「はぁはぁ……ッはぁあ……ふぅ」
「お疲れ様、硝子」
「マジでキツイ。アンタら術師ってこんなヤッベェ事してんの?」
「んー……そう、なのかな?」
「ああ聞いた相手が悪かったわ。アンタは何一つ参考にならんし」
「…………君達は何をしに来たんだ」
「秘密特訓」
「別の所でしてくれないか? 此処はそう簡単に、ホイホイと来て良い場所じゃないんだが」
「秘密特訓なんだよ? 誰かの目につく所でやったら意味ないじゃん。
呪術師が増えるだ、協力しなよ天元」
「君なら隠れ家ぐらい持ってるだろう?」
「それはソレ、これはコレ。ごっちゃにしたら駄目だよ天元」
「持ってる事は否定しないんだ」
「常に余裕を持ちたいでしょ?」
「なら変わらんと思うのだが……」
「
でも? 此処なら? その危険性が限りなく低く出来る、だから此処を使うんじゃないか、分かってないな君は」
「君にだけには言われたくない言葉だ」
ぶつくさ言う天元に「ちゃんと手土産持って来たんだから良いじゃん、お前外に出れないから泣いて喜べよ。最近のトレンドばかりだぜ?」と自慢気に言い「それに関しては礼を言おう。だが持ってこれば此処に来ていいと言う訳じゃないんだよ加茂の当主」と嫌味を返される。
━
「別に此処に被害出て無いんだからいいじゃん。君って、器が小さいよね」
「君が傍若無人なだけだ」
んべっと舌を出して「安心しなよ、君に対してだけだから」の言葉に「尚更タチが悪いな君は」と呆れる。
━
「…………アンタらなんでそんなに仲良いの」
「反転使い。この男と私が『仲が良い』と思うのかね」
「犬のじゃれあい? みたいな」
「だってさ天元、泣いて喜べよジジイ」
「どちらかと言えば私はババアだ」
「んなもん今関係ないでしょ」
「(てかなんで
晴蓮はどこからか椅子を取り出し腰を掛け「良いかい天元、硝子が戦える……術式が使えると言う事は何がなんでも隠し通す必要がある。
特に今の様に情報が限られ、相手が分からない不確定要素が多い時にこそ隠し通すんだ」の発言に「味方にもか?」と言い返し「知ってるか天元、情報漏洩を警戒するなら情報を知るものを少なくするんだ。
ほら、いいことわざが有るじゃないか、壁に耳あり障子に目ありってな。だから知っている人数は少ない方が良い。
それとも……
━
「……そうかい。なあ天元、お前さんの
「…………さてね、覚えていないな」
「秘密主義者気取りか?」
「それは君の方だろう? 君の仲間達は、君がどこまでの事を把握してるのかを知っているのかい?」
「………必要な事は共有してるさ」
「なら君が『必要ではない』と、判断した情報は共有しないと?」
「情報を処理するには時間と人間がいる。なんでもかんでも知っていればいいと言う訳じゃない」
「その結果不利益を被る事ななってもか?」
「その辺りは僕がやればいい。
増えた情報を僕が処理し、その結果として『共有すべきだ』と僕が判断した時に共有すればいいだけだ」
「それを詭弁と言うんだよ、加茂の当主」
二人のお互いが一方的な言葉の
━
「君は考えを改めた方がいい、反転使い」
「んー、端から見てるとマジで仲がいい様に見えるんだけど」
「僕としても御免だね。こんなのと仲いいとか冗談じゃない。
日本に何が起きても我関せずと
「…………愉しくはないさ。それと、今の説明では足りない。
私は『
「その結果日本が滅んでもか? 大層ご立派な理由だな。いいか天元。
だが、現状日本を
最も、尊敬なんてのは論外だけどな」
晴蓮が自分の事を
━
「君はそれでいい、君は最後まで私を信じずにいてくれ」
「やっぱりお前は気に食わないな、最悪……とまでの
「ああそれでいい。君がその行動を取るのがベストと判断したのならば喜んで式神になろうとも」
顔を歪め睨み付けながら「やっぱお前の事キライだわ俺」と吐き捨てる。
そしてそのまま家入の方へと向かい特訓の続きを始める。
━
━━
━━━━
━━━━━━
薨星宮からの帰り道、家入が疑問に思った事を喋り始める。
