最近の悩みは文字だと会話の雰囲気が表現難しくて誰が喋ってるのか(特に1-A男子組が)伝わってるか心配なことです。特に誰が話してるか明言してないところは「はたやま表現下手だな」とか思いつつ脳内補完していただければと思います…
さて7話は短いながら死柄木戦となります。こっからUSJに向けてどうやって盛り上げたんもんかと悩ましいところですが頑張って書いていきます!
『セキュリティ3が突破されました 生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』
無機質な機械音声も、鳴り響くサイレンもどこか遠くに聞こえていた。
「おいおい話が違うじゃねぇか、この時間ここに人は来ないんじゃなかったのかよ。」
それほどに目の前の男から意識をそらすことができなかった。
色素の薄い水色の髪、上下黒色のスウェットの服装、そして何より目を引くのは顔や後頭部、腕周りを掴ませている
「変わったファッションしてますねお兄さん、悪いけどここは関係者以外立ち入り禁止なんですよ。」
顔を掴んでいる手のおかげで表情は読み取れなかった…しかし、見聞色により感じた気配と指の隙間から覗かせる目が物語っている。
目の前の男は、紛れもない『敵』であるということを
*
(敵なのは確定としても…気配があまりにヤバすぎるな。)
食堂を出る直前に感じた底冷えするような悪意…元凶は間違いなくこいつだ。
そもそもどうやって侵入した?
雄英のセキュリティシステムは堅牢だ。至る所にセンサーが配置されており、学生証や通行許可IDを持たないものが1歩でも敷地に踏み入れば通称『雄英バリア』と呼ばれるバリケードが起動し侵入を阻む。
敷地内のどこにも抜け穴はないことを考えると…こいつの個性によるものの可能性が高いか。
(状況は……校舎内の至る所、特に食堂から大量の人間が移動中、他の場所は……外から集団で入ってくる人だかり?変な気配は無いとこを見ると今朝出待ちしてたマスコミか?仮にこいつがバリアを突破したとして、後に続いて入ってきたのか?)
雄英にはここ数日の間、教師として勤務を始めたオールマイトを取材しようと大量のマスコミが出待ち取材を行っていた。自分は上手く避けることができたが、出久を始め何人かは取材に捕まっていたらしい。
「警報も鳴ってるんで早いとこ引き返した方がいいですよ。さっさと逃げられれば警察の厄介にならないで済みますから。」
軽い口調で撤退を促してみる。まずいのはここでこいつを逃がすことよりも、これ以上の侵入を許すことだろう。
「はぁ〜なんだよ誰にも見つかるなって言われてんのに、いきなりゲームオーバーかよ。」
目の前の男は計画が狂ったことに苛立ちを隠そうともしない。『ゲームオーバー』なんて言葉を使ってるあたり、ただ侵入が目的の愉快犯の可能性もあるかもしれない。
それでも──
「あーでもそうか…ここで消しちまえばなんの問題もないか。」
目の前の男が突如としてはなった殺気は、明らかに凶悪敵のそれだった。
詰め寄ってくる敵、それなりに素早いが余裕を持って対処できる。敵が掴みかかってきた掌を払いカウンターを決めようとして───
(っ!?ヤバイ!!!)
直前で感じ取った──この掌に触れたら死ぬ──無理やり上体を後ろにそらし回避。しかし追撃で再び掌が迫る。
上体逸らしの勢いを殺さず右手を着地させ、片手でバク転をきめて距離をとる。敵の掌は地面に叩きつけられ、
「!?」
「へぇ、あの体勢から避けるなんて最近の学生は凄いな、自信なくしちゃうぜ。」
マジかこいつ!?
触れた箇所が塵になって崩れるとか、初見殺しもいいとこだろ!しかもそれを躊躇いもなく人に向けてくる…こんなやつこれ以上中に入れたら惨劇じゃ済まなくなる!
