「それでは行ってきます。どんな呪霊なのか、どんな術式なのかを確認してきます。先輩、待っててください」
そう言い晴蓮の隣を通り過ぎ晴蓮が視た
しかし「そうですか、では先輩が視た私が負傷する未来を変えて、帰って来ます」と答えそのまま判明したアジトへと向かって行った。
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………クソがッ! 分かってる、悟君の術式を知られた以上、俺を含めた他の特級術師の術式が知られる事を避けるのが良いのは分かってる。
だから建人だけで行くのがベストなのは分かってる。死ぬ事はない。だが呪霊の術式を喰らい、逃げる選択肢を取らざるを得ない。
………だがまだ希望はある。俺は今まで何度も
俺に出来るのは後者になる事を願うだけしか出来ない、こんなに歯痒いのは初めてだ。
……二人に、連絡するか…………ああ学長にも伝えないとな、視れない呪霊は捨て置けない。
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「今度は黒塗りで視れない呪霊が現れた、か」
「黒塗りで視れ無かったのって悠仁だっけ?」
「そうだね」
「また新しい呪霊、か……」
「その黒塗りの呪霊が今回の変死事件の犯人で間違いないんだな?」
「現段階で推定犯人ですかね、黒塗りで何も視えないので断言できません。が、逆説的に考えると『黒塗りの何かが視える』ので九分九厘そうかなとは」
「改造させられた人の遺体は私も見たが、常軌を逸した術式だと思ったよ」
「なぁ、ハル」
「うん? 何」
「硝子は?」
いつもの晴蓮なら自分自身を覗いた同期三人、そして夜蛾を含めた四人を集め話し合うのが常なのだが……。
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「硝子は
「てっきり終わったモノだと思ってたけど、まだ何かあったと?」
「うん、調べたい事が出来たって」
「硝子働き過ぎでしょ」
「あっはっは、どうやら僕が
あっけらかんと言いながらカラカラと笑う様を見て五条は「また変な事したんだな」と内心で思ったものの、さして興味がないのか何も言わずにいた。
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「家入は呪霊とは戦う事は出来ん、詳細は後で話すとしよう。
加茂、お前は報告は二つ他有ると言っていたな。もう一つはなんだ」
「建人が悠仁君と行った任務は本来的被害者が見つかった映画館の調査です。その映画館には被害者と同じ高校で、同級生の少年が居たそうです。
その少年の名前は
「元?」
「どーゆー意味それ」
「そのまんまだよ、この少年は黒塗りの呪霊の手によって呪術師に成ったんだ」
「あり得ん、そんな事が出来る呪霊なぞ聞いた事が無い」
「ハルと同じ事が出来んのかよ」
「イヤ、僕とは少し違う」
「違う? どんな感じで違うんだ?」
「僕のより
僕のやる『非呪術師を呪術師』にする術式を簡単に言うと『別世界の同一人物の脳の構造を参考にして、この世界の同一人物の脳を『
「分離して、結合させる?」
「んーとね、先ず前提として『脳』と言う臓器は全ての世界、全ての次元の誰であっても『脳の構造』同じなんだ」
「は? 『脳の構造』が違うから非呪術師なんだろ」
「そう! そこなんだよ。そこが間違いの、勘違いの重要なポイントなんだ」
晴蓮の言っている事が理解できず、頭を傾け「意味分かんねぇんだけど」と直球に返す。
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「よく言われる『脳の構造が非術師』ってのは『術式を持っていても呪力操作が出来ない人物』と思われてる」
「思われてる? 違うのかい」
「『脳の構造が非術師』が違う、コレは非呪術師の証だ。加茂、それが呪術師と非呪術師の区分だ」
「何度も見てきたから気づきました」
「見てきた?」
「僕はこれまで数多くの、どちらの人達を何人も『術式を
今までは『非呪術師』とは『呪力操作が出来ない者達』である、その理由は何故か? それは『術式が刻まれていても呪力操作が出来ない脳の構造をしているから非呪術師』である。
呪術師と非呪術師の区分は『
まあこれまでも脳の構造を調べていて『呪術師』と『非呪術師』は『脳の構造』が違うとされてきたんだと思うけど、僕が見てきた限りでは違いは無かった」
「ならどこが違う、加茂は今までの通説を否定している」
