序章 ある日の朝練〜クソジジイの無茶振りを添えて〜
三重県のとある街、そこにはある噂が広まっていた。この街の外れにはそれほど標高の高くない山があるのだが、数年ほど前から日が昇り始める時間帯に何かが爆発するような大きな音が確認されており、騒音という程ではないにしろそれがこの街にまで届いていたのだ。
その山は個人所有の私有地であり、一時は街の住民から『敵が潜んで違法行為を行っているのでは?』との憶測が流れヒーローへの調査依頼も出されたのだが、どんなヒーローに頼んでも返ってくるのは『事件性はなかった。』との回答のみ…なのだが調査に赴いたヒーローたちが軒並み青ざめた顔をして帰ってきたのだ。
何かがあると感じた住民たちはトップヒーローへさらなる調査を依頼。しかし調査を行った某ウイングヒーロー曰く
『事件性は本当ないんで安心してください。山の所有者にも街の住民が不安に思ってることを伝えておきました。いやーしっかし恐ろしい人もいたもんだ、あの子大丈夫かな。ああ、いや。なんでもありませんよ、なんでも。』
との結果に終わり、それ以来不安を抱くものは居なくなったものの、その山での原因不明の爆発音は街の噂のひとつとして住民の間で囁かれることとなったのだった。
*
「はっ、はっ。」
全速力で山の中を走り抜ける。己に備わった個性を最大限に発揮し、迫り来る脅威からの攻撃に備えつつ駆け抜ける。
かれこれ3年目に突入する日課の朝練ではあるが毎度毎度命の危険を伴うのはいかがなものかと思う。いやマジで。
ん、命の危険を伴うほどの朝練ってのはどんな内容なのかだって?それはだな──
「っ!?まずい!」
直前で気配を察知、その場から真横に飛び退く。次の瞬間、先程まで立っていた場所に大岩が
人どころかその辺の一軒家程度であれば全壊させることも容易い質量を持った大岩がまるで野球ボールを投げるかのように襲いかかってくるのだから命の危険を感じるのも当然だろう。
「てめぇクソジジイ!いくらなんでもそのサイズの岩投げてくるとか殺す気か!」
「じいちゃんに向かってクソジジイとは何事じゃ!このくらいの岩ぐらい殴り砕いてみせんか!」
「無茶言うなや!普通の岩ならまだしも個性で強化された岩とか戦車の砲撃と変わらんわ!まだそこまで個性強化進んでねぇんだよ!」
「やかましい!岩が嫌なら投げられんよう詰めてこい!入試目前のワシの最終試験と言うたじゃろうが、気合いをいれろ拳一!」
こんのジジイ、さっきから無茶苦茶言いやがって…ぜってぇぶん殴ってやる!
「舐めんな!ぶっ飛ばす!」
「その意気じゃ!こい!」
その後も山のあちこちを破壊しながら戦闘訓練を続けた。命の危険を感じるとは言ったが実際そうならないための状況判断含め諸々段階を踏んでの訓練ではあったため本気で死にかけたことは一度もない。
いや死ぬかと思ったことは何度でもあるけどな!鍛えてくれた事とかここまで育ててくれたことに感謝はしてるがふざけんなよクソジジイめ!
そんなこんなで