ファンブック買わなきゃ。あのアレ、パラメータ?的なヤツが何があるか分からない。
「(帳は下りているのに呪いの数が少ない。イヤ、居るのに襲ってこないのか?)」
真希達の横でビクビクとしている乙骨を見て「コイツがいるから出てこないのか?」と考える。
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「おい」
「はい!?」
いきなり声をかけられて肩をはねさていると「オマエ何級だよ」と唐突に聞かれる。
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「よくて準3級じゃない?」
「だろうけど一応知っておいた方がいいでしょ」
「そうね。それで? アナタの階級は何?」
真希達から聞いた事がない話を振られ「なんの事を言っているのだろう」と頭を傾げる。
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「呪術師にはな4~1の階級があんだよ」
「でも僕呪術高専に来たばっかだし………」
「はぁ、もういいわ学生証貸してちょうだい。五条から貰っているでしょ?」
「あ、はいどうぞ」
言われた通りに学生証を渡す。
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「真依、何級? 前歴なしで入学なら4級だと思うけど」
「………真希、私の見間違いじゃなければ……いえ、見た方が早いわね」
そのまま真希に学生証を渡すと「は?」と間の抜けた声が溢れる。
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「なぁ真依。コレ何かの間違いか? あり得ねぇだろ」
「後で兄さんに確認しなきゃね、あり得ないもの」
2人で「やっぱあり得ねぇよな?」「こんな奴が兄さんと同じなんてあり得ないわよ」話しに没頭していると乙骨の声で我に返る。
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「加茂さん!! 後ろに!!」
そう言われ後ろを見ると廊下を埋め尽くす程大きな
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「真希!!」
叫ぶと同時に
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「クッソ!」
「真希! アレを使う!」
その言葉を聞き時間を稼ごうと空中で薙刀を構え、斬りかかろうとすると
それでも『アレ』が間に合ったか真依を見ると、間に合わず3人とも呑み込まれる。
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「クソ!! 弾かれて外に落とした! 真依!」
「任せて」
装填した『アレ』を轟音を響かせながら2発連続で撃つ。すると、着弾した箇所から十数本の鋭利な刀身が生える。
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「! 効いてない!?」
それを見て気絶から目を覚ました乙骨に「こんなんで気絶してんじゃねぇよてめぇ!! つか出せよゴラァ!!」と怒声を上げる。
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「ここは?」
「あの
「(マジでコイツ特級かよ?)」
「!? って事は食べられたの!?」
乙骨を見てフッとある事を思い出す。
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「アナタ呪いに守られているんでしょ? なのになんで何もしないのよ」
「里香ちゃんがいつ出てくるか僕もよく分からないんだ! それよりコレどうするの!?」
「はぁ……使えないわね」
「時間がきて『帳』が上がれば助けーーそうだ! 蓮兄!!」
虚空に向け、義兄の名前を呼ぶ。
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「〖悪いけど何もしないよ、君達がしているのは呪術実習だ。
僕が手助けしたら意味がない、自分達で切り抜けなさい。その子達を助けるためにもね〗」
晴蓮と話していると後ろから「助けて」と声が聞こえてきた。
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「!?」
「拐われた子供達ね」
「良かった、生きてた」
「よくねぇよタコ、ちゃんと見ろ」
「大きい子も呪いにあてられているわね、2人共いつ死んでもおかしくないわ」
「そんな! じゃ、じゃあどうすれば!!」
「これは実習だから兄さんは何もしない、でも私達ではどうにも出来ない……アレもたいして効いていなかった。(もう一度使う? あっちなら効くかもしれないわね)! 真希、アンタ大丈……夫」
考えていた時にある事を思い出し真希を見る。
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「加茂さん?」
