覇気使いのヒーローアカデミア   作:はたやま

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お気に入り登録1600突破ありがとうございます!また感想、評価、誤字報告などの支えがあって楽しく書かせていただいてます。
また前話で掲載したアンケートについてですが、番外編や映画のストーリを望む声が多くあるようなのでUSJが終わったら番外編をひとつ、体育祭編が終わったら映画1作目のストーリーを書いてみようと思いますのでお楽しみに!
番外編でこんな話が見て見たいなどございましたらぜひ感想などに書き込んでいただけると私が非常に助かります笑


そして、悪意は唐突に

「とりあえず!」

 

「一体どんな個性なんだ!」

 

「さぁ吐け、キリキリ吐け、情報共有しろ!」

 

戦闘訓練が終わった放課後、反省会と称して切島と上鳴と芦戸から囲まれた。いやよくよく周りを見ればクラスのほとんどは集まってるし、なんなら出久に関してはノートとペンを構えて最前列に陣取ってる。あとは意外にも爆豪が残って聞き耳立ててるな。

 

「猿渡君から軽く聞いた情報と戦闘訓練の観察から何かしらのエネルギーを利用した身体強化の個性って予想はたつけど葉隠さんのステルスを見破る索敵能力との関連性が分からない身体能力だけじゃなくて知覚機能まで強化できるのかもしれないけど戦闘中にときおり拳から腕の半ばまで黒く変色してたのも気になるしブツブツブツ」

 

怖い怖い、出久怖いって…このブツブツモードプロヒーローだけが対象かと思ったら違うな。恐らく自分が参考になると思ったヒーローのデータはほぼ纏めあげてるんだろう、これがあの分析力の根底にあるのだとしたら末恐ろしいな…

 

「緑谷ちゃん、猿渡ちゃんだけじゃなくてみんな怖がってるわよ。」

 

「ありがと、蛙水さん。そいつ途中で止めてやらねぇと終わらねぇっぽくてさ。」

 

「ケロ、梅雨ちゃんと呼んで。それに私だってあなたの個性は気になってるの。せっかくクラスメイトになったんだし、できれば隠さずに教えてくれると嬉しいわ。」

 

「いや隠す気ないから普通に教えるよ。安心してくれ梅雨ちゃん。」

 

そんなに気にされてたことは意外だったが減るもんじゃなし、いくらでも情報提供しますとも。さて何から説明したもんかな…

 

〜かくかくしかじかうんぬんかんぬん〜

 

「というわけで、これが今俺のできること。個性が強化できればもうちょいできることも増えるかもだけど、それはまぁ今後のお楽しみだな。」

 

『………』

 

「え、何この沈黙?」

 

「いや、炎使わなかったとはいえ轟に対してあんな一方的な戦いするやつの個性はどんなもんかと覚悟はしてたんだけど…ごめん予想以上の強個性すぎて引いてる…」

 

「いや大袈裟じゃないか?」

 

「いや、攻撃、防御、機動力、さらには索敵性能まで完備とか…それって例えばこのクラスの複数人で協力してやることをあんた1人で済ませられるってことでしょ、ヤバいって。」

 

「半分以上はじいちゃんとの特訓の成果だな。あれがなきゃここまで成長出来なかったよ。」

 

「そーいえばオールマイトもお前のじいちゃんに鍛えてもらったことあるって言ってたよな…なんか震えてたしお前も遠い目してたけど、実際どんな特訓だったんだ?」

 

「鍛えてもらってたのは中学の3年間、最初の1年はひたすら筋トレと基礎体力を徹底的に鍛えた。その後はじいちゃんがいつ間にか買ってた山の中でひたすら実践練習だな。」

 

「山買ってたって、お前のじいちゃんなかなかぶっ飛んでんな。」

 

「でもじいちゃんとはいえ、元NO.1ヒーローだった人と特訓を乗り越えてきたってすげぇな!漢だ!」

 

「……本当にそう思うか?」

 

「え?」

 

ふふふ、やはりこいつらはわかってない。孫の俺にとっていちばん辛かったのは()()()()()()()()()()()()ということを…

 

