「………僕って悟君には甘いんだよね、なんでかな」
「幼馴染みだからだろ」
「そうだね、僕は昔から君には甘かった。同等の呪術師は悟君しかいなかったからね」
「マジそれな。俺も俺と
「ふぅ……じゃあ、今皆が知るべき情報、硝子の術式を話そうか。
硝子に渡した外付け術式は
「メイガス? …………! あの時、学生時代ん時に俺とヤり合った術師の術式だ」
「そうか、私達が行った任務で遭遇した術師達だ。あの時私は大きな鎌を持った術師と戦った、そして私は………
「あの時二人が会った呪術師は僕が覚醒させた元一般人の覚醒呪術師だ」
「…………! ハル!! そのせいで傑は死にかけたんだぞ!!」
「知ってるよ、セラ……大鎌を持ってた術師から聞いてるからね。
ジークーンは死にそうになったって聞いたよ、二度と『最強』とは
「ハル、なんであんな事をした……あの時、下手をしたら傑は……」
「自信………イヤ、確信かな。二人は乗り越えられると信じてた、だから君達がもう一つ上の
そして結果は僕の狙い通りのモノとなったよ、悟君は攻撃全振りから搦め手を使うようになり、傑君は反転術式を習得し呪力の核心を掴み二人の
僕は僕がした事に後悔をしていないし、間違った事をしたとも思っていない。全ての呪術師が一つ上の
その為なら僕は喜んで汚泥を被ろう、僕はソレをしなくてはいけない責務がある」
「
「その通りだよ硝子、僕は幾千幾億もの
「ハル……なんで、なんでそんなに……」
「これこそが、僕と言う呪術師に与えられた責務だからだ、僕は僕が思う
晴蓮が初めてした心中の吐露、晴蓮は常々思っていた。晴蓮は常に『責務』を背負い、呪術師の戦力増強、死亡率の低下を実現させるために
誰にも悟られない様に十数年もの間、
━
「
「ハル……どうして頼ってくれねぇんだよ」
「我々はそれ程までにお前の力になれないのか?」
三人が驚く中、家入は「だから莫迦だって言ってんじゃん」と呆れ、そしていつの間にか起きていた甚爾は「コイツは生粋の呪術師だ、それはテメェらも知ってんだろ。
コイツは呪術界の事なんざ一ミリも考えてねぇ。コイツが考えてんのは『何をすれば、どうすれば呪術師を生かせるのか』だ、コイツにとっての
━
「痛い痛い、千切れる千切れますって甚爾さん」
「一回千切れとけ愚弟《・・》が」
「そのままこの莫迦を殴っていいよ。
だから誰かが殴ってでも止めなきゃ駄目なんだよこの莫迦は」
「同感だ、一回ブン殴ってやるか」
「頭が弾けたら流石の僕でも死ぬので勘弁してください」
「…………ハルの説教は交流会が終わってからにしてやる。だから硝子が使えるそのメイガス? って言う術式が知りたい」
「はいはい。
「おう、任せとけ」
「そうだね、知ってる事全部話させる」
わざとらしく身をのけぞらせ「おっふ困った、ヨシ終わったら逃げようそうしよう。後はうんそうだね、僕としては術式以外は全部忘れて欲しいかな。と言うか忘れてね、なので術式の事を話そうか」と言い家入に視線を向け「じゃあ話す………より見せた方が早いか、硝子」と声を掛ける。
━
「へいへい」
「ま、待て! 高専内で登録されていない術式を使えばアラームがーー」
夜蛾の声は硝子には既に聞こえておらず、目を閉じ集中し腕輪に呪力を流す、そして小声で呟く様に「『おいで、私の……
━
「アラームが……鳴らない?」
「その見た目……確かにあの時の術師と同じだな」
「天元に登録する様に言っておきました、アイツそう言うの得意ですから」
「天元様が?」
「悟君と傑君、それに学長。今の硝子はどんな風に見えますか」
「どんなって……」
「体が淡い緑色に光ってる………この光り方は私が戦った大鎌を持った術師と同じだ」
「成る程、
「学長も傑も何言ってんだよ、
「!! そうか、悟君には
━
「ハル、それはどう言う……! なんでハルも光ってんだよ」
「僕も同系統の術式を
「同系統?」
「確かにハルの後ろにも居るな、式神使いが似るってヤツか?」
「あぁ、やっぱり見えるんだ。
似るかどうかは、まあそうなるのか……な? まあでも大まかな戦闘スタイルは知ってるでしょ?」
「そりゃな戦ったからな、厄介なのは知ってるな。
「馬鹿な! そんな事はあり得ん!」
「それが出来てたから驚いてんだって」
「まあ呪術なんで解釈の仕方でなんでも出来るし」