「しまった! 真希! 早くあの呪具を使って!!」
「わりぃ真依、喰われた時に足……切れた。体が動かない」
「! どこ!!」
「あ! ここです!!」
乙骨に言われた箇所を見るとジュグジュグと呪いに蝕まれていた。
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「………」
「の、呪いがかかっているんですかコレは!?」
「そうよ………。(もう私達では無理……やっぱり兄さんに助けてもらうしか……)」
晴蓮に助けを求めるか考えていると子供が「お姉ちゃん死んじゃうの? ねぇ……助けてよお姉ちゃん、お兄ちゃん!!」
「(ここはかけるしかない)」
「そんな事言ったって」
乙骨の肩を掴み問いただす。
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「アナタは……ここに何をしにきたの……呪術高専に!」
「そ、それは……」
言葉が続かなかった。自分がここ……呪術高専に来た理由、それはーー
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「アナタにはこの状況を打破出来る力を持っているわ。もう一度聞いてあげる。
何をしにきたの、何が欲しいの、何を……何を叶いたいの!!」
生唾を飲み込み自分が何をしたいのかを話す。
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「僕は……もう、誰も傷つけたくなくて……それで閉じこもって消えようとしたんだ。
でも……加茂さんに1人は寂しいって言われて……何も言い返せなかったんだ。誰かと関わりたい、誰かに必要とされたて、生きててもいいって自身がほしいんだ」
「なら、祓いなさい。呪いを祓って祓って祓いまくるのよ。自身も! 他人も!! 後からついてくるのよ!!
真依に叱咤激励され、襟元に着けていた指輪をブチッと引きちぎり、覚悟を決める。
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「里香ちゃん」
「『なぁに?』」
左手の薬指に指輪を嵌めて呟く。
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「力を、貸して!」
その瞬間、特級
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「イ"、ア"ァア"ア"ア"!!」
「あ……おぉお? だァれぇ??」
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「う"う"う"、う"るざい!」
「凄まじいね、これが特級過呪怨霊、祈本里香の全容か」
五条が独り言を言っていると隣にフワリと誰かが現れる。
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「本当にね、予想以上だ」
「あ、やっぱり来たんだ」
「そりゃあね、可愛い妹達の初陣? だよ。いよいよ以て危なくなったら助けるつもりだったからね。
まぁ、その必要はなかったみたいだけど」
今もなお帳の中で
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「アンタもっと早く歩きなさいよ」
「分かってるけど、2人を抱えて歩くのはキツイんです。加茂さん……真依さんは先に行ってください」
「そうするわ、後で戻ってくるからそれまで頑張りなさい」
「は、い」
真希を背負う真依を先に行かせ背中に1人背負い、両腕で抱き上げるように子供を1人持ち上げ牛歩の如く足を動かす。
その後ろで
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「はぁ、はっ……ん、ぐ………皆、もう少しだから! (早くこの子達を先生に診せなきゃ!
元々体力の無い乙骨憂太が小学生とはいえ高学年とおぼしき子供達……しかも1人を背負い1人を担げば当然重い。更に気を失い脱力しているため重さは増している。
それでも、覚悟を決めた乙骨憂太は震える足を一歩、また一歩と歩を進め更に自分に発破をかける。
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「ここで! 変わるって! 決めたじゃないか!!」
その時、聞き慣れた、されど二度と聞くことの出来ない声が耳に届く。『頑張れ、憂太』と、あの子の声が聞こえた気がした。
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「うん。頑張るよ!!」
「お疲れ様、よく頑張ったね。中々根性あるじゃないか」
先に帳の外に出て義兄の姿を見て気が緩んだのか気を失っている真依と真希は、晴蓮の足元に浮遊している
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「どうするハル、病院?」
「子供達と乙骨君は病院に連れていこうか」
「その2人は」
「僕が治すよ。じゃあね悟君、先に高専で待ってるよ。
