その血が歩む道すじ:修正版   作:亞忌羅

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 旧版に追い付きつつあるリメイク版、旧版を更新しなきゃ。


五十三話

「あぁこの写真だ」

 

 奥の部屋から1枚の写真を持ってきた。

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「右の方が例の?」

「そうだ、名前は小原周防(こはらすおう)(ゆかり)とは中学からの付き合いだそうだ」

 

 首に手をやり妻の縁を思い出し「だからこそショックが大きかったろうよ」と付け加えた。

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「中学からですか……であれば当然人となりは知っているでしょうね。

 それに、この写真から見てもネグレクトする様な人にはみえません」

「俺も何度か会った事が有るが、んな事(ネグレクト)する様なヤツにゃ見えなかったな、それどころか子供を大事にしてるのが見てとれた」

「成る程……」

 甚爾さんが言う程だ、とても大事に育てていた筈、なのにいきなり変わった人格……呪霊? 性格を、人格を変える様な術式を持った呪霊……それかーー

 

過呪怨霊(かじゅおんりょう)の可能性は有りますか?」

「恨みか? どうだろうな、俺はそこまで付き合いが無いからな」

「あの子が誰かの恨みを買うなんてあり得ないわ」

 

 甚爾と話していると隣の部屋から寝ている子供を抱いた1人の女性、加茂(ゆかり)が姿を現した。

 ━

「縁さん、お久しぶりです」

「ええ、久しぶりね晴蓮くん」

「酷な事かと思いますがこの方……小原周防さんの事を教えてくださいますか」

「勿論よ、あの子に何が起きたのか……晴蓮くんに言って分かるのなら手伝わせてちょうだい」

 

 10年来の友人。その友人が突如として性格が変わり大切な、とても可愛がっていた子供をネグレクトし、本人は事故に遇い命を落とした。

 その事実は彼女を知るものからすれば信じられない出来事だろう。

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「それで……お辛いでしょうが、もう1度お聞きします。恨みを買うような方では無かったんですよね?」

「ええ、あの子は皆に好かれて誰にでも分け隔てなく接する優しい人だったの、だから彼女が誰かから恨みを買うなんて想像も出来ないの」

 典型的な『良い人』だな。だからこそ恨みを持たれる可能性も有る。

 例えば仕事、例えば母親仲間、義両親との関係……数え上げればキリがない。

 

「縁さん、周防さんは義両親との間は良好でしたか?」

「実の娘の様に大切にされてたわ。なんでも娘が欲しかったけど男3人立て続けで生まれて、女の子は生まれなかったみたいなの。

 だから、すーちゃん……周防の事も大切にされてたそうよ」

 義両親は無いか、それに今の話からすると義両親は健在だ、過呪怨霊になる条件を満たしてない。

 となれば母親仲間……所謂ママ友ってヤツだなこっちの可能性は有るのか。

 

「では次に母親同士……ママ友との関係はどうでした?」

「問題無かったと思うけど……あ、そう言えばママ友の1人が離婚したって言ってたわ」

「離婚ですか……」

 それに直接的な或いは間接的関わりが? だとすれば逆恨みもあり得る、あり得るが。

 

「離婚の原因は聞いてますか?」

「私もそこまで聞いてないけど……親権は旦那さんだった、と言うのは聞いたわ」

「珍しいですね、親権は基本的に母親の方が強いんですけど……」

 離婚の原因は母親か、不倫、虐待……その人物もネグレクトを? 

 

「離婚した人……母親はその後どうなったか知ってますか?」

「ごめんなさい、そこまで聞いて無いの」

「そうですか……ではその人の名前は?」

「離婚した人の?」

「はい」

「確か……新井田さん、だったかしら」

「新井田さんですね? ありがとうございます」

 俺の方で調べるか、後はーー

 

「この写真、お借りしても良いですか?」

「それであの子が変わった理由が分かるなら」

「では、お借りします。僕の方でも色々調べてみます」

「お願いね」

「確約は出来ませんが、可能な限りやってみます。あー……」

 後は……念の為に見ておくか。

 

「その、養子にしたお子さんに会っても良いですか?」

 

 2人は見合せ甚爾が「こっちだ」と晴蓮を促した。

 ━

「あの子だ津美紀(つみき)って名前だ」

「ッ……女の子なんですね」

「ああ、恵より1つ上だな」

 ……クソッタレが、混じってやがる(・・・・・・・)。アイツの仕業か、しかも厄介な代物も混じってるな、一先ず甚爾さんに言うか。

 

「甚爾さん、ちょっといいですか」

 

