覇気使いのヒーローアカデミア   作:はたやま

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1st IMPACT〜譲れない信念を乗せて〜

前回のあらすじぃ!

クソジジイこと『拳骨ヒーロー ガープ』との地獄の特訓を乗り越えついに雄英高校受験を迎えた拳一!

 

そこで出会ったのは気弱だが確かな信念を持つ少年、緑谷出久!

 

だがこの時の拳一は知らなかった…この出会いが後に彼らの運命を大きく変える出会いだったことに!

 

……って現実逃避したくなって変な文章浮かんできた。やめよう、しっかりと目の前のことをどうするか考えんと。

 

だがしかし少々投げやりな考えになるのも分かってほしい。

 

だってそうだろ、色々あって結局1()0()P()()()()()()()()上にいきなり周りの建物の倍はデカいロボットが現れたら誰だって現実逃避もしたくなるさ。

 

「いやデカすぎんだろ。」

 

これが説明会で言ってた0ポイントギミックってやつか。いやどう考えてもおかしいだろ、生徒の安全面とかちゃんと考えてんですかね雄英は?

 

これ作った教師たちは『これくらい乗り越えられんヤツらに雄英に入る資格などないわ、フハハハ!』とか考えてるに違いない。

 

「お、おい!あれどうすんだよ!?」

 

「どうって、逃げるしかないだろあんなの!」

 

周りの受験生たちもどうしようもない脅威に対して逃げの一手を打つ。

 

……やっぱりどうしてもモヤモヤするな。いくら試験とはいえヒーローの卵が何もせずに逃げるのはどうなんだ?

 

まぁ闇雲に突っ込んでどうこできる相手じゃないし、モヤモヤはするが俺も一旦引いて──

 

「いやそれはまずいだろ!?」

 

退避する直前に1人の逃げ遅れた受験生の気配を察知した。周囲に他の受験生がいないことを確認し、すぐさま見聞色を1点集中して状況把握…あのデカブツが壊した建物の瓦礫で足をやられたのか、その場から動こうとしていない。

 

しかも0Pロボが拳を振り下ろす先にその子がいる!視界にも捉えた、間に合え!

 

「ギリギリセーフ!」

 

「きゃっ!?」

 

間一髪で倒れていた子を抱えあげ離脱する。最悪拳を直で受け止めるぐらいの覚悟はしてたけど間に合ってよかった!

 

「あ、ありがと!」

 

「どういたしまして!運び方雑なのは我慢してくれ!」

 

いわゆるファイヤーマンズキャリーに近い形で運び出した訳だが背に腹はかえられん。後頭部あたりに柔らかい感触がするのは不可抗力だ……この子かなりデカゲフンゲフン。

 

「ていうかよく私の事気づいたね、見ての通り体は完全に透明なのに!」

 

「増強系の個性でな、索敵も得意なんだ。ギリギリで気づけてよかったよ。」

 

そう、改めて見るとこの子の体はいわゆる透明人間状態だったのだ。幸いジャージを着てたから腕や脚の位置が分かって抱えあげるのに問題はなかった。まぁ見聞色を集中させた時点で見えなくてもだいたい分かるのだが。

 

「何それ便利!あとめちゃくちゃ速い!」

 

「筋トレの賜物だよ!」

 

ちょっとした会話をしながら安全圏まで走り抜けたところで抱えた子を下ろす。少なくともここまで来ればあいつに巻き込まれることは無いだろう。

 

「動けそう?」

 

「なんとか!…ごめんね私のせいで時間無駄にしちゃって。」

 

「自分でやった事だから言いっこなし。礼ならお互い合格してから聞くよ。んじゃ俺戻るから、またな!」

 

「うん……えっ、今戻るって言った!?あいつのところに!?」

 

気づいた時には拳一は走り出した後だった。

 

*

 

「なぁおっちゃん、雄英の実技試験って実際どんなことすんの?」

 

それは中学3年の冬、受験対策にじいちゃんの古くからの友人の人に勉強をみてもらっていた時のことだった。

 

「なんだ、筆記ではなくもう実技の心配をしてるのか?」

 

「とか言っておっちゃんが作ってくれた模試問題も9割取れるようになってきたから安心していいって言ってくれたじゃん。そうなったら気にもなってくるよ。」

 