晴蓮の言葉を聞き体を震えさせると2人を少し撥ね上げ、
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「後はよろしくね」
「バイバーイ。さて、病院行くか」
子供達と乙骨を術式で器用に浮かしそのまま病院へと向かう。
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「問題ないってさ子供達」
付け加えるように「あ、真希達はハルが連れて帰ったから心配しなくていいよ」と言った。
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「よかった……」
「何か、スッキリしない顔だね」
「……初めて自分から里香ちゃんを呼びました」
「そっか、一歩前進だね」
「それで……少し思い出したんです」
昔、小さい時に祈本里香とした大切な約束を思い出す。
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「………もしかしたら、里香ちゃんが僕に呪いをかけたんじゃなくて、僕が里香ちゃんに呪いをかけたのかもしれません」
「これは持論だけどね、愛ほど歪んだ、そして透き通った呪いはないと思ってる」
「先生、僕は呪術高専で里香ちゃんの呪いを解きます」
「頑張ろうか。何、僕もいるしハルと傑もいる。どうとでもなるさ」
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「ご感想は」
「〖恐ろしいの一言だ〗」
「〖アレが特級過呪怨霊の全容か〗」
「〖僅か422秒の完全顕現であれ程とは〗」
「はい。とても強力な戦力です」
「〖君にアレを扱いこなせるのか?〗」
「して見せましょう」
「〖期待しているぞ、加茂晴蓮〗」
「ありがとうございます。ではこれで、失礼します」
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「どう?」
「順調だよ、所詮人形だ。僕の意見は通る」
「ははは、相変わらず蓮は怖いね」
砕けた口調で2人の会話に近づく人影があった。
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「よっ、傑。そっちは」
「私の方も順調だよ。蓮のお陰でゲロまず玉が改善されたからね、取り込み放題さ」
「それはいい報告だけど、僕がしてるのはあくまで錯覚、頼り過ぎないでね」
「分かってるさ、でも蓮のお陰なのは事実だ。それに、最近は
「それは何より」
夏油傑が長年抱え続けた呪霊の味の解消。今の夏油はソレから解放されている。
立役者は加茂晴蓮。晴蓮の術式で味覚から脳へと伝わる呪霊の味だけを遮断する事に成功した。その結果、今まで以上に呪霊を取り込みだし、今では特級呪霊を十数体も取り込んでいる。
夏油傑の戦力は右肩上がりだった。東京高特級3人組は名実共に呪術界最強として君臨している。
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「お、やってるね」
「やぁやぁ皆、調子はどうだい?」
五条に返事をしようとしたら『コンっ』と何かに殴られた。
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「余所見してんじゃねぇよ、さっさと構えろタコ」
「はい(きっつ!! コワイ!)」
「真希、あまりイジメてあげない。程々にね」
「へーい」
ボソリと「どこで育て方間違えたんだ?」と頭を抱える。
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「兄さんは悪くないよ」
晴蓮に近づき背中をポンポンと叩く。すると、はにかみながら笑い真依の頭を優しく撫でる。
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「(躱された! けど崩した!! 着地で捉える!!)」
しかしその攻撃は空振り「嘘ぉ」と情けない声が溢れ、体勢を整える間もなく足を絡めとられ倒される。
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「はい死んだ」
「だっ!」
「また私の勝ちだな」
「最後のいりました?」
「甘えんな、常に実戦のつもりでやれ。
2人の実戦式稽古を見ていた晴蓮が同意するように「それはそう」と声をあげ、暫く後に「………あ、これのせいか」と1人納得した。
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「昔あのゴリラや蓮兄にしこたま
「強くなるには必要だし」
「やり過ぎたんじゃないか?」
「イヤ……どうだろう、セーブはしてたつもりだけど………」
「ハルのセーブは機能してないでしょ」
「それ酷くないかな悟君」
学生時代と同じように笑いながら「事実じゃん」と晴蓮に言う。
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「はーい集合。そこの2人は引き続き鍛錬してもらって。棘、ご指名、君に適任な