 甚爾を家から連れ出し今見た(嗅いだ)ものを包み隠さず伝えた。

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「は? 冗談にも程があるぞ晴」

 

 僅かに声を震わせながら今にも晴蓮に食って掛からんとする。

 ━

「冗談ならどれ程良かったか」

「マジなんだな」

「はい」

 

 青筋を立て目の前のブロック塀に向かって「クソッタレが!!」と叫びながら全力(・・)で殴りブロック塀を粉々にした。

 ━

「晴、どうにか出来るか」

「あの子に負担が少々……いえ、幼いので負担が大きいかもしれません。今すぐせずに時間を置いーー」

「今やってくれ」

「……良いんですか? 後遺症が現れるかもしれませんよ」

「だが、いつ爆発するかも分からねぇ様な爆弾を残したくねぇ。それにお前がそんなヘマをするとも思えねぇしな」

「信頼が重いですね、ですがその信頼裏切りません」

「頼んだ」

 本当に重い信頼だ。でも、嫌じゃない重さだ。

 

「縁さんはどうしますか? 離しておきますか?」

「………イヤ、アイツにも見せよう。俺達が生きる世界を少しでも見せといた方が良い」

「意外ですね、てっきりこの手の事は遠ざけるモノだとばかり思っていました」

「離してぇがそうもいかねぇだろ、それにお前が居れば大抵の事はどうとでもなるだろ?」

 イヤまあ常に手飼達に守らせてはいるけど、この人意外と人たらしだな。

 

「本当に重い信頼ですね」

「イヤか?」

「まさか、その信頼答えてみせますとも」

 

 甚爾との話し合いを終え家に入り、妻の縁に事の顛末を伝え津美紀の元へ行く。

 ━

「!! そんな……あの子にそんな事が起きてるなんて……ど、どうするの!? ねぇ甚爾さん!」

「安心しろ、コイツが全部片付ける」

「簡単に言いますね甚爾さん。自分自身ならいざ知らず、他人にするとなると結構神経すり減らすんですよ、コレ」

「だが、お前ならやりきるだろ」

「勿論全力でやりきりますとも」

 さーてと、期待に応えますか。

 

「では今からやりますので何が起きても、騒がずにお願いします。当然、邪魔もしないでください、良いですね?」

 

 縁は生唾を飲み込んで「分かったわ」と答えた。

 ━

 

 

 ━━

 

 ━━━━

 

 

 晴蓮はゆっくりと津美紀に近寄り、目線の高さまで腰をおろす。

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「やあ津美紀ちゃん、初めまして、僕は君のお父さんの、弟の加茂晴蓮って言うんだ。恵君も久しぶりだね、少し背が伸びたかな?」

「お兄ちゃん! 来てくれたの!!」

 

 恵は嬉しそうに大げさにはしゃぐ。

 ━

「お父さんの……えっと……」

「……甚爾さんの弟なんだ、僕」

「甚爾おじさんの?」

「うん」

 

 津美紀は晴蓮と甚爾を交互に見て「似てないね」と素直な感想を言った。

 ━

「あっはっは、そうだねー似てないねー。僕はあそこまでムキムキ(ゴリラ)じゃないからね」

「おい、今含みが有ったろ」

「あっはっは、何の事ですかね」

「仲良いんだね」

「うん、とてもね」

 

 甚爾達との関係をどこか羨ましげに「お父さん、お母さん」とボソリと口から溢れでた。

 ━

 うんまぁ、そりゃそうか。いきなり養子になって(親が変わって)も混乱するだけだよね、んーどうしたものか。

 

「あの」

「うん? 何かな」

「その、えっと、津美紀の新しいお父さんとお母さんは、お母さんの友達の縁おばさんでお父さんは縁おばさんのえっと……お、お父さん? が甚爾さんで、甚爾さんの弟さんが……晴蓮お兄さん?」

「うん、だから僕と津美紀ちゃんは親戚関係になるんだよ」

「親……戚、お兄さんは津美紀の家族なの?」

「そうだよ」

「家族! 津美紀に家族が増えるの!」

「家族が増えるのが嬉しい?」

「うん! えっとねえっとね。津美紀ね、ずっとお兄ちゃんが欲しかったの、だからねだからねお兄ちゃんが出来て嬉しい」

「そうなんだ! 良かった、僕も嬉しいよ。それとね双子の妹も居るんだよ」

「妹? 妹も居るの!」

「居るよ、歳は津美紀ちゃんと同じなんだ」

「同じ……妹?」

「あっはっは、そうだね。後でどっちがお姉ちゃんか調べようか、そうすれば津美紀がお姉ちゃんなのか、妹なのかが分かるからね」

「津美紀は、ん~。どっちでも良い! お姉ちゃんでも、妹でも! 家族で一緒、に……ご飯食べるの」

「それは良いね、皆で一緒にご飯を食べようか」

「うん!!」

「僕も一緒に食べる!」

「あはは、そうだね。津美紀ちゃんに恵君。真希に真依、そして縁と甚爾さんに僕。7人で一緒にご飯を食べようね」

 こんな幼い子にまで手を出すか、ゲス野郎が。いつか必ず……

 