━
「ねぇ、
「うん? 何かあった?」
「なんで……イヤまあアレを見てれば天元さまがキライなのは分かった。
でもなんでそんなにキライなのさ、天元さまは日本国内のあらゆる結界の強化・行使を行ってるんでしょ?」
「………確かに天元は日本のために様々な縛りを自身に科して日本を護っている。だから信用はしている。でも、僕はアイツを信頼出来ない」
「なんで信頼してないのさ、国のためにやってんだからさ」
「………硝子、皆に……特に傑君には話さないでね」
「なにを」
「天元は十二年前に星漿体と同化していない、他に星漿体が居たなんてのは嘘だ。だから今のアイツは既に人間じゃなくなってるんだよ。
天元は術式の効果によって人間から『進化』した。今の天元は『
「は? 夏油から別の星漿体と同化したって聞いたんだけど、それに研究してる時に来た九十九さんも同じ事言ってたよ」
「傑君には僕がそう思える様に言ったからね、あの人は
だからあの時に同化していない事は誰も知る必要がなかった」
「それだけの理由で黙ってたのかよ」
「傑君はあの時……ある種の責任を感じていた、だから真実を話さなかった、これ以上背負わないようにね」
「やっぱ
夏油に背負わせない代わりに自分が背負うんだから」
「あっはっは……なんて事ないさ、この程度。
僕は
これから起こる、或いは起こり得る
「(それを莫迦だって言ってんのになんで分からないかなコイツは)それと、もう一つ聞きたい事があんだよね」
「まだなんかあったっけ?」
「つかこっちがもっと聞きたい。
「ん? ああそう言えばコレの事はまだ硝子にはまだ言って無いのか、僕は
でも、もう一つ出来る事が有る。それはね、僕は
「は? 何言ってんの過去が視えるとか聞いた事ないんだけど」
「言ってなかったからね、僕は
それと別に隠そうとか思ってないよ、僕が
「イヤイヤそうはならないでしょ、それに過去も視れるとかめっちゃ重要な事でしょ」
「そうかな?
ああでも、たまには役に立つ時も有るかな、ごく稀に……だけどね」
「マジで
初めて聞いた
━
━━
━━━━
━━━━━━
━━━━━━━━
「(身代わりを作る隙がない。ああなんて……なんて新鮮なインスピレーション! これが『死』か!!)」
七海建人と虎杖悠仁の猛攻に思考が、感覚が研ぎ澄まされ更なる
━
突如展開される領域の外殻は七海を呑み込むが、虎杖は外殻に押され弾かれる。
━
「ッ! シン・巌流:簡易領域」
七海は即座に右拳を頭上にとり、身体はほぼ右向きにし、剣先を相手の顔の中心に向ける。右足先が横や後ろを向かない変わった、されど安定した姿勢にして攻防一致の「三つの隙」がない構えをとる。
それは、学生時代に晴蓮から叩き込まれたシン・巌流の簡易領域、その構えはとある剣術流派にて
━
━━
シン・巌流の簡易領域はシン・陰流:簡易領域と同じく必中効果を中和することで必殺の術式から身を防ぐ簡易的な領域であり、ソレだけではなく落花の情も融合させ、必中術式が触れ中和すると共にカウンターで呪力を解放し防御・迎撃する簡易領域へと進化させた。
━━
「(あの構え
「感謝をしなくてくださらなくて結構、私は簡易領域を展開しました、術式は
「ソレが簡易領域……へぇ、それは困ったな。
でも君は、俺を新たな
「呪霊に感謝されても嬉しくありません。(確かに簡易領域を展開した、したがこれ以上の事は出来ない。でも、あの人が……加茂先輩が必ず来る! それまで持ちこたえる!)」
その時、領域内の上から聞きたい人物像の声が上から降ってきた。
━
「………やっぱり少年は間に合わなかったみたいだね」
「待っていました、先輩」
「待たせて悪いね、建人。
それと、黒塗りで視えなかった呪霊は君か。成る程、建人が言っていた通り気持ちの悪い姿形をしているね、吐き気がする。
いきなりで悪いが君には此処で確実に退場してもらう」
この呪霊が高専の襲撃で視えた視えなかった奴か? つまりコイツが高専を襲撃しに来る呪霊の一人なのか………。
