その血が歩む道すじ:完全版   作:亞忌羅

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 交流会までが長すぎる。

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 ただいま過去話の加筆訂正・修正中。
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九十二話

 晴蓮は「それと娜織(ナオリ)と言う人物は団和(ウチワ)の中でも特殊な人物みたいですね」と話すと「詳しく話せ」と続きを促す。

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「もう一人りの術師の名前は『団和(ウチワ)娜織(ナオリ)』、この人物の瞳術はどちらも幻術で詳細に書かれていました」

「幻術だと? 確かに今より昔は使われていたらしいが……」

「ええまあそうですね、当時は幻術を相伝術式としていた家系も居ましたが今では途絶えてますから。

 当時でもそういった家系以外ではあくまて遁走呪術として使われるくらいですので、一見では強そうに思えませんが、この人物の幻術はソレら幻術とは一線を画します」

「一線を画す? どう言う意味だ」

「瞳術『天之狭霧(アメノサギリ)』、そして『国之狭霧(クニノサギリ)』は少しだけ違いはありますが、共通しているのが『現実と幻術が混在し現実を見失う(・・・・・・)』幻術なんです」

「どう言う事だ、現実を見失うだと」

「幻術の掛け方は共に『霧を媒介に幻術を行使する』と言うモノですが、二つには少しだけ違いがあります」

「何がどう変わってくるんだ」

「では先ず『天之狭霧(アメノサギリ)』から。

 この瞳術は『降り注ぐ霧が自我と言う境界を覆い隠し現実と虚構を曖昧にし、現実と幻術の世界を彷徨(さまよ)う』幻術です」

「現実と幻術を彷徨う? あり得ん、幻術にそんな事ができる訳が無い」

「この人物の幻術が特殊すぎるんです。それこそやろうと思えば……ってヤツですかね」

「そんな……事が……」

国之狭霧(クニノサギリ)を説明しますね」

 

 呆然としながらも「あ……あぁ、頼む」の一言を絞り出す。

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「もう一つの瞳術の『国之狭霧(クニノサギリ)』は『立ち込める霧が意識と言う境界を覆い隠し、五感・呪力感知等を支配する』幻術と書かれていました」

「五感を、呪力感知を……支配する、だと……そんな事はあり得ない。幻術は感覚を騙す程度の筈だ。あり得ん……あり得る訳が無い」

 

 幻術と言う呪術の常識を覆す能力を聞き、夜蛾が半ば放心状態なり、「団和(ウチワ)と言う一族の瞳術は不可能な呪術を、術式を使う事ができる一族なんです」と返す。

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(れん)の幻術も似たような事ができると思うが、違うのか?」

「僕のはこの幻術を参考にした術式なんだ。

 だから下位互換でしかないし、長時間・長期間幻術に掛けるには何度も重ね掛けしたり、定期的に掛けたりとかしないと継続して幻術には掛けられない」

「その二つの代償(縛り)は?」

「使えるまでのインターバルが長い」

「どれぐらい?」

「約半年の間失明する」

「結構代償(縛り)が大きいんだな」

 

 頭に手をやり夜蛾が「それぐらいの代償(縛り)が無いと釣り合わんだろう」と、どこか諦めた声色で喋る。

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「コレらの代償(縛り)瞳術(・・)の縛りです」

「瞳術の、代償(縛り)?」

団和(ウチワ)の写輪眼………正確には万華鏡写輪眼は瞳術を使えば使うほど視力が低下し、最後には失明へと向かっていくリスクを伴います」

「ちゃんとした代償(縛り)が有って嬉しい」

 まあその代償(縛り)を踏み倒せたりするんだけど、コレは基本無いから今は言わなくて良いかな。

 

「で、禍求夜(カグヤ)団和(ウチワ)の副当主を殺した結果、団和(ウチワ)の当主……団和(ウチワ)娜織(ナオリ)が万華鏡写輪眼を開眼させ禍求夜(カグヤ)一族と最後の一人になるまで殺し合い、御三家が漁夫の利宜しく禍求夜(カグヤ)一族を族滅させた。

 団和(ウチワ)一族は禍求夜(カグヤ)との戦闘で団和(ウチワ)の術師が急激に減って自然消滅した……んだけど、団和(ウチワ)らしき一族を見つけてから複数の式神で24時間監視してる。

