フレームアームズ・ガール 蒼穹のシーニィ   作:ポメラニアンドロイド初号機くん

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第3話 さよならさえ言えないまま

シーニィside

 

 

 ヴェールヌイの活躍により、アラクネア(アシダカグモ)は討伐された。

 ——しかし、僕が失ったモノ(ヴェールヌイ)の存在は大きく、勝利の喜びなんて物は一切ない。

 僕は、損傷により機能を停止したヴェールヌイの筐体(亡骸)を抱えて基地への帰路につく。

 その途中で、僕達の戦いによる被害と市街地の惨状を嫌でも目の当たりにする事になった。

 家を失った一般市民、消化活動が追いつかず燃え続けている建造物、そして、両親を失って瓦礫の前で泣きじゃくる子ども…………全て、僕自身の迂闊さが招いた結果だ。目の前の現実は容赦なく僕の心を抉っていく。

 ——僕はどうしようもなく、無力で非力な失敗作だった。

 

「この疫病神め!!!」

 

 その時、罵声と共に背後から何かを投げ付けられた。これは……石?

 

「なんで俺達を守ってくれなかったんだ……!!!お前らがしくじったせいで、俺の妻は…………!!!」

 

 守るべき筈の一般市民から怒りを向けられる。それは精神的に、なかなか堪える事実だった。

 集団心理というのは恐ろしい物で、僕に石を投げ付ける人、それに同調する人はしだいに数を増した。

 ——僕はもはや街の中に留まる事すら許されない。

 僕の使命はこの国を、この国の人達を守る事。なら…………

 何 故 ? 

 何 故 、 僕 は 今 、 石 を 投 げ ら れ て い る の ?

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故こんな事に…………????

僕は失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した私は出来損ないだ。こんな事なら最初から、僕が犠牲になれば良かった。

 

 このままここにいると、僕の中で決定的な何かが折れてしまいそうだから、僕はヴェールヌイの筐体(亡骸)を抱えたまま足早に街を出た。

 

 

 

 

▷▷▷

 

 

 基地に帰った僕は上官に作戦の成功を報告して、その後ヴェールヌイの筐体(亡骸)を引き渡す。

 

「そうか。ヴェールヌイ少佐が犠牲に…………わかった。一応、筐体の修復は行う予定だが人格やメモリー系のデータが無事なのか不明な以上、蘇生できるかはわからない。だが我々としても最善を尽くす事を約束しよう」

 

「ありがとうございます…………」

 

 僕は優しく誠実なその上官に敬礼した後、足早に部屋を出た。

 ——そのまま部屋に留まっていたら、思わず泣いてしまいそうだったから。

 

 

 ヴェールヌイの筐体(亡骸)が何者かに盗まれ、同時にプロフェッサー·アデクが失踪した事を僕が知ったのは、その数日後の事だった。

 

シーニィside 終

 

 

▷▷▷

 

 

プロフェッサー·アデクside

 

「ふむ、メモリーデータは無事なようだ。しかし、まさかヴェールヌイが犠牲になってしまうとは…………危うく、私の最高傑作(ヴェールヌイ)が完全に失われるところだった。シーニィ……あの失敗作は、いったいどこまで足を引っ張れば気が済むのだ?」

 

 考えれば考える程に怒りが湧き上がってくる。

 私の計画を実現する為には、どうしてもヴェールヌイが必要なのだ。

 機能的な面だけを見れば、同型機であるシーニィでも代用はできる。だが、それはあくまでもサブプラン。

 目の前に2つの選択肢があり、どちらか一方しか選べないのならば、よりメリットの大きい方を選ぶのは当然の話だ。

 ——ヴェールヌイとシーニィ、確かにどちらも私の計画に欠かせないラストピースである。

 しかし、実際に必要なのはどちらか一方だけ。

 一方を切り捨てなければならないのならば、私は迷わずシーニィを切り捨てる。

 単純な損得の問題だ。そこに倫理だとか人道だとか、そのような感情論は不要。

 確か、西暦の時代にはトロッコ問題という命題があった。それと似たような物だ。

 1人を犠牲にするか、5人を犠牲にするか…………だったかな?

私からすれば実に馬鹿げている。

 ——そんな物、当然自分にとって利がある方……()()()()()()()()()()()()()()に決まっているだろう。

 

 

 

プロフェッサー·アデクside 終

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