STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~   作:明治アル蜜柑

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第七章 盟誓のリナシメント
(1)


そこは黒い黒い闇の中だった。音もない。温度も無い。ただ暗闇と、冷たさと静寂に満ちていた。

 

誰もいない。起きているのか眠っているのかもわからない。

 

ただ漠然と、そこにあるという感覚だけ。

 

無————。

 

ただそれだけが無限に広がっていた————。

 

 

 

「!!!!」

 

 

あれ?俺はいったい何をしていたんだ?

 

確か————。

 

 

 

「ちょっと岡部、いつまでもそんなところで寝てると、風邪ひくわよ」

 

「え…?」

 

声の方向に顔を向ける。開発室のカーテンを開けて、立っていたのは。

 

「なによ?」

 

「なんだ、紅莉栖。いたのか?」

 

「いたのか、とはずいぶんご挨拶だな。さっきから、ずっとここにいたじゃない」

 

「そう……だったか?」

 

「そうよ。昨日も一昨日も、ずっとここにいたわよ」

 

言われてみれば、そんなような気がした。どうにも頭の中が曖昧で、朦朧としている。かと言って、眠いとか、だるいとか、そういうわけでもない。意識だけはしっかりと覚醒している。

 

それなのに、何かが足りない———それも大切な何かが————そんな感覚だ。

 

「そういえば、ダルやまゆりはどうした?」

 

「……あんた、本当に大丈夫?何か不具合でもあったんじゃない?」

 

「どういう意味だ?」

 

「橋田もまゆりも、ほら、そこにいるじゃない」

 

「え?」

 

 

 

 

「オカリン。トゥットゥルー♪」

 

「僕のこの大きすぎる存在感を見落としてるなんて、どうかしてるぜ、オカリン」

 

ああ、そうか。ダルもまゆりも、いつだってそこにいたよな。いや、ふたりだけじゃない。

 

「凶真、元気がないニャ?フェイリスの萌え萌えチャームで元気を取り戻すんだニャン♪」

 

「凶真さん、ボクにできることがあったら、なんでも言ってくださいね」

 

フェイリスもルカ子も。

 

そして———。

 

 

 

 

「岡部倫太郎のために、その辺の食べられそうな草で、あたしが特別ジュース作ったげるよ」

 

「私も……いるよ……岡部君……」

 

鈴羽に萌郁。ラボメン全員、いつもこのラボにいたじゃないか。

 

そうだ。これが俺の日常だ。俺はいつも、ここでこうして過ごしているんだ。

 

 

 

「ふむ……全員いるようだな。ではっ!只今より、第65536回目の円卓会議を行う!お前たち、準備はいいか!?」

 

「まったく、いつもいつも暑苦しいわね」

 

「お雨こそ、いい加減そのお澄ましフェイスはやめるんだな、助手」

 

「だから、私はあんたの助手になった覚えはないといっとろーが」

 

「オカリンとクリスちゃんは、いつも仲良しだね〜」

 

「イチャイチャしやがって。リア充爆発しろ」

 

「ちょっと、橋田。私がいつ、こいつとイチャイチャしたっていうのよ」

 

「仲がいいほど、喧嘩するっていうニャ」

 

「羨ましい……です……」

 

「漆原るかも一緒にイチャイチャすればいいじゃん」

 

「え?だ、ダメです!ボクにはそんな事、出来ません……」

 

「イチャイチャ……」

 

「ええい、お前たち、いつまでムダ話をしている!さっさと会議を始めるぞ!」

 

「で、今日の議題はなんなんだ?」

 

「そんなものは決まっている。今日の議題は————」

 

 

なんだ………?

 

 

「議題は……」

 

「岡部?」

 

やっぱり何かが違う……。

 

「オカリン?」

 

一見いつもと同じように思えるが……。

 

「どしたん、オカリン?」

 

……そうだ、冷たいんだ。

 

「凶真?」

 

感じない。

 

「凶真さん……」

 

感情も。

 

「岡部倫太郎」

 

温もりも。

 

「岡部……くん……」

 

みんながいる。

 

 

それなのに、冷たくて暗くて寒くて……。

 

 

 

寒い————。

 

 

 

寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い。

 

 

 

 

身体の芯から凍ってしまいそうなほどに寒い。

 

まるで骨という骨が鉄でできているかのように。

 

身体中の血管に水銀でも流されているかのように。

 

寒い。

 

今にも凍ってしまいそうだ。

 

なんだ、これは?

ここは、どこだ?

俺は……どこにいる?

 

俺は————。

 

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