その血が歩む道すじ:修正版   作:亞忌羅

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 遂に目覚めた呪いの王。止める事も遅らせる事も出来なかった。


七十一話

筈だった。

 

「ケヒ………ハハハハハハ!!」

 

 嗤い声と共に体に突き刺さる硬質化した血液の板を力ずくで破壊する。

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 アレを力ずくで壊すか! 馬鹿力め。

 

「ハハハ、よもや僅かであろうとも俺の動きを止めるか。全く、いつの時代も厄介なモノだな呪術師は」

「(クソッ! 最悪だ……最悪の万が一が出た!! 特級呪物が受肉した!! )」

「その体は返してもらおう、友人の忘れ形見なのでね」

「やってみせよ呪術師」

「そうさせてもらおう」

 

 両者の視線が合わさり、先に動いたのは……虎杖悠仁(・・・・)だった。

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「!!」

「ほぅ」

「あ?」「人の体で何してんだよ、返せ」

「オマエ、何故動ける」「? いや俺の体だし」

 

 虎杖は他人事の様に「アシュラ男爵みたいになってない?」と呟く。

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 ……やっぱりか、倭助さんからアレを渡された時に嗅いだ匂い(呪力)は勘違いじゃなかった。微弱な匂い(呪力)だったから何かの間違いだと思っていたけど、だとすると悠仁君には既に………だがどうやって。

 

「先生」

「なんだい」

「どうしますか」

「そうだね。

 ちょっといいかな、今の君は……悠仁君かな?」

「あ、師匠。コレどーなってんすか」

「どうやら悠仁君のようだね。

 さっき君は特級呪物、両面宿儺の指を呑み込んだ。その結果、両面宿儺は受肉した。んだけど……君は両面宿儺を抑え込んだ」

「へー」

 

 気の抜けた声で返事をする虎杖に「アイツ何も分かっていませんよ」と伏黒が言うと「まあ一般人だし、知らなくてもしょうがないんじゃないかな」と返す。

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「それでだね悠仁君。通常、呪物を摂取した人間は呪物に精神と肉体を奪われる。特に君が呑み込んだのは特級呪物と言われる、それはそれは最高にヤバい代物なんだよ」

「マジっすか、そんなヤバいんすかアレ」

「うん、そんなにヤバいんだよ」

 

 世間話よろしく「え、大丈夫っスか俺」や「んー何とも言えないかなー」と話し合っていると此処には居ない筈の人物の声が聞こえた。

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「あれ? 何でハルが居んの?」

「おや? 悟君じゃないか、どうして此処に?」

「いやー来る気なかったんだけどさ、特級呪物が行方不明ってなると上が五月蝿くてね。ハルが居ないから僕にお鉢が回ってきてさ、だから観光がてら来たってわけ。

 んで、ハルは何………あぁ、あの爺さんってこの辺りの病院に入ってたんだっけ」

「あ! いつも師匠にくっついて来る人じゃん。あれ? どっから来たの?」

「グッドルッキングガイの五条さんだっていつも言ってるでしょ、敬っても良いんだよ悠仁。…………何で悠仁が居んの?」

「此処、俺のガッコー」

 

 その言葉を聞き視線を伏黒に移すと無言で頷き、事の顛末を話す。

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「つまり、特級呪物は悠仁の学校に有って、悠仁がソレを拾って、オカルト研究会? てヤツの先輩方が興味をもって、今さっき特級呪物の封印を解いた……と。で? 呪物は?」

「悠仁君が呑んだ」

「は? マジで?」

「うん」

 

 虎杖の体をマジマジと見て「うっわ、本当に混じってる。ウケる」と言葉に出していた。

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「体に異常は?」

「特に……何も」

「………宿儺に変われる?」

「すく……何?」

「悠仁が喰った呪い」

「あぁうん、多分出来る」

 

