その血が歩む道すじ:修正版   作:亞忌羅

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 もう修正版から新生版に変えようかな。


八十五話

「ああそうだ、黒塗りの呪霊で思い出したのでもう一つ起きる問題も言おうかな」

「まだ問題が有るのか」

「それも超弩級の爆弾です」

「何が起こる」

「京都姉妹高交流会の時に呪霊の集団に襲撃されます」

 

 耳を疑いたくなる程の爆弾発言を聞き夜蛾は「なんだと!! 本気で言っているのか!」と、無意識に大声で叫び、耳を塞ぎながら「こんなタチの悪い嘘なんてつきませんって」と答えた。

 ━

「何かを視たんだね」

「うん、倭助さんの葬式の時にね。

 未来視(世界視)の天与呪縛を開示して無理矢理の上ギリギリだけど、なんとか僕自身の未来(世界)が視えた」

「そう言やぁそんな事してたな、んで、何が視えたのよ」

「黒塗りの呪霊を含む正体不明の呪霊集団及び、呪詛師による高専襲撃、一日目の団体戦会場に複数の呪霊が乱入して暴れまわる。

 会場に来るから当然生徒達が呪霊と戦う事になるんだ、しかもその襲撃には黒塗りの呪霊がとある場所に現れる」

「被害は」

「このまま順当(・・)に進めば被害は最小限で済みますね、生徒達は重症を負う子が何人か出ますが死者は出ないのでその辺りは……まぁ、良い未来(世界)ですね」

「呪霊と呪詛師が協力して襲撃? 本当にそんな事が?」

「確実に来る」

「順当に進まなかった場合はどうなる」

「二つ有りますが、どちらから聞きたいですか」

「無論両方聞くが後で聞く」

「では心の準備をしておいてください」

「…………分かった。

 なら襲撃を成功させなければ駄目と言う訳か。順当に襲撃……と言うのもアレだが加茂が視た未来(世界)を可能な限り話してくれ」

「襲撃場所は二つ。

 一つ目は団体戦会場、二つ目は東京高の忌庫(きこ)です。

 なので恐らく襲撃者達の目的は呪物の強奪ですね、呪霊が会場を襲うのは僕達教師陣を会場に集めるのが目的かと」

「会場に意識を向けさせ、その隙に忌庫(きこ)に行くのか、目的は………宿儺の指か」

「それも狙われますが本命は違うみたいですね」

「宿儺の指が本命じゃない? 襲撃してくる呪霊達は宿儺を完成させたいんじゃ無いのか?」

「それも目的としては有るけどそっちは二次目的、主目的は特級呪物を盗む事だ。する事なんて言わなくても分かるよね」

「受肉か、何を受肉させるのかは視えたのか」

「………特級呪物ーー『呪胎九相図(じゅたいくそうず)』の受肉です」

「ハル、それマジで言ってる?」

「残念ながら大マジだよ。呪霊の集団は呪胎九相図(じゅたいくそうず)を奪い、そう遠くない未来(世界)で受肉させてる」

「いつ受肉させるのかは視え無いのか?」

「それが困った事にノイズが酷くてハッキリとは視え無かったんです、ただ呪物は三つは有りました。なので全部盗む訳じゃ無さそうですね」

「三つ、か。宿儺の指は何本盗まれる」

「悟君、東京高の忌庫(きこ)に封印されてる宿儺の指って六本で良いだよね?」

「それで合ってる」

「頑張って妨害が成功すれば半分……なので三本までは減らせます」

「妨害出来るのか? そんな事をすれば未来(世界)が変わるだろう」

「その辺りは襲撃側も想定しています。

 何せ高専には僕が居るのを知ってますので、襲撃側の呪霊も僕が未来(世界)を視た事を知った上での襲撃です」

「私は宿儺の指は知っている。けれど呪胎九相図(じゅたいくそうず)と言うのは知らない。二人とも呪胎九相図(じゅたいくそうず)とはなんなんだ?」

「加茂家が長年封印していた呪物を天元様のお膝元である忌庫(きこ)へと持ってきて封印・保管を強化する為に移した。と言う事は知っているが……それ以前の事、来歴は私も知らんな」