「それでね津美紀ちゃん。今の君の体の中にはとても悪いモノが有るんだ」

「悪い……モノ?」

「うん。その悪いモノを残しておくとね、君の体が病気になっちゃうんだ、だから縁さんに甚爾さんと相談してお兄ちゃんが悪いモノを取り出す事になったんだ」

「お兄ちゃんはお医者さんなの?」

「お兄ちゃんはね、実は魔法使いなんだ。だから君の体の中に有る悪いモノを取り出せるんだ」

「お兄ちゃん魔法使いなの!? 凄い! ホントに居るんだ!」

「でもね、お兄ちゃんが魔法使いなのは秘密だから、津美紀ちゃんも皆に内緒にしてくれるかな」

「うん、内緒。守る」

「良い子だね」

 

 頭を撫でながら呪力を流し入れ体内の異物を探る。

 ━

 これか……卵はいい、分離するのは慣れている。問題はこっちだ、クソが。どこからこんな代物を手に入れたアイツは。

 

「でもどうやって取り出すの?」

「お兄ちゃんは魔法使いだから魔法で取り出すんだよ、でもねその為には津美紀ちゃんには少しの間、寝てて欲しいんだ」

「それも魔法でやるの!!」

「うん、そうだよ」

「それじゃあ、津美紀ちゃん。少しの間だけどお休み。潜漿:(せんしょう:)身侵漿沈(しんしんしょうちん)

「お休………み」

 

 縁が恵を呼び津美紀から離し自分の隣に来させ隣の部屋で遊ぶ様に言うが津美紀と遊びたいと言い、それを見た晴蓮が『式神:ミア』を呼び出したら嬉しそうにおとなしく隣の部屋に行く。それを確認し3人で話す。

 ━

「晴、どうだ、出来そうか」

「さっき撫でた時に呪力を流し入れました、その時に異物が2つありました」

「2つ……だと」

「はい、1つは先程も言った異様な呪力塊……僕は『異様呪力(いようじゅりょく)』と呼んでます」

「異様呪力……普通の呪力とは違うのか?」

「はい、名伏しがたい呪力です。

 いえ、呪力かどうかすら分からない程に異様な呪力です。

 ですがこちらは問題ありません何度(・・)も対処してきましたから」

「マジかお前、いつそんな目に遇ってんだよ」

「あはは。色々な仕事(依頼)をしてますから、まあ変わったモノも見てるんです」

 俺だけだろうけどな。あのクソ野郎、マジでブチ殺してぇ。

 

「もう1つは、何だ」

「………恐らくは呪物です。それも特級の」

「呪物……だと!? なんでンなもんが津美紀に入ってんだ!!」

「その辺りを調べる必要がありますね。この子に呪物が入っていると言う事は、この子の母親……小原周防さんも何かしらの呪霊被害に遇っているかと」

「そん、な……すーちゃん………」

 この呪力が入っている以上、コレをやったのは間違いなくアイツだ。だが何故この子なんだ? この子にした理由はなんだ……ふぅ、今は考えても答えは出ない今する事はーー

 

「では先ず1つ、()から『分離』します」

 

 黒い卵ーー晴蓮が追う謎の呪詛師が操る未だに解明されてない異様な呪力塊。

 この呪力塊は今まで見つけたのは寄生された呪霊と侵入されかけた晴蓮にしか無かったモノ。

 しかしそれが目の前の少女の体の裡で蠢いている、そしてこの呪力塊を取り出せるのは晴蓮唯1人。

 ━

 

「ふー……『無垢識(むくしき)収呪祝印(しゅうじゅしゅういん)』」

 




 収呪祝印(しゅうじゅしゅういん)はNARUTOの解尾法印(かいびほういん)を参考にした封印術です。アレですね、尾獣を取り出す時に使うヤツ。

 旧版の感想にNARUTO要素が欲しいと言われたのでブチ込みました。タグにも追加しておきます。
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