 数回、虎杖とやり取りし晴蓮に「試していい?」と聞くと「ご自由に」と返された。

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「じゃあ10秒だ、10秒経ったら戻っておいで」

「え、でもさ」

「大丈夫。僕、『最強』だから。

 ハル、これ持ってて」

「……お菓子?」

「久喜福、それ美味しいよ」

「相変わらず甘いもの好きだよね」

「疲れるからね」

 

 雑談をしていたら、入れ代わった宿儺が五条目掛け攻撃を繰り出そうとしていたのを見た伏黒が「後ろ!」と叫んだ。

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「生徒の前なんでね、カッコつけさせてもらうよ」

 

 しかし、宿儺の攻撃を容易く躱し、振り向き様に裏拳を顔に叩き込む。

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「(速い? 違うな)貴様も呪術師か。だからどうという話でもないが」

 

 純粋な膂力で地面を砕き、瓦礫を五条に向かって吹き飛ばす。

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「7、8、9。……そろそろかな」

 

 しかしその瓦礫は五条に届かず空中に浮いていた。

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「(クソ! ……まただ! 乗っ取れない。この虎杖とかいう小僧、いったい何者だ!?)」

「おっ、大丈夫だった?」

「驚いた、本当に制御出来てるね悠仁」

「でもちょっとうるせーんだよな」

「その程度で済んでるのが奇跡なんだよ、悠仁君。後、悠仁君には悪いけど一応念のためにしておこうか。

 白く白く六識(ろくしき)は遠退き白に染まり地に伏す。封印術:白伏(はくふく)

 

 晴蓮が変わったリズムで足踏を3回して封印術を使うと、虎杖の周りに呪力の塊が発生し眼前で(はじ)ける。

 すると、体がふらつき意識を失い五条の方へ倒れこむ。

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「おっと。相変わらず何でも出来るよね、ハルって」

「色々と思い付くからね。思い付いたなら実践しなきゃ。

 じゃあ帰ろうか………その後に倭助さんの葬儀だね」

「今やる?」

「悠仁君が起きたらやろうか、じゃなきゃ意味ないしさ。

 遺体は僕の知り合いのお寺に預かっててもらおうかな」

「そりゃそうか。

 で、ここで恵にクエスチョン。彼をどうするべきかな」

「悠仁君が目覚めた時、宿儺に体を奪われていなかったら悠仁君は器の可能性が有る」

 

 気絶した虎杖を抱えながら伏黒に聞く。

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「……仮に器だとしても呪術規定にのっとれば虎杖は処刑対象です。でも、死なせたく有りません」

「私情?」

「私情です。何とかしてください」

「君にしては珍しいね」

「そう、ですね。でも……俺は死なせるのは嫌です」

 

 五条は晴蓮と目を合わせ笑みを浮かべる。

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「かわいい生徒の頼みだ、任せなさい。ハルが何とかするから」

「僕がやるの?」

「上の相手するのはハルの役目じゃん」

「好んでやってる訳じゃないんだけど、まあいいか。やっておくよ」

 

 面倒くさそうにタメ息を吐く。

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「んじゃ、よろしく」

「君も少しは手伝ってね、御三家の2人が言えば無理も通るでしょ」

「りょーかい」

「ありがとうございます」

 

 恵の肩に手を置き、「ま、何とかするから待ってなさい」と声をかける。

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「おはよう悠仁君」

「今の君はどっち(・・・)

「…………あー、ごじょーさんじゃん」

 

 寝ぼけ眼で周りを見渡し「此処どこ?」と五条に聞く。

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「此処は呪術高専に有る特別な部屋だよ」

「あ、師匠。呪術………!! 師匠! 加茂は!? 加茂恵って奴は!!」

 

 身を乗り出そうとしたら自身が拘束されている事に気が付く。

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「何これ……」

「ごめんね悠仁君。君には悪いけど拘束させてもらっている。

 寝起きが宿儺だったら困るからね」

「恵は問題ないから安心していいよ。今は君自身の心配をした方がいい」

「何で?」

「悠仁君。君の秘匿死刑が決定した」

 