 いつ開眼するか分からないし、開眼したら必然的に生得術式も覚醒するからね」

「……つまり、いつ爆発するか分からない特大の爆弾と言う事か」

「端的に言えばね。宿儺と同等レベルで警戒する必要がある一族だ、手綱が握れるのならこれ以上無い程の戦力になるけど、今の所は僕には手綱を握れる気がしない」

「お前でもか」

「色々と試してはいるんですけどね」

 今団和(ウチワ)に様々な援助して開眼の条件を僕になる様にしてるけど、上手くいっているのかいないのか…………まあ上手くいってると思いたい。

 

 家入が晴蓮をジッと見て「(セイ)さ、団和(ウチワ)の事()なんか隠してない?」と、痛い所を突かれる。

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「…………なんでそう思ったの」

「なんとなく、後は天元さまが言ってたし」

「天元様はなんと?」

(セイ)が『今は必要ではない(・・・・・・・・)』と、判断した情報は共有しないって」

「おうハル、全部吐け」

「はぁ……全く、天元も面倒な事をしてくれるね」

「で、何隠してんの」

 

 飲み干したお茶を注ぎ、そして一気に飲み干してから口を開く。

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団和(うちわ)の万華鏡写輪眼の『失明』と言う代償(縛り)はある事をすれば踏み倒せるんだ」

「は? マジで?」

 

 強力な術を使える代わりに失明と言う代償(縛り)が有るのは呪術の道理に叶っている、呪術とは足し引きを、縛りを科す事で強力な呪術を使える様にするからだ。

 だが、その足し引き……縛りを踏み倒すなどあり得る筈が無い、道理が通じない。

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「その条件はなんだ」

「条件は他者の万華鏡写輪眼を移植する事です。

 但し、代償(縛り)を踏み倒す方法は瞳《・》の物理的移植、その為の条件は二つ有ります。

 一つ目は瞳のやりとりは一族間でしか行えない。

 二つ目は移植したからといって必ず成功する訳ではなく、移植する眼が近親者と言った血縁のものでないものだと失敗する可能性も有ると文献に記載されていました」

「その眼を手にした者は居るのか?」

「文献には記載されていませんでした。なので過去(世界)を視たら一人だけ、開眼した術師が一人だけ居ました。それは団和(うちわ)の開祖・団和陰鐃(うちわいんどら)ただ一人です。

 ああそれと正確には視力低下の代償(縛り)を無しに発動することができるようになるって感じみたいですね、なので呪力の消費量まではカバーできないとの事です」

「それでも呪術の道理に反している、その程度では縛りが成立しない」

「先程も同じ事を言いましたが、もう一度言います。だからこそ御三家に匹敵する家系として扱われ、禍求夜(カグヤ)を含め五大家系と呼ばれているんです」

 

 項垂れ「団和(ウチワ)禍求夜(カグヤ)もバケモノ揃いだな」と呟く。

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「後はアレですね、残した究極の瞳術にして禁術が二つ有り、内一つは団和(ウチワ)娜織(ナオリ)団和(ウチワ)娜織(ナオリ)が開発しています」

「禁術だと?」

「はい、禁術とされる二つの瞳術、一つが『伊邪那岐(イザナギ)』、もう一つは『|伊邪那美(イザナミ)』です」

「イザナギとイザナミ……『古事記』や『日本書紀』出てくる神様で、日本の国土や多くの神々を生み出した神話における『創造神』……だったと思うけど、合っているか?」

「うん。この二柱の神様が『国生みの神』だね。

 勘違いされやすいんだけど国を創った『創造神』だけど、日本神話の最高神は天照大御神(アマテラスオオミカミ)なんだよね。更に言うと天地開闢(てんちかいびゃく)をしたのも別の神様だし……日本神話ってややこしいですよね」

 

 神のアレコレを話していると「歴史(神話)の話しは今は関係ない、本題に戻れ」と夜蛾が注意する。

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「ではまず伊邪那岐(イザナギ)から。

 禁術・伊邪那岐(イザナギ)の開発者は載っていませんでしたが、この瞳術は『自分に幻術を掛け、自分にとって都合が悪いことは夢に、都合の良いことは現実に書き換える』究極の幻術です」