「ええまぁ、そうでしょうね。

 加茂家にもあまり記録は残されていませんでしたから」

「そうか、加茂家に有ったんだから(れん)に関係が有ってもおかしく無いのか」

 

 顔を歪め渋い表情をしていたのは晴蓮ではなく、何故か五条がして「ハル」と声を掛け「知っていおいた方が良い事も有るんだよ悟君」と嗜める様に返答する。しかし、特級呪物『呪胎九相図(じゅたいくそうず)』の来歴を知っているのか、醸し出されるその気配は『無理するな、言わなくて良い』と言わんばかりに感じ取れた。

 ━

「悟は何か知っているのか?」

「………俺が言う事じゃねぇし、言いたくもねぇよ」

「そんなになのか……」

「加茂家の忌庫(きこ)を漁りに漁りましたよ。それでも残されていたのは僅かなモノでしたが、僕にとって未来も過去も等しく視えるモノですので関係ありませんでしたが」

「過去? (れん)過去(世界)も視れるのか!?」

「ああそうか、過去(世界)が視えるのは昔に教えた悟君だけか」

「そうだな、私も初めて聞いた」

「何故今まで言わなかったんだ?」

過去(世界)が視えても得する事なんて無かったからね、最近は視えるお陰で研究も実験も捗ったから得したけど」

 その中にあの胸糞悪い行為も入ってるのが腹立たしくて仕方がない。

 

「最近得をした?」

「それはまた今度ね、今は呪胎九相図(じゅたいくそうず)の事を話そうか」

「『得をした』の事も気になるが、呪胎九相図(じゅたいくそうず)を知りたい。話してくれ」

 

 深く息を吸い、短く息を吐く。そしてゆっくりと口を開く。

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「ある時、過去(世界)を視る機会が有りました、遡った時間は凡そ千年前、平安時代頃です。

 目的はさっき言った研究の為です、そこから順に現代まで戻る時……明治頃ですかね、『とある人物』を視ました」

「とある、人物?」

「御三家の嫌われモノ……『加茂家の恥晒し、呪術界にとって史上最悪の呪術師、御三家の汚点』。

加茂憲倫(のりとし)

 特級呪物『呪胎九相図(じゅたいくそうず)』はその男の手によって作り出された呪物です。

 そして、このクソ野郎はモザイク(・・・・)で視えました」

「!! つまりあの呪術テロを引き起こした犯人なはの加茂憲倫(のりとし)なのか!」

「みたいですね、まさか明治頃から生きてるとは思いませんでした」

 まあもっと前から居やがったけど、ハッキリと分からない以上話して混乱させる必要はないか。

 

「呪物を造るのもそうだけど、そんな事が出来るのか? 明治頃から生きてたなんて……」

「あり得ん、全てがあり得ん。特級呪物もそうだが何故生きていられる。明治中期から計算したとしても約120年だぞ、そんなに……まさか」

「それからも現代まで戻る最中にも度々ですがモザイクが視えました。何かしらの方法で様々な人の体を渡り歩く、そして頭だけで生きていられる術式。恐らくそれこそがアイツの術式なんでしょうね」

「体を渡り歩く術式…………皆目見当もつかん」

 

 明治中期と仮定しても約120年もの間生き続ける謎の呪術師にして術式。しかし、このタイミングでその様な事が知れた事は何よりもの情報なのは確かだった。確実に殺す方法を探す手掛かりを見つけるきっかけとなった。

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「約120年生き、特級呪物を造りだせる史上最悪の呪術師……」

「私も初めて聞いたな、本当にそんな事が可能なのか?」

「アレの存在は現段階では分からないので今は置いといて、呪物を造るのは出来なくは無いですが、あんなモノを造るのはマトモ(・・・)な術師、正気(・・)を保った術師には不可能ですね。

