その血が歩む道すじ:修正版   作:亞忌羅

9 / 84
 晴蓮くん初めての特級案件でウッキウキ、負けるとか死ぬとか微塵も思っていない。





━━━━━━━━━━━━
 それとこのキャラ口調ちゃうぞゴラァって箇所があれば教えていただけると嬉しいです、めっちゃ助かります。


九話

 そこは木々が鬱蒼と生い茂る森、道らしき道は無く心細い獣道が幾つかある程度、その中を散歩にでも行くかのような軽い足取りで歩く人影が二つ。

 ━

「ふーん……なるほど。確かに云われが在りそうだね」

「ハル、おいハル」

「うん? 何かな?」

「さっきのヤツ……何? 説明して」

 さっきの? あぁ、アレか。

 

「アレは式神化した術式だよ」

「術式ぃ? アレが? 意味分かんないんだけど、しかも式神化するとか聞いた事ねーよ」

「ホントにねー、何でああ成ったんだろうね」

 ホント不思議。まぁどこぞの風来坊なお姉さんも似たような事してるし、そういうモノって事で。

 

「ん? アレだな……確かに気味の悪い呪力漂ってんな」

「それだけじゃなさそうだよ悟君、今微かにだけど揺らいだ。うん、何か居るねアレの近くに」

「(ハルもなにがしかのやり方で呪力を感じとってんな。後で聞こ、スゲェ気になる)」

「悟君。あの中に特級呪霊は居なさそうだよ」

「だな。多分……もっと奥だな、アレは別棟か? この祠はソコにいるヤツを鎮めるのに作ったンだろーけど……逆効果になってんな」

「呪霊の発生理由が負の感情だからねぇ、この祠がかえって負の感情を……(おそれ)を集めたんだろうね」

 さて、と。初めての特級案件……どうなるかな、楽しみだねホントに。

 どんな術式使おうかなー、アレかな? それともアッチを……イヤこっちもいいな……

 

「(……使う術式でも考えてんのかね……ま、楽しそうだからいいか)ん? こっち見たな、呪霊」

「だね、にしても今の呪霊……おかしかったね。呪力が一つじゃなかった、でも別々でもなかった」

「そンなんも分かんのかよ、六眼並みに見えてね? ハルってさ」

「流石にソコまでは見えて(匂って)ないよ……多分」

 実際、俺自身もどこまで視えてるのか分からない、悟曰く六眼はサーモグラフィーみたいに人体(呪力)が視えるそうだけど、俺の場合はこう……なんと言うか個体によって呪力の匂いが違うように感じる? でいいのかなぁ、なんとも表現が難しい。

 ま、便利は便利だからそれでヨシ! てことでいいか。

 

 森の祠を通りすぎた先の廃墟……おそらくは廃病院の類い……病院は負の感情が溜まりやすいため当然、呪霊も発生しやすくなる。

 病気に対する恐怖や死に対する恐怖……等々多岐にわたり、呪霊を特定しにくいため厄介ではあるが……。

 ━

「ここで死んでいった奴らの呪霊だな、しかも複数いた呪霊が融合してんな」

「あぁ、だから複数の匂いと色が(視えた)あったワケだ」

「マジ便利だなソレ」

 

 ━━

 

 ━━━━

 

「オッエェェ、何これ。スッゴく臭いんだけど……吐きそう。しかも何? 建物が脈打ってるし」

「アー……呪霊の腹ンなかだわココ。どうすっかな、あーめんどくせぇ」

 腹の中……あー原作でもあったような。えーと少年院だっけ? 覚えてないや、ただ一つ言えるのは……

 

「「呪霊の生得領域の中」」

 ビンゴ! 流石特級案件。やったね

 

「嬉しそうじゃん、ハル」

「まあねー、だってこんなコトできるってことは、それなり強いワケでしょ? 腕がなるよね」

「(ハルがニっコニコで笑えんだけど、楽しそうだし連れてきて正解だったな……ソレに、ハルの手札が幾つか見れるかもしんないし)ンでハル、どうやんの? あのバカデケぇ剣でぶった斬んの?」

 

「んー、ソレもいいけど……別にヤツにしようかな」

「(よし! 術式を知ってんのと知らねぇのじゃ対処はダンチだからな)」

「良く見ててね、悟君」

「(ま、そりゃ気づいてんわな、ハルだし)」

 さぁ、悟。存分に見たらいい俺は困らないからね。だって君は死ぬまで(・・・・)仲間なんだから。

 

「〔汗孔噴漿(かんこうふんしょう)剡血:爆火惨血(えんけつ:ばっかさんけつ)