「ええそれはもう、真っ向から否定してやりますよ。ハッキリ断言しましょう、今までの区分は間違っている。
硝子もそうですよね。硝子には術式がありません、でも呪力操作が出来る。だから『呪術師』だと認定されている。だが違う、呪術師と非呪術師の違いは『脳の構造』ではなく、『
「ソレ聞けて安心したわ」
「流石の僕でも硝子には出来ないよ」
「それは嬉しいけど、
「それはね呪術師と非呪術師の違いは『
先ず呪術師とはどのような人物を指すのか、それは呪力の通る回路が術式に綺麗に繋がってるから術式が使える、或いは呪力が通る回路が綺麗に整っていて全身に通っている。その結果として『呪力操作が出来る』から呪術師である。
なら非呪術師とはどのような人物を指すのか、その理由は幾つか有りけど大きく分けて二つ。
一つ目は術式は刻まれているけど、呪力と術式までの回路が繋がっていない、だから上手に呪力を流せていないから術式が使えない。
まあそれを呪力操作が出来ないって言うんだけどね」
「やっぱ同じじゃねぇか」
「二つ目の理由は?」
「二つ目は呪力が通る回路も術式も綺麗に『
「術式が……綺麗に完成して、いない……」
「でもさハル、術式は
「それがそうでも無いんだよ。術式は
「
「こっちの例は悠仁君………宿儺と羂索だね。
悠仁君の身体には術式は刻まれていない、だけど宿儺に変われば悠仁君の肉体でも術式を使える。
同じ様に羂索も移り変わった肉体の術式が使える、それはおかしくない、何故なら肉体に刻まれているのだから使える。
でもね、アイツは
「はぁ!? あり得ねぇだろ、
「うんまあそうだね、一般的な術師なら一つだし、一つで充分………と言うより基本的に一つが限界だね。
「ん?
「イヤ、何も。
話を戻すけど、悠仁君は肉体に生得術式が刻まれていないから、術式を使えない。だけど宿儺に変われば宿儺には生得術式が刻まれているから使える………この時点で矛盾している。
宿儺が使っている肉体は悠仁君の肉体だ、なのに宿儺は術式をつかえているんだからね。
悠仁君が呪力操作が出来る様になったのはここ最近だ、少年院に行った時は一般人と大差ないどころか一般人と同じレベルにも関わらず、入れ替わった宿儺は問題なく術式を使ってきた、これは直接戦って使ったのを
「そんな事、あり得るのか?」
「悟君は以前僕に言ったよね、悠仁君は
「ああ言ったな」
「その理由は?」
「宿儺の術式が悠仁に刻まれるからだな」
「どうやって?」
「そりゃあ宿儺な指喰って……ん、だか……ら………。そうか、そうだわな、呪物を喰って受肉したら呪物が持ってる術式が使える様になる。
それは悠仁が例外だからじゃない、悠仁が例外なのは
指をピッと立て「そう、その通りだよ悟君。人は誰しも
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「………五条と加茂が言う事は事実だ、呪物を呑み込んだ者が
だが、それは元の人物の
「呪物を呑み込んだからといっても必ずしも肉体が変わると言う訳じゃないんですよ、
「まるで見てきた様に言うな」
「
晴蓮の物言いに三人が訳が分からず、五条が体表したかの様に「ソレどう言う意味?」と聞くが「また今度ね、今は関係ない」と軽く流されてしまう。
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「ここで戻ってくるのが『脳の構造が非呪術師』と言う文言は『術式は刻まれているが、呪力を扱えない』から非呪術師と言われている人達。
なら『脳の構造』を何かしらの方法で組み換えてやれば術式が使える様になる。
このやり方をしているのが変死事件の犯人である黒塗りの呪霊だね、勿論この程度なら僕にも出来る、と言うよりこっちの方が比較的多いかな。やり方もそこまで難しく無いし痛みも殆ど無いから手早く出来る。
ではもう一つの方法……それは『術式も無い、呪力も扱えない』人物の『術式の
「どうやんの」
「じゃあ今からどうやって『術式を
ああどうせだし紙に書き出しながらした方が分かりやすいかな」
そう言い、いつも腰に付けているバッグから紙とペンを取り出し、箇条書きにしていく。
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「一つ目、『別世界で呪術師をしている同一人物の脳の構造配列を観測し覚える』。
二つ目、『この世界の同一人物の脳をバラバラに『分離』させる』。
この二つはさっきも言ったヤツだね、次からが結構重要になってくるんだ。
