STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~ 作:明治アル蜜柑
「と、とにかく上がってください!」
初めて入るルカ子の部屋は、やはり女の子の部屋みたいだった。
「わ、ふたりともずぶ濡れ……。急いで着替えなきゃ!」
ラジ館からならラボに戻るよりも柳林神社に向かった方が早い。そう判断した俺は、かがりを連れて柳林神社にやって来た。途中でまゆりから連絡があったので、こっちに先回りしてもらった。
「ママ……」
俺の言葉が少しでも響いてくれたのなら幸いだ。
まゆりの重荷にはなりたくないとかがりは言った。
そんなことを気にするなんて、やはりまゆりとかがりは母娘なんだと思い知らされる。重荷でなど、あるはずがないのだ。そんな想いを抱えていただけに、まゆりに対して遠慮してしまうかもしれないとも思ったが、杞憂に終わったようだった。
まゆりの顔を見た途端に、かがりの表情が少しだけ穏やかになった。今のかがりには、まゆりがついていなければならない。こういうのは母親の役目だからな。
「寒かったでしょ~」
「お風呂、沸かしてきますね!」
俺たちにタオルを手渡すと、ルカ子はいそいそと部屋を出て行った。
「お風呂……ママと一緒がいい……」
「まゆしぃと?うん、いいよ~」
まゆりは二つ返事だった。その反応に、かがりも嬉しそうな顔をする。
「あ、でもオカリンはどうする?」
「いや、俺はいい。かがりを先に入れてやってくれ」
「寒くない?風邪引いちゃうよ?」
「じゃあ、オカリンさんも……一緒に入る?」
「なっ!何を言っているんだ……」
「か、かがりちゃん?なに言ってるのかな~?」
「と、ともかく、俺は大丈夫だからふたりが先に入れ!な?」
「そ、そうするね!ほら、かがりちゃん、行こう?あ、それとオカリン。風邪引かないように、着替えだけでもしてね?」
「あ、ああ…ええと、うん。なんとかする」
ルカ子の父親の服でも借りるか…?
考えつつ、かがりのことはまゆりに任せて部屋を後にしようと立ち上がったその時——。
「かがり…ちゃん?」
「…………」
「どうしたの、かがりちゃん?」
かがりの様子がおかしかった。まゆりの顔を不思議そうに見つめている。
「……誰?」
「え?」
「…あなたは、誰?」
「ま、まゆしぃだよ。かがりちゃん」
「かがり……私の、名前?」
「お、おい。かがり…」
「ちが……う……私……わたし、は……誰?……誰なの?」
その瞬間、かがりは頭をかきむしるようにして、地の底から湧き上がるようなうめき声を上げた。
「うぁあああああああ!」
「お、おい!しっかりしろ、かがり!」
「あああああぁぁぁっ!痛い……痛い痛い痛い痛い!痛いよママ……助けて……パパ……助けて!誰か……助けて……私を助けてよぉ……!」
それはまさに、操り人形の糸が切れたようだった。
「かがりちゃん!」
全身から力が抜けたかと思うと、かがりはそのままその場に崩れ落ちた。