ん? ………もう……そうか、
となると時間が無い、アレをした上で開いてすぐに片付ける。
「さあ呪霊、お互い腹の裡を見せ合おうじゃないか。そして、お前は此処で確実に
呪霊・真人が展開した領域の中裡で被せる様に晴蓮が領域を展開した。
晴蓮は領域展開の際にする掌印の『
すると杖の形がドロリと崩れ大量の血へと変わり、手から溢れ出ながら地面に『どぷん』と落ちた血は、
そこは無数の手に囲まれた空間から伽藍堂へと変わり、伽藍堂の中央から血が溢れ、流れ、拡がり池へと変わる光景はまるで、血の池地獄を
━
「ッ!! (押し負けた!! イヤだが当たり前か、俺の領域は今完成して、今初めて展開した。領域はより洗練された領域に呑まれるのは当たり前、祓われる死ぬ前に出る!)」
「ああ心配しなくていい、君みたいに入ったら即死の必殺領域じゃない。最も、必中である事は変わらないけどね」
まぁ、必中も有って無いような領域だけど。
「相変わらず此処は恐ろしいですね場所ですね、イヤな記憶が蘇ります」
「あっはっは、色々とヤったからね」
「(なんともない、本当に必殺が無いのか?)」
「術式開示なんて狡い事はしないから安心しなよ、君を此処で祓わせて死んでもらうだけだ」
こういう視え見え方は何度視ても慣れないな。だからこそコイツは此処で祓う。
「知ってるか? 呪霊。血液ってのは色んな事が出来るんだよ。こんな風にな」
その言葉を言うや否や足を上げ血の池を強く踏み込む。それに伴い跳ね上がった血の球が槍に変わり呪霊真人に襲い掛かる。
━
「(血の球が、変形した? ま、俺には関係無いか)残念だけどさー……ソレ、俺には意味ないよ? だって俺にーーは? (
一つ二つ、気づけば数十数百にも及ぶ血の槍が弾雨の如く降り注ぐが、真人は回避行動をせず攻撃を無視して攻め込もうと前傾姿勢になっていた
当たるのはおかしくない、避けようてしていないのだから当然の事。問題はその攻撃を喰らい真人に
真人にとってソレはあり得ない現象、あり得ない筈のダメージを受けた。真人は通常の攻撃ではダメージを受けない、真人は『人が人を憎み恐れた負の感情』から生まれた呪霊であり、彼にとって『肉体は魂であり、魂は肉体である』と、考えている。
その性質が現れたのか、真人にダメージを与えるためには
しかし、晴蓮の呪術は真人にダメージを与えた……それは即ち彼が魂を把握・知覚出来る事を物語っている。
その理由は、
故に、
━
「(あり得ないあり得ないあり得ない!! なんでコイツの攻撃が
晴蓮が片腕を振り上げと連動して池の血は天高く持ち上がり、巨大な剣へと変わり真人へと振り下ろす。
━
「ッ! クソッがぁあ。(やっぱり……コイツは!! コイツも! 魂を知覚してやがる! 槍で
逃げないと、早く此処から出て逃げないと、俺は
自身の腕を盾へと変形させ巨大な剣を受け止める。が、巨剣は盾を断ち切り真人を斬る。しかし、真人の体は血の池を浴び、両断された
━
「(前に五条先生がやってたヤツ、えっと……生得術式の最終段階で呪術戦の頂点、呪術師の極致ーー領域展開!)コレが師匠の領域……血の、池?」
「虎杖君、よく見ていてください」
「え?」
「この戦いは、呪術師における目指す頂です。(とは言え、誰もが立てる場所頂ではありませんが)」
昔から武術を教えてくれる師匠晴蓮が、目の前で呪術師として戦っているのを見て驚愕し、呆気に取られ、目の前で繰り広げられる戦闘。イヤ、戦闘ですらなく一方的な蹂躙劇。
晴蓮が展開した領域内で
━
「すげぇ……これが、特級呪術師」
「虎杖君。私は教職ではありませんが君に一つだけ、授業をします」
七海から声をかけられ「何がっすか?」と咄嗟に返してしまい、七海の眉がピクリと動かすが自制して、「確かに領域は呪術師が目指す頂です。ですが、誰も彼もが至れる場所ではありません。ソコは勘違いしないように」と説明する。
━
修正版が修正版していない、本当にどうしよう。