 それ程までにド下道なやり方をしてましたよ」

「お前がソコまで言うのか」

「あはは、僕も相当下道ですからね。

 ……そんな僕が視て(見て)も反吐が出る程でしたよ、でも……最初は僕も同じ様に知的好奇心(・・・・・)を掻き立てられました。それでもやろうとは思いませんでしたが」

「何をした、何が有ればお前がソコまで顔を歪める程に嫌悪する」

 

 知らず知らずの内に晴蓮は顔を歪めていたらしく、それは夜蛾に言われる程のモノだった。

 ━

「聞いて……気分の良いモノではありませんがちゃんと話しますよ、それでも気分を害した時は言ってくださいね。休憩しますので」

 

 先に忠告し晴蓮はもう一度深く息を吸い、今度は長く息を吐いた。

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「始まりは……一人の女性でした。

 その女性は身に覚えのない懐妊に始まり、異形の姿の赤ん坊を出産しました、そしてその女性は親類縁者からの想像を絶する風当たりにさらされます、まあそうなっても仕方ないのかもしれませんね。

 明治頃の出来事ですが、それでも現代より呪いやそう言った存在や風習を信じる人達が多いですし、それこそ田舎に行けば行く程信じる人達は増えていきますからね」

「その女性に何か有った、と」

「はい、その女性は特異体質だった」

「特異体質? いったいどんな体質だったんだ?」

 

 少し沈黙し「その女性は、呪霊との間に子供を作る事ができる特異体質を持ってたんだよ。生まれた異形の姿の赤ん坊は呪霊との間に出来た赤子なんだ」と到底信じられない事を言ってきた。

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「そんな、事が………まさか!」

「異形の姿の赤ん坊を出産した女性は、救いを求めて赤ん坊の亡骸と共にある寺へと駆け込みました………その寺は加茂憲倫(のりとし)が運営している寺だったんです。それが悲劇の始まりです。

 加茂憲倫(のりとし)はその女性の特異体質に目を付け、とある事をしたんです」

「俺、部屋出ていい? もう知ってるから聞きたくねぇんだけど」

「駄目だ。加茂、頼めるか」

 

 舌打ちをする五条を一瞥し、夜蛾正道の催促により話を再開する。

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「では続けます。加茂憲倫(のりとし)は彼女の体質に知的好奇心(・・・・・)を刺激され、加茂憲倫(のりとし)は救いを求めて来た筈の女性を使い呪霊との間に子供を九度妊娠させた上で堕胎させました、そうして取り出された九体の胎児は強い呪力を持った。

 それが特級呪物、『呪胎九相図(じゅたいくそうず)』と成り、百年以上に渡り封印を保ち加茂家の忌庫(きこ)を隔て、東京高の忌庫(きこ)に保管される事になったんです。

 それが加茂憲倫(のりとし)が『史上最悪の呪術師』と呼ばれる所以です」

 

 晴蓮が視た過去世界を一通りの話を聞いた各々が思った事、感じた事を隠さずに言葉にする。

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「到底人間がやる事ではないな、正気なのかを疑うな」

(れん)が嫌う理由が分かったよ。確かに下道だね」

「確かに呪物を作る方法には興味が有るけど流石の僕でもここまでの事(・・・・・・)はしないし、したくもない」

「だから聞きたくねぇって言ったんだよ」

「………それで、だ。その呪物と宿儺の指を狙って正体不明の呪霊の集団が襲って来るんだな」

「そうなりますね。

 ああでも、集団の中にさっき言った黒塗りで視えない呪霊も居たので今回の変死事件も関わっているんじゃないですかね」

「あの事件も関わっているのか……加茂、襲撃の続きを話してくれ、出来れば詳細にだ」

「勿論です。では先に、襲撃に来る呪霊の数からですね、交流会会場内には現状(・・)九体、忌庫きこには現状(・・)六体の呪霊が襲撃しきます。

 ですので少なくとも交流会の一日目に会場と忌庫きこを合わせて最低(・・)でも合計十五体の呪霊が現れ、そして十五体の内七体が特級呪霊です」

「特級が七体も居るのか………加茂」

「はい」

「この数が順当に進んだ(・・・・・・)未来(世界)なんだな?」

「はい、邪魔が入らずこちらの準備を万全にした上で順当に進んだ未来世界です」

「これが順当に進んだ未来世界なのか……加茂、残りの八体の等級はなんだ」

「一級です。会場に一級呪霊が六体、忌庫(きこ)に二体来ます」

「最悪な未来(世界)で有って欲しい未来(世界)だな」

「そうですね確かになってほしくない未来(世界)ですけど、順当(・・)に行けばこの未来(世界)なのでまだマシ(・・)未来(世界)ですよ。最悪な未来(世界)はまだ他にありますので」

