「でさ、
「うん? 何かまだあったっけ」
「未来が視えなくなるヤツ」
話したくないところを突かれ「あー……それね。うんまあ今は関係ないし別にーー」とはぐらかそうとするが「何かあるんでしょ? だから話せよ」と若干キレ気味に言われる。
━
「……ふぅー…………視えなくなる理由はなんとなく、推測レベルだけど思い当たる事がある」
「は? マジで?」
「あるのに話さねぇつもりでいたのかよ」
「いやぁまぁ……その、ね? 情報過多になるし、その事を知ってると何が起きるか分からないし、言わないでおこうかなって」
「これは
「ハル」
「分かった分かった、ちゃんと話すよ」
「お前がそこまで危険視する程の事が起きるのか」
「はい。恐らく羂索は
「あの呪具? その呪具はそれ程までに警戒する代物なのか?」
「特級呪具の中でも最上位に君臨するレベルだね、それこそ天逆鉾とタメを張る程のね」
それを聞いた夜蛾が「まさか……
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「はい」
「まさか
「ですよね、僕も文献で見たので知ってましたけど本当にあるとは思ってはいませんでした」
「なのに何故あると断言できる」
「僕の
更に言えば並大抵の結界なら簡単に破れます、なので僕を隔離するのなら並大抵じゃない結界を使わざるを得ない。
これらを加味して考えれば出てくる答えは一つしかありませんよ」
「
「そうなりますね」
「対策はないの?」
「今できる事は二つかな」
「有るんだ、無いと思ってた」
「ちゃんと対策案を考えるさ。で、一つ目は外にいる呪霊と呪詛師を無視して悟君と傑君、それと元から担当してもらう
つまり僕を封印させない様にするには
それでも変わるのは空白期間が短くなるか対象が変わる事かな」
「誰に変わる」
「多分悟君ですかね、向こうは僕と悟君を天秤に掛けて僕を危険だと判断したんだと思います」
「ハルは『最優』だからな、分かりやすい呪術を使う俺より何してくるか分からねぇハルを封印する方が有利になる」
「そうなるね。羂索と黒塗り野郎が絡んでる以上視る事はできない、まあ僕が自由に動ける様になるからその時に色々と対策案を出せるかもね」
「空白期間の減少、或いは対象が
「多分ね、とは言えあくまで僕の推測。必ずしも
「ハルがそう言う時点でほぼ100%じゃん」
「あっはっは、どうだろうね。確実とは言えないよ」
同期三人が「その否定は無理がある」と口を揃えて言った。
━
「で、だ。五条と夏油が呪霊及び呪詛師を無視をするとなれば自由に動ける様になる、野放しか?」
「その辺りはフリーの術師にカバーしてもらうしかないですね、後は建人と
「そうか……」
手で口を覆い何かを考えているのを横目に見て「つまり羂索は
「あちら立てればこちらが立たぬ……か」
「まあはい端的に言えば」
五条悟にとって……否、呪術界にとって『加茂晴蓮』と言う呪術師は大きすぎる存在で、気がつけば誰もが頼ってしまう程に大きすぎる呪術師なのだ。
━
「だけど羂索は僕に対してはこう思う。『加茂晴蓮であれば
だから他にも何かをしてくる筈だ、僕を完全に封殺する為に。羂索にとって僕はあまりにもジョーカーすぎるんだよ」
「悟か
「
その堅さは折紙つきさ、多分だけど
「呪具に縛り……そんな事あり得るのか?」
「普通の呪具ならあり得ないだろうね、でも
「違う?」
「そっか、
「うん、
一つ息を吐き「高僧が聞いて呆れるよね」と、肩を竦める。
━
「じゃあさ、
「多分僕が自由に動けない状態である事かな」
「加茂が自由に動けないとはどう言う事だ」
「僕を自由にさせれば何をしてくるのか分からない。だから向こうにとって厄介な、されたくない事をしてくる事は確実だと思っていると僕は考えています。
だからこそ封印の優先順位は僕なんでしょうね、となれば僕を封印しなくていい状態、状況……考えられるのは何かが有って物理的に僕が前線に出られない様な状態や状況ですかね」
「ハルが動けねぇってどんな状態だよ」
「んー、例えば戦えない程の重症だとか、四肢の欠損とかかな。……まあ四肢欠損してても僕なら前に出るだろうけど」
腕一本足一本なくてもどうとでもできるし。
「そんな事が起きるの想像できないんだけど」
「あっはっは、そうだね本当に」
その『起こりえない事』が起き得る
晴蓮の身に何かしらの事が誰にも想像できず、黙り込んでいると夏油が「それにしても破壊は不可能……そして呪具は『生きた結界』。何か方法は無いのか?
