「結界を解除します」
「『
『
『
『
『
『
「………ふぅー…………。これで『
「津美紀は、津美紀はもう問題無いんだな!?」
「はい。ですが、経過観察は必要です。その辺りはお願いします。
勿論、適宜連絡もお願いしますね」
「晴蓮くん……本当に、ありがとう。本当に……」
「この子は僕にとっても大切な家族ですから、助けるのも、守るのも当たり前です。
もう少しゆっくりしたいところですが、コレの処分をしないといけないので、今日は帰ります。それに、流石に疲れました」
オリジナルの結界術に、結界術から
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「ああ、後の事は任せろ。
連絡は一週間毎にすれば良いか?」
「そうですね……それくらいが丁度良さそうですね。あっ、でも何か違和感があったら直ぐに連絡してください」
「分かった」
「それでは僕はこれで失礼しますね」
そう言い、晴蓮は甚爾の家を出る。
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「気が知れないな、ドブカス野郎。俺の関係者にこんな物を仕込むとはな」
「勘違いしないで欲しい、アレは偶然……私としても君から連絡が来て驚いたんだよ。
だから許してくれないかな?」
「………嘘では無さそうだな」
「君相手に嘘はつかないって。それよりドブカス野郎は酷くないかな」
「お前に妥当な表現だろう? 幼子に
専用の箱に封印してある呪物を持ち上げながら、目の前に居る
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「私の目的を達成するには必要な事だからね、ソコに老いも若きも関係ないさ」
「はぁ、コレは俺が預からせてもらう。良いな?」
「あー、んー……新しい器が見つかるまで、にしてくれると助かるかな」
「…………何が目的だ」
「変えたいんだよ。呪術界を、そして術師を」
両手を広げ、仰々しく己の目的を語る。
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「どう言う事だ」
「人類の進化と呪力の最適化……それが私の最終目的さ」
「何だと」
女が語る『人類の進化と呪力の最適化』ソレが意味する事が彼は理解出来ないでいた。
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「今の術師は生ぬるい。
だから、誰も見たことがない混沌を生み出し、ある存在と人類を同化させる。
そうする事で今の術師という壁を越えた『新しい存在』にしたいのさ。だから呪物がいる、世界を変える為にね」
「……今の術師が生ぬるいのは同意見だ。だが、その為に無関係の人達を巻き込むのは反対だ」
呪霊に襲われ死ぬ一般人がいる事は許容は出来る、全てを助ける・救える、等と言うのは理想論でしかない、呪術師は万能の存在では無いのだ。
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「逆なんだよ
そして、その結果として『新しい呪の形』が出来るんだ」
「その過程でどれだけの被害が出るのか分かっているのか!!」
「大きな声を出さないでよ、ここはお店だよ」
机を叩き大声を出した晴蓮に驚いたのか、店に居る従業員と客が一斉に晴蓮達を見た。
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「……はぁ、悪かったな。だが……そんな事の為にわざわざ体を変えたのか。
小原周防。目の前に居る女に対して晴蓮はそう呼んだ。
その名前はつい先日助けた少女、加茂甚爾の養子となった加茂津美紀の本当の母親の名前だった。
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「ははは、まさかこの体が君の知り合いだったのは予想外だったよ。済まなかったね」
「小原、次は無い。今お前が何をしようとしているのかは目を瞑ってやる。
だが、コレ以上俺の関係者に手を出すな。出せば例えお前でも許さない、覚えておけ」
怒気を孕ませた声で警告する。
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「本当に済まなかったね、次からは気を付けるよ」
「今は信じてやる。それとさっきも言ったがコレは俺が持っておく。
必要になれば使いを寄越せ、最も、渡すかどうかは俺が決めるがな」
「ああ、それで構わないよ」
「小原、これだけは覚えておけ、俺の目と耳は何処にでも在る。隠れて動けると思うなよ」
「ああ、分かっているとも」
そう言い残しその場を去る。
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「はぁ……困ったね、本当に困った。見つけた器が彼の関係者だったとは……適合する器は滅多にいないのに、とは言え彼を敵に回すのは避けたい。