 

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「てな訳で悠仁。死刑になった」

「回想と展開が合ってねーんだけど」

 

 気を失った後の出来事を教えられ、その上での死刑を告げられツッコむ。

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「いやいや頑張ったんだよ、主にハルが」

「師匠が?」

「これでも呪術界の重鎮だからね、意見を押し通したよ」

「んで、その結果死刑になった。それでも執行猶予を付けさせた、主にハルが」

「執行猶予……今すぐじゃねぇって事か」

 

 自分の処遇を聞きながら「てかごじょーさん何もしてないじゃん」と五条に言った。

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「一から説明しようか。

 君が食べたモノは今、悟君が持っている呪物と同じモノになる」

 

 ポケットからゴソゴソと呪物ーー両面宿儺なの指を取り出す。

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「そしてコレは全部で20本。ウチではその内の6本を保有している」

「20本? ああ手足で」

「ところがどっこい、宿儺には腕が4本あるんだよね」

 

 晴蓮が説明していると五条が指を放り投げ、術式を使い宿儺の指を壁に吹き飛ばすが、指はキズ一つついていなかった。

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「そんで見ての通りコレは壊せない。それだけ強力な呪いだ、そんで日に日に呪いは強まってるし現存の術師じゃ………ハルなら出来んじゃね?」

「………また今度やってみようか。

 とは言え封印が追いついて無いのも事実。そこで悠仁君の出番だ」

 

 指を鳴らし虎杖を見て、五条が理由を話す。

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「悠仁が死ねば中の呪い(宿儺)も死ぬ。

 うちの老人共は臆病でね、今すぐ君を殺せと騒ぎ立てた……んだけど、ソコをハルが変えさせた。『勿体無い』とね」

「勿体無い?」

「宿儺と言う強力な呪いを耐えうる器なんて今後生まれてくる保証はない、だからこう提言した。『どうせ殺すなら全ての宿儺を取り込ませてから殺せばいい』ってね」

「この提言で上は了承した、と言うよりさせた。僕は偉い立場に居るからね」

「で、だ。悠仁、君には2つの選択肢がある。『今すぐ死ぬか』それとも『全ての宿儺を見つけ出し、取り込んでから死ぬか』のね」

 

 

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「どうすると思う?」

「悠仁君かい?」

「そ、俺だって短くない付き合いだ。何となくではあるけど分かっているつもりではある。

 でもハル程じゃない、だからハルに聞きたい」

「彼は後者を選ぶだろうね」

「その心は」

「彼が倭助さんの孫だから」

「はは、成る程それは納得出来る答えだ」

 

 虎杖倭助と言う人物は、悪態を吐きながらも呪霊に襲われる人を助ける人物であったため、『虎杖倭助の孫である』この一言で納得出来てしまう。

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「んでさハル」

「うん? 何」

「悠仁の未来。どこまで視えんの」

「羂索以上に何も」

「マジかよソレ」

「残念ながらね。ただ一つ言えるのは……彼は呪術界の台風の目になる。良くも悪くもね」

「台風の目、ね。………呪いの王……か」

 

 お互いが口をつぐみ、2人の間に沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは先輩のお見舞いを終えた虎杖だった。

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「戻りました」

「お帰り、どうだった」

「多分、問題無いっす」

「そうか、じゃあ行こうか。お葬式」

「ウス」

「どーやって行くのさハル」

「もうそろそろじゃないかな」

 

 話していると3人の前で車が止まり中から伊地知潔高(いじちきよたか)が出てきた。

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「お待たせしました」

「いいや、時間ピッタリだよ伊地知君。

 さて、彼の運転で向かおう」

 

 

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「このお寺の住職は僕の友人でね。倭助さんの遺体を建人達に頼んでここに運んでもらったんだ」

「ハルって本当に顔広いよね」

「まあ色々してるからね、自然と人脈が出来ていくのさ」

「久し振りかな晴蓮君」

 