━
「どんな方法?」
「呪具に宿ってる術式を無効化すればいい」
「俺が使う天逆鉾か」
「後は
「あー、あの時のアレか」
「悟君を足止めした呪具だね、足止めできた理由はそれだけじゃないけど」
「アイツ術式なしでも肉弾戦と呪具でトップクラスに強いからな、それとめんどくせぇ」
「彼はフィジカルが高いからね、そこに術式が加わればもっと強く、厄介な術師になる。
彼とは以前に術式有り無し両方で手合わせしたけど二度としたくないかな」
「
「体格もいい素の身体能力と呪力強化がとにかく高い、更に術式を使えばもっと面倒くさくなる。本当に厄介な術師だよ」
タメ息を吐き「心底味方でいてくれて良かったと思うね」と溢し、「
━
「あの呪霊に改造された人間は元の形には戻せない」
「うん、
悟君を封印するのであれば僕にその呪霊をぶつけて確実に改造してくるだろうね」
「でもハルはすり抜ける呪術があんじゃん」
「それができない、使えない状況を作れば良いんだよ」
「どんな状況なのか想像できないんだけど」
「一番手っ取り早いのは人質かな、僕にとって何をしても守りたい存在。僕にはそう言う子らが多い」
「真希くんに真依くん。後は………」
「悠仁君だね、彼は倭助さんの忘れ形見。悠仁君を盾にされたら僕は攻撃の手を止める」
「そう、だね」
沈痛な空気感が支配し誰もが沈黙する。加茂晴蓮と虎杖倭助は五条悟に次ぐ付き合いの長い人物で、その孫である虎杖悠仁もまた、加茂晴蓮にとって大きな存在なのだ。
━
「ハイハイまだ分からない未来の事より目先の問題を目を向けようか、学長が言った通り
「そうだな」
「交流会の事を考えるのなら………交流会を中止した場合の事だね」
「うん。そうだね。でも中止するのは絶対駄目だ、当たり前だけど悪い
「何がどう変わるんだ」
一つ息を吐き「襲撃してくる呪霊の数と質、そして呪詛師も数と質が変わります」と答える。
━
「交流会を中止すれば連中は会場に入れる為の呪霊を
「
「その数は中止しなかった時の数だよ」
「どう言う意味だ」
「交流会を中止にすれば当然京都高の生徒も教師も来ません、そして僕であれば
なので五分五分だった直毘人さん対策が確実になるだけだはなく、更に四国に呪霊が投入され直哉も四国に駆り出される事になります。
そして扇さんと
「何体になる」
見えない目を手で覆い、長く息を吐きゆっくりと口を開く。
━
「先ずは呪霊から。四国全域に各四体の計十六体、京都に四体の合計二十体の呪霊が投入されます。
「あの男は……羂索はソコまでもの戦力を有しているのか」
「それだけじゃありません、元から
下振れするのを期待するしかないですね」
歯を食い縛り「下振れしたとして、何体増える」と問い掛ける。
━
「少なくとも四体は増えます」
「
「会場のと合わせて二十二体って事か」
「四国や京都の呪霊と合わせれば四十二体…………どこで、どうやればこれ程の呪霊を集めれるんだ」
「呪霊操術か近しい式神術の体でも使っているんじゃないですかね、じゃないとこんな事できませんよ」
「呪詛師は?」
「あぁ、まだ言ってなかったね。
呪詛師は
夜蛾は無意識で叫び、座卓を叩いていた。
━
「全戦力の二十四体、或いは二十二体の呪霊と十人の呪詛師が
「会場襲う意味ねーもんな」
「俺としちゃあソッチの方が愉しめそうだな」
何かを考えていた家入が「全員の呪詛師が
━
「それだけじゃないよ、一番の問題は
「いいねぇ、自然呪霊とやらも興味があったんだよ。中止にすりゃあ
「まぁ………一網打尽にするならこっちでも良いんですけど、生徒達も巻き込まれるので甚爾さんには悪いですけど無しでお願いします」
「つまんねぇ事言うんじゃねぇよ」
「まさかと思うが生徒達に被害は出るのか?」
「死者は出ません。………ですが、
「ガッデム!! そんな事など有ってはならん!」
「そんな事になるって事はさ、
「うん。でもその変わりに自然呪霊を一体祓える、呪物と生徒達の被害を許容して自然呪霊を祓うかの選択だよ。後々の事を考えるのなら中止を選べばいい」
「加茂、本気で言っているのか」
怒りを隠さず晴蓮を鋭く睨む。
━
「そんな訳ありませんよ、僕も反対です。
可愛い妹がこんな事になる
「だな、交流会を中止には出来ねぇ。それに中止にして奴らの思い通りにさせるかっての」
「私も賛成だ、生徒達に被害が出るのを許容なんてできない」
「ま、しゃあねぇか。姪っ子が昏睡とか流石に寝覚めが悪いからな」