「あり得ん!! そんな事ができる訳が無い!!」

「僕もそう思いたいですけど、文献に載っているのである程度は事実だと思います」

「しかしだ、(れん)。幻術にそんな事が本当にできるのか?」

「仕組みは分からないけど一次資料によれば『夢と現実を書き換える』って書いてあるからねぇ………今は信じるしかないかな」

「それって一回で終わるの?」

「恐ろしい事に発動後しばらく持続するんだ、だから効果時間中はいかなる攻撃を受けても無視して一方的に攻撃できちゃうね、だから禁術なんだ」

「そんなの使われたら手も足も出ないじゃん」

「うん、でもこの禁術にも代償(縛り)がある」

代償(縛り)があると聞けただけでこうも嬉しいのは初めてだな。それで、どんな代償(縛り)だ」

「効果時間がきたら必ず失明します」

「禁術を、伊邪那岐(イザナギ)を使えば失明か、であれば妥当な代償(縛り)だな。次は伊邪那美(イザナミ)だ」

伊邪那美(イザナミ)は『伊邪那岐(イザナギ)による結果の奪い合いによる同士討ちを止める』ために団和(ウチワ)娜織(ナオリ)の手によって造られたカウンターです。

 発動条件は『一定間隔内のある同じ出来事と感覚を二度、使用者と対象者で共有する』の触覚を用いたやり方。もう一つは『自分の刀を地面に落とし刺して、その際出た音を聴く』の聴覚を用いた行動をして尚且つその間に最低一度は改心を促す問い掛けるんです。

 例えば『伊邪那岐(イザナギ)を使うのをやめて現実を受け止めろ』。とかですかね。これらをして漸く伊邪那美(イザナミ)が発動します。そして伊邪那美(イザナミ)を受けた者はその間の出来事を無限ループさせ、対象者の精神を閉じ込め改心を促す瞳術です」

伊邪那岐(イザナギ)のカウンターか、発動条件は複雑だけど発動さえすれば伊邪那岐(イザナギ)を止められて、改心しない限り無限ループから抜け出せない」

「一族を守る為に造られた瞳術、優しい術だけど伊邪那美(イザナミ)を使えば伊邪那岐(イザナギ)同様失明するんだ、タイミングは二度の感覚共有に成功し発動が確定したタイミングで失明すると載ってたよ」

 

 全容を聞いて「禁術に相応しい術式で、禁術に相応しい代償(縛り)だな」と夜蛾が本音を吐露する。

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「さて。暗い話はこの辺にして、交流会の事を話しましょう。元々交流会の話ですし」

「ああそうだな、そう言えば今回の集まりは交流会の事だったな。交流会の話を頼む」

 

 どこか憔悴している声色で本題へと戻す。

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「会場内外に現れる呪霊、呪詛師の話は終わりました。なので次は忌庫(きこ)に現れる呪霊、呪詛師です」

「確か……忌庫(きこ)には呪霊は六体、特級呪霊が四体で一級呪霊が二体。これで合っているね」

「呪霊はそれで合ってる。特級六体の内二体が自然呪霊で、片方は銀崩(ぎんほう)と呼ばれている」

銀崩(ぎんほう)……。この呪霊が(れん)と?」

「うん、昨日戦った氷の呪術を使う自然呪霊だね」

「規模は分かるか」

「あの時はそこまで戦っていないのでどの程度までの事ができるのかは不明です」

 

 自然呪霊『銀崩(ぎんほう)』戦ったばかりの呪霊にして、未来視(世界視)で名を知る事に成功した。

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「もう一体は継ぎ接ぎの呪霊……人間を改造させる事ができる呪霊で、建人曰く『触れられたらアウト』だそうです」

「お前は分からないのか?」

「イヤまあなんと言いますか……現着してすぐに領域に入れたのでマトモな戦闘にならなかったんですよね」

「あー……ハルの領域か、そりゃマトモな戦闘にならんわな」

(れん)が領域を使ったのに呪霊に逃げられたのか?」

「条件を変えたのが裏目に出た」

「条件を変えたと言うのはどう言う意味だ」

「継ぎ接ぎの呪霊を確実に祓いたかったので逃がさない様に内側を硬くして外殻を柔くしたんです、勿論後詰めの呪霊が来る事も知っていたので来る前に祓える………筈だったんですけど、どうやらどこかでズレたみたいですね」

「ズレた理由は」

 

 顎に手を置き少し考え、悩み「恐らく僕が領域の条件を変えたからと考えています」とあっけらかんと答える。

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「領域の条件を変えたからズレたと?」

「あの時ズレる要素は何一つありませんでした、世界線がズレる要因はいつもと違う事をする(・・・・・・・・・・)事。なので考えられるのはコレくらいしか思いつきません」