「…目的はなんなんですか?あと、今からでも帰るって選択肢はありませんか?」
「姿見られてそのままって訳にもな…素直に死んでくれるならそうしてやってもいいぜ?目的に関しては今日ただの下見だよ。」
「随分と口が軽いんですね。自分が捕まるとか思ってないんですか?」
「逃げる準備もなくこんなことするバカはいないだろ。…ここでお前を殺しておけばなんの問題もなくなるからな。」
ニヤニヤと悪意にまみれた笑みを向ける敵。交渉の余地は無し、この場から逃げることは簡単だがその場合死人が出る可能性がかなり高い。
「そうですか……」
──予定変更。
「だったら、ここで取り押さえさせてもらう!」
全身に覇気を漲らせ臨戦態勢に入る。こちらの様子の変化に敵からは警戒の色が見て取れた。
「───シッ!」
一瞬の間を置き敵に一気に詰寄る。突然の加速に驚きを見せたが、反応し掌を突き出してくる。
「ハァッ!」
「ぐあっ!?」
相手の間合い半歩手前でさらに踏み込み再加速、敵の腕の内側に入り込むことで掌を回避し拳を叩き込む。
「このガキぃ!!」
「!!」
距離が空いたところを追撃─しかける直前に敵が両手を地面につけ崩壊させることで足場を崩しこれを阻止する。
(…何をする気だ!?)
両手を地につけ右足を大きく引く──クラウチングスタートの体勢から地面を蹴り接近、崩壊させた地面の手前で跳び覇気を集中させた飛び蹴り放つ。
「
覇気による身体強化にクラウチングスタートによる加速が合わさり放たれた蹴りは、敵の反応速度を超えて敵を穿つ──はずだった。
『やれやれ、さすがは雄英。これほど優秀な金の卵が眠っているとは。』
「!?」
気づいた時には
『死柄木弔、残念ですがここまでのようです。』
「来るのが遅いぞ黒霧!あと少しでやられるところだった!」
黒い靄が死柄木弔と呼ばれた男を包んでいく。姿が見えなくなるにつれて気配もそこから消えるように薄くなっていった。
「待て!!」
「じゃあなクソガキ。顔は覚えた、次は殺す…!」
恨み言を残し、黒い霧が晴れるとそこには何もいなくなっていた。警報もいつの間にか止み、崩れ去った地面だけが先程の敵の存在を物語っていた。
「………はぁ〜、とりあえず無事ですんだか。」
実際には何も事態は好転していないが、生きて帰れただけましだろう。戦闘時間はたったの5分程の出来事ではあったがかなりの疲労感を感じる。……本物の殺意を持った敵との対峙は想像よりはるかに精神を消耗させていたようだ。
ヴー ヴー
「スマホの着信?誰からだ…」
着信の主は──相澤先生…まずい、非常にまずい、だが出ないわけにもいかない。
───ええい、ままよ!
「もしもし猿渡で『猿渡お前今どこにいる!!!』」
まるでマイク先生のような声量が耳をつんざく。あ、これダメだ完全にキレてるよ先生…
「えっと、今校舎裏にいます…」
『なんでそんなところにいる!マスコミの騒動も収まって、とっくに午後の始業時間だぞ!』
うっわもうそんな時間になってたのか。けどこの件を秘密にしとく訳にはいかんよな…
「すいません、やむにやまれぬ事情がありまして。相澤先生実は…」
『なんだ?』
「敵と思しき人物と交戦しました。」
*
とある廃ビル内の一室、そこは既に閉店したBARの跡地となっており現在は誰も寄り付かない場所となっていた。
──ズズズズ
部屋の中央に巨大な黒い靄が出現し、その中から二人の男が現れた。
「はぁ…はぁ…クソっ!!」
霧の中から現れた男──死柄木弔は先程の出来事で完全に気が立っていた。
ある人物から提供された情報により雄英への侵入は成功させた。本来であればその後はなんて事ない下見を済ませて早々に戻るはずだった。
しかし想定外の事態が起こった。本来人がいない時間帯のその場所に1人の生徒がいたのだ。
自分たちの侵入を知られ、姿を見られた。生かしておけるはずは無い、よって始末することにした。いくらヒーロー科最高峰の雄英の生徒と言えど1人であれば取るに足らない相手だとタカをくくっていた。
