STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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ふたり肩を並べて中央通りまで出てきたはいいものの、これといった目的もない。ただ、外の空気が気持ちの切り替えにでもなったのか、かがりは多少なり落ち着きを取り戻していた。

 

「その、どこか行きたいところ、あるか?」

 

こういうときに明るく話せない自分が嫌になる。

 

「……どこでもいいの?」

 

「ああ。かがりの行きたいところに行こう」

 

「……それじゃあ、紅莉栖さんと行ったところに連れて行ってほしい」

 

「紅莉栖、の?」

 

「オカリンさんが、紅莉栖さんと歩いたことのある場所に連れて行って」

 

俺と紅莉栖が行ったところ。そうだな。例えばこの近所にあるコインランドリー。例えば芳林公園。例えば牛丼のサンポ。あまり色気のある場所や楽し気な場所は少ない。あいつとは、いくつもの時間を共有していたけれど、その多くは幾多もの世界線の向こうへと消えて行った時間だ。

 

何度も何度もやり直した時間だ。

 

その消え去ってしまった時間の中で、俺とあいつがしてきたことと言えば、ラボでの議論か開発がほとんどだった。どこかへ遊びに行く、という時間はろくに共有していなかった。青森に行くという約束も、結局は果たされないまま。

 

「オカリンさんが、紅莉栖さんと初めて会ったのは、どこ?」

 

「初めて会った場所……」

 

「私、そこに行きたい」

 

俺と紅莉栖が初めて会った場所。それは——。

 

 

 

 

 

「ここが?」

 

「っ……」

 

秋葉原の駅前にそびえ立つ、やたらカラフルな建物。ラジ館。

 

——始まりの場所。

 

そう、全てはここから始まった。

 

あの日、屋上に現れたタイムマシン。俺が初めて紅莉栖に会ったのは、そのすぐ後だった。

 

今でも思い出す。

 

挑みかかって来るようなあの瞳。

 

思えば俺は、あの時既に紅莉栖に惹かれていたのかもしれない。

 

だがここは、紅莉栖に初めて会った場所であると同時に、俺があいつを——。

 

あいつを——。

 

 

 

「っ………!」

 

「オカリンさん?どうしたの?」

 

「す、すまない…」

 

ここ最近は、かがりの事で慌ただしくしていたせいか、少しはマシになったと思っていたのに。

 

「汗、凄い……ごめん。もしかして、私のせい?」

 

「いや、そうじゃないんだ。ただ……」

 

ここに来ると、否が応にも思い出してしまう。あの日の事を。

 

だけど——。

 

「…行こう」

 

「いいの?具合、悪いんでしょ?」

 

「大丈夫だ……」

 

いつまでも、ここで足踏みしているわけにもいかない。このままじゃ、いつまで経ってもまゆり達を心配させたままだ。いつかは克服しなければならないことなら——。

 

「わかった。それじゃあ、行こう」

 

手のひらに柔らかな感触が触れた。

 

かがりが俺の手をしっかりと握ってくれていた。

 

「あり……がとう」

 

俺はかがりに連れられるようにして、竦みそうになる足でゆっくりとラジ館のにぎやかな路地へと踏み入った。

まゆり達だけじゃない。紅莉栖にも、これ以上心配をかけたくない。自分を犠牲にすることも厭わない、誰よりも優しいあいつの想いに、少しでも報いるためにも。

 

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