「しゃけ」
「ご指名?」
何も知らないため純粋な疑問が口をついて出る。
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「棘は1年で唯一の二級術師。単独での活動も許されてんの」
それをパンダから聞き「へぇー凄いなぁ」と感心している中、真希は「オマエ特級じゃん」と内心愚痴を溢していた。
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「憂太も一緒に行っといで、棘のサポートだ」
「サポート……」
「どちらかと言えば見学だね。呪術は多種多様、術師の数だけ祓い方があるんだよ」
「そ、特に棘の呪言はそのいい例だ、しっかり勉強しておいで」
その中、誰にも知られないよう式神を通じて真依に指示を出す。
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「『真依、君も付いていって』」
「『! 私が?』」
「『イヤなモノを視てね、あの呪具を使って隠れて付いていって欲しい。勿論足は貸すよ』」
「『分かった、完全装備で行く』」
「『助かるよ』」
「呪いを解くなら先ず呪いを知らなきゃね」
唐突に言われた狗巻棘への指名任務への同行に「初めての実戦……あぁ小学校を入れれば2回目だ、緊張するな……」とオドオドしながら歩いていると後ろから肩を叩かれる。
━
「しゃけ」
まだおにぎり語が分からないためか、狗巻の言動が理解できず機嫌を損ねたと思い反射的に謝ってしまう。それを見た狗巻は複雑な心境だった。
━
「憂太、ちょっとこっち来て」
「はい」
「悪いね今回引率出来なくて。でも、ま、本来棘だけで足りる仕事だから気楽に行きな。それに……」
誰もいない所に視線を向ける。
━
「それに? 何かあるんですか」
「や、こっちの話だから気にしなくていいよ。(ハルが寄越したんだ、何かあるんだろうけど……真依が居れば大抵の事は大丈夫っしょ)君が気をつけるのはただ1つ。
里香を出すな。前回みたいに運よく引っ込んでくれるとは限らない、里香の力は刀に納まる範囲で使うこと。
まぁハルが上の連中を黙らせるけど念のためにね」
「分かりました」
「じゃ、行ってらっしゃい」
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━━━━━━
「到着です。ハビナ商店街、現在はほぼシャッター街となってます。
ここら一帯を解体して大型ショッピングモールを誘致する計画がありまして、その視察中に低級の
任務の内容を説明していると狗巻の姿が無かった。
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「って、アレ!? 狗巻術師!?」
どこに行ったか探していると商店街の薬局から出てきた。
━
「何、買ったの?」
そう聞き狗巻は買った物を見せてきた。
━
「のど薬?」
ソレは狗巻にとって大事な物であった。
━
「要は金をかけた建物に曰くが付くと後々面倒なので、今のうちに祓ってくれとの事です」
「しゃけ」
「では、帳を下ろします。ご武運を」
伊地知の手によって帳が下ろされ
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「
「明太子」
話していると誰もいない筈なのに周りから声が聞こえてくる。
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「え?」
目に映ったのは魚のような
━
「とは言っても……幾らなんでも多すぎ………」
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「狗巻君!? そんなに近付いたら危なーー」
乙骨の言葉を聞き流し更に近付きーー
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「『
以前、実際に体験した呪言を思い出し
━
「(あの時は座っただけだけど……呪言ってこんな事が出来るの!?)」
━
「あ、そっか。もう終わりか」
「ズナ"マ"ヨ"」
何故か枯れた声が返ってきた。そこでさっき買っていたのど薬の事を理解する。
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「(凄い力だけど……それなりにリスクもあるんだな)」
「おかか!!」
「どうしたの?」
━
「あれ? 本当だ、帳が上がらない。これじゃあ出られないね」
何故、帳が上がっていない事に不思議に思っていると、後ろに突然
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「(何だこの
「ゾんーー」
「どいて!!」
その時、いない筈の真依の声が聞こえた。
━
「え? 何で!? ここーー」
乙骨の疑問をよそに発砲音が2回連続で響く。
━
「2人とも!! こっち!」
怯んだ
━
昔に造った呪霊にも通用する特殊な弾丸を撃てる拳銃。そしてソレ以外にも沢山の呪具を持っている模様。