「いつもと違う事をする、領域の条件を変えたから………か、ここにきて不確定要素が出てくるとはな」

「はい。なので未来(世界)も、交流会の未来(世界)もズレる可能性が僅かですが浮上します」

「ズレたとして何が変わる」

「そう、ですね………考えられるのは呪霊と呪詛師の数、等級ですね」

「ここにきて不確定要素が出てくるのか……クソッ」

「不確定要素による変化後で話しましょう。今は今分かっている未来(世界)を話します」

 

 晴蓮の一言に皆が思考を切り替える。

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忌庫(きこ)で待ち伏せするのは僕と直哉の二人」

「そうか、甚爾さんが会場……禍求夜(カグヤ)の相手をするとなれば忌庫(きこ)に居るのは(れん)と直哉くんだけになる。大丈夫なのか?」

「直毘人さんに扇さん、それと禪院の(へい)に人達を連れていこうかなとは思ってる、連れていけるかどうかは微妙なところ」

「なんで」

「対策されてるんだよ」

「そりゃそうだよな呑兵衛も扇のじーさんも特級だからな、何かしてくるわな」

「で、具体的には何されてんの」

「直毘人さんと相性の良い……正確には投射呪法と相性の良い方法で対策されるんだ」

「投射呪法と相性が良いって何されんの」

「特級呪霊が四国にばら蒔かれる」

「どんだけ蒔かれんの」

「徳島、香川、愛媛、高知。全ての県で二体ずつだね。だから高速で移動出来る直毘人さんか直哉が適任なんだ、もしかしたら直哉もそっちに駆り出されるかもしれない」

「甚爾さんは禍求夜(カグヤ)の呪詛師の相手をしに会場に行く、禪院の人達を連れていきたいが対策されている可能性が高いか……(れん)

「五分五分かな」

「五分五分か、あまり期待せずに考えていた方がいいね」

「扇のじーさんは連れていけんの?」

「扇さんも五分五分だね、京都に呪霊が出る」

「マジでガッチガチに対策されてんだな」

「そうなんだよねー、五分五分とは言え完全に手詰まり状態。向こう側は忌庫(きこ)に居る戦力を可能な限り減らしたいから、ガッチガチに対策をしてる。向こう側の理想は僕一人だけだからね」

 

 天井を仰ぎ見て「当たり前だがその二人も対策済みか」と溢し、「この場合忌庫(きこ)には加茂と禪院扇の二人……フリーの呪術師は連れていけんのか?」と聞いてくる。

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「よくて二人ですね」

「等級は」

「一級です、ですが特級に近い一級呪術師なので、場合によっては特級呪霊の相手をできるかもしれません。呪詛師には式神を使います」

「フリーは二人、式神は何体出せる」

 

 顎に手をやり少し考え「三人から四人ですかね」と答え、「式神は最大四体、フリーと合わせれば合計六人。だが呪霊も六体で、内四体が特級。呪詛師はいるのか」と返ってきて「呪詛師は結界術師を含め計三人ですが会場に居る奴ら程強くありませんし、結界術師はよくて準一級。なのですが、どうやら妨害に長けた結界術師ですね」と答える。

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「妨害? どう言う事だ」

「視た未来(世界)で僕は領域を使っていませんでした。

 僕の領域に使い損はありませんし、自然呪霊を逃がさない為に僕であれば確実に領域を展開します。ですが、未来(世界)では領域どころか通常の結界を一つだけしか張れていませんでしたね。憶測レベルですが妨害に長けた結界術師だと考えてます」

「よくて準一級の結界術師にそんな事ができるのか?」

「実力プラス楔……会場と同じ様に呪具を使ってきます、まあ呪具の内容は違いますけど」

「……抜け目は無し、か」

(れん)の領域が封じられる程の結界術師……呪具有りとは言えそんな事ができる呪詛師が居るとはね」

「妨害特化型の結界術師なんだろうね。

 全く、慢心が無いにも程がある。少しは油断してくれたら助かるのに」

 現代で俺並みの結界術の使い手はそうそう居ない、居るとしたら宿儺か羂索。後は呪術全盛期(・・・・・)の術師、やはり羂索は持っているのか? あの時にもっと調べておくべきだったな。後悔先に立たず、だ。

 

