば誰にでも出来るさ。

 じゃあ傑君、後は頼むよ』

「だってさ。そんな芸当……彼くらいにしか出来ないと思うけどね、君もそう思わない?」

 

 肩を竦めながら同意を求めるも風真琥太郎の耳には届いておらず、常識離れした現実を受け止められずにいた。

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「そんな、そんな事があって良い筈が………」

「まぁ、コレが当然の反応かな。蓮がおかしいんだ困るよね本当にさ。

 でもね残念ながらこれが現実さ……つまりそっちの計画は初めから破綻していたって訳だね。

 それじゃあフウマくん、私とヤろうか。悪いけど逃がすつもりは無いよ」

 

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「ア"ア"ア"!! ウゼェ! マジでウゼェ! ナンだよマジで、さっきからクソ弱ぇ式神を大量に飛ばしてきやがって、クソウゼェなマジで。

 ぶっ飛ばすか? ハルは術師には手加減しろつってたけど術師じゃなければ問題ねぇだろ」

「てなワケで……式神ごと回りをぶっ潰す」

術式順転『蒼』

 

 周囲の木々ごと大量の式神を吸い潰し広範囲を更地した。

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「これでも姿が見えねぇってどんだけ離れてんだよ、あー。どースッかなー………メンドクセぇ、もうここら一帯を一切合切ぶっ飛ばすか……そうすりゃ陣地も壊れるっしょ。

 よしそうしよう。ハルに怒られない程度にすれば問題ねぇだろ」

「じゃ、ヤるか。術式反転ーー」

「(マジか……マジかマジかよおい!! マジ巫山戯んなよクソが、何だよアレ! 出鱈目にも程がアンだろクソが! 

 どうする、何が正解だ、どう動けば良い……俺の式神はどこまで通用する…………あの式神を使うか? 

 …………クソっ! 只でさえ式神作んのスゲェ時間掛かるってのに、アレはもっと時間掛かるんだぞ、クソが。

 俺の虎の子とっておきやっとの事で作れた一級呪霊見立て式神!)巳ツ霊(みつち)!!」

 

 式神の名を喚ぶとソコには蛇に似た長い身体、しかしただの蛇と違い頭に角と4本の足がある呪霊がいた。その呪霊は器用に足を使い音も無く這うように五条の死角から毒気を吐いて攻撃をした……が。

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「ん? なんだコイツ、蛇か? これも式神……でいいんだよな、なら潰れろよ」

 

 巳ツ霊(みつち)は確かに毒気吐いた、しかし残念かなソコに居るのは無下限呪術を持つ『最強』の術師、そしてこの男は常時無限の壁を張り例外を除き攻撃は当たらない。

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「拡張術式『(みどり)』」

 

 蛇らしき呪霊の腹部に黒点(・・)が生じると共に無限に収束する渦が発生し音も無く吸い込まれ呪霊は圧縮された。

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「(は、ははは。マジか……アレが……見立て巳ツ霊(みつち)がああも簡単にヤられんのかよ、化け物が………クソッタレ)」

「終わり? やっとか。メンドクセー事させやがってさー……んで、いつまで隠れてんの?」

「(どうする……逃げるか? 逃げられるのか? 逃げるのなら目眩ましの式神を使って……どれだけ稼げる? 稼げて十数分……あれば良い方だな、ヤるしかねぇ。

 何がなんでも逃げてやる、あんなのと誰がヤり合うかっての)」

「出てきそーにねぇな、アーどースッかな……メンドクセェし……壊すか?」

「(アレが何かする前に先ずは式神で撹乱して逃げ………は? ウソだろ、クソっヤられた! 