「さっきの説明でも話した通り俺の武装色とじいちゃんの個性はできることが同じだ。だが何十年も鍛えあげてきたじいちゃんの拳は一発で大岩が砕け、地面は弾け飛び酷いと崖崩れまで起こす始末だ。まぁそんなことはどうでもよかったさ、鍛えてもらったことには心の底から感謝してるしそのための特訓きつさも覚悟の上だった……ただ1つ孫の立場から恨みたくなるようなことがあったことを除けば…」

 

「な、なんだよその恨みたくなるようなことって?」

 

「特訓中の破壊音が少し離れた街まで届いてて、事件性を疑った街の人が『敵が私有地の山で違法行為を行っているのではないか』ってプロヒーローに調査を依頼したんだ……最悪なのはそのプロに向かってじいちゃんが『事件性は無いから帰れ』って言って少しでも食い下がられると岩を投げて追い返したんだ。……以来その山での出来事は『御亜山の化け物』の噂として語られ、その山の持ち主の孫である俺は化け物の子孫として白い目で見られてきたんだよ……」

 

『う、うわぁ……』

 

全員ドン引きである。無理もない、幸いにも鍛えた体格のおかげで恐れられてたのかいじめこそ無かったものの友だちなんてできるはずもなかったんだからな。

 

「あたしの地元その隣町だ!噂も聞いた事あったんだけどあれ猿渡君のおじいちゃんだったんだね。」

 

「我が祖父ながらお恥ずかしい…つーわけで鍛えてもらったことに感謝こそしてるもののじいちゃんに振り回された恨みはあるって感じだな。」

 

「でもその割にはおじいさんの話してる時の顔柔らかいよね。」

 

「……まぁあんなでも一応俺の憧れのヒーローの1人だからな。」

 

背中は遥かに遠いけど、見えないわけじゃない。いつか必ず追い越せるように進んでいくだけだ。

 

「……」

 

「おい爆豪、もう帰るのか?俺お前の個性についても聞いてみたいんだけど…」

 

「聞きたいことは聞けた、もう用なんざねぇよ。…俺のことが聞きたきゃデクにでも聞いとけ。」

 

これまた意外にも大人しめの返事を残して爆豪は帰っていった。…俺できるならあいつとも仲良くなりたいんだが、先は長そうだ。

 

「あっ、かっちゃん待って!」

 

それに続いて出久が爆豪を追いかけて出ていった。なにか真剣な顔してたが大事な話でもあんのかね?

 

「緑谷のやつ大丈夫なのか?爆豪ととことん相性悪そうだし、あの戦闘訓練のあとじゃまた衝突しかねないんじゃ…」

 

「一応見に行ってくるわ、大丈夫だとは思うけど。」

 

爆豪に心境の変化が無かったのならさっきの反省会に残らずさっさと帰ってただろう。たぶんあいつは今、上には上がいることを初めて知ったことで変わろうとしてる。もう一度自分が本当の意味で頂点に立つために。

 

『これだけは、君には言わなきゃいけないと思って。』

 

校門の手前ぐらいまで来たところで出久声が聞こえてきた。良かった、とりあず衝突はしてないらしい──

 

「僕の個性は、人から授かったものなんだ。」

 

*

 

「だから…だから!いつか、この個性をちゃんと自分のものにして、僕の力で君を超えるよ!」

 

……ハッ!騙してたんじゃないって言いに来たのに何を口走ってるんだ僕は!?

 

さすがに誰から授けられたかまでは言わなかったけど、OFAのことはオールマイトとの秘密だったのに…

 

「……なんだそりゃあ」

 

まずいっ!?いきなり訳の分からない話をされてかっちゃんもキレて──

 

「これ以上コケにしてどうするつもりだ、なぁ…!」

 

──あれ、思ってたのと違う反応?

 

「だからなんだ、今日俺はてめぇに負けた…そんだけだろうが!そんだけ…」

 

「かっちゃん…」

 

「クソ!ポニーテールのやつに講評でボロクソ言われて納得しちまった!氷のやつ見て勝てねぇかもしれねぇと思っちまって…猿渡の野郎には今の俺じゃ勝てねぇって確信しちまった!!」

 

…ああ、そうか。そうだよな、幼なじみの僕だからこそ理解できる。

 

かっちゃんは今日人生で初めて他人に負けたんだ。

 

「なぁ、てめぇもだデク!こっからだ、俺はこっから!いいか、俺はここで1番になってやる!!!」

 

それでも、身を焦がすほどの敗北感に苛まれながらも、それでも立ち上がってこの雄英で1番になるという。

 

───やっぱりすごいや、かっちゃんは。

 

「俺に勝つなんて二度とねぇからな!クソっ!」

 

そうしていつものように悪態をつきながらその場を後にする。余計なことまで喋っちゃったけど、かっちゃんが大丈夫そうで良か───┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

 

「居たー!爆・豪・少年!!!」

 

「お、オールマイト!?」

 

なんでここに!?というか、活動時間は大丈夫なの!?