 座卓を指でコツコツと叩き「二つ聞く」と言われ「どうぞ」と答える。

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「一つ、結界術師は逃げるのか。

 二つ、式神はどう使うのか」

「では一つ目から、向こうにとって結界術師が(かなめ)ですから逃げますね。

 二つ目、三人(・・)の呪詛師に当てます」

 

 晴蓮の言葉に「ドイツもコイツもすぐ逃げんだな」と呟き「(かなめ)だからね。始末されて結界が壊れるのも、捕まるのも向こうとしては困るんだよ」と答える。

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「三人? 結界術師は逃げるんじゃないのか」

「結界術師は飛べる式神に後を追わせれば捕まえられます」

「三人全員捕まえられるのか?」

「そりゃあ勿論。僕がやるんですよ? 失敗する訳ないじゃないですか。でも、忌庫(きこ)に来る呪詛師は何も知らないみたいですね」

「なんで?」

「僕が居るから」

「あぁ、納得」

未来(世界)を視たのか」

「はい、捕まえられるのは視れました。その後の尋問は軽くしか視てませんが、『雇われただけ』としか言ってなかったので」

 

 晴蓮の『何も知らない』を聞いて「忌庫(きこ)に行く奴らは何も知らねぇんだろ? なら逃がす意味ねーじゃん」と返され「忌庫(きこ)に来る呪詛師達は捨て駒なんだろうね」と返す。

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(セイ)

「あーはいはい、分かったから。言うって、ちゃんと言うよ」

「またかよ、んで? 何隠してんの、ハル」

「三人の内一人は怪しいですね」

「怪しい? どう言う事だ」

「全容は知れませんが『面白い加茂(・・)の術師がいる』。と、言ってますね」

「……まさかお前が目的なのか?」

「そうなんでしょうね、羂索からの入れ知恵………と、思いたいですね」

「ソレおかしかねぇか?」

 

 五条の突っ込みは至極全うな事だった、何故ならーー「だね。今の呪術界で(れん)の事を知らない術師はいない」と、夏油の言う通り今の呪術界で加茂晴蓮と言う呪術師を知らない者はいないからだ。

 そして長い沈黙が続き、ソレを破ったのは「まさか!!」と、叫ぶ夜蛾の声だった。

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「まあ気づきますよね」

「その結界術師は受肉体(・・・)だとでも言うのか!」

「………その可能性は高いかと」

「あり得ん……そんな事は、あり得ん」

「なので捕まえるしかないんです」

「本当にできるんだな?」

「ソレは間違いなく」

 

 頭を抱え「どうやって受肉体を用意できるんだ」とボヤくと「アイツは少なくとも千年は生きてますからね、その時に手に入れたんじゃないですか」と返す。

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「捕まえたとしてその結界術師はどうするつもりだ」

「それは……アレですよ、アレ」

「アレとはなんだ、ハッキリ言え」

「あぁ、ハルの洗脳術式か」

「まあうんそうだね、捕まえられればその術式を使うつもりではいる。そうすれば()の戦力として使える様にできる。だからまぁ、プラマイゼロ? って感じかな」

「それを使うのか?」

「当然、使えるモノはなんでも使う。所詮捨て駒、なら僕も捨て駒として使うまでの事」

 

 腕を組み「その様な事を私は許可できん」と夜蛾は言うが、ソレに対し「僕がいなかったら高専は後手後手、交流会は無防備なところを襲われる。被害は視るまでもない。

 僕達は圧倒的に情報が少ない、僕が居るからこの程度ですんでいるんです」と目を開き答える。

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「確かにその通りだ、未来(世界)を視る事ができる(れん)が居るからこそ私達はこうして対策が練れている、(れん)がいなければ高専は後手後手になり被害は甚大だ。イヤ、それだけじゃない。もしあの時(れん)が居なければ私は………」

「それな、ハルが居ねーとか想像したくもねぇ」

「おう気が合うじゃねぇか五条の当主、俺も同じだ。(ハル)が居ねぇなら今頃俺はどっかで死んでただろうからな」

 

 三者三様の言葉が夜蛾に突き刺さり、夜蛾自身も「加茂が居なければ去年の呪術テロを被害無しでは終わらんだろうしな」と目頭を押さえながら話す。

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 説明が長くなったので次からはカットします、話がダレますので。

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 タイトルを変更いたします。まあ旧版と掛け離れてますし、仕方ないですよね。
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