 確かになってほしくない未来(世界)ではある、でも、この世界はまだマシ(・・)未来(世界)だ。最悪な未来(世界)はまだ他にある、後で話さないとな。

 

 手で口を覆い数瞬考え「何がどう変わる」と聞き、「一つは襲撃に来る呪霊が倍になりますね」と返し「どっちが増える」と更に聞かれ「両方です」と短く答えると、夜蛾が身を乗り出し「交流会団体戦で何が起きるのかを教えてくれ」と晴蓮に催促をしてくる。

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「分かりました、何が起きるのかを話していきます。

 正体不明の呪霊、視えたのは目から木が生えて左腕全体を布で覆っている呪霊。この呪霊が最初に棘君と会敵、その後に戦闘中だった恵君と憲紀(のりとし)君が巻き込まれ棘君の呪言で逃げ出しますが、間に合わず棘君、恵君、憲紀(のりとし)君の三人が対峙します」

「よりにもよって棘が最初か」

 

 頭を搔き毟りながら「狗巻か……呪言はどうだ」と聞き、「相手は自然呪霊は特級です」の返しに逡巡し「二つ聞く」とだけ言い晴蓮が「どうぞ」と答える。

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「一つ、呪言を使うのか。

 二つ、何回まで持つのか」

「では一つ目から、はい。

 二つ目は凡そ(およそ)二回から三回程です」

「クソッ! 式神を付けていると言ったな」

「二人程」

「加茂、無理はさせられん」

「それは僕も思ってます。なので地上と空のどちらからでも逃げさせられる様に足の早い式神と飛べる式神を付けてます、僕が『これ以上は無理だ』と判断し次第どちらかの式神を使い逃がします」

「加茂の判断に任せる。それで、だ、狗巻が自然呪霊と会った後は後はどうなる」

「棘君が自然呪霊と会敵し、その後すぐに恵と憲紀(のりとし)君二人の戦闘中に木の呪霊が現れますが、棘君の呪言により寸前で逃げる事が出来ます。

 ですが完全には逃げられず対峙し、戦闘に入ります。

 なので恵君、棘君、憲紀(のりとし)君の三人で木の呪霊と暫くは戦えますがこのタイミングで棘君の喉が限界に迎え潰れます。なのでその前に式神を使い離脱させます」

「判断はお前に任せる。それで、次はどうなるんただ」

「話したいですが、今日はここまでにしておきましょう。いきなり色々と聞いて疲れたでしょうし、続きは硝子と甚爾さんを交えて話した方が説明が一回で済みますから」

 

 目頭を抑え「そうだな」と答え立ち上がり「少し休む」と部屋を出て行った。

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「ハル」

「どうかした?」

「襲撃ってのはもう絶対に起きるんだよな」

「うん、確実に起きる。呪霊の集団が攻めてくる」

「その理由が呪胎九相図(じゅたいくそうず)かよ、何がしてぇんだ」

「さぁ、ただ言えるのはロクな未来(世界)じゃないのは確かだよ。

 さて、と。僕は硝子に会いに行くよ、進捗も気になるし」

 