 

「ハァ…ハァ…言っとくけど自尊心ってのは大事なもんだ。君は間違いなくプロになれる能力を持っている。君はまだまだこれから──」

 

あ、そうか。かっちゃんの訓練後の様子を心配してアフターケアをしに来てくれたのか。

 

「離してくれよオールマイト、歩けねぇ。」

 

「ん?」

 

「言われなくても、俺はあんたをも超えるヒーローになる!」

 

「え、あ、うん…」

 

幸か不幸か、かっちゃんは自力で立ち直ったためオールマイトのはからいはから回ってしまったけど。なんにせよ、かっちゃんが立ち直った以上僕も人の心配をしてる場合じゃない。OFAを使いこなせるようにこれからもっと頑張らないと!

 

「(教師って、難しい…!)ところで緑谷少年、爆豪少年と何を話していたのかな?」

 

「え!?あ、いやその…」

 

「うーん、気になるなぁ!ぜひ(今後の教師生活の参考にするために)聞かせてくれないかい?」

 

「じ、実はその…」

 

さすがに隠す訳にはいかないよな…

 

「爆豪少年に話したのかい!?」

 

「すみません、母にも言ってなかったのに…でも、どうしても言わなきゃって思って。」

 

(ひけらかす性格ではないと踏んで強くは言わなかったが…誠実さが裏目に出た結果か。)

 

「幸い爆豪少年も戯言として受け取ったみたいだし今回は大目に見るが、次は無しで頼むぞ。…この力を持つという責任を自覚してくれ。知れ渡れば、力を奪わんとする輩が溢れかえるのは自明の理。これは社会の混乱を防ぐためでもあり、君のためでもあるんだ。いいね?」

 

「……はい。」

 

そうだ、この秘密はオールマイトのためだけじゃない。僕含めもっとたくさんのものを危険にさらさないための秘密なんだ。次はもう誰にも話さないようにしないと。

 

「さぁ、今日はもう帰りなさい。明日からも訓練は続くんだ、体をしっかり休めないと。」

 

「はい、さようならオールマイト。」

 

とにかく今後は気をつけよう…今更だけど、こんなに人目につきやすい場所で話したのもまずかったな。そういうところにも注意しないと。

 

*

 

「…………」

 

とんでもない話を聞いてしもうた!?

 

出久が個性を他人から授かったとか言い出すからなんか咄嗟に隠れちゃったけど……話の流れ的にオールマイトから力を授かったってことだよな?

 

そもそも他人に渡すことの出来る個性って……いや、個性は未だ未知数の部分が多い、そういう個性が存在したとしても不思議じゃないだろう。

 

それに合点がいったこともある。

 

オールマイトの超パワーを受け継いだとして、それを鍛えたとはいえたかだか15歳の身体で使えばどうなるか。

 

その答えが出久のこれまでの個性使用時のあの大怪我だ。そりゃそうだ、パンチ一発で天候を変えるような威力に耐えられる人間の方が少ないだろう。

 

あとは入試の時に見聞色で感じだあのただならぬ気配。オールマイトの個性を引き継いだからってことなら納得がいくし、爆豪が出久のことを無個性だと認識していたことも辻褄が合う。

 

………ダメだ、話の規模がデカすぎて頭が回らんくなってきた。それにオールマイトが出久を選んで託した力なら、それは出久が自力で勝ち取ったものだろうし外野がとやかく言うことじゃない。

 

今日この日のことは…さすがに忘れるなんてことは無理だけど、頭の片隅にそっと閉まっておこう。

 

───疲れた、帰ろう。あっスーパーの特売品ってまだ残ってるかな?