「確かにな。だが、毎年同じとはいえ実技の内容を教えてやる訳にはいかんな。」

 

「えーけちだな、教えてくれたってええやんか。」

 

「直前に与えられた情報で最前の行動をとるのもヒーローとして必要な能力だ。…とはいえヒントぐらいは教えてやるか。」

 

「お、なになに?」

 

「ヒーローとして正しいと思う行動をすればいい。これがヒントだ。」

 

「いや抽象的すぎるわ。もっとこう、具体的なさ…」

 

「何も難しく考える必要は無い。お前の中の理想のヒーローならどうするか、迷ったらそれを考えればいい。」

 

「ふーん…よし、解けた。採点お願いします!」

 

「よし、見せてみろ。」

 

*

 

「あの時はおっちゃんが何言ってんのかよく分かんなかったんだよな。」

 

来た道を戻りながらあの日のことを思い出す。自分の中の理想のヒーローならこの状況でどうするか…思えばこの実技試験で感じていたモヤモヤはこれが原因だったんだろう。

 

この状況が実際のプロの現場だったらどうなのか?

 

敵と戦闘を行いつつ戦闘に巻き込まれた人の救助や避難誘導など、一口に敵の無力化と言ってもその中でやらなければいけないことは多岐にわたる。

 

今は試験だからとみんな我先にと敵を倒すことに夢中になってるが、実際の現場ならこうはいかないだろう。その証拠に自分以外の攻撃の余波で怪我をしかけたやつが何人もいた。

 

だからポイントを稼ぎつつ、()()()()()()()()()()もやってたら結局10Pしか稼げなかったわけだが。

 

傍から見ればポイントにもならない他人のカバーなんてしてる場合かと笑われるかもしれない。

 

それでも納得ができなかった。

 

だって俺の理想のヒーローならどんな敵もぶっ倒して一般人もみんな助けて、最後は『ぶわっはっはっは!』って大笑いするに違いないから。

 

どっちもできなかったのは単に俺の実力不足。

 

でも、たとえ雄英に合格できなかったとしてもこれだけは譲れない!

 

『残り1分だ!!』

 

0Pロボの前にたどり着いたと同時にプレゼント・マイクの放送が響き渡る。この行動で俺は今ある力を使い果たし、確実に動けなくなって時間切れ…

 

「なんだ、迷う必要もねぇじゃん。」

 

ロボットの腕が叩きつけられる。衝撃で吹き飛びそうなのを何とか踏ん張り、振り下ろした腕を駆け上がって行く。

 

「どうせ結果は変わんねぇんだ!だったらはじめの一歩ぐらい盛大に踏み出してやらぁ!」

 

肘の辺りまで登ったところで顔面に向けて跳躍、全身に流れる覇気を全て右拳に込める。

 

みさらせ雄英!これが俺の夢の始まりだ!

 

「IMPACT!!!」

 

今出せる全力の一撃。覇気を使い果たし動けなくなる代わりにじいちゃんですら吹っ飛ばすことのできる拳は巨大ロボの頭を捉えて爆発させた。

 

『試験終了!』

 

こうして俺の実技試験は幕を閉じたのであった。

 

*

 

「おいおいマジかよ…」

 

「今あそこにいたのって、さっきのボロジャージだったよな?」

 

「一発であんなデカイのを倒しちまうなんて…」

 

「けどあれって0Pのロボだろ?一体なんのために。」

 

「あいつ横取りでも狙ってたのかずっと他のやつの周りをうろちょろしてたからな。ポイントも稼げてなかったみたいだし、ヤケでも起こしたんじゃないか?」

 

「なんだそりゃ、あんなことできるのに勿体ねぇ。」

 

「なんにせよ、これで確実にライバルが1人減ったってことだな。」

 

「……」

 

私を助けてくれた彼は結局あのまま巨大ロボを倒してしまった。

 

周りのみんなは『ポイントが稼げなくてヤケになった』なんて言ってるけど…私は違うと思う。

 

助けられる前に私は彼のことを見ていた。最初はなんであんな動きしてるんだろうって疑問に思ったけど途中で気づいた。

 

