「加茂。交流会を中止しない、待ち伏せもしない。この条件だと九体の呪霊が来て、会場内に特級呪霊が二体、一級呪霊が三体居る……で、いいんだな」
「呪霊だけではなく、呪詛師も四人程来ます」
「呪詛師も来るのか……面倒な事をしてくれるね」
「呪詛師は一人を除き帳内にいますね、なので呪詛師は歌姫さんや
「だが、死者は出ない」
「ギリギリではありますが」
「ねぇ、
「うん? どうかした」
「その後の
「視えない、テレビの電源が停電よろしくバツンと切れる様に途切れる」
「途切れる? そんな事が?」
「初めてだからビックリしたよ」」
そして、途中で途切れてしまうと言うことはーー
━
「途中ってどこまで?」
「今年のハロウィンまでだね、ハロウィン前日から
でもその前に一度砂嵐が掛かる
「高専の襲撃だな」
「はい」
「それとハルの
「さぁ、分からない。分からないけどロクな
「加茂の
加茂、それはお前の身に何か起きる。と、考えていいんだな?」
「恐らくは」
「昔やってたみたいに呪霊越しに相手を視るとかは出来んの」
「現段階で視れる呪霊を追った結果がその
「
「だからこのまま『順当』に進めなきゃいけない。まあ今は交流会より先の事は置いておこうか、考え始めるとドツボにはまるからね。
今は目先の問題を解決する為の考えを出し合おうか。…………何かな硝子」
「聞きたい事はあるけど後で聞く」
「そう、じゃあ後でね」
んー、多分……と言うかある程度の事を確実に気づいてる、天元のせいだね。なんとかしてはぐらかせないかなー、無理そうだなー。
夜蛾が代表してその言葉に「そうだ、今は交流会の事だけを考えよう。後の事は交流会が終わった後で話そう」と切り出し、「五条達が間に合うまでを話してくれ」と聞いてくる。
━
「えーと、どこまてま話しましたっけ」
「
「ああそうだったね」
「さっきも言ってたけどさ、上弦の日は支援系統だった言ったけど具体的には何ができんの?」
「正確には攪乱だね」
「攪乱?」
「指定した人物と同じ呪力を泡みたいにばら蒔いて誤認識させられるんだよ。後は意識の引き寄せだね」
「成る程、確かにそれなら悠仁のサポーターにピッタリだな」
「後は葵もだね。あの子とも相性が良い」
「そこに五条を行かせるのか?」
「いえ、悟君はまだ間に合いません。帳はまだ壊せていません」
「なら誰を
「ドンピシャの術師が三人居るじゃないですか」
「まさか……虎杖と東堂、中西の三人だけで自然呪霊と戦わせるのか!!」
「問題ありません、この
それどころか一人、
呪力の味を知ると聞き意味の分からない甚爾を覗く此処に居る術師が理解し、驚く。何故ならそれはーー
━
「誰かが黒閃を極めるのか!!」
「…………ハル、悠仁か?」
「お、良く分かったね。そう、悠仁君は黒閃を極めて一つ上の
「はは……マジかよ。悠仁の奴まだ呪力の事知って半年かそこらだぞ? なのに黒閃極めるとかあり得ねぇ」
「悠仁君は素のスペックが高い、それに僕が子供頃から鍛えたんだから
その上彼は戦闘センスが桁外れに高い。それこそ僕以上だ。彼、強いよ」
「ハル以上とかマジかよ、それこそあり得ねぇだろ」
「ははは、だよねそう思うよね。でも事実なんだ。
彼は昔から硬かった、だから彼にはシン・巌流を一から十まで、そして簡易領域に簡易結界も教えた。
勿論呪力を使えないから覚えても意味は無いけど、武術としての心構えは培える。そんな彼が呪力と言う力を知れば直感で、無意識下でシン・巌流の在り方と結びつける。それに、悠仁君は葵と付き合いも長ければ相性も良い。ソコに
今回の交流会で最も成長するのは悠仁君と恵君だ」
「それは喜ばしい事だが本当に大丈夫なんだな?」
「それどころかこの選択こそがベストなんです。