 そこに七条袈裟を着た住職が本堂から出てきた。

 ━

「お久し振りです海賢(かいげん)和尚」

「加茂先輩、ずっと見ていました(・・・・・・・・・)

「ありがとう建人」

「知り合いの葬式ってこんなに辛いんですね晴蓮先輩」

「雄。その感覚を失くしてはいけないよ」

「はい」

 

 寺に集まっている人数を見て虎杖はあんぐり口を開け、立ち尽くしていた。

 ━

「爺ちゃんってこんなに友人? 居たんすね」

「倭助さんには色々とお世話になったからね。僕も、皆もね」

「あの爺さん何気に強いよね、一度手合わせしたけどやりずらいのなんの」

「それな。おじーさん強すぎ、体術だけであんなに強いとかダメじゃん、術式使ったらもっと理不尽レベルで強いとかさー」

「私の神風(バードストライク)を防ぐんだ。強いに決まってる。

 五条君と加茂君ぐらいしか居ないと思ってたところにアレだ」

 

 予期せぬ声が聞こえ振り返る。

 ━

「冥冥さんが来るとは、珍しいですね」

「私だって知り合いの葬式くらい来るさ、お爺さんとは加茂くんの次に付き合いが長いんだからね」

「フィロ(おう)……あの人の術式は反則的なモノですから、仕方ないんじゃないですか」

「とは言えだよ夏油君、あんな方法で防ぐのはズルだ」

「倭助さんの術式は八百万信仰からくる術式ーー神道・鬼道に近いモノだと僕は思ってます。何せーー」

 

 言葉を遮るようにまた、新たな訪問者が来る。

 ━

「おう晴、まだ始まってねぇよな」

「うっぷ………気持ち悪い……」

「なんや、だらしない」

「私はね、あんな速さに馴れてないのよ」

 

 更に増えた人数と見知った顔が居るのに驚く。

 ━

「ゴリラのおっさんと師匠にくっ付いて来るアニメの人じゃん。と、どちら……様?」

「ゴリラでもねぇしおっさんでもねぇ、殴んぞ」

「避けるので手一杯だからヤメテ」

「アニメ見んのは親父や、俺やない。……たまには見るけど」

「ふーん。それでえーと………」

「私は庵歌姫。あなたのお爺さんにはお世話なったのよ」

「爺ちゃんに? ………師匠」

「……何かな」

「爺ちゃんってさ……呪術師だったの?」

 

 虎杖の言葉に誰もが言葉を詰まらせる中、晴蓮が口を開く。

 ━

「うん。倭助さんは呪術師だった」

「爺ちゃんが………」

「倭助さんフリーの術師でね、どこにも属さない呪術師だ」

「そっか……」

「基本的に倭助さんは僕の頼みで動いてもらっていたんだ」

 

 虎杖が何かを言う前に「要はコイツの駒だ、駒」と甚爾が言う。

 ━

「そうかもしれませんが、言い方には気を付けてくださいよ」

「事実だろ。俺も似たようなもんだしな」

「………まあ否定はしませんが。腐ったミカン共を相手取るには僕の指示で動かせる術師が欲しかった。

 その時に倭助さんと出会ったんだ」

「それで……爺ちゃんが呪術師に?」

「うん、倭助さんには素質があった。だから呪術師になってもらったんだ…………人道的とは言えない方法でね」

「ハル、何それ聞いてないんだけど」

 

 誰にも言っていない事を失念しており、「あっ」と声を出した。

 ━

「ハ~ル~」

「……あっはっは。まあなんと言うか、その、ね。聞かなかった事にしてくれないかな」

「無理でしょ」

「流石に聞き流せないよ、蓮」

「晴蓮くん何したの」

 

 五条は別として常識人の夏油? と庵に詰め寄られ、言わずにはいられなかった。

 ━

「……葬式が終わった後にお話しします」

「そうね、先に虎杖さんのお葬式が先ね。でも、ちゃんと話してね」

「……はい」

「あっはっは。天下の加茂晴蓮にも敵わない者が居るとはね、良いことを知ったよ」

 