彼は攻撃の余波で吹き飛んできた瓦礫やロボットの残骸から他人を守っていたんだ。

 

そしてロボットに潰されそうになってた私のことも助けてくれた。

 

「…名前ぐらい聞いておけばよかったな。」

 

今更ながらに後悔する。逃げ遅れた私を助けていなかったら、彼は残り少ない時間でも十分点を稼ぐことができただろう。そんな彼が、もし合格を逃してしまったら──

 

──いいやダメだ。助けられた私が後悔なんてしてたらそれこそ彼が報われなくなっちゃう。それにまだ合格発表は出ていない。

 

もしかしたら私も彼も合格できているかもしれない。そうじゃなくても、彼なら他の場所でもきっとすごいヒーローになる。

 

だから彼のことを忘れずに覚えていよう。どんな形でも次に会った時にちゃんとお礼を言えるように。

 

あなたに守られた人間が確かにここにいるって、伝えられるように。

 

*

 

「大きなトラブルなく試験を終えられてよかったですね校長。」

 

「毎年の事で大変だけど、未来のヒーローたちに万が一があってはならないからね。」

 

人気のない校舎の中を根津校長と共に歩く。試験はつつがなく終了し、教師陣はこれから総出で採点と合否通知の作成に当たるところだ。

 

「ところで君の後継者は大丈夫なのかい?」

 

「リカバリーガールから、命に別状はなし、少し休んでから無事帰宅したと伺いました。…案の定お小言もいただきましたが。」

 

「それだけで済んだのなら運がいいのサ。…今朝継承したばかりのOFAの発動により左腕以外の四肢がぐちゃぐちゃになってた。キミ、ああなることを伝えてなかったのかい?」

 

「申し訳ございません、あまり時間もなかったもので…」

 

「まぁ伝えられてたとしても結果はおそらく変わらなかった…君がなぜ彼を選んだのかがわかった気がするよ。」

 

「……」

 

「それにしても、実技試験で0Pロボを破壊する者が2人も出てくるなんて思いもしなかったよ。さすがはガープ氏の孫と言ったところだね。」

 

「ええ、学生とは思えない強さでした。敵ポイントこそ振るいませんでしたが、単純な実力なら全受験生の中でも飛び抜けています。」

 

実技試験ではロボットの撃破に応じて手に入るポイントの他に受験生には知らされていないもうひとつの採点基準がある。

 

レスキューポイント

 

敵ポイントとは違い雄英教師陣による審査制で与えらるポイント。ヒーローとして正しい行いをした者に与えられ、実技試験はこのふたつのポイントによって合否の判断材料となる。

 

緑谷出久 敵P0 RP60 実技試験7位

 

猿渡拳一 敵P10 RP67 実技試験同率1位

 

まだ筆記の採点は出ていないが、そちらが問題なければ確実に合格することのできる点数だ。

 

「今年の1年生は例年以上に楽しみな子が集まりそうだね。」

 

「ええ……ところで根津校長、職員室から地獄の亡者のようなうめき声が聞こえるのですが?」

 

「何せ12000人分の採点と合否通知を作らなきゃだからね!今夜はみんなで徹夜サ!」

 

*

 

雄英入試から数日が経った。帰ったその日に実技試験の顛末と…おそらく試験には落ちたことをじいちゃんには伝えたけど、じいちゃんは「おお、そうか。」の一言のみで怒られも慰められもしなかった。

 

しかも次の日には「しばらく出かけてくるから家を頼むぞ。」と言ってどっか行ったっきり帰ってきてない。

 

突然家を空けることはよくある話なのでなんとも思わないが、試験のことで何も言わなかったのが気になる。良くも悪くも真っ直ぐな人だから黙って俺を見限るなんて話はない。怒る時は拳骨、慰める時はちゃんと言葉にする人だし、だからこそ何も言わなかったことに対して疑問が残るんだよな。

 

なんてことを考えながら晩飯の用意をしてると庭の方からバイクの音が聞こえた。火を止めて確認しに行くと郵便箱に便箋が1つ、送り主は…雄英高校からだ。

 

「ついにこの日が来たんだな…」

 

入試当日と同じセリフをはいたがその中身はまるで違う。あの時の選択に後悔は一切ないが、それでも憧れの学校からの不合格通知というのは胸に来るものがある。

 

「うだうだしててもどうにもならんか…」

 

意を決して便箋を開ける。するとその中には不合格の通知が一通──

 

「ん?なんだこれ?」

 

入ってはおらず、入っていたのは謎の小型端末だった。なんだこりゃ?とりあえず起動してみるがボタンは…これか。

 

ポチッ

 

『私が投影されたァ!!!』

 

びっっっっくりした!?!?