この時に悠仁君が黒閃を極め、呪力の味を知り、呪力の核心を知り、格段に強くなる。これだけは成らせたいんです。
確かに彼らでは祓えませんが時間を稼げる、そして悟君が間に合うんです」
「何回極めんの」
「少なくとも五回は極める。建人の記録を塗り替えるんだ」
「マジかよ……少なくとも? じゃあソレさえも超えんのか?」
「うん、違う世界線では七回も極める。悠仁君は黒い火花に愛されている」
黒閃とは呪力を用いた戦闘において、極稀に発生する現象。その仕組みは『打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した瞬間に発生する空間は歪み、呪力は黒く光る現象』。
黒閃は一回目はまぐれでも実力でも構わない、二回目以上の黒閃を繰り出すのであれば、連続で発動させるか、その日のうちに発生させなければ難しい。
故に、黒閃を経験した者とそうでない者とでは『呪力の核心』との距離に天と地ほどの差があり、『呪力への理解』、『呪術への理解』も深まる。
そして、その少年は『
━
「黒閃を五回? 世界線が違えば七回も極める? 悠仁の奴ヤバすぎだろ」
「『黒い火花に……愛されている』か、末恐ろしい子だ」
「………黒閃を極められるのなら、その場を無くさない方が後々有利になっていく。仕方ないがその場は確保しておこう、宿儺の器・虎杖悠仁が強くなるのはある程度だが望ましいからな。
その後はどうなる、五条が間に合うと言う事は祓える。と、見ていいんだな?」
「残念ながら逃げられます、致命傷を与えられますが、それだけです」
「何故祓えない、何故祓えていないと分かる」
「交流会から数ヶ月先の
手で目を覆い「続きを話してくれ」と弱々しい声続きを促す。
━
「先程も言った通り会場には僕達特級呪術師を拒む帳が降りてます。ですが、裏を返せば一級呪術師までは入れると言う事になります。
この条件を生かし東京高からは建人と
「何人動かせる」
「六人が限界です」
「超えるとどうなる」
「世界線がズレます。死者は出ませんが重傷者が増えます」
「ところでさ、帳は誰に壊させるの」
「
「任せてくれ」
「呪具の方はどーすんの」
「呪具を探すのは冥冥さんに頼むつもりだよ」
「確かに冥さんは適任だな」
「んで、呪具の破壊はハルが連れて来るフリーの呪術師か、出来んの?」
「攻撃特化の術師と攻撃性の高い術師を連れてくるつもりだよ。………甚爾さん」
「断る」
「……まだ何も言ってませんよ」
「どれだけお前との付き合いがなげぇと思ってんだよ、てめぇが考える事くらい分かるっての」
「俺の次くらいか?」
「ハッ、わりぃが俺の方がはえぇな」
「同じぐらいじゃないかな」
なんとも低レベルな争いをする二人を見て家入が「あの二人ってあんなんだっけ?」と、夏油に聞くと「私も初めて見たよ」などと話している。
━
「で、ですね甚爾さん」
「駄目だ」
「話くらい聞いてくれても良いんじゃないですかね」
「なら話だけは聞いてやる、だがその上で断る」
「
「
「何回か会った事が有るけど、術式は知らないな」
「そう言えば俺も知らねぇな」
「
「兄妹揃って式神使いなんだ」
「性質は真逆だがな」
「真逆?」
「
「鉄アレイ?」
「うん鉄アレイ、パッと見が本当に鉄アレイ。能力は極悪だけど」
「
「んー、そうだねぇ……一言で言えば様々な
「情報の強制改変? 余計に分かんないんだけど」
「例えば『反転術式で怪我を治した』と言う情報を強制改変して『怪我を治していない』状態へと書き換えられる」
加茂
━
「あっはっは反則だよねー。
因みに言うと
「ソッチの方がもっとエグいじゃん」
「あっはっはそうだねぇ、エグいよねぇ。しかもまだあるんだよね」
「まだあるのか!