だが結果はどうだ、あの生徒は正面から戦いを挑み、こちらの攻撃を凌いだ上で一方的に反撃してみせたではないか。
そしてもしあと少し黒霧が来るタイミングが遅れていたら───
「あああっ!!!」
感情のままにカウンターに置いてあった瓶を手で払い除ける。手のひらに触れた何本かはそのまま塵となっていった。
「黒霧!もう一度ゲート繋げ、あのガキ今すぐ殺してやる!」
「落ち着いてください死柄木弔。」
「いいからやれ!それともお前から塵にされたいか!」
黒い靄の男──黒霧は内心ため息をついていた。
思い通りにいかなかったからと癇癪を起こし、あまつさえ味方であるはずの自分を手にかけようする……なまじそれを実行できる力があるだけになおのことタチが悪い。
だが何とか宥めるしかない。
「急いては事を仕損じます、想定外の事態とは往々にして起こるものです。次に考えるべきはこれから先どう動くべきかというところでしょう。」
「………」
言葉をかけられた死柄木は荒い呼吸のまま首周りを掻きむしり始めた。異様な光景だがこれが彼の集中する時の癖だと黒霧は知っている。
そしてしばらくの沈黙が続き──
「……おい黒霧、できる限り兵隊を集めろ。最悪小突いたら反応するチンピラでもいい。やり方は任せる、とにかく数だ。」
「数で攻めると?」
「昔から言うだろ、実力差のある相手には数で攻めるのが1番だってな。んで手下どもの相手をして疲弊したところに
笑う、嗤う、不気味に、愉快に。
未だかつて無い悪意がすぐそこまで迫っていた。
*
「以上が敵との交戦で得た情報になります。」
放課後、ヒーロー科全教師が集まる職員室で拳一は事の顛末を報告していた。
「ありがとう猿渡君。だが、今後はもう二度とこんな危険な真似はしちゃいけないよ。」
「すいません校長先生、以後気をつけます。」
「それじゃああとは僕たちの方で話し合うから、今回のことは他言無用でたのむよ。今日はもう帰りなさい。」
「はい、失礼します。」
職員室を後にする拳一、残された教師たちの間には重苦しい空気が流れていた。
「危険を犯したとはいえ、彼には感謝しなくちゃならないのさ。」
「…ですが、今回猿渡の行動は理解に苦しみます。」
「そう言ってやるなよイレイザー。実際、猿渡リスナーが事前に察知して相手してなかったらどうなってたことか。」
「………」
「それにしても、掌で触れたものを崩壊させる個性…しかも殺しに躊躇いが無いようなやつに、ワープの個性だなんて。これじゃあいつどこから仕掛けられるかわかったもんじゃないわ。」
ミッドナイトが1枚のプリントを手に呟く。そこには先程拳一が残した敵の人相書きが描かれていた。
「だが、個性の情報に加えて相手の人相まで把握できたのは大きい。」
「そうだね、これで僕らは次に備えることができる。当面は警備システムの見直しを僕が主導で行おう。それとしばらくの間先生方には敷地内の警戒業務をお願いしたい。…これ以上敵の好きにさせないためにもみんなどうかよろしく頼むよ。」
*
「さて相澤君、君にだけ残ってもらったわけだけど…」
「…猿渡のことですね?」
「話が早くて助かるのさ。…彼には申し訳ないことをしてしまった。」
プロの免許も持たない学生の独断による戦闘行為…本来であれば厳罰もの、下手をすれば退学だってあり得る話であったかもしれない。
だが彼が身を呈して敵を退けてなければ…その先にあったのは雄英史上最悪の惨劇であっただろう。
「今回は彼のおかげで事なきを得た…だが同時に敵にもうひとつの目的を作らせてしまった。」
「次に攻め込んできた時には、猿渡の命も狙ってくる。それもそう遠くないうちに…」
報告された敵…死柄木と呼ばれた男は短気かつ嗜虐思考が見て取れたという。そんな男が煮え湯を飲まされた相手を目的を優先して放置するとは考えにくい。
「とにかく敵の目的が不明な以上、あらゆる備えが必要になる。もしその時がきたら、君もどうか生徒を守ってやって欲しい。」
「…言われるまでもありませんよ。」
*
「お、猿渡戻ってきた!」
「なんだよ、みんなまだ帰ってなかったのか?」