 

は、え、なんで?突然のオールマイトナンデ!?

 

『いやぁ驚かせてすまないね。この映像に私が映ってるのは他でもない、来年度から私が雄英に勤めることになったからだ。まぁ1つのサプライズってやつさ。』

 

オールマイトが来年度から雄英の教師に!これは春になれば話題になること間違いなしだな。…できれば俺も教わる立場になりたかったもんだけど。

 

『さて、君の試験結果についてだが…筆記は9割越えの点数だったものの、実技試験のポイントは10P、当然不合格だ。…普通ならね。』

 

そうだよな、やっぱり不合格だよなぁ…ん?普通なら?

 

『実技試験で見ていたのは敵ポイントだけにあらず!もうひとつの採点基準レスキューポイントにて君は67Pを獲得し、合計は77P!これは実技試験において同率1位の結果だ。』

 

……マジかよ。

 

『自分を差し置いて他人を助けるなんて綺麗事?上等じゃないか!命懸けで綺麗事実践するお仕事だからな!…猿渡少年、合格だ。』

 

これまでの全部が報われた気がした。もちろんまだ何も始まってない、ただスタートラインに立っただけだ。それでも…

 

「来いよ、ここが君のヒーローアカデミ──」『おう、邪魔するぞい。』

 

……は???

 

『なっ、えっ、ががガープ先生!?!?』

 

『久しぶりじゃのう俊典。用があって根津んところに顔出しとったらちょうどこれを撮ってると聞いてのう。タイミングが良くて助かったわい。』

 

何やってんだクソジジイてめぇ!?

 

『お、お気持ちは分かりますが一応公式な通知ですので…お孫さんだということは存じておりましたがせめて事前に連絡を…』

 

『一言祝いの言葉くらい言わせんか!…おう拳一、合格おめでとう。さすがはワシの孫じゃな、じいちゃんも鼻が高いぞい。』

 

無視して話し始めた…というかじいちゃんオールマイトと知り合いだったのか?

 

『じゃが、合格はゴールではなくスタートラインじゃ。それを忘れず精進せい…まぁお前なら心配しとらんがな。』

 

じいちゃん…

 

『あぁ、あと出会いは大切にな。じいちゃんは早くひ孫の顔が見たいぞ!』

 

台無しだし、学生に求める話じゃねぇ!あと10年は待てや!

 

『近々家に帰る!…邪魔したな俊典。お前さんもたまには連絡よこせ、じゃあの。』

 

「あ、はい…」

 

好き勝手に言ってフェードアウトしていくじいちゃん。我がじいちゃんながら自由すぎる…

 

『び、びっくりした、てっきりまた拳骨を食らわされるかと…オホン!とにかくだ猿渡少年!』

 

『来いよ、ここが君のヒーローアカデミアだ!』

 

決めゼリフが台無しに…本当にごめんなさいオールマイト……

 

そんなこんなで、この日俺の理想のヒーローへの道が開かれたのであった。




読了ありがとうございます!
今回は後書きに拳一のプロフィールをざっくりまとめておきます。ちなみにガープこと拳正じいちゃんの他にも今後数名ワンピースキャラを元にしたキャラが出てきますが、そちらのプロフィールは元になったキャラと同じものと考えておりますので検索してみてください。


猿渡拳一(さわたりけんいち)

出身地 三重県 御亜(ごあ)市 風車(かざぐるま)町

出身校 風車(かざぐるま)中学

生年月日 10月9日

身長/体重 175cm/75kg

血液型 B

好きな物 美味い飯、じいちゃんとの特訓

性格 ノリのいい兄貴肌

見た目
黒色の短髪に目は赤色
がっしりとした体格だが服の上からだと細く見える
笑う時はニカッって感じの笑顔









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