「私でも四肢欠損レベルの怪我は治せないし、昏睡状態とか何もできないし、
「どうだろうね、試した事が無いから分からないけど試すつもりはないよ」
「そりゃそうか」
「ならば結論は交流会は中止せず行う。それでないな」
夜蛾の言葉に全員が頷き、そして付け加える様に晴蓮が口を開く。
━
「ああ当たり前ですが
「何故だ」
「……悠仁か」
「うん、この事を話せば
イヤまあ何もしなくても殺しに掛かるんだけど、まだそっちの方がマシだし呪霊の襲撃で結果的に失敗する」
「マジで悠仁の事嫌いだよな、
「保守派筆頭だし、それに何より『宿儺の器』が怖いんだよ、
とは言え現状は加茂家・五条家・禪院家の御三家が『虎杖悠仁は必要である』と表明してるから公的には手を出せない、だから何かしらの方法で殺したい。そしたらうってつけの場が現れた、それがーー」
「姉妹高交流会か」
「うんその通り、でも僕に隠し事はできない。僕には
「んー、まあ正直その気持ちは分かる」
肩を竦め「僕だって怖いのは分からないでもないよ、事実として『宿儺の
━
「イヤ硬すぎないか? 真希くんは擬似的ではあるがフィジカルギフテッドだ、そんな彼女に殴られてもなんともないなんてあり得ない」
「私ん所に来てないって事はマジで怪我してないんだろうね、バケモンかよ」
「ハルはさ、なんで硬いのか知ってんの?」
「推測、憶測レベルだけど、一応はね」
「話せ」
夜蛾から言われ少し躊躇い一つ息を吐く、そして口を開き「あくまで憶測レベルなので話半分、鵜呑みにしないで聞いてください」と前置きをして話し始める。
━
「分かった」
「悠仁君の出生には羂索が絡んでいると考えてます」
「なんだと!!」
「はぁ!? マジで言ってんのソレ!?」
「出生に?」
「…………まさか親とか?」
「証拠も無ければ根拠も無い僕の推測でしかないから決めつけるのはまだ早いかな」
「何故そう思うに至った」
「僕が初めて悠仁君と会ったのは彼が一、二歳の頃。会った経緯はとある呪詛師の残穢を追った先に有った家です」
「その家がおじーさんの家?」
「うん、倭助さん……つまり虎杖家って事になるね」
「その話がどう繋がる」
「………写真が有りました」
「誰の」
数瞬の沈黙の後、口を開く。
━
「倭助さんの息子さんの写真、名前は虎杖仁だって。ほら、倭助さんの葬儀の時に写真見せたでしょ? その人だよ」
「あぁ、そう言えば見せてもらったね」
「そーいやぁそんな事してたな、で、それがどう関係すんの」
「僕が初めて会った時に使ってた羂索の体だよ」
今明かされる羂索の過去の姿。晴蓮は虎杖倭助の葬式の時に虎杖悠仁の父親の写真を見せたが、その体を羂索が使っていた事は話していなかった。それを聞いた五人の内四人が驚き、生唾を呑む。
そして、まるで代表するかの様に夜蛾が「だから出生に関係していると言うのか」と聞いてきた。
━
「まあ二割程度ですかね」
「ハルの二割って九分九厘って言ってんのと同じじゃねぇか」
「流石にそれは言い過ぎだよ」
「どうなった」
「あー……戦闘の事なら逃げられました」
「
「油断はしてないつもりだったんだけどね、見た事も無い呪術を使ってきてさ、そっちの対処に時間が掛かって逃げられた」
「ピン止めは?」
「残念ながらその時はまだ造ってなくてね、してないんだよ。まあできててもアイツを視れるのか分からないけど」
「にしてもナンでもありだなソイツ」
「まさか虎杖くんのお父さんの体を使っていたなんて……」
「見た事も無い呪術とはいったいどんな呪術だ」
「透け透けのミジンコみたいな式神を造り出す呪術……そして人間、呪霊問わず異形へと造り替える呪術です」
「人間? …………! まさか!!」
「そう、あの時……理子ちゃんの護衛、
「マジかよ……あり得ねぇだろ」
「あー……じゃあアレか、あン時に殺したキメェ奴もか」
「甚爾さんも会った事があるんですか?」
顎で晴蓮を指し「コイツから頼まれた仕事先にキメェ奴が居てな」と話し始め、「どっからどう見ても人間のナリしてたが、体の一部が透けてんだよ。
しかも背中からカマキリみてぇなカマが何本も生えてて、マジでキメェ奴だったな」と過去に殺した呪人の事をサラリと話す。
━
旧版と新版で違いがありすぎるから書くのがスッゴく大変、まあ自業自得なんですが。
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