彼は私にとっても重要な存在だ、仕方ない新しい器を探すしか無いか」
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「ドブカス野郎が。だがどうする……アレにも会っておくか」
呟いたその言葉は、誰に聞かれる事も無く消えていく。
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「客人にお茶を出さないのかね、ここの主人は」
「いきなり来た君にも問題が有ると思うね」
ソコは何も無い真っ白で殺風景な場所で2人の人物が話し合っていた。
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「ここに来るには誰にも知られる事無く来ないとダメだからな、慎重にならざるを得ない。
違うかい?」
「はぁ……君と言う子は、まあ良かろう。
ああ、君に言っておく事がある」
先程まで真っ白で殺風景な場所に机とお茶がいつの間にかあった。
「……何か有るのか?」
飲んだいたお茶を置き、思い当たる節が有るものの確認のため聞いた。
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「時期が来た」
「……あの胸クソ悪い儀式か」
思った通りの答えが反ってきたことに顔を歪める。
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「そうだ。そして加茂晴蓮。
君に……イヤ、君達に依頼が出る筈だ」
「一応聞いてやるよ、どんな依頼だ」
「『例の』少女の護衛・抹消の任務だ」
「抹消、ねぇ。物は言いようだな、そのまま進化すれば良いものを」
末梢か、確かに末梢だな結果だけを見ればな。呪術師としてであればソレを成し遂げる事が正しい。
だが、俺個人としてはそんなものクソくらえだ。
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「その結果、君達の敵になっても良いのであればそうしよう。だが、それでは困る者達がいる。違うか?」
「上のヤツらは頭が固いからな。だが喜ぶヤツらもいるんじゃないのか?
聞いた話ではお前を信仰・崇拝し、その行為を拒む者もいるらしいじゃないか」
とある組織、宗教団体の事を茶化す様に言う。
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「アレらは昔はそうではなかったんだが、何故
「管理不十分もいいとこだな」
「何故私が管理せねばならない、今のアレらは私とは何の関係もない組織だ」
そう、始めこそこの人物と関わりが有ったが今は見る影もない程に変わってしまった。それを知りながらも言わずにはいられなかった。
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「言っただけだ。俺とて分かっているさ、ソイツらが暴走している事くらい。
つまりはだ、ソイツらが妨害してくる可能性が高いという事は覚えておけ。
異物ーーその宗教団体にとって『例の』少女は異物でしかない。
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「そうさせないのが君達呪術師だろう?」
「嫌な仕事を押し付けてくれるね、人情は無いのかお前さんには」
「有るさ、ちゃんとね。だがソレ以上に必要な事なのだ、だからやらねばならない」
「そうかい。なら、呪術師としてではなく一個人として言わせてもらおうか……クソくらえだクソジジイ」
彼には珍しく、中指を立てながら大声で罵倒する。
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「どちらかと言えばババアだ」
「知ったこっちゃねぇよクソ野郎。じゃあなクソジジイ、上手くいくと良いな。
俺はやりたいようにヤらせてもらう」
「そうか、好きにしなさい。私は止めないさ」
机と飲み干したコップが有る真っ白な部屋から踵を返し、振り返る事もなく出ていった。
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「君なら……もしかすれば、良い結果になるかもしれないな」
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「俺達も2年生かー、実感わかねー」
「なんとも悟らしいね。でも、後輩が出来るんだから少しは先輩らしくしないとね」
「そうだね、今年は2人入ってくるみたいだよ」
「何でセイがそんな事知ってんのさ」
素朴な疑問。2年生になるとはいえ、今はまだ3月中旬。入学式は半月後、なのに加茂晴蓮が知っているのはおかしな事だった。
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「これでも御三家の当主だからね、そう言った情報は調べなくても耳に入ってくるんだよ」