 

 晴蓮が左手の汗孔(かんこう)から少量の血漿とヘモグロビンを排出し酸素と結合(・・)・酸化させ血液に戻し前方にばら蒔く………その瞬間、周辺を埋め尽くす程の火炎を伴う爆発がまき起こる。

 ━

「……ハル、お前ナンでもありかよ、逆に何ができねーんだよ」

「あはは、僕にだってできないコトくらいあるさ。そ、れ、でー。どうなったかなー」

 

 ソコには焼き尽くされたら光景が広がっており、さらに所々熔けた箇所さえ散見される。

 ━

「んー、流石体内。熔けてるねー、オモシロ。ウケるー、でもマジでクセー」

「(熔けるってナンだよ、ンなのありかよマジで。

 えげつねぇ……でも、またヤり(呪い)合いてぇ)」

「悟君。そんな顔してもヤり(呪い)合わないからね? 全くバトルジャンキー(バラガキ)が。

 お? 反応アリだね、匂い(呪力)が向こうから来てくれた」

「(チッ、ダメか……ん? 溶けたのが分かってんじゃん……気になる、スゲェ気になる)なぁハル」

「何? 何か面白いの見つけた?」

「いやさ、ハルってさ……モノとかどーやって見てんの?」

 

「………あれ? 言って無かったけ」

「聞いてねーな。

 それこそどんな天与呪縛なのかも知らねーよ、唯一知ってんのは目が見えねぇ事だけだな」

 あー、言った気になってただけのね、んー……別に良いか言っても。

 

「僕がどうやってモノを視るかだけど、天与呪縛の還り(恩恵)として『音と『呪力』による反響定位での四次元空間(五次元世界)を認識し知覚・理解』ができるんだ。結構便利だよ、これ」

「それどーゆー事よ、分かりやすく」

 君、地頭が良いんだから少しくらいは自分で考えなさいよ。

 

「コウモリとかが超音波を出してその跳ね返りで障害物とかを避けるのは知ってる? ………ああ良かった、知らないって言われたらどうしようかと思ったよ。

 んで、僕もそれと同じ事をしてるんだ、こうやって音を立ててその跳ね返りで建物の構造を把握する。どこに何が有って誰がどこにいるのかがはっきりと分かる、便利だよコレ。

 そして僕の場合もう一つの方法でもやっているんだ、それが『呪力による』空間認識(世界観測)もできるところかな、これのおかげで大抵のモノは()えてるね、ただねー……まだ体が成長しきってないからこっちは少し疲れるんだよねー」

「………ナニそれ反則じゃん」

「あっはっは。そりゃあ天与呪縛の還り(恩恵)だからねぇ、反則レベルじゃなきゃ割に合わないさ」

 まぁ、確かに還り(恩恵)が強すぎるからまだナニ(・・)か在るんだろうな、きっと。

 

 ━━

 

 ━━━━

 

 廃病院の奥から耳を(つんざ)く雄叫びとも絶叫ともとれるオトが響き渡る。そのオトは晴蓮達のもとまで聞こえていた。

 しかし二人は全くと言っていい程気にしておらず、それどころか晴蓮にいたっては喜色満面の面持ちで早くヤりたいと言わんばかりにワクワクとしていた。

 それを見る悟は微笑ましそうに見ているだけで、何一つ行動を取る気配がなかった。

 ━

「おお、おおお! 来る来る来る。何が出るかな、何が出るかな。オモシロイのが来い」

 

 彼にとって特級呪霊であっても怖れる存在では無く、ただの的レベルでしかなかった……が、しかしソコに油断や慢心等はなく、即座に動ける準備は整っていた。

 ━

「■■■■■■■■!!」

 

 ソコに現れたは見るも悍ましい肉の集合体。形容し難き怪物、手が、足が、至る所から飛び出しておりそれらを使い器用に移動していた。

 ━

「うっわ。キッショ、マジでキモい」

「んー……なるほど、これは面白い。少なくとも数百から数千程の二級相当の呪霊が接合しているね。でも……まだ完全に融合はしてないみたいだね。よくて一級程度かな? 