「はい、もう一つは意識不明状態になる事も稀に起きます」
更に強力な付随的効果がある事を告げられまたフリーズする。
━
「術式そのもの強いが副次効果の方がもっと恐ろしいね、ある意味一撃必殺の術式だ」
「しかも
「恵君の式神は一体一体を調伏しないと使えないけど、
だから
「
「ですよねー、正直僕もできるのなら参加させたくありません。ですが投入できる戦力を増やせるのなら増やしたいのも事実です」
「だが加茂
夜蛾が抱いていた懸念点。連れてこれるフリーの術師は最大で六人、そこに加茂
━
「学長の思いも分かりますが問題ありません」
「何故だ」
「向こうは
「知らない戦力……まさか
知らない、知られていない戦力。それは世界線をズラさず会場内に待ち伏せさせられる数少ない術師だった。
━
「うんまぁ、そうだね。待ち伏せさせられるね」
「んな事したらブン殴る」
「しませんよ僕だってそこまで鬼畜じゃありませんよ」
「どうだか、信じられねぇな」
朗らかに笑いながら「ですよねー。でも待ち伏せさせるつもりがないのは本当ですよ」と、甚爾に言った時「加茂、今お前は
━
「なんでソコで硝子を見んだよ、硝子が戦力にはなんねぇだろ、硝子は術式ねぇんだから死にに行くようなもんだろ」
「あー……
「こんな事になるのに黙ってるのは無理でしょ」
「そうだね、同感」
「待ってくれ、二人して何を言っているんだ。悟が言った通り硝子は術式がない、硝子は戦力になり得ない」
「それがなんと術式が使える様に成ったんだよね」
家入の言葉に呪力を漲らせ「ハル。硝子には弄らねぇつったよな」怒気をにじませながら問い掛け「前に言った通りしてないよ、僕だって硝子にアレをしたくない」と答える。
━
「じゃあどうやって家入が術式を使える様になっているんだ」
「居るじゃないですか
「何を言って………そうか、乙骨君か。彼は外付けで術式を完全なモノにしている」
「術式が宿った呪具か。加茂、そんな代物をどこで手に入れた」
顔を俯かせ一つ息を吐き「僕が学生時代に覚醒させた術師が持っていた呪具です」と倭助以外にも使っていた事を告白した。
━
「倭助さんだけじゃ無かったのか………
「倭助さんの葬式の時、僕は冥冥さんに『目と耳、手足は多い方が良い』と言った事を覚えてる?」
「それは覚えているけど……まさか」
「倭助さんは始まりに過ぎなかったんだよ。
あの時、僕の裁量で動かせる術師が欲しかったんだ。あの時の総監部は腐りに腐ってたからね、アレらに知られないように動かせる術師が欲しかった。
倭助さん以外に学生時代の時には既に数えきれない程の被害者達を覚醒させた、そして……その内の術師は少なくとも六人が死んだ。
その時に死んだ術師の術式が驚いた事に呪具化したんだ。その呪具を硝子に渡し、過不足なく戦える様に鍛えた」
「呪具化した……術式? そんな事が起こりえるのか?」
「僕の
「待て、家入を鍛えただと? どこで鍛えた、術式を使えば残穢が残る。
そもそも登録されていない呪術を高専内で使えばアラームが鳴る、鍛える事は不可能だ」
「………誰も来ない、使っても気づかれない場所は一つしかありませんよ学長」
「何? そんな場所がある訳………! 天元様がいらっしゃる薨星宮か!!」
「はい。あそこは天元の空性結界によって外部と遮断されてますし、天元が許可した者しかあの場所には辿り着けない侵入が極めて困難なある種の聖域です。ですが僕なら出来る。
あそこに辿り着く事くらい造作もありません、昔は少々手間取りましたが今は天元も諦めて僕はフリーパス状態になってますね」