 立ち上がり柏手(かしわで)打ち、晴蓮が「じゃあね」と部屋を出ていくと部屋の空気感がフッと軽くなる様に感じた。

 ━

「やっぱり結界張ってたか」

「部屋の空気感が変わったね、いつ結界を張ったんだ?」

「俺達全員が入るのを条件にした結界でも準備してたんだろ、ハルの結界術は伊地知(いじち)以上だからな」

「本当になんでも出来るんだね、(れん)は」

「出来すぎな気もするけどな、ハルは取捨選択が早い。必要な事と不必要な事をすぐに決めてその時に最適な行動をする、感情に押し流されたりはしねぇんだよ。

 だから生粋の呪術師なんだけどな。(その過程で発生する人的被害も考えた上で『最適である』と、判断したら呪術師も一般人も関係無く排除する。冷静に冷徹に、着々と確実に成し遂げる。

 どーしたもんかねー………ま、考えるのは全員で話してからだな)んじゃ、俺も任務行ってくるわ」

「あぁ、お互い被害を最小限にして、ね」

「一般人が来ねぇとこなら楽なんだけどな」

「そんな事したら(れん)に怒られるよ」

「だな」

 

 二人は笑いながら部屋を出てハイタッチし、各々の任務に向かう。

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「加茂先輩、なんとか重症は避けられましたよ」

「重症じゃないだけ、充分ヤバい方の怪我だっての治す必要がありまくりだからバカ言うな後輩」

「無事で良かったよ。

 でもそうか、僕以外の人でも未来を知っていればある程度ではあるけど僕が視た未来(世界)は変えられる事が分かった、それでも無理をする必要も意味もない」

「分かりました、次からは無理をしません」

「説教は後だ、建人に聞きたい事が二つ有る。

 一つ目は肉体魂を改造する呪霊の見た目と術式。

 二つ目は悠仁君は今どこに居るのかだ」

「では一つ目から。

 呪霊の見た目は継ぎ接ぎがされている姿をしてました、術式の方は触れた対象の魂を改造させる事で逆説的に肉体を改造させると言う巫山戯た術式でした。

 質量の大小は人間の肉体に依存はしていない様ですね、大きさは凡そ二倍から三倍、小ささは呑み込める程度には変えられるみたいでした。

 それと、あの呪霊は生まれたばかりだと思います」

「理由は」

「子供の様な言動でしたので生まれたばかりじゃないのか、と。判断しました。

 そして二つ目の虎杖君ですが監視対象と居る筈ですが……」

「監視対象……例の少年か」

「はい。リスクは低いと思ってますが、何かあるんですか」

「今は夜だからね何が起きてるのかは把握したいでしょ? まあでも……今のところは問題なさそうだね」

「分かるんですか?」

「悠仁君の事は直接視れない。

 理由は……今は重要じゃないからまた今度にでも話そうか。

 それに彼には火産霊(ほむすび)を付けてる、火産霊(ほむすび)から連絡はまだないから問題は起きていないんだろうね」

 だが、アレの臭い気配がすると言ってるけど……それでも微かなレベル、問題は呪霊の臭い。火産霊ほむすびは火の呪霊、呪霊が近くに居れば或いは居たのなら気づける。

 その火産霊ほむすびがこちらも微かに臭いが残ってるらしいし、例の少年が何かしらの呪霊と居たのは事実。

 その呪霊が黒塗り呪霊なのかは分からない、事が動くまで待つか……それだとリスクが高い………やはり強行するか……俺が行けば未来世界は変わる。行けば前者の未来世界だ、生かすか死なせるか……。

 

 七海の命を賭けた敵情視察は功を奏した、晴蓮が視た黒塗りの呪霊。そして直接呪霊とやり取りした問答、術式の開示。

 呪霊の語った「肉体に魂は宿るのか? それとも魂に体が肉付けされているのか」、その問答に意図は無いのだろう。しかし呪霊は続け七海にこう言った、「不正解。答えは後者、いつだって魂は肉体の先にある。肉体の形は魂の形に引っぱられる」。

 呪霊は七海の事など関係無く尚も話す「魂に触れその形を変える」そして目の前でやって見せた、手に持つナニ(・・)かを見せつけ術式を使い呪体を生み出した。

 ━




 もう頭が追い付かない。

━━
 さらっと千年以上も前の平安時代を過去視(世界視)する晴蓮くん、もうなんでもアリなバケモノ。
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