「それは
「同感」
「二人に同じく……てかそんな事前にも言った気がする。ふーん、この術式ってそんな事出来んだ、今度やってみよ」
「硝子ならすぐに出来ると思うよ、やってる事は反転術式と同じ原理らしいし」
「じゃあ後でやってみよ」
「ま、その辺りはトライアンドエラーだね。攻撃に関しては問題ないから、硝子を交流会で待ち伏せの戦力として配置出来る」
「そう言やぁ、交流会の話だったな」
「じゃあ話を戻そうか、交流会襲撃での会場内での待ち伏せをさせるのなら硝子を配置すれば
「相手側にとって硝子は戦力を持ってねぇ、だから硝子が会場内に居る事を知ってても『家入硝子は治療要員である』としか思ってねぇからか」
五条の言葉に「その通り」と指を振りながら答え、「今の今まで硝子は戦闘要員である事は僕しか知らない事だった、
━
「だからこそ硝子と
「
「分かってますって、だから悩んでいるんです。何故か相手は僕が動かせるフリーの術師を把握してる、お陰で彼らを投入できない」
「内通者がそこまで調べてるって事か」
「正直どうやって知ったのか気になるよね。なんとかして内通者を見つけて吐かせたい」
「それは交流会が終わった後にしろ」
「勿論そうしますとも、今は関係ないので」
……上手くいっている証ではある、あるけど本当に大丈夫なのかが気になるよね。どうしたものか。
「で? どーすんのよ」
「どーしよーかねー………最悪の場合最近覚醒させた術師も投入するのを視野に入れなきゃ駄目かもね」
「まだしてんのかよ」
「被害者は減らないからね、減ればしないさ。減ればの話だけど」
その言葉に全員が声を詰まらせ、「可能な限り減らせ」と苦虫を噛み潰したような顔で絞り出した。
━
「前にも言いましたが、僕もやりたくてやっている訳じゃありませんって」
「分かった上で言っているんだ」
皮肉なのか、それとも本心で言っているのか分からないから表情で「じゃあ皆さん頑張って祓ってください。僕より早く」と伝える。
━
「さて、また話がそれたので戻しましょうか」
「ハルのせいだけどな」
「それは言わないお約束だよ。で、なんでしたっけ? ………あぁ、そうそう連れてくるフリーの術師だったね」
頭を支えながらタメ息を吐き「そうだ、どんな術師を連れてくるつもりだ」と聞き、「降霊術師が二人、式神使いが一人、ニューテクの術師が一人でちょっと変わった術師が二人の計六人です」と答えた。
━
「ニューテクの術師ってどんな感じ?」
「彼の事か、正直僕も良く分かってないんだよね。でもまあアレだね、秤君の術式は覚えてる?」
「
「ギャンブルって日進月歩で進化していくからね、連れていって正解だったよ」
「私としては殴りたいがな」
「あっはっは。良いじゃないですか、強くなったんですから」
「その結果がアレなのか……」
「面白くていいじゃん、保守派はブチ切れてたけどね。面白い顔してたよねー」
「だよな」
二人して大笑いしていると「連れてくるニューテクの術師はどうなんだ?」と聞き、「彼の術式は『車』だよ」と今一分からない事を言われ「あー、
━
「うん、彼は
彼が車関係のエンジニアでね、自動車へとニューテク化したんだ」
「余計にややこしくなってないか?」
「だよね、だから僕にもさっぱり分かんない。
彼は元々が制御・ソフトウェアエンジニアでね、でも彼は設計エンジニアになりたかったらしくって覚醒する一年かそこら前に設計エンジニアになったんだって。
だから車の構造、部品、内装などの図面を引けるから『何を、どうすれば』車ができるのかを分かってるから術式として成立したんだよね。僕にはさっぱり分かんないけど」
「本当にどんな事ができるのかが分からないね」
「ねー」
夜蛾は深いタメ息を吐き、「その前に一旦整理するぞ。帳が降ろされたら七海と
帳は
━
「そうなりますね」
「
「
どうしようもない現実に夜蛾はまたもやタメ息を吐いた。
━
「じゃあ次は中止にした場合を話します」
「確かにそっちも知るべきだけど、先に呪詛師の事を教えてくれないか?」
「そうだな、中止した場合も重要だが同時に来る呪詛師も重要だ」
「分かりました。先に呪詛師の事を話します、それに中止にすれば『順当』な
「なんか嫌な事聞こえた気がするけど、後で聞くわ」
