フレームアームズ・ガール 蒼穹のシーニィ 作:ポメラニアンドロイド初号機くん
——かつて、ロシアという大国があった。
だが『星暦』が始まり、宇宙開拓時代の訪れと共に『
星暦26年、その中の一国家であるアルザリア公国の国境線付近での出来事——。
▷▷▷
国境線に向けて殺到する、他国の無人機動兵器とFAガールの軍勢。そして、それらの部隊を束ねる正規軍人と思われる前線指揮官。
彼らの前に、灰色の装甲を纏う飛行型のFAガールが悠然と降り立った。
「警告する!!!それ以上我が祖国に近付くのならば、武力侵攻の意図有りとして排除する!!!速やかに立ち去れ!!!」
——アルザリア公国所属、スティレット級空戦型FAガール『ヴェールヌイ』。
常に冷静沈着かつ勇猛果敢な、国土防衛部隊の隊長である。
彼女の警告に対する返答は、硝煙と鉛玉の嵐によってなされた。
「愚か者どもが…………!!!」
ヴェールヌイはすぐさま空へと舞い上がり、不規則な軌道で弾幕を掻い潜りつつも回避の合間に、左手に装備したスマートガン*2を撃つ。
更にヴェールヌイは、脚部に装着したドローンを分離してビームバルカンによる砲撃を行いながら、ドローンに内蔵された空間解析レーダーにより入手した情報を自身の
「お前の出番だ…………シーニィ!!!」
——直後、対物ライフルによる狙撃で敵の前線指揮官の腰から上が吹き飛び、鮮血の花を咲かせた。
「命中…………っと。僕達の故郷をめちゃくちゃにしようとする悪いヤツは、みんなやっつける!!!」
——スティレット級空戦型FAガール『シーニィ』。
ロシア語で青の意味を持つ名前の、名前通り青い装甲を身に纏う少女は快活に笑いながらライフルを構え直し、敵軍の装甲車両を次々に撃ち抜く。
「シーニィは私の援護だ、決して私より前に出るな。もしも近接戦闘になってしまえば、お前に勝ち目はない」
「は〜い…………」
シーニィは否定しようのない事実にややヘコみながらも、ヴェールヌイの後に続いて飛び立ち、彼女を援護する。
実は、シーニィは全てにおいて優秀なヴェールヌイとは違い、FAガールの割に射撃と飛行技術以外の能力がからっきしなのである。
現にナイフ戦の訓練では教官(普通の人間)にすら手も足も出なかった。
——本来、FAガールは明らかに人間よりも戦闘能力が高いはずなのに。
得意分野では優れた才能を発揮するが、それ以外はまるで駄目……
わかりやすく言うなら某国民的アニメの主人公、野比少年のようなタイプだ。
ゆえに、苦手を補うのではなく『自分の得意分野を一方的に押し付ける』、それこそがシーニィの学習した戦い方。
▷▷▷
シーニィは対物ライフルをスマートガンに持ち替えて、指揮系統が混乱した敵軍に針の穴を通すような狙撃を浴びせる。
逃げる者は追わず、向かってくる敵だけを撃ち抜いていく。
「流石に数が多いな……一度峡谷に誘い込むぞ」
シーニィとヴェールヌイは一度敵に背を向けて、国境付近の峡谷地帯に敵軍を誘導した。
アルザリア公国は峡谷地帯に築かれた小さな国で、峡谷を抜ければアルザリア公国までほぼ一本道。だが、その地形こそがアルザリア公国を守る天然の要塞。
「
ヴェールヌイは両手にブレードを構え、向かってくる空戦型FAガールを次々に斬り捨てる。
常に冷静沈着かつ勇猛果敢、ヴェールヌイはまさしくシーニィの理想の姿そのものだ。
「いいなぁ……僕もあんな風に、かっこよくなりたいなぁ…………って、今それどころじゃなかった!?」
シーニィは気を取り直して、地上から侵攻してくる敵を迎え撃つ。
アクティブマインによりある程度数を減らしたものの、やはり数では敵軍が上。
——しかしそこに、アルザリア公国所属の地上戦型FAガール部隊が合流する。
「援軍!?助かった…………よ〜し、このまま押し返すよ……みんな!!!」
シーニィは、脚部にサブスラスターとして配置したドローンユニット(ヴェールヌイの装備している物と同型、同機能)を分離して、オールレンジ攻撃を仕掛けた。
——踏みしめる度痛みの音が聞こえる程の過酷な戦いの中、最終的に生き残り勝利を手に入れたのはシーニィ達だった。
やがて敵軍は撤退し、シーニィ達の任務も完了する。
▷▷▷
基地に戻ったシーニィとヴェールヌイは、汎用アンドロイドの発明者にしてFAガールという兵器カテゴリーまたは概念の生みの親、そして現アルザリア公国所属メカニック兼科学者の『プロフェッサー·アデク』にメンテナンスを受ける。
「ふむ、ヴェールヌイ………勇猛なのは結構だが、あまり無理をしないように。また装甲にダメージが累積しているぞ………君達FAガールはあくまでも替えのきく兵器だが、シーニィとは違ってヴェールヌイは私の最高傑作なのだから。と、言っても君は聞かないだろうがね」
プロフェッサー·アデクは淡々とヴェールヌイのメンテナンスを行いながら、シーニィを一瞥してため息を吐く。
2人はほぼ同時期にプロフェッサー·アデクによって製造された、いわば姉妹である。
だが、
プロフェッサー·アデクがどちらに期待しているかは言わずもがなだ。
「お言葉ですがプロフェッサー·アデク、シーニィは私の自慢の妹です。シーニィを侮辱するなら例え貴方であっても………」
常に冷静沈着なヴェールヌイが珍しく怒りを滲ませる。
「そう怒るな、ヴェールヌイ…………私も自分なりに、シーニィの強みを活かす方法や装備を考案しているところだ。つまるところ、兵器とは使う者しだい。ヴェールヌイには及ばずとも、シーニィにも何かしらの役割や使命があるはずなのだからな………」
話が通じているようで、決定的にズレている。
ヴェールヌイの怒りはプロフェッサー·アデクには届かず全く響く事もない。
プロフェッサー·アデクはシーニィには
——どこまでも歪な親子の形がそこにはあった。
ヴェールヌイ
ロシア語で『信頼できる』という意味。
基本的にハイレベルなオールラウンダー。何をやらせてもそつなくこなす。
アルザリア公国所属の国土防衛部隊の隊長でもある。本来こういう指揮官役は正規軍人が務めるのだが、ヴェールヌイは『国家への忠誠心』という部分でも信頼されている為に指揮官に任命された。
外見としては、スティレットのロービジカラー。
なお、艦これに同名のキャラがいる事は知っていますが、名前の意味を重視しただけで特に関連性はありません。
シーニィ
主人公。ロシア語で『青』という意味の名前。
基本的に明るくお調子者で純粋な性格。だが、得意分野以外はとことん駄目なポンコツ気質。
なお、シーニィは僕っ娘である。