 はぁ、残念だ。特級って言うからどんな呪霊(術式)なのか期待してたのにこれじゃあ望み薄、だ」

 

 加茂晴蓮からでてきた感想は『面白いが残念』だった。まるで楽しみにしていた旅行先の名所が残念な物だった時の反応、既に彼は目の前の呪霊に興味は無くなっていた。

 ━

「もういいや、とっとと祓おうか」

 ちぇ、どんなのか楽しみにしてたのにこんなんか、期待外れもいいとこだ。

 

縛血:嘴突三血栓(ばっけつ:しとつさんけっせん)鉄血:兇血角(てっけつ:きょうけっかく)

 

 続け様に二つの術式を放つ。一つは対象を縛る嘴型の血栓、もう一つは血で形成された荒々しい角の槍。

 術式は呪霊的中した……が、血の槍が当たると肉の集合体は爆散し複数個の肉団子に変わった。

 ━

「あー、そりゃそうか。まだ完全に融合してないんだし衝撃が加われば当然こうなるよね、失念していたよ。どうしたものか……フム、氷らすか」

 でもそれだけじゃなさそうだね、おそらくは俺の術式順転の『分離』も影響してそうだね。

 

 言うが早いか晴蓮は即座に術式を使う。

 ━

氷血:白氷罰血(ひょうけつ:はくひょうばっけつ)

 

 瞬間。眼前の空間が白に染まる。

 ━

「……は? 何……これ、凍ってんの? (は? マジで凍った? 呪霊が? 建物が? 血で? ウッソだろ)」

 

 凍った呪霊に触るため恐る恐る足を踏み出そうとしと時、待ったをかける。

 ━

「悟君ストップ。動かない方がいいよ危ないから、ほら」

 

 そう言い、自分が持つ(凝血棍)を自分たちがいる範囲の外に触れる。すると僅かな衝撃で建物もろとも呪霊も容易く砕け散った。

 ━

「えぇえ、何……その……何これ。何がどうなったらこうなんの」

「あはは、前にも言ったでしょ? 血とは氷るモノなのさ」

「んなワケねーっての、どんな理屈だよソレ」

「まぁ、実際に血液の凍結保存とかあるみたいだし? できるかなーって」

 ホントに何でできてんだろ、俺が『そう言うモノだ』と本気で思ってるからかねぇ、ビバ拡大解釈。

 

「てか被害甚大すぎでしょ」

「あははは。この術式まだ加減が難しくてさ、僕がいる一定範囲内を除いた周囲を手当たり次第に繋がっている場所を全部、凍結させるんだよね」

 

 晴蓮は「悟君が隣に居てくれて助かったよ、誰か居ると使いづらいからねー」と、からからと笑いながら言ってのける。

 ━

「(はは……そりゃ強いのは知ってるけどさ、ココまでの理不尽ぶりは知らねーっての。ナンだよ血で建物が崩れるくらいに凍るってあり得ねぇだろ……ん? 隣に居て良かった?)……なあハル」

「なんだい、悟君」

 んー、なーンもないなーナニかいないかなー。

 

「隣で良かったって言ったじゃん今」

 

 晴蓮は「言ったねぇ」と返答しながら周りを見渡す。

 ━

「それさ、オレがハルの傍に居なかったらどうなんの」

「……アー……エー……と、あ……あはは隣で良かったねー」

「ハぁルぅ。そーゆーのはさー、先に言ってくんね? それってさ、オレも凍ってたかもしんないってことでしょ?」

 

 晴蓮は分かりやすいくらいに目を泳がせながら周りをキョロキョロしている。

 ━

「まぁ……その……さ。えっと、無事で良かったね! それに悟君は無限があるしダイジョーブでしょ」

「……ハルも意外とアレだよな、人のコト言えねーよ」

 

 晴蓮あははと笑い話を濁しながら周囲を見渡した後五条に問う。

 ━

「ねぇ、悟君」

 

 悟は崩れて無い箇所をつつきながら「んー、何?」と返してきた。

 ━

「これホントに特級案件? 弱すぎるんだけど、それともまだ別個体が……」

「コイツらはチゲーな、ハルも言ってたが良くて一級程度。

 特級はどっかに居ただろーけどこの状態で生きてねーんじゃね」

 まぁ……だよねー。俺達が立ってる場所以外、全部……真っ白になって崩れ落ちてるんだし。もう少し弱い術式使うんだった、残念。

 

「ま、特級つっても下の下の下クラスのヤツだからこんなモンなんじゃねーの」

「でもさ悟君。準一級以上の呪霊はなにがしかの術式持ってるんでしょ? しかも生得領域内だったしさ……」

「だろーな。で、ハルが使わせる前に……とゆーよりは出てくる前に祓っただけだな」

「oh、もうちょっと待つんだった。そしたら呪霊の(オモシロそーな)術式見れたかもしれないのに」




 二人にとって仕事と言うより、ただの散歩レベル。
 哀れ特級呪霊くん、登場すらせずに祓われた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。