三つ目、『バラバラに『分離』した脳を別世界で呪術師をしている同一人物の脳と同じ様に設計し、配置し『結合』する』事で、呪力の通り道と
四つ目、今度は違う術式『
術式が無い『脳』と『
黒塗りの呪霊は僕の様に0から1にするモノではなく、1=1にしていると思うんだけどハッキリ
「そんな事をすれば廃人になる筈だ」
「以前も言ったと思いますが廃人になる事も有ります、なので術式を使う前に全ての工程を開示して、更に縛りを科し成功率を上げるんです。そうすれば
「100%成功するのか?」
「99.9%ですね」
「100%じゃねぇの?」
「何事も100%はあり得ないんだよ、まあでも基本成功するから問題は無いさ」
晴蓮が
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「改めてやり方の詳細を聞くと恐ろしいし酷い事をしているね」
「そりゃ確かに下道がする事だな、少なくとも高専所属の呪術師がやる事じゃねぇよハル」
「幾ら呪術師が増えるとは言え、私としてもそんな事をしてまで増やすのは反対だ」
「僕だって出来ればヤりたく無いですって、呪霊の被害者が減ればしませんよ。減ればの話ですが」
「…………日本国内での怪死者・行方不明者は年平均一万人。その殆どが
呪術師の家系は少なく、一般人が術式を持ち尚且つ呪力を操れる者は更に少ない」
「私の様な呪術師は稀有な例、更に乙骨君の様な存在は
「だから僕の様な存在が必要なんだ。
僕は立場を利用して国内外飛び回り在野の呪術師を探した、その結果として僕達の学生時代に比べれば高専に登録された呪術師は約二倍から三倍は増えた。
その中の
「なんでハルそこまですんだよ」
「………そうだね、ある種の責任を感じているのかもしれないね」
「責任? なんでハルにそんなんが有るんだよ」
「総監部の殆どは加茂家の出身だ、しかも頭は相伝や古式ゆかしい呪術を取り上げて喜ぶ凝り固まった古臭い連中だ、奴らのせいで何人もの術師が死んでいった」
「それは、信じ難い話だけど……本当なのか?」
「本当だとも。彼ら総監部は現代的に進化してニューテク化した術師、術式をとことん嫌ってる。
最たる例が現代的な術式を使う秤君や
「そんな事をすれば死ぬのは分かりきっているのに何故」
「理由なんて一つだよ『嫌い』だからだ、総監部の人間も保守派の人間も現代的な術師は嫌いなのさ、任務を完遂すれば『そうか』で終わり、失敗して死んでしまえば『そら見た事か』と
「だった? だと? 何故過去形なんだ」
「それは、ほら、アレですよアレ」
「ハッキリ言え」
「あー、えー………こう、『グッとやってパッと』やるとあら不思議、脳に蛆の湧いた阿呆どもの脳ミソがパァンと弾けて消えるんですよ」
「……どう言う、意味だ」
「ハルお得意の暗殺呪術だな」
「何!?」
「あっはっは、暗殺呪術とは酷い言い方するね。『綺麗な呪術行使』と言って欲しいかな」
「待て待て待て! お前達は何を言っているんだ」
いきなり物騒な事を言い合う晴蓮と五条の物言いに慌てふためき二人を交互に見る。
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「ハルがしたのは掃除ですよ学長。そ、う、じ」
「そうだね、端的に言えばここ数年掛けて腐ったミカンを取り除いたんですよ、凡そ八割方は」
「
「イヤー、昔に比べたら総監部も綺麗になっよね、偏見が無くなってさ。
だから僕としては秤君と星君に帰って来て欲しいんだよね、二人にはラブコール送ってるんだけど
「………加茂が何をしたのかは聞かん。だが一つだけ聞きたい」
「なんでしょうか」
「お前はどこからどこまでやっている、どこまで関わっているんだ」
「それはもう聞いているモンですよ」
「はぁ、そうか」
頭を抑え「分かった」とだけ呟いた時、ふと思い出したのか晴蓮が口を開く。
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領域名に
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話が、話が違うじゃないか、こんな話旧版にはないぞ!?どうしてこうなった。
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脳の構造云々が難し過ぎて私の脳がパンクした、ワケわからん。誰がこんな事をした、私ですねハイ。
自業自得過ぎて何も言えないですわ。