「そんな……事が出来る訳が無い、お前は何故天元様の下へ行ける」
夜蛾の反応は、疑問は思って当然のモノ。自力で薨星宮に……天元の下に行くことは不可能なのだから。
━
「天与呪縛をこう……ちょいちょいと拡張して薨星宮までの正しいルートを僕が作るんです、許可をしていない僕が初めて来た時は驚いてましたね。
天元は自分以上の結界術を使える術師はいないと思ってますから、ざまぁみろって思いましたよ。あの時の顔は見物でしたね」
「天元様の結界術は
いくら加茂であっても
天元が居る場所は薨星宮:本殿の大樹の根本に有り、尚且つ空性結界と言われる
━
「あー、天元の居る場所や薨星宮までの道のりや本体を隠しているのは空性結界と呼ばれる結界です。
空性結界は『
ここで問題なのが『
コレが本当に難しいんですよ。この『
本当にややこしいですよね、この『
「俺さ、ハルが何を言ってんのかが全然分からねぇんだけど」
「大丈夫、私も分かんない」
「例えば、だけど『箱の中は内側である、だから内側は箱の中にある』…………で、いいのか?」
「うん、多分あってる。僕もそこまでハッキリと分かってる訳じゃ無いから答えられないだよね。
でも天元はこの定義を曖昧にして『箱の中は内側である、しかし箱の中は外である』みたいな感じで隠してる。だからこの『外』を再定義して『内側』に通じる道を造ってね。
天元は本当に面倒くさい事をしてくれてるよね、道を造るために新しい術式を作らなくちゃ駄目だった」
「どれぐらい時間掛かったのさ」
「初めて天与呪縛を弄ったので大体二ヶ月から三ヶ月くらいかな」
頭を抱え「そんな短期間で天与呪縛を拡張できるのか」と呟くと「どちらかと言えば天元のお陰で『天与呪縛』を拡張させる事ができる様になりましたね」と答える。
━
━━━
いかにして天与呪縛を拡張するのか……その方法は『天与呪縛とは縛りを科す術式』であるとし、その
天与呪縛の拡張と言うあり得ない事を成しえた理由は皮肉にも天元の空性結界だった。
━━━
「うんまあ天元の事を話すと長くなるのでこの辺りで止めましょうか、なので硝子が術式を使えるのかを説明しますね」
「そうだったな、硝子の事だ。天元様の事はまた今度にでも聞くとして、外付けの術式はどんな術式なんだ?」
「そーだよ、硝子にどんな外付け術式を付けたのか話せよ」
「黙ってたのは悪かったけど、そう怒らないでよ。僕にも僕なりの考えが有ったから隠してたんだ。
それと勘違いしないで欲しいから言うけど術式が欲しいって言ってきたのは硝子の方からだからね、脳を弄れって言うから拒否した」
「ソコだけ弁護するわ、術式が……戦える力が欲しいって私から
「なんだよ……それ……」
「
「あー、硝子。ストップストップ、話が違う。その辺りは言わなくていいから」
「ハル、何隠してたんだ、言えよ」
「あー………交流会が終わったらね、今はこの情報は不必要だから後でね」
「……成る程、天元さまとの会話の意味が今分かった。やっぱコイツ莫迦だわ」
「良いかい硝子、僕は当てずっぽうは決してやらない。あれは癖になると大変だからね、『
「このバカの秘密主義者っぷりは今に始まった事じゃねぇだろ、コイツは昔から黙っていやがんだよ。聞きてぇんなら殴って吐かせればいい」
「あはは、暴力反対ですよ甚爾さん。甚爾さんに殴られらと死ぬので断固拒否します」
「ハッ、口で駄目なら拳しかねぇだろうが」
甚爾と軽口を叩き合っていると神妙な面持ちで「………分かった、
━
タイトルを修正版から何に変えるか検討中。