職員室での報告を終えて荷物を取りに教室へ戻ると、切島や出久を始めまだ何人かは残っていたようだった。
「大丈夫かい猿渡君?マスコミ騒動の時も見当たらず、午後の授業にも遅れてきてたし、どこか体調が優れないのではないか?」
「………飯田、実はな」
突然深刻な雰囲気を醸し出した俺を皆が固唾を飲んで見守る、そして
「寝不足が酷かったみたいで校舎裏でいつのまにか寝ちまっててさ!授業に遅れるわさっきまで相澤先生に説教食らうわで散々だったんだよ!」
ポカンと口を開ける皆、口止めをされてる以上本当のことを言うわけにはいかない。
「な…何をしてるんだ君は!これだけ心配をかけていたにも関わらず寝坊による遅刻だって!?だいたい雄英生たるもの、常に体調管理は──」
「まぁまぁ落ち着けよ飯田、何も無かったなら良かったじゃねぇか。」
「猿渡も普段はしっかりしてるっぽいけど、人間だしそんなこともあるわな。」
「寝不足って何やってたんだ?……ハッ!まさかとんでもなくエロい出来事にでも出会ったのか!?オイラにも教えろ!」
「悪ぃな峰田、こいつはトップシークレットなんだ。」
実際寝不足の理由はガチモンのトップシークレットなので話せるわけが無い。ただまぁ誤魔化し方としてはこんなもんだろ。
「んじゃ俺まだ眠いから先帰るわ。また明日な。」
「なっ、まだ話は終わってないぞ!」
「おう、ゆっくり休めよ。飯田は俺らで抑えとくから。」
飯田には申し訳ないが、疲れてるのは本当なので先に帰ることにする。
「ねぇ猿渡君。」
「どうした出久?」
「本当に大丈夫?」
真っ直ぐにこちらを見つめて出久が問いかけてくる。こいつ思ったより鋭いな。
「なんともねぇよ。心配かけて悪かったな。」
「そっか、でも本当にどうしようもなくなったら言ってね、友達だろ。」
「……おう。」
あぁ…オールマイトが出久を選んだ理由が何となくわかったような気がする。
教室を出て廊下を歩く、今日は家でゆっくり休もう。飯は…面倒だから適当に外で済ませて──
「ドーン!」
「どわぁああ!?」
びっっっくりした!?なんだ、急にどつかれた!?
「やったぁ!ようやく驚いた!」
「なっ、葉隠てめぇ!」
振り返るとそこにはいつの間にか着いてきてた葉隠がいた。こんのイタズラ魔めやってくれたな!
文句のひとつでも言ってやろうと思ったが…なぜか彼女の雰囲気がいつもより暗いことに気づいた。
「……」
「…どうしたんだよ、らしくない。」
「…ねぇ、本当に大丈夫?」
「何が?」
「これまで何度かイタズラをしかけてきて、猿渡君が私に気づかなかったことなんて1度もなかった。ましてやコスチュームですらない制服の状態でも気づかないなんて…そんなになっちゃうようなことが本当はあったんじゃないのかなって…」
「葉隠…」
「大丈夫だよね?なんともないんだよね?」
一瞬言葉に詰まる。昼休みの戦闘のことは話すわけにはいかない…だとすると、少なくとも今の自分にこの子を心から安心させてやることはできないんだろう。
それでも
「大丈夫、なんともねぇよ。それにもし俺たちに何かあったって、雄英には先生たちとあのオールマイトが居る。だからそんなに心配すんなよ。」
それでもヒーローは笑うのだ。少しでも皆を安心させるために、
今思えばこの日だったんだろう。
この時はまだ知る由もなかったんだ。
読了ありがとうございます!
原作と同じく死柄木に出会ったことでこれからどうなってしまうのか…基本的に原作沿いですがオリジナルの面白い展開なんかも作れればなと考えております。
必殺技解説のコーナー
・猛牛星衝突(アルデバランインパクト)
アルデバランとは牡牛座を構成する星の中で最も明るい星であり、冬のダイヤモンドを構成する星のひとつでもあります。牡牛のイメージと牛繋がりでワンピースのサンジが使用する仔牛肉ショット(ヴォーショット)イメージしてクラウチングスタートによる加速からの飛び蹴りの技になりました。………あれ、これだと仔牛肉ショットというよりNARUTOの夜ガイでは?あの技もかっこいいですね。
次回からいよいよUSJ編、お楽しみに!