 

*

 

次の日、偶然知った驚愕の事実に悶々としながらも何とか眠りにつくことが出来た俺は多少の寝不足を引きずりながら登校していた。

 

「くぁ〜…」

 

「おお、すごい欠伸。寝不足?」

 

「帰ってから色々あってな、ちょっと眠りが浅くなったらしい…」

 

「訓練も大変だったもんね。あんまり無理しちゃダメだよ?」

 

「ありがとな葉隠。」

 

戦闘訓練以降、葉隠とはこれまでよりもよく話すようになった。放課後に反省会を行ったのもあってか、あれ以来クラス全体の距離も縮まったと思う。やっぱり個性含め、互いをよく知るにはいい機会だったんだろうな。

 

「おまえら、席につけ。」

 

気づけばホームルームの時間になっていて相澤先生が教室に入ってきた。今日も楽しい1日の始まりである。

 

「昨日の戦闘訓練おつかれ、VTRと成績見させてもらった。爆豪、もうお前ガキみたいな真似すんな、能力あるんだから。」

 

「…わかってる。」

 

「んで、緑谷はまた指ぶっ壊して一件落着か。入試の時よりマシになったとはいえ、そもそも個性の制御ができずに攻撃の度怪我するなんてのが論外だ。いつまでも『できないから仕方ない』じゃ通させねぇぞ。」

 

「…はい」

 

「俺は同じことを言うのが嫌いだ。それさえできればやれることは多い、焦れよ。」

 

「っ、はい!」

 

注意するとこはしつつ、適度に発破をかける。俺は相澤先生のこういうとこかなり好きだな。

 

「さて、ホームルームの本題だ。急で悪いが、今日は君らに──」

 

なんだ、また臨時テストか!?身構えた俺たちに先生が言い放ったのは──

 

「学級委員長を決めてもらう。」

 

(学校っぽいのキタ!)

 

身構えたのは取り越し苦労だったようだ。それにしても学級委員長か…

 

「委員長!俺やりたいっす!」

 

「俺も俺も!」

 

「ウチもやりたいっす。」

 

「俺にやらせろ!俺にぃ!!」

 

普通科の高校なら委員長なんてのは雑用係のイメージが強いだろうが、ここヒーロー科では違う。『集団を導く』というトップヒーローに必要不可欠な素地を鍛えることができる役割であり、これに名乗り出ない者は自ら上を目指していない宣言するも同義なのだ。

 

「静粛にしたまえ!他を牽引する責任重大な仕事だぞ、やりたい者がやれるものではないだろう。」

 

いいこと言うな飯田は。やっぱり委員長はああいうやつがなるべきだよ。

 

「周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…民主主義に則り、真のリーダーをみんなで決めるというのなら、これは投票で決めるべき議案!」

 

いやー本当に説得力があるなー……そのそびえ立つ右腕がなかったらだけど。

 

『腕そびえ立ってんじゃねぇか!』

 

「なぜ発案した!?」

 

「日も浅いのに信頼もクソもないと思うわ飯田ちゃん。」

 

「そんなんみんな自分に票を入れらぁ。」

 

「だからこそ、ここで複数票を獲得した者が真にふさわしい人間と思わないか?どうでしょうか先生!」

 

「時間内に決めりゃあなんでもいいよ。」

 

そう言うと先生は寝袋にくるまって横になった。完全に丸投げにしたな。

 

そして投票の結果がデジタル黒板に映し出された。

 

緑谷出久 2票

 

猿渡拳一 2票

 

八百万百 2票

 

その他全員 1票(自選)

 

なお何人か名前の映されてない者がいるがそちらは0票ということになっている。

 

「1票はいっている!?誰かが俺を選んでくれたというのか…」

 

「逆に自分に入れなかったのね…」

 

「お前もやりたがってたのに何がしたいんだよ。」

 

「そんじゃあこっからは上位3名による決選投票に…」

 

「あっ、相澤先生俺パスで。」

 

えぇ!?という驚きの声が向けられる。だって最初からなるつもり無かったし。

 

「一応、委員長に選ばれれば成績にも反映される。悪いことばかりじゃないがいいのか?」

 

「はい、というか俺他薦なんでそもそも委員長になる気ないっす。」

 

「なんだ、怖気付いたのかよ?」

 

爆豪に随分と煽られる。調子はすっかり戻ったようで安心した。けどそもそもなぁ…

 

「委員長って肩書きに興味は無いからな。…それに将来プロになった時、実力と実績があれば人も肩書きも勝手に着いてくる。かつてNo.1に輝いたこともあるじいちゃんを超える…俺が目指してるのはそういうところなんで。」

 

これはひとつの宣言でもあり、挑発でもある。

 

自分はもっと強くなっていずれじいちゃん(元No.1ヒーロー)を超える。お前たちはどうなんだ?