 ンなもんアリかよ!! これだから特級は化け物なんだよ)」

「拡張術式:出力調整ーー」

 

 木々に隠れていた京都高二年、弥永は五条が術式を使う前に急いで大きく息を吸い込み式札を口に当て叫ぶ。

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「ヤられた!! 特級の加茂は風真と当たってねぇ!! 風真と当たったのは呪霊使いだ! あの野郎、呪霊で姿を変えてやがった! 加茂が当たったのは禪院の方だ! しかも禪院のヤツはもう倒された、歌姫! 作戦変更だ!」

 

 たとえ五条に居場所が知られる事を厭わず式神を通して自チームの作戦が瓦解した事を伝える。

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「ソコか『赫』」

「歌姫……後は頼む!!」

「(ふーん、歌姫ってケッコー信頼されてんだな。にしてもコイツ、仲間んとこに式神を飛ばしてやがったのか、早めに潰せて良かったかもな)ハル、どうする。知られたぜ」

『ここまでは予想通りだよ、悟君。そして予想以上の戦果を上げた、それは僕らは既に3人倒した事だ。

 そしてその誰もが王じゃなかった、となると残りは2人………庵さんか例の術師のどちらかだ。

 が、問題も起きた。硝子が例の術師とカチ合った。僕と傑君はそっちに行く、悟君は庵さんの方に向かって欲しい』

「りょーかい。歌姫はオレに任せろ。その代わりそっちは頼む」

『うん、お互い頑張ろうか。ああでも、やり過ぎはダメだよ』

「分かってるっての。(さて、と。歌姫探しに行くか)」

 

 そう呟くと五条は空高く浮かび上がり瞬く間に姿を消した。

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「(マズイマズイマズイ! 弥永くんが倒された、式神での連絡が絶たれたのは痛い。

 それに1年の禪院くんも晴蓮くんに倒されたみたいだし、となると夏油くんと鉢合わせてる風真くんも倒されている可能性が高い……それに多分、五条がこっちに来る。

 私達はもう2人、王が取られるのは時間の問題、どうする庵歌姫! どうするのが正しいの! 

 交流戦の敷地内を走り考えを巡らせ打開案見付け出そうとする歌姫だが彼女は焦っていたが故に失念していた………『最強』五条は遠距離を瞬間的に移動出来ることを)」

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みーつーけた

 

「よぉ歌姫……会いに来たぜ」

「五条……悟!」

「(そうだった! この男は高速移動が出来るんだった! もう……やるしかない、こうなった以上アイツと戦うしかない。

 私だって戦える、あの『五条悟』に食らい付いて見せる)」

「へぇ……歌姫、やる気じゃん。オレとヤり合うの? 万が一、イヤ、万が一もねぇな。オレとやり合ってもそっちの勝ち目ゼロじゃん。

 それでもやんの?」

「……ええそうね、私が貴方に勝つ事はゼロね、でも、時間稼ぎぐらいは出来るつもりよ」

「(時間稼ぎ? 今さらする必要ねぇ筈だ。京都高は歌姫ともう1人しか残ってねぇんだし、何の為時間を稼ぐ? …………)ハル! 京都高のヤツらナンか隠し持ってやがる」

『彼らが? ………彼らに何が………そうか! しまった! 悟、庵さんはもういい、すぐに残ってる陣地を壊してくれ』

「(流石晴蓮くん、すぐ気付くのね。でも……)逃がさない!!」




 京都高2年生、弥永。
 術式:見立て式神方術。
 自身が祓った呪霊の残滓を形代に記録し、その記録の残滓を使い式札に自身の呪力(・・・・・)で絵を描く事で式神として見立てる術式。

 呪霊の残滓は特級を除いた等級で最大10回分描ける程度だが、1体の呪霊の残滓で10体の見立て式神を作る事が可能という事でもある、しかし1体の呪霊の残滓を十分割する為、1体1体の強さは分割され十分の一以下の性能しか発揮出来ない。
 逆に分割せず全て残滓を1枚の式札に使えば見立て式神は呪霊本来の性能に近付ける。
 だが残滓……つまりは絞りカスなのでどれだけ頑張っても呪霊本来の性能にはならない。
 また呪霊に術式が有った場合は術師の呪力を使う。
 見立て式神は使用後であれば消える事無く設定された行動をする。

 術師のポテンシャルさえあれば特級に成れる術式。
 特級呪霊が倒せれば、残滓で性能が落ちて十分割され更に性能が落ちるものの、10体の見立て特級呪霊式神が作れるし、分割しなければ特級呪霊に近い式神も作れるからね、反則だよね。
 今の弥永が分割せず式神を作れば式神の性能は約6割~7割程になるので充分強い、相手が悪かった。

 因みにこの術式は呪霊操術と似ているが全く別の術式、ではあるが、ある意味では呪霊操術の劣化版とも言える……かもしれない。
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