 冥冥の愉しそうな笑い声が寺に木霊する。

 ━

「愉しそうですね」

「これが笑わずにいられるかい」

「ハァ、口を滑らせた」

 

 

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 ━━━━

 

 ━━━━━━

 

 ━━━━━━━━

 

「納骨は後でお墓を決めてからしようか悠仁君」

「ウス、お願いします」

「晴蓮くん」

「話します。話しますので落ち着いてください」

 

 一つ咳払いをし、虎杖倭助の事を事細かく話し始める。

 ━

「倭助さんと出会ったのは高専に入る前の事です。きっかけは総監部からの指示で仙台へ行った時でした。

 その時、例の呪詛師と初めて会敵したんです」

「例の? ……蓮、まさか」

「そのまさかだよ。最も、高専襲撃時とは違う姿でしたが」

「どんな姿だったん」

「………写真が有るけど、見る?」

「当然」

「見せて、晴蓮くん」

「ふぅー……この人です」

 

 そう言い、ポケットからとある人物(・・・・・)の写真を取り出す。

 ━

「見たこと無い人だね」

「誰だよコイツ」

「どことなくだけど、お爺さんに似てるね」

「ええ、そうでしょうね。悠仁君、君は分かるかな」

「んー…………分かんないっす」

「……君の父親だよ、悠仁君」

 

 晴蓮の言葉に誰もが驚き、誰もが何も言えなかった。

 ━

「虎杖君の……父親……」

「その事を知ったのは倭助さんの家に行った時だね。この写真が伏せてあった、それで気になってね見させてもらったんだ。そしたら……ってな感じでね」

「マジかよ」

 

 耳を疑う晴蓮の言葉に「俺の……父親……」とボソリと溢す。

 ━

「その時には既に悠仁君は生まれていた、まあ1・2歳だったけどね。

 アイツが悠仁君に関わっているのかは分からない、でも、関わっている可能性が高いのは事実だ。

 いつ、どこで、どうやってこの人に入れ変わったのかも分からないし、あの後どうなったのかも分からない。ただ言えるのは、襲撃時までには入れ変わっている」

「なあハル。ハルはアイツと何年か一緒にいたんだよな? その何年間で体が何回変わったのか知ってんじゃねーの」

「……1人目は小原周防(こはらすおう)(ゆかり)さんの友人です」

 

 その名前を聞き苛立ちを隠せなかった甚爾は晴蓮の胸元を掴み、持ち上げる。

 ━

「晴。何で言わなかった」

「言ったら襲い(殺し)に行くじゃないですか、そんな事したら僕の計画が水の泡ですよ。だから言わなかったんです」

 

 確かにあの時にこの話を聞いていれば何をしてでも探し、見つけ出し全力で殺しにかかるだろう事を自覚しているため、何も言い返せなかった。

 ━

「あの時点で気付かれたくなかった、アイツは常に警戒していました。僕の術式の影響下にいながらです」

「蓮の術式にかかっていても警戒を解かなかった、末恐ろしいね」

「お陰で僕も慎重にならざるを得なかったよ。アレだけ練った計画でも最後は逃げられた、本当に困ったものさ」

「あの呪詛師の事は分かったわ晴蓮くん。

 今聞きたいのはお爺さんをどうやって呪術師にしたのかを教えて」

 

 話を逸らそうとしたが、庵が本来の質問に戻す。

 ━




 オサレ死神漫画に出てくる白伏(はくふく)ですが、封印術にします。一時的に意識を封印する的な感じで。

━━
 フリーではあるものの呪術師として活動していたため、原作と違い友人が沢山居ます。
 ですが、呪具(仮面)の影響があるのでフリーの術師『フィロ』の正体を知っているのは晴蓮に近しい者達しか知りません。
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