 

「……」

 

沈黙…しかし反応はみんなの顔が物語っていた。

 

負けてたまるか!!!

 

気後れしてるやつなんていない。なんなら爆豪含め何人かからは挑発に対する怒りすら感じとれる。

 

ああ、やっぱり雄英を選んでよかったな。

 

「……じゃあ猿渡の棄権により、委員長と副委員長は緑谷と八百万とする。配役は2人で話し合って決めてくれ。ホームルームは以上だ。」

 

これにて一件落着、出久のやつは自選したものの選ばれるとは思ってなかったみたいでガチガチになってるが…まぁ頑張れお前になら務まるさ。ガンバレ!

 

*

 

「恨みっこなしのじゃんけんで結局委員長になっちゃったけど、務まるのかな…」

 

「務まる!ŧ‹”ŧ‹”」

 

「緑谷君のここ一番の胆力と判断力は他を牽引するに値する…僕の票は猿渡君に入れたが、正直君に入れようかとも思ったほどだ。」

 

「いやなんで自分に入れなかったんだよ、俺はお前に投票したのに。」

 

「俺の1票は猿渡君だったのか。」

 

「飯田は真面目だし、頭いいし、いい意味で単純で真っ直ぐだからな。俺なんかよりよっぽど委員長に向いてるよ。」

 

「飯田くんも委員長やりたかったんじゃなかったの?メガネだし。」

 

何気にざっくりしたとこあるよなお茶子サン。

 

「やりたいと相応しいかは別の話、()は僕の正しいと思った判断をしたまでだ。」

 

「僕?」

 

「いつもは俺って…」

 

「前から思ってたけど、飯田っていわゆる坊ちゃんだったりすんのか?」

 

「そう言われるのが嫌で一人称を変えてたんだが…はぁ」

 

俺たち3人の好奇の目に晒されて飯田は自分のことを話し始めた。

 

「俺の家は代々ヒーロー一家なんだよ、俺はそこの次男。ターボヒーローインゲニウムは知ってるかな?」

 

「知ってる!東京に大きな事務所を構えて、65人もの相棒(サイドキック)を雇ってる大人気ヒーロー!」

 

「俺も知ってる。もしかしてその人が…」

 

「俺の兄さ!」

 

かつてないほどに胸をそびやかし自慢する飯田。よっぽどお兄さんのことを尊敬してるんだな。そういえば─

 

「俺飯田が笑ってんの初めて見た気がする。」

 

「僕も。」

 

「ウチもや。」

 

「む、そうか?」

 

「いや、なんていうか、表情が固いんだよな。不機嫌そうって訳でもないけどさ。」

 

「確かに!真面目やしね!」

 

「そんなことないだろう、笑うぞ俺は!」

 

「あはは!」

 

やっぱりここに来てよかった。これ先も…いつかプロになってもこいつらと一緒に競い合っていけたら……

 

 

 

 

 

 

───ガリっ

 

 

 

 

 

………

 

「悪い、ちょっと用事思い出したから先いくわ。」

 

「うん、わかった。」

 

「また後でな!」

 

「午後の授業も頑張ろ!」

 

「ああ、じゃあな。」

 

*

 

食堂を出ると同時に廊下を駆け抜ける、時間帯的にほとんど人が歩いていないのは幸いだった。

 

…ちくしょう、なんで、なんでなんだよ

 

なんで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!!

 

忘れたくても忘れられなかった、どこまでもドス黒い敵の純粋な悪意。その根源を追ってて校舎裏を目指す。

 

たどり着いた時には誰もいなかった

 

けど

 

ザッザッザッ

 

「……おいおい話が違うじゃねぇか、この時間ここに人は来ないんじゃなかったのかよ。」

 

()()()が姿を表した瞬間、学校中にけたたましい警報が鳴り響いた。

 




校舎の影からシガラキトムラが飛び出してきた!

次回短めですがvs死柄木戦です。果たして触れたら即死マンに拳一はどう立ち向かうのか…お楽しみに!
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