「あっはっは、まあうん。後でね。
呪霊についてくる呪詛師は会場に四人、内一人は恐らく呪具師だと思う」
「それは何故?」
「悟君の骨でハンガーラック造るとかなんとか言ってるから」
「何ソイツキモいんだけど」
「弱いから大丈夫だよ、んで、二人目はこれまた気持ち悪い剣を持った奴だね」
「聞きたくないけど一応聞くわ、どんな剣」
「剣の抦が人の手になってる、因みにこの剣……剣で良いのか分からないけど一応呪具らしい、一人目の呪具師が造ったみたいだね」
「マジでキメェ」
「三人目は結界術師、帳を降ろすのはコイツだね。結界術の腕は僕以上じゃないかな」
「ハル以上とかあり得ねぇだろ」
加茂晴蓮の結界術はかなりの高水準であり、結界術から独自の封印術を開発する程度には卓越している。その為晴蓮が自分以上と言った事を誰もが信じていなかった。
━
「生得術式が結界術系統なんじゃないかな、じゃないとこんな結界を降ろせるとは思えない」
「何重にも重ねた帳を降ろせるレベルの結界術師か………厄介だな、その呪詛師は捕らえられるのか?」
「無理ですね、帳を降ろし次第すぐに高専から逃げます。帳を降ろした術師がいないから壊せる様になります、痛し痒しって感じですね」
一言「そうか」とだけ呟き、数瞬目を閉じ「四人目の呪詛師はどんな奴だ」と聞く。
━
「四人目は強いですね、と言うか危険な術師です。この術師は会場内を
「術式は?」
「…………自分の骨を飛ばしたり生やしたり、後は骨を引き抜いて武器にしています。
僕が知る限りそんな事ができる術師はあの家系しかいない」
流し聞きしていた甚爾がピクリと反応し、「
━
「まず間違いなく」
「へぇ……そいつぁ面白くなりそうじゃねぇか」
「は? あの一族の事言ってんの? アイツら滅んだじゃん、まだ残ってんの?」
「末裔が
五条の慌てぶりを見て夏油、家入の二人が目を白黒させている。
━
「骨を操る? 滅んだ? いったいどんな一族なんだ」
「一言で言えばマジもんの戦闘狂一族」
「その結果滅んだ一族……だった筈なんだけど、まさか今になって出てくるとはね。
厄介な呪術師が現れたのはちょっと……イヤかなり困る、全体的に困る」
「なんで今さら出てくるんだよ」
「一つは僕と同じ先祖返りの可能性を考えてる。僕の生得術式も調べた限りでは、『血漿操術は加茂家初代が使っていた』と言う文献が出てきたけどコレ以上の情報は無かった」
後はあの継ぎ接ぎ呪霊の仕業の可能性も有るとすれば、だ。
「その骨を操る一族は確か、
まあそりゃ知ってるか、高専にも一応文献が有るし。
「それをもう一つの可能性として考えています。覚醒させたのは羂索に付いてる継ぎ接ぎ呪霊の仕業だと思いますが、まあなので詰まる所は羂索の仕業とも言えますね」
「そうか……。それで、重症を負った生徒はどうなる」
「歌姫さんが間に合い、割って入るので問題はありません。ただ……」
「ただ?」
「もしかして負傷する教師って歌姫さん?」
「うん、歌姫さんが負傷する。その上で呪詛師にも逃げられる、流石は
口を手で覆い数瞬考え「二つ聞きたい」と口を開き、「どうぞ」と返す。
━
「一つ目、どうして逃げるのか。
二つ目、どうやって逃げるのか」
「一つ目は帳が壊されるので逃げます、これは僕が
これは僕の憶測ですが
なので
二つ目の『どうやって逃げるのか』ですが、
「飛んで……逃げる? その術師はそんな事ができるのか?」
「僕が視た
「骨の羽で逃げられんの? それに戦闘狂一族なんでしょ? そんな奴が逃げんの?」
「文献でしか知らないからなんとも言えないけど、骨の羽で逃げるのを視てるしできるんじゃない?
二つ目の『戦闘狂一族が何故逃げるのか』だけど、だからこそ逃げるんだ。
「次の
タメ息を吐き額に手をあて「まさか輝夜の術師が現れるとはな、何故今更出てくるんだ」と愚痴を溢す。
━
「僕も
でもまあどちらにせよ
ん? 待てよ……以前
「そんな一族が羂索の手引きとはいえ
「本当にね、なんで今現れたのか……僕の監視網をどうやって掻い潜ったのか、まあ傑君が言った様に羂索の仕業なんだろうけど面倒な事をしてくれる」
「そんなヤバいくらい強い一族がなんで滅んだの?」
素朴な疑問で、当然の疑問を投げ掛ける。
━
キャラが増えすぎて頭がおっつかないよう。