「ごじょーは知ってんの」
「ンなもんにきょーみねぇから知らねーな」
「蓮、どんな人達なのかどの程度知ってるのかな」
夏油からの問い掛けに鞄からA4サイズのファイルを取り出した。
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「はい、コレ。今年入ってくる子達の名前、術式が載ってるよ」
「調べてんじゃん」
「そりゃ一応ね、知っておけばどう教えればいいのか分かるからね」
「教えるって俺達がするモンじゃ無いじゃん」
「術式は教えられなくてもソレ以外は教えられるでしょ? 例えばシン・巌流とか」
「シン・巌流はそーだけどさ、わざわざ教える必要無いじゃん」
「呪術師の生存率を上げるためには必要な事さ」
「めんどくせー。別に術師の教師だけでいーじゃん」
そう、術師としての『いろは』は専用の教師が居る、故に彼らがやる必要は無い。
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「一緒に任務に行くかも知れないでしょ? その時に呪力の扱い方、術式への理解度を上げる。
それと拡張の仕方とかね」
「拡張どうのこうのはソイツらのポテンシャル依存じゃん」
「その辺りは僕が教えれば良いだけさ。僕の得意分野だからね」
「それハルの負担増えんじゃね」
「ま、何とかなるさ」
「ふーん、私術式無いからそう言うの良く分かんないんだよね。拡張術式って大変なの?」
拡張術式。それは術師の発想力や想像力、そしてセンスと閃きが問われる術式、並みの術師であれば1つ2つ拡張出来れば上出来と言われる程難しいモノでもある。
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「呪術師は頭が固いんだよ、もっと柔軟に考えれば良いのに」
「それが出来んのハルぐらいだっての」
「でも、蓮のお陰で私も拡張出来たし……術式への柔軟な考え方、解釈の仕方は勉強になったのも事実だよ」
「傑の拡張術式もズルいよな、何だよアレ、呪霊を球にして撃って、着弾点で呪霊ごと爆発させるとかさ。
しかも術式も持った呪霊だとバチクソ強化された術式も一緒にばら蒔くとか、反則じゃんあんなの」
「蓮のお陰だね。まあ蓮みたいには出来ないけど」
「ふーん、そんなにセイってスゴいんだ」
「スゲェつーか異常レベル。フツーはあんなに造れねぇっての」
加茂晴蓮の拡張術式。その数なんと約10以上も有る。それは一般的な術師からすれば異常でしかない。
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「あっはっは。それこそ柔軟な発想と解釈だよ。術式への理解を深め、多様な発想と解釈。これが出来れば拡張術式なんて幾らでも造れるさ。
それで、何だけどさ、来月入ってくる子達にーー」
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「イエーイ。1年生諸君にゅーがくおっめでと~」
「………ありがとうございます」
「ありがとうございます!!! 嬉しいです!!」
五条がクラッカーを鳴らし新入生を祝ったが、1人はテンションが低く、もう1人は喧しい程テンションが高い真反対の性格の2人だった。
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「入学おめでとう。七海建人くん、灰原雄くん」
「………何故私の名前を知っているのですか」
「僕の家柄上、術師の事は調べる事が出来てね。だから、新入生である君達の事も調べさせてもらったよ」
「そうですか」
聞いておきながらさして興味が無いのか、聞き流す。
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「呪術師が増える事は嬉しいからね、何せ呪術界は万年人不足なんだ。君達の入学は喜ばしい事だ」
「そうなんですね!! これから頑張って覚えます!!」
「ははは、元気な子だね。
私は夏油傑。今、君達の事を調べていたは加茂晴蓮。呪術界で御三家と呼ばれる家の1人だよ、そしてソコで何かしているのも御三家の1人、五条悟だ。
それでーー」
「はいはーい。私は家入硝子、宜しくね」
「はい!! おねがいします!」
「今までに無いタイプの子が来たね」
「賑やかで良いじゃんない? さて、今日こうして君達に会いに来たのには理由があるんだ」
「……理由……ですか」
新入生の1人、七海建人が気だるそうに聞く。
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「うん。それはーー君達の入学祝いだよ」
今度は家入がクラッカーを鳴らし、五条が黒板の前に横断幕を垂らし、そこには『入学おめでとう、地獄へようこそ』と書いてあった